黄金の獣は真なるヒーローを目指す   作:刹那

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ゼンコちゃん可愛いです。早く原作での活躍が見たいですね。



第十八撃 蹂躙

 

 

 

タンクトップマスターが森に入ってからしばらく経った時、別の場所では.....

 

 

 

ポーン!

 

 

『緊急避難警報、ただいまS市に災害レベル竜の怪人が現れました。現在、S級ヒーロー金属バットが交戦中です。市民の皆様は、避難してください。市内シェルターの安全も保証できません。全力で避難してください。』

 

 

 

ドゴォォォ!!

 

 

「グオォォォォ!!」

 

全長数kmはあろう巨体を誇る『大怪蟲・ムカデ長老』が、建物を破壊しながら、目標に向かって蠢いていた。

 

「げぇ、こっちに向かって追っかけてきてるぞ!」

「取り敢えずシェルターの方まで逃げるぞ。役員の安全を優先だ!」

「間に合うのかよ!?」

 

下位ヒーロー、パイナップルとモヒカン二人は、気絶している役員の親子を抱えながら、ムカデ長老から逃げていた。

 

「こっちだ!」

「「!?」」

 

すると、前方の路地裏から叫び声が聞こえた。二人はすぐさま、その声のする方へと駆け寄った。

 

「役員の親子は無事かね?」

「あなたは....」

「S級ヒーロー『金色の獣』さん.....どうしてここへ?」

「友人のトラブルに巻き込まれていたところ、ヒーロー協会の警報を聞いてな。竜レベルは流石のS級ヒーロー一人だけでは難儀であろうと思って加勢に来たのだ。」

 

そこには、ラインハルトがいた。彼は、彼らと親子の様子を見ると、少し安心した顔をした。ちなみにソニックの件は、サイタマとコンビを組んで一蹴した。そしてこの件が終わったら直ぐに人数を集めて鍋パーティーを始める予定である。

 

「怪我はないようだな。」

「はい。金属バットさんが、体を張って守ってくれていたので.....」

「その金属バットは、何処にいるのかね?あのムカデの怪人と交戦中かと思ったのだが....」

「わかりません。俺らはバットさんに親子を保護するよう任されました。それで、逃げるのに必死だったので.....」

(.....単身だったとはいえ、この短時間で負けるのは考えられないな。もしかして、S級ヒーローの肩書きに釣られたガロウに巻き込まれてしまったか?だとしたら、早くムカデの怪人を退治して、助太刀に向かうか。)

 

そう考えたラインハルトは、パイナップルとモヒカンの二人を見て、指示を出した。

 

「あのムカデの怪人は私が倒す。卿らは再度、最速でシェルターの方へと避難してくれ。」

「な!?金色の獣さん一人だけですか!?」

「無茶ですよ!」

「そうしなければ、誰がこの親子を保護するのかね?」

「うっ.....」

「それにな....私は嘘と出来ぬことを言わぬタチだ。故に安心しろ、必ず奴は倒す。」

「.....そうですか。」

「わかりました、行くぞ!」

 

 

タッタッタッタッ!

 

 

二人が走り去っていくのを見送ると、ラインハルトは建造物を破壊し続けるムカデ長老の方へと歩み寄る。

 

ザッ!

 

「ムカデ長老という名の者よ。」

「ムッ?」

「私はS級ヒーローの金色の獣と言うものだ。卿に少し話がある。」

「ナンのつもりだ?」

「先程、2体ほどのムカデの怪人の死骸を見た。卿は恐らく、同法が殺害されたことを遺憾に感じて暴れまわっているのだろう。」

 

 

ニイィィ.....

 

ラインハルトがそう言うと、ムカデ長老は皺だらけの不快な顔を不気味に歪みながら、ニヤッと笑い始めた。

 

「少し当たっているが、違うな。この破壊活動は見せしめだ。我々ムカデ一族が、生物界の頂点と言うのを証明するためのな。まあ、後輩2体が殺されて、怒っているのも事実だがな。」

「.....そうかね。」

「しかもこれは好都合。ヒーロー界の超新星、金色の獣が現れるとは.....お前、怪人協会でもトップクラスに警戒されているヒーローだぞ。お前を殺せば、儂は間違いなく災害レベル神に到達できるなぁ.....」

「怪人協会だと?」

「何だ、知らんのか。儂を含む、災害レベル鬼を上回る怪人たちが同盟を結び、人間絶滅を目的とした組織だ。」

「......」

「いくらS級が束になろうとも、怪人協会を倒すことは不可能だろうな。事実、儂一人倒すことも困難なのだからなぁ。フヒャヒャヒャヒャ!」

 

ムカデ長老はケタケタと体を揺らしながら、大笑いを始めた。ラインハルトはそれを気にせず、再度近づきながら、質問を続けた。

 

「それで、卿はこの街をどうするつもりだ?」

「無論、すべてを皆殺しだ。ヒーローも一般人もまとめてズタズタにしてやる!ただし金色の獣、貴様を最初に始末してからな!」

「ほう、この私を.....」

「正直のところ、残念だ。貴様からは一瞬だが、隠れてる膨大な黒の圧力を感じた。もし怪人として覚醒すれば、儂と同じ災害レベル竜....いや、うまくいけばそれ以上のレベルに達することが可能だったかもしれないのになぁ.....」

「.....」

「ヒーローなんてチヤホヤされたなまっちょろい環境に慣れたせいで、貴様は弱くなった。今やキラキラとした、白い威光の方が強すぎる.....それでは数百年黒を磨き続けた儂には勝てん。『白は、いずれ黒に押しつぶされる。』歴史がそう語ってい...,.」

 

 

シュッ

 

 

 

バキィィィィ!!

 

 

「ル.....ガァッ!?」

 

突如、ラインハルトは一瞬にしてムカデ長老の頭の方へと跳躍し、左回し蹴りを放った。ムカデ長老はとっさに顔を隠し、自身の装甲がで防御する。それは金属バットの怒涛の攻撃や、メタルナイトのミサイルですら埃一つ立たないほどの防御力を誇る。しかしラインハルトはそんなことなど知らぬと言わんばかりにそのまま蹴り放つ。すると、数メートルほどの亀裂が走った。

 

(ば....バカな?長年、数多のヒーローの攻撃を受けても、傷一つつかなかった儂の装甲がこんな若造に!?)

「卿は、白はいずれ黒に押しつぶされると言ったな?ならば私はこう言おう。『白も黒も....善も悪も何もかも、全て我が破壊の愛で飲み込む。私は全てを愛し、破壊する。』それこそ我が覇道だ!」

 

 

オォォォォ.....!!

 

 

(何だこれは?白と黒が混ざり合って......黄金色!?この男、善悪二元論を超越した力を持っているというのか!その存在は竜や神などではなく....『魔王』とでも言えばか!?)

 

その圧倒的な霊圧を前にして、ムカデ長老はその巨体を後ずさりしてしまった。幾つもの都市を崩壊させるほどの力を持つ怪人が、たった一人の人間を前にして、仰け反ってしまったのだ。もっとも、こちらの正体は、歴代最大の武威を誇る、神格・黄金の獣と知らぬ故に仕方ないのだが。

 

「ほざけ小童がぁ!ほんのチョッピリ傷を負わせた程度でいい気になるなぁ!!」

 

 

ドドドドドドドッ!!!!

 

 

「『大螺旋・ムカデ超行進』」

 

戸惑いながらもムカデ長老は、その巨体を竜巻のように回転させながら、新幹線を軽く上回るほどの超スピードでラインハルトに向かって突進してきた。その余波で、大型のビルが一瞬にして粉微塵になって崩壊するほどの威力があった。

 

 

バッ!

 

 

「『第二十四 SS武装山岳師団(カルスト・イェーガー)』」

 

 

ズガガガガガガガ!!

 

 

ドゴォォォォ!!

 

 

「カッ.....ハッ.....」

 

ラインハルトはムカデ長老の全身が見えるまで、一瞬にして上空へと跳躍した。そして、武装師団を操り、パンツァーファウストと地雷による連撃を繰り出す。それを受けたムカデ長老は、全身が黒く焦げ、ゆらりと崩れ始める。

 

「ススで汚れてしまったな。私が取ってあげよう。」

 

 

ガシッ!

 

 

ベリベリベリベリ!!!

 

 

「ガァァァァァァ!!」

 

ラインハルトは頭部に着地すると、装甲の端を持って、一気にソレを剥がしながら下へと降りて行った。ムカデ長老は苦痛のあまり己が血を撒き散らしながら絶叫をあげる。

 

「前言撤回だ.....貴様は魔王などという高貴な存在ではない。貴様は『悪魔』だあぁぁぁぁぁ!!」

「悪魔.....か。カールと刹那にも、そういえば言われていた事があったな。」

 

ムカデ長老は何とか意識を保ち、無謀ながらも最後の力を振り絞ってラインハルトに向かって突進を行った。それに対してラインハルトは、最後の仕上げとして、自身の聖遺物を取り出すことにした。

 

「形成 (Yetzirah― )

聖約・運命の神槍(Longinuslanze Testament)」

 

 

カアッ!

 

 

「あっ.....」

 

 

ドゴォォォォ!!!

 

 

聖槍から放たれた破壊光は、吸い込まれるようにムカデ長老の顔面に向かって放たれた。それは一瞬にして全身まで駆け抜け、断末魔をあげる時間も与えずに爆発し、ムカデ長老は四散した。

 

「卿は我がグラズヘイムへと送ろう。いい訓練獣となるだろう。」

 

ムカデ長老の魂が自身の総軍に取り込まれるのを感じ取りながら、ラインハルトはそう言った。そして、外衣から端末を取り出そうとする。

 

「さて、あとは教会に連絡して....」

「グレート!」

「む......」

 

ふと目の前から声が聞こえた。視線を移すと、そこには鳥の姿と、ドロドロのスライムのような姿をした怪人がいた。

 

「卿らもムカデ長老と同様、怪人協会とやらの使徒かね?」

「ご名答、遠くからムカデ長老との戦闘を見させてもらったよ。まさか災害レベル竜の怪人を一方的かつ短時間で.....我々のボスがかなり警戒するのも納得したよ。」

 

ラインハルトの問いに、鳥の怪人が答えた。すると、ラインハルトは再び戦闘態勢を撮り始めようとした。

 

「では、敵討ちをするかね?一応数では卿らの方が有利ではあるな。」

「おっと、勘違いしないでくれ金色の獣.....俺らをムカデ長老と一緒にされては困るな。あれは君らで言う老害な存在だったんだ。自分を一番強くて偉いと盲信し、勘違いする困った老ぼれだったんだよ。」

「成る程....仲睦まじくなかったようだな。」

「ま、実力は本物だったから他の連中からも相応の評価はされていたんだけどね。」

 

鳥の怪人はやれやれといった様子で、そう言った。すると、腹の部分から何と人間の手を出し、一枚の小さなチケットをラインハルトに渡した。

 

「話を戻そうか。さっきも言ったが俺らは復讐に来たわけじゃない。君を怪人協会に招待しに来たのだよ。」

「ヒーローの私にかね?」

「そう、ムカデ長老じゃないが俺も君から怪人としての素質を感じてねぇ......どうだい?一緒に間抜けな人間どもを殺しまくろうではないか!いくらヒーローといえども、殺したい奴の一人や二人いるだろう?」

「......」

「恥じることはない、黒い感情は誰にだってあるものだ。ヒーローも怪人もな。大切なのは、それを受け入れるかどうか.....事実俺も、怪人協会という小さい組織にとどまるつもりはない。いずれは世界の頂点を目指すつもりさ。」

「そうか.....それは勉強になるな。」

「お、承諾してくれたようだな.....では早速アジトにいっ!?」

 

 

チャッ!

 

 

ラインハルトを見ると、怪人二体に聖槍の穂先を向けていた。明らかに招待を拒否するつもりだ。

 

「確かに私の中に、強い無差別な破壊衝動はあるだろう。だがそれを承知の上で私はヒーローになったのだ。ヒーローが自身の我欲に負けてるようでは、人々に示しがつかぬではないか。」

「ぐっ.....」

「それに、友人との約束があるのだよ。故に、怪人へと変更することはできん。すまんな、私は卿らのことも愛しているのだが、こちらを優先させてもらおうか。」

「くそ....その判断、いずれ後悔させてやるぞ!」

 

 

バサバサバサ......

 

 

そう言い残しながら、怪人二体はどこかへと去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

 




ちなみにムカデ長老なのですが.....今回のハイドリヒ卿は勿論遊びを入れてあの秒殺です。
もしベイやベアトリスレベルの騎士が討伐に向かったら、彼らなら一方的に攻撃ことができますが、今回のハイドリヒ卿のように短時間では出来ません。少し時間がかかります。
大隊長レベルで、遊びなしで秒殺。
ルサルカやアホタルだったら負けることはないけど、かなり時間がかかります。
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