ダイの大団円 (take 3)    作:ギアっちょ

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幕間

ポップの呪文で、キルバーンが消滅するのを見届けた一行。

 その場で、マァムがどさりとへたり込んだ。

 

「終わり……よね?

 もう……あとは、新しい敵が誰か出てきたりしない?!」

 

 きょろきょろとあたりを見回す彼女に、

 クロコダインがぼそりと答える。

 

「まだ、どこかに『真の黒幕』が居たりするかもな?」

 

「もう!!」

 

 マァムが抗議の声を上げ、それを合図にしたように、場に笑いが広がる。

 

 一同から一歩離れた場所。

 レディオス・ソープは、腕を軽く組み、優しく微笑んで彼らを見ていた。

 

 その胸元で、ドラゴンドロップが小さく脈打つ。

 先ほどまで暴れ狂っていた“竜の紋章”の余韻が、まだ空間に残っている。

 

(この世界の“竜”も、よく頑張ったね)

 

 ソープは胸の奥でそんな感想を抱きながら、静かに息を吐いた。

 

(この人……)

 

 レオナはソープを見つめながら思う。

 

 ソープは自分を「魔法剣士」と名乗った。

 だが、その身のこなしは、とても“ただの剣士”のものではない。

 

 姿勢、歩き方、振り向き方。

 そのどれもが、王族や高位貴族にしか身につかない「教育された動き」だ。

 

 大勢の人間の上に立ち、

 多くの命を背負ってきた者だけが持つ、“クセ”。

 

 それが、彼のあらゆる所作から滲み出ていた。

 

 さきほどツバンツヒが、彼を「陛下」と呼んだこともある。

 どこの国の、どんな王なのだろう。

 

「レディオスさん……あなたは一体……?」

 

 レオナが問いかけると、ソープは柔らかく笑った。

 

「ソープでいいですよ、レオナ姫」

 

「僕は、ただの通りすがり。

 だからこそ言えることもある」

 

 ソープは、ゆっくりと言葉を選ぶように続ける。

 

「大魔王バーンが地上を消し飛ばしていたら、

 この大地に生きる人々は、みんな何も言えないままに殺されていただろう。

 

 大勢の『人間』がね」

 

 そこで一度言葉を切り、目を細めた。

 

「でも、人間以外の生き物……動物だって、植物だって、生きる権利はある。

 この大地そのものだって、存続する権利がある。

 

 それも、忘れないでほしい」

 

「ソープさん……」

 

 傍らで聞いていたメルルは、静かに「やっぱり」と思っていた。

 

(この御方は──やっぱり“この世界の人”じゃない)

 

 キルバーンの叫び。

 ソープのウインク。

 今の言葉の一つ一つ。

 

 それらを重ね合わせれば、答えは一つだ。

 

(この御方は、人間だけじゃなくて、『すべて』を平等に見ている。

 まさに……神様の視点……)

 

 人間、モンスター、動物、植物。

 そして、大地そのもの。

 

 すべてを同じ「命」として見る存在。

 それは、どう考えても、人間という枠には収まらない。

 

(でも、それをここで皆に言っていいのかな……?)

 

 キルバーンは言っていた。

 異界神〈アーク〉が「この世界」に干渉するのは、ルール違反だ、と。

 

 ソープ自身も、極力「自分は人間です」という体裁を保とうとしているように見える。

 

(たぶん……バラさないほうがいい)

 

 メルルはそう結論づけ、そっと口を閉ざした。

 

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