黄金の獣は真なるヒーローを目指す   作:刹那

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すみません、年末年始は仕事が盛んで書く時間がほとんどありませんでした。その分少しは話のボリュームを上げたつもりなので、楽しんでください!


第四撃 ヒーローの誇り

 

 

 

 

ラインハルトと無免が話をしてる一方、シェルターの方は.....

 

 

「うおぉぉぉぉ!」

「ジェノスさんスゲェ!」

「助かったぁ!」

 

深海王を吹き飛ばしたのは、サイタマの弟子であり、現在S級ヒーローデビューを果たしたサイボーグの青年、ジェノスであった。ジェノスが深海王を吹き飛ばしたら、弾けるように人々は歓喜の声を上げた。

 

(余程のピンチだったらしいな....)

 

ジェノスが中にいる人たちを見渡し、そう感じた。その瞬間.....

 

ゴッ!

 

「っ!?」

 

ゴフッ!とジェノスの口から血が滴った。その訳は、ジェノスの胸に巨大な日本の指が突き刺さっていたのだ。

 

「許さない.....人間のヒーローどもは.....どうも私をコケにするのが好きらしいわねっ!一匹も逃さないわカス共。」

 

その指の持ち主は深海王だった。その表情は仁王のように血管を浮き出し、歯軋りしながら、住民達を睨みつけていた。

 

「くっ....お前たち、俺がこいつを足止めする!生き残りたければ早く逃げろ!」

「ひ、ヒィィィッ!」

 

ジェノスがそう叫んだ瞬間、住民達は蜘蛛の巣を散らしたかのように、出口に向かって駆け出していった。

 

「だから....一匹も逃さないって言ってるでしょうがァァァ!!」

「排除する」

 

深海王は逃げ惑う住民達が癇に障ったのか、憤怒の叫びをあげた。対してジェノスは内部の機関が狂いながら深海王とラッシュの対決に応じ始めた。

 

 

ガガガガガガッ!

 

 

「グガァァァァッ!」

「ぬうぅっ!」

 

どちらも身を削りながらも拳を止めることはなかった。しかし、徐々にジェノスが押され始めていた。恐らく、内部が故障してしまい、エネルギーの消耗が激しくなったのだ。

 

「....ジェノスさん」

「おい、ない振り返ってるんだ!早く逃げるぞ!」

 

その様子を見かねた一人の少女が、不安そうな表情でその現場を振り返っていた。おそらく、ジェノスのファンの一人なのだろう。それに気付いた連れの少年はそう叫ぶが、ほとんど聞こえてなかった。そして少女は一瞬止まった。

 

「ま....負けないでジェノスさん!」

「!」

 

少女はそう叫んだ。だが、先に反応したのはジェノスではなかった。

 

「いい加減にしなさい屑共。」

 

ドバッ!

 

「え?」

「溶けなさい」

(なっ?)

「や....やめろぉぉぉぉ!」

 

少女の叫びに応えたのは深海王だった。その口から、異様な色が帯びた液体が吐き出され、少女に向かって飛んで行った。それは間違いなく酸の一種であり、人間がそれを喰らったらひとたまりもない。少女はその予期せぬ事態に対応できずに固まっていた。連れの少年とジェノスは彼女をかばおうと駆け出すが距離がわずかに遠かった。

 

(ああ、あの娘はヤられてしまった。)

 

この場にいた誰もがそう思っていた。少女自身もその刹那に自分の身の終焉の危機を感じていた。

 

バシャァァァッ!

 

「....え?」

 

だが、少女の身に酸が肌を溶かす感覚は全く来なかった。代わりに感じたのは、瞼の向かい側に影を感じていた。恐る恐る目を開けると....

 

「無免.....ライダー....さん?」

「ジャスティス....フィールド....」

 

なんと、無免ライダーが少女の身のためになっていたのだ。ちなみに、無免ライダーは背中に毛布を羽織っており、それで深海王の酸を一身にして受け止めていたのだ。当然それだけの守りでは完全に酸をシャットアウト出来ない。無免ライダーの背中は大きな火傷を負っていた。

 

「良く....聞くんだ、お嬢さん。」

「は、はい....」

 

だが無免ライダーは、決して膝を折ることなく少女に向かって何かを語ろうとしていた。少女はそれを察したのか、さっきまで涙を流しながら震えていたが、その時には、キチンと無免ライダーのゴーグル越しの目を見ていた。

 

「プロの....仕事の現場に、決して....首を突っ込んでは.....いけないよ。必ず....アクシデントが....起きるからね....ぐっ!」

「っ!」

「まぁ、それでもなんとかするのが....僕らの、腕の見せ所.....なん....だけ....ど....ね」

「無免ライダーさん!」

 

無免ライダーは優しく微笑みながら少女に語っていたが、ダメージに耐えられずに倒れてしまった。

 

「あれは確か、C級一位の....おい!大丈」

「馬鹿ね♡」

 

ドゴォッ!

 

「がっ!」

「トドメ」

 

ガシャァァン!

 

ジェノスは無免ライダーの不測の参戦に思わずそこに注意を向けてしまった。それを好機と感じた深海王は躊躇いなく殴り飛ばし、トドメに両足で踏みつけた。

 

「ふ....ふふふ、フハハハハハハ!あなた達本当に馬鹿ばかりね!どいつもこいつも仲間や他人に目を奪われて、ほんとお人好しね!もっとも、それが原因で馬鹿みたいな結果産んじゃってるじゃない!」

「おのれ...っ!」

 

深海王は高笑いをあげると、その場にいる全員に向かってそう語り始めた。それを聞いたジェノスは、反撃のために身を起こそうとするが、既に手足がグシャグシャになっていた。

 

「そんなことはない!」

「はあ?」

 

だが、深海王の言葉に反対の意をあげたのは、無免ライダーだった。彼はさっきの少女の方を借りながら、深海王に向かって叫んでいた。

 

「それは、俺たち人間の誇りでもあり、お前たち怪人には決して理解できないことなんだ!」

「何を....」

「俺たち人間は、どうしても簡単に死ぬんだ!強い衝撃で死ぬし、血がたくさん出れば死ぬ。体に穴が開けば死ぬし、社会的、そして下手すれば生きることが辛くなったら自分で勝手に死ぬ。それくらい人間が死ぬ要素ってのは無数に存在するんだよ!お前たちと違ってな!」

「だからどうしたってのよ?」

「けどな、そんな人間でも誇りを持ってお前たちとは全く違う武器がある!それは、『知恵』と『勇気』だ!一人一人がそれらを絞り出せば、きっとどんな困難だって越えていける!だからこそ!何年もかけて、この世界の文明を、ここまで変えてきたんだ!俺らヒーローはそんな人間の代表なんだよ!」

「....」

「わかるか?たとえお前が、海の王だろうと、この地の支配者だろうと、俺は誇り高い人間の代表として!お前を倒さないといけないんだ!」

 

無免ライダーがそう語っている間、誰も口を挟むものはいなかった。深海王さえも、聞き受ける体制すら変えていない。だが.....

 

「訳のわからないことを言ってないでさっさとくたばりなさい。第一あんた達が絶望的なことは変わらないでしょうが、お馬鹿なヒーローさんたち♡」

 

深海王がこの場を血の海に変えようとすることに変わりはなかった。事実、深海王の言うとおり、この場のヒーロー全てが再起不能であり、誰も止めるものがいないのである。

 

「さあ、次はあんたら屑共の番よ!」

「ひ、ヒィィィッ!」

 

深海王の標的が、住民達に変わった瞬間.....

 

「そうか、どうやら卿は私を失望させるのが趣味らしいな?」

(ゾクゥ!)

 

この声を聞いた瞬間、深海王の心臓が飛び上がった。

 

(この.....声はっ!)

「どうしたね?私がいない間、先程まで随分と愉悦そうな顔をしていたではないか、もう一度見せてくれぬのか?なあ?深海王よ?」

「見てたなら.....別にもういいじゃないっ!」

 

深海王は恐る恐る声の方向へと振り向く。そこには、雨で金色に輝きが増した金髪を揺らし、右手には黄金の聖槍を握り締めながら、こちらに仁王立ちで歩み寄るラインハルトがいた。

 

「卿にその気があったかは知らんが、無力なエキストラを囮にするのは少々外道が過ぎると思わんかね?まあ、その場にいた者にも責任があると言われればそれまでだが......卿の場合は少々度が過ぎたな。私の同僚を傷つけすぎた。」

「ヒッ!こ、こっちに来るな!このサイボーグの命がないわよ!」

 

ラインハルトから放たれる憤怒のオーラーに臆した深海王は咄嗟にジェノスを人質にする体制をとった。

 

「やれやれ、だから卿は二流なのだ。

第36ーSS擲弾兵師団(ディルレワンガー)」

 

ザキィッ!

 

「ギッギヤァァァァァッ!!」

 

ラインハルトは呆れながら師団を操った。すると、深海王の足元から魔法陣が現れ、その中から銃剣をもった黄金の髑髏が深海王の左手を切断し、ジェノスを保護した。

 

「私の役目はここまでとしよう。締めは任せたぞ、サイタマ。」

 

ラインハルトは振り返りながらそう言った。すると、そこから人混みを分けて、サイタマが現れた。

 

「ああ待ってろ、ジェノス、ラインハルト。今から珍海族ってのをぶっとばしてやる。」

 

正 義 執 行

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 

 

 




全然関係ないですが、アニメジョジョのエジプト編スタートおめでとうございます!
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