黄金の獣は真なるヒーローを目指す   作:刹那

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ベイ中尉vsタツマキちゃんが始まります。
それにしても、ベイ中尉はバトル者で動きやすいから、創作者としては、とても便利なキャラですね。


番外編 結局誰が強いの選手権大会 その2

 

 

 

『戦慄のタツマキ選手、ヴィルヘルム・エーレンブルグ選手、入場お願いします!』

 

 

ザッ!

 

 

ザッ!

 

 

 

「「......」」

 

ベイとタツマキの間には、約3mほどの距離がある。だが、その程度の距離は2人にとってはまるで意味がない。片やありとあらゆるエネルギーを吸い殺す吸血の杭を放てる殺戮の化身。片や空間さえあればすべての物質を意のままに操り、捻り殺せるエスパーのヒーローの少女。どちらも相手を敵と認識すれば、躊躇なく常人ならば即死の攻撃を可能とする危険人物である。そんな危険な2人が今、激突しようとしている。

 

「さて、いよいよ始まりました。準々決勝第一試合、戦慄のタツマキ選手対ヴィルヘルム・エーレンブルグ選手の勝負です。解説役にキングさんをお呼びしています。どうぞ、よろしくお願いします!」

 

 

ドッドッドッドッ......!

 

 

「こちらこそ、よろしく頼む.....」

 

キングはキングエンジンを鳴らしながら、低い声で、声を返した。そのエンジン音を認識し、観客のほぼ全員が、キングの声に耳を傾ける。

 

「ではキングさん、タツマキ選手とヴィルヘルム選手の試合をキングさんは、どのように考えているのか、お答えできないでしょうか?」

「.....わからん。」

「わ、わからない?それは、もはやキングさんですら、もはや予測不可能ということでしょうか!?」

「......」

 

 

ドッドッドッドッ!

 

 

「み、皆さん!お聞きになったでしょうか!あの人類最強のキングさんですら、予測不可能とのことです!この試合、瞬き一瞬すら許されませんよ!私も、試合が始まる前にメガネを磨きなおします!」

(何故そうなる?一般人の俺じゃ考察できるわけないだろ!)

 

 

うおぉぉぉぉぉぉっ!!!

 

 

司会者のコメントによって、観客のボルテージが一気に上がった。それを聞いたヴィルヘルムは、少し鬱陶しそうな顔をする。

 

「ちっ、キングがちょっと喋ったからってガヤガヤ騒ぐんじゃねえよ劣等共が....せっかくいい戦場のムードができてたってのによぉ....」

「あら、意外にデリケートなのね。そんな調子で私に勝てるのかしら?」

「は、メス餓鬼相手だったら、こん位でいいハンデだろうが。」

「その言葉、すぐに後悔させてあげるわ.....怖気付いて、尻尾巻いて逃げるんじゃないわよ?」

「カッ!てめえこそな、チビったからお家に帰るなんていうんじゃねえぞ。」

「あんたは捻り切って殺すと予告するわ!」

「ほざけや....吸い殺してやんよ!」

 

 

 

オオォォォォォ.....

 

 

 

両者とも目線で火花を散らしながら睨み合う。二人だけの空間は、ひび割れそうなほど、殺意と闘気で満ち溢れている。その気圧に、審判は気絶しそうになるも、なんとか耐えて、開始のコールを行う。

 

「ヴィルヘルム選手vsタツマキ選手、いざ尋常に....」

「.....」

「....」

「勝負!」

 

 

バッ!

 

 

「うおぉぉぉぉぉらぁぁぁぁぁ!!」

 

審判が開始と同時に腕を下ろすと、それに反応してベイはタツマキとの距離を半分縮めた。そして何もない空間から、自分の体から、吸血の杭をバルカン砲のように撃ち放ち、直線、そして曲線を描きながらタツマキへと撃ち放った。

 

「杭による空間的圧殺....つまり雑魚ね。」

 

 

ピタァァァッ!

 

 

「なっ....にぃぃぃ!?」

 

 

タツマキが前方に手をかざすと同時に、ベイが放った杭をすべて止められてしまった。それどころか、杭の操作権をタツマキに奪われ、逆にすべてベイの方へと向けられる。

 

「倍返しは....原理的に無理ね。とりあえず全部返済させてもらうわ。」

 

 

ドドドドドドドッ!!!!

 

 

「チッ、面倒なことをしやがって....」

 

ベイは跳ね返された杭を全て弾き....返さなかった。それどころか、全てその身に受け止めたのだ。ベイのとった行動に、タツマキはまゆをひそめる。

 

「....何してるのあんた?マゾヒストなわけ?」

「んな訳ねぇだろ劣等。その杭は謂わば俺の牙だ。それが俺に刺さるってことは、俺の血を吸って俺に返してるという循環になる訳だ。避けるのが面倒くせえし、あんま意味がねえと感じたから、こうした訳だ。」

「なるほどね。」

「ま、取り敢えずてめえに杭バルカンはほぼ意味がねえことはよくわかった。正直驚いたぜ.....驚愕したよ。杭の操作権を奪われる....こんな屈辱、生まれてこのかた初めてだわな。」

「そう、だったらどうするの?」

「知れたことだろ嬢ちゃん....」

 

 

メキメキメキ.....!

 

 

ベイの身体中から吸血の杭が生え始め、筋肉の隆起のように尖り始めた。その杭は次第に太くなり、ベイの体がほとんど見えなくなるほど大きくなった。

 

「直接串刺してヨガらして、屑みてえにバラつかせるに決まってんだろうがぁぁぁぁぁ!!」

 

 

ドドドドドドドッ!!!!

 

 

ベイは棘の塊となってタツマキの方へと駆け出した。それはさながら針の砲弾。タツマキはバリアを張ってベイの攻撃を凌ごうとしたが.....

 

 

パリィィィィッ!!!!

 

 

「!?」

 

そのバリアはいとも容易く砕かれた。

 

「バリア何ぞ無駄にかまってるだろうがぁぁぁぁ!俺の牙は、超能力のエネルギーすら無差別に吸い殺すんだぜ!」

 

さすがのタツマキも驚愕した。ベイはすかさず、そのまま突進して刺し殺そうとする。するとタツマキは左手を半回転させた。

 

 

メキョ!

 

 

「あ?」

 

なんと、ベイの体を包んでいた巨大な杭が全てねじ切れてしまった。あまりの唐突の出来事に、ベイは思わず間の抜けたセリフを言ってしまった。

 

「案外簡単なものよ、吸血鬼の牙を折るのは。」

 

 

フワ....

 

 

「な!?」

 

 

ドゴォッ!

 

 

「ガアッ!」

 

タツマキは念動力でベイを宙に浮かせ、そのまま地面に叩きつけた。ベイは頭ごと地面にめり込んでしまう。

 

「さて、あとは予告通り完膚なきまで捻り殺してあげようかしら?」

「ふ....ふふ....」

「?」

「フハハハハハ、カハハハハ....アーハハハハハハハハハァァァ!!!!」

 

タツマキは地面に食い込んだベイにとどめを刺そうとした瞬間、ベイの不敵な笑い声に反応し、攻撃をやめた。

 

「どうかした?頭打っておかしくなっちゃったのかしら?」

「いいや、キちまったのさ。あまりに面白くて、頭が沸騰しそうだ。最高だぜお前....殺しがいがある。」

「それで、いったい何がしたいのよ?」

 

 

ボゴッ!

 

 

スタッ!

 

 

 

ベイは地面から飛び出し、宙返りしてから再びタツマキに向き直る。すると、ベイ独特の構えを取りながら呟く。

 

「教えといてやる。これが『俺の創造』だ。」

 

 

-ドクン!

 

 

「っ!これは!?」

 

 

ざわ....ざわ....!

 

 

すると、途端にタツマキ....いや、彼女のみならず、この闘技場に入る全ての者たちの視界が暗転した。暗い、暗いのだ。そう、何故か、いつの間にか、この時間は昼のはずなのに、深夜になっていたのだ。そんな中、ベイの詠唱(うた)が、会場に響き渡る。

 

『かつて何処かで そしてこれほど幸福だったことがあるだろうか

(Wo war ich schon einmal und war so selig)

 

あなたは素晴らしい 掛け値なしに素晴らしい しかしそれは誰も知らず また誰も気付かない

(Wie du warst! Wie du bist! Das weiß niemand, das ahnt keiner!)

 

幼い私は まだあなたを知らなかった

(Ich war ein Bub', da hab' ich die noch nicht gekannt.)

 

いったい私は誰なのだろう いったいどうして 私はあなたの許に来たのだろう

(Wer bin denn ich? Wie komm' denn ich zu ihr? Wie kommt denn sie zu mir?)

 

もし私が騎士にあるまじき者ならば、このまま死んでしまいたい

(Wär' ich kein Mann, die Sinne möchten mir vergeh'n.)

 

何よりも幸福なこの瞬間、私は死しても 決して忘れはしないだろうから

(Das ist ein seliger Augenblick, den will ich nie vergessen bis an meinen Tod.)

 

ゆえに恋人よ 枯れ落ちろ

(Sophie, Welken Sie)

 

死骸を晒せ

(Show a Corpse)

 

何かが訪れ 何かが起こった 私はあなたに問いを投げたい

(Es ist was kommen und ist was g'schehn, Ich möcht Sie fragen)

 

本当にこれでよいのか 私は何か過ちを犯していないか

(Darf's denn sein? Ich möcht' sie fragen: warum zittert was in mir?)

 

恋人よ 私はあなただけを見 あなただけを感じよう

(Sophie, und seh' nur dich und spur' nur dich)

 

私の愛で朽ちるあなたを 私だけが知っているから

(Sophie, und weiß von nichts als nur: dich hab' ich lieb)

 

ゆえに恋人よ 枯れ落ちろ

(Sophie, Welken Sie)

 

創造

(Briah)

 

死森の薔薇騎士

(Der Rosenkavalier Schwarzwald)』

 

彼の創造(セカイ)は明けぬ夜。己が血を新生させ、誕生する闇の不死鳥となること。ベイの渇望の爆発が、今始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




もしかしたら、今回のバトルは今までの中で一番長いバトルになるかも....
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