「フハハハハハ、アーハハハハハハハハハ!ヒャハハハハハァァァァー!!!」
ドドドドドドドッ!!!!
「っ!」
ベイの狂笑が月下の空間に響き渡る。それと同時に、無尽蔵の吸血の杭が縦横無尽にタツマキへと襲いかかる。タツマキは瓦礫を囮にしたり、杭の操作権を奪ってなんとか回避に徹しているが、素人の目から見ても、明らかに時間の問題だとわかっていた。
「おいおいどうしたよお嬢ちゃんよぉ!さっきまでの気迫はどうした?吸血鬼の牙は案外簡単に折れるんじゃねえのかぁ?カハッ!ま、こんだけ無尽蔵にあったら、何本折っても意味はねえけどな。」
「生意気、言ってくれるじゃない!」
タツマキはそう叫びながら、右手をベイの方へと向ける。すると、ベイは金縛り状態となり、身動きが取れなくなった。
「!」
「内側から、あんたを壊してあげるわ!」
オォォォォ.....!
「.....」
ベイの身体が小刻みに揺れる。恐らく、血管の逆流や、血管組織の破壊を行おうとしているのだろう。だがその時、ベイがぼそりと呟く。
「....の程度かよ?」
「?」
ドドドドドドドッ!!!!
「こんな程度で?これっぽっちの....なまっちょろい念動力で?こんな貧弱な魔力で、俺と殺り合おうなどとほざいてやがったのかァァァァーーーーーー!!!!!」
ドガァァァァー!!!
「!?」
「ぶっ殺してやる、クソガキ。」
ベイの殺意が爆発し、タツマキの念動力は一瞬のうちで杭に吸い込まれていった。杭はさらに鋭角さを増し、ベイの身体はさらに大きく見え始めた。
(夜の結界が発動した瞬間から、私の血の気がジワジワと引き始めた。逆にあいつの動きが活発になり始め、さらに辺りの血や水分が一瞬のうちになくなってる。おそらくこの結界は、すべてのエネルギーが奴の元へと吸い尽くされる能力だわ....それに一向に紅い月が進む様子がないわ。この夜が、時間経過で終わる様子がない。まるで吸血鬼にとって都合の良い世界そのもの。通りで一方的な強さが発揮されるわけね.....)
タツマキは血色が徐々に薄くなりつつある自分の手を見ながら、今起きてる現状を考察していた。そして、その様子を見ていたジェノスが口を開いた。
「これはあのクソガ....タツマキが不利だな。どれほど念動力を駆使しても、全部あの男の食糧になってしまう。と言うか、エナジードレインの結界が闘技場一体にかけられてるというのに、なんで一般人はピンピンしているんだ?」
「この闘技場の観客席は、特殊なバリアを張ってる。核が降り注いでも無傷で済むほどだ。まあ、私の方からもベイには観客には被害を加えるなとは言ってるから、問題はあるまい。少なくとも、対戦相手以外には月光吸収の加減はしているだろう。まあ、彼女がピンチなのは確かであろうな。」
「いや....」
ジェノスの問いに、ラインハルトは淡々と答え、タツマキが不利なのを確信した。だがその時、埼玉が二人の間を割って話した。
「あのタツマキって奴はヒーローのナンバー2なんだろ?こんな簡単に負けるとは思えねぇな。」
「おや、卿は彼女について、何か知っているのかね?何か秘策でも?」
「いや、パンフレットにあいつのプロフが書かれていたから読んだんだよ。そしたらS級2位って書かれていたから、こんな簡単に負けたらヒーロー代表の形なしになるじゃねえかって思っただけだ。」
「なるほど....その意味合いを込めて、彼女に期待をしているというわけか。」
「そういうこと。」
サイタマはそう言って、タツマキを注目し続けていた。そして、そのタツマキはというと....
「おうどうした?もう鬼ごっこは終わりかよ?」
突如急ブレーキをし、ベイを睨みつけ始めたタツマキを疑問に思い、ベイはそう問いかけた。
「闇の不死鳥、夜に無敵となる吸血鬼....確かに純粋な力勝負じゃ無敵だわ。けどね、結局は吸血鬼も地球上にしか存在しない生物よね?実際、太陽が弱点なわけだし。」
「あぁ?何が言いてえんだテメェ?」
「裏を返せば、あんた達吸血鬼がどれだけ人間より上って声をあげても、地球目線から言えば吸血鬼もただの人間も、結局は同じ存在にしか過ぎないってことよ....」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ........!!!
タツマキがそう言っていると、会場全体....いや、それ以上。少なくとも、この街全体がまるで小規模の地震が起こってるかのように揺れ始めていた。
「これは....テメェ!まさか会場ごと潰そうなんて魂胆かよ!」
「まさか、私がそんな三下な怪人みたいなことするわけないでしょ。ヒーローなのよ、町の住民ごと巻き込むような真似はしないわよ。」
「なンだと、だったらこの揺れは一体....ハッ!」
「フフ、気付いたようね。」
タツマキがやろうとしていることを察したベイは、一瞬の表情が凍りついた。それを見ていたタツマキは、クスリと微笑んだよ。
ドバァァァァァッ!!!!
「赤いタツマキ....だと。」
「私が知る限り最大のエネルギー、地球の血液(マグマ)よ。近くにあった活火山から引っ張ってきたわ。」
ベイは刮目した。タツマキの両脇でとぐろを巻きながら昇天をしている溶岩を.....それはまるで、血に濡れた龍が、舞いながら天へと登らんとしている様にも見えたのだ。
「喜びなさい、あんたが欲しがってた血液を、地球規模で持ってきてあげたわよ。大好きな血に溺れ死ぬなんて、素敵とは思わないかしら?」
「そこまで欲しがってねえよ阿保が....だが、流石に予想外だったんで少し驚いたわな。」
「ま、流石にこれを浴びて無傷はありえないわよね。少なくとも、炎が弱点の吸血鬼じゃ、燃え尽きて滓も残らないでしょ。」
「ハッ、最悪死ぬだろうな....自分を知らねえほど間抜けじゃねえぜ。だが気付いてはいるんだぜ?嬢ちゃんの方だって、本当は余裕はねえだろ?」
「.....どういう事よ?」
ベイはニヤリと笑みを浮かび上がらせ、タツマキの方に指をさしながら、そう言った。タツマキは眉をひそめ、睨みながらベイの言葉に耳を傾けた。
「そんだけの量のマグマ、どれほどの魔力を駆使して操作してんだ?少なくとも、普段使ってる量の約数倍はあるだろ?ましてや俺の創造で体力吸われつつある状況の中でのそんな大技の披露.....あと数分そこらしかもたねえんじゃねえのか!?」
「まあ、不利なのは確かね。」
ベイはニヤニヤと笑いながら指摘をするが、タツマキは少し汗を垂らすが、涼しい顔を装いながら、ベイのセリフを軽く流していた。
「けど、この攻撃を当てれば、逆転は可能になるわ。逃がさないわよ、こんなところで私は負けるわけには行かないわ。」
「は、負けを認めないのはお互い様だな。俺に勝てるのは『あの人』だけなんだからな....」
ベイとタツマキはお互い攻撃態勢に入りながらそう言った。タツマキはマグマの激流をベイに向けながら.....ベイは前傾姿勢で無数の杭を背後に備えながら.....両者最後の攻撃を放とうとしていた。
「.....」
「.....」
バッ!!
「俺はあの人の牙になるんだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
オォォォォ.....!!
「溶けてしまいなさい!」
ドバァァァァァッ!!!!
ベイは杭を従えながらタツマキへと突撃し、逆に言えタツマキはマグマを放出してベイを迎え撃った。
「ウォォォォォォリャァァァァァ!!!」
「ハアアアアァァァァァァァァッ!!!」
ガガガガガガガガガガガガ!!!
ベイはマグマに焼かれながらも殺意で高熱に耐えながらマグマの壁を突破しようとする。タツマキはただただ無心にマグマを流出し続けていた。『攻撃こそが最大の防御』その言葉通り、一瞬でも放出する手を休めたら、ベイの攻撃に飲み込まれてしまうのだ。
そして
「.....」
「.....」
ドサッ!
『両者気絶のため、この試合は『引き分け』となりますっ!』
ワアァァァァァ!!!
パチパチパチパチ.....
結果は相打ち。ベイは流れ続けるマグマの熱量に耐えれず気を失った。タツマキはただでさえ滅多に使わない奥の手を使い、さらにベイの創造でエネルギーを奪われ続け、結果として自滅という結果に追い詰められたのだ。疲労が限界に到達し、気絶をしてしまった。
だがこれ程のハイレベルな死合は滅多に見れるものではない。観客らは、彼ら2人に惜しみない拍手を送ったのだった。
続く
次回は原作主人公サイタマvsオリ主の風頼君のバトル