なんとか書いた五話をお楽しみください
ドゴォッ!
「.....」
「あなた....私の拳で吹き飛ばされないなんて、只者じゃないわね。」
深海王は不意打ちでサイタマに向かって殴りかかったが、サイタマは微動すらしなかった。そのことから、彼が並みのヒーローではないことを判断する。
「なぁに、テメーのパンチが貧弱なだけだろ。」
「.....言ってくれるわねぇ」
サイタマの発言に、深海王はプルプルと顔に青筋を立てながら、怒りをあらわにする。
(さて、イザークの腕に捕まられて圧死をしなかった辺り、サイタマの体は、かなりの頑丈さがうかがえる。深海王の不意打ち程度で死なないのは当たり前だ。あとは攻撃力がどれほとかだが.....サイタマよ、卿の力量、見させてもらうぞ。)
それを見ていたラインハルトは、そう思いながら、サイタマをじっと見ていた。この男が、どれほどの実力を持っているのか見定めるために。
「お...おい、金髪のヒーローの次は、マントの男が出てきたぞ!」
「俺知ってるよ、確かC級ヒーローのサイタマだ!しかも最近2位になったって!」
「C級かぁ....じゃあ無免ライダーの二の舞になるかも.....」
(知名度はそこそこあるらしいな。しかしC級か.....確かに雰囲気的にそんな気はしたが、本当にC級レベルの実力なら、イザークに握りつぶされる運命だったはずだが....頑丈さだけが売りの男か....本当にそうなら、あんなセリフを私に言えるはずがない。)
ラインハルトは、最初に会った時の会話を思い出しながら、サイタマの評価をそう考察していた。現段階では覆い隠せない疑問が沢山ある。それを払うには、やはりサイタマの戦いを見るしかない。
「私は深海王、海の主....海は万物の源であり、全ての母なるもの。つまり世界の王であり、生物界のピラミッドの頂点に立つものである私にたてついたあなたは....」
「うん、うん、わかったから早くかかってこい。雨降ってるから。」
(プチッ)
ゴオォッ!
サイタマの挑発に乗ってしまったは深海王は、その豪腕をサイタマに向かって放った。
ボッ!
「!?」
「.....」
「ホォ....」
(この破壊力....やはりこの男、英雄の資格あり、だな。)
ドサッ!
それに対して、サイタマは深海王の腹にカウンターを放った。その威力は、深海王の腹を貫通し、深海王の背後数メートルに衝撃波が走るほどだった。
それを見ていたラインハルトも、思わず舌を巻き、口の先が上がり、ニヤリと笑うほどだった。
「うおぉぉぉぉ!スゲェェェェ!」
「見たかいまの?」
「一撃であの怪人倒した!」
「ワンパンだよワンパン!」
「助かったァ.....」
深海王を倒したサイタマを見て、住民の人々は喜びの声を高らかに挙げた。サイタマの一撃に感心するもの、緊張感が解け、涙を流す者。平和が守られ、興奮する者、様々だった。だが....
「実は、弱い怪人だったんじゃね?」
それに水を差したものもいた。
「は?お前、何言ってるんだ。多くのヒーローがやられたんだぞ?」
「やられたそいつらが弱かっただけじゃね?」
「う...だ、だけど....」
「しかもさ、あの怪人倒したのC級ヒーローらしいじゃん。上級のヒーロー何やってんの(笑)
A級S級って肩書きだけで、実際実力伴ってないのな(笑)」
NEETと書かれた服を着てる男は、ニヤニヤと笑いながら、住民達に語り始めていた。彼のヒーローたちに対する感謝の意を感じれない態度に、住民たちはキレた。
「おい!そこまでにしろよ!彼らは俺たちの為に、命をかけて戦ったんだぞ!」
「身体張って囮になるくらい、誰にでもできるじゃん。それに弱い奴がヒーロー気取って戦ってると、むしろ混乱招いて迷惑なんだよね。ま、今回は助かったからいいけど、ヒーロー名乗るくらいなら確実に.....」
「てめぇ!調子乗るのもいい加減に....」
一人の男性が、ニート男に掴みかかり、殴ろうとした瞬間.....
ザッ
「卿は、何か勘違いしているようだな。」
「え?」
その男性を押し退け、ニート男の前に現れたのはラインハルトだった。その時の顔は、まるで絶対零度のように冷めきっていた。
「考えてもみよ、核ミサイルが来ても無傷と謳わられ、絶対安全だと思われていたこのシェルターを突き破った怪人が襲ってきたのだ。卿ら住民に安全圏が皆無の状況にも関わらず、卿ら住民の被害者0だぞ。むしろ奇跡と思わないのかね?まさか、敵の強弱全て同じと思ってるわけあるまいな?」
「い、いやでもさ!ヒーロー協会の資金は、俺らの税金や寄付金で活動してるんでしょ!?だったら確実に仕事はしてもらわないといけないじゃん!」
「NEETと書かれてる服を着ている卿が言っても説得力はないがな。そう言えば、さっき『身体張って囮になるくらい誰にも出来る』とか言ったが...なるほど確かにな。ならば卿が最初にやってみろ。」
「え?」
ラインハルトはそう言って、銃剣をニート男の前に投げ出した。ニート男はポカンとした表情をしていた。
「私が今から怪人役をやってやる。卿はその武器を取って私を足止めしてみろ。3分くらいあれば、ここの者達全員はなんとか逃げ切れるだろう。ほら、どうしたね?早く武器を取らぬか。囮なんて誰にでも出来るのだろ?ならば言い出しっぺの卿が率先してやってみろ。」
「え....いや、えっと....」
ラインハルトは聖槍を突き出しながら、ニート男に言い放った。ニート男は戸惑いを隠せず、オロオロとしかできなかった。
「それ見たことか。命をかけた経験のないものが、簡単に囮なんて言葉を言うな。民、国の為に己が魂を捧げ、命など二の次に考えるものがヒーローと呼べるものだ。卿はそのことを理解してなかったな。言い方を変えれば、卿は我々を舐めきっていたことになる。」
「ヒ....ヒィッ!」
「卿、私の同僚たちに随分と好き勝手なことを言ったな。その代償を払う覚悟はできているか?」
そう言いながら、ラインハルトはニート男に向かってゆっくりと歩み寄る。ニート男は思わず尻餅をついて後ずさりをした。住民達はその状況の中、不安の色は隠せなかったが、誰もニート男を守ろうとする様子はなかった。しかし....
「アッハハハハハ!イヤー、ラッキーだったわ〜、この怪人はS級ヒーローとかが傷を負わせていたから、倒すの楽勝だったわ〜。あ、でも倒したのは俺だからな、漁夫の利なんてこと言うなよ!ちゃんとその辺は言いふらしとけよ!」
ザワッ.....
サイタマだけは、別だった。
「え?あの怪人、負傷してたの?」
「そう言えば、ジェノスさんと戦ってたじゃん。」
「あ、シェルターに来る前に、ぷりぷりプリズナーさんとも戦ってたのも見たぞ!」
「つまりあのヒーロー、S級のヒーローたちの手柄を横取りしたってこと?」
「うわ、それってずるくね?インチキじゃん!」
「だけど、ワンパンで倒したのはすごいだろ!」
住民達はザワザワはサイタマに奇異の目を向けていた。この男、本当に実力でこの怪人を倒したのか、そう疑問に思ってると、またサイタマからとんでもない言葉を聞いた。
「おい、そこに倒れているヒーローたちをちゃんと介護しろよ。俺が今後利用できなくなるからな。」
「「「「!!」」」」
『俺が今後利用できなくなる』サイタマのこの言葉で、完全に住民側のサイタマのヒーローとしての評価はガタ落ちになった。
「やっぱりインチキだったんだ!」
「ふざけんな!あいつが一番ヒーローを舐めてるじゃねえか!」
「仲間をなんだと思ってるんだ!」
「もし、他のヒーローたちが怪人を弱らせてなかったら、俺たち死んでたんだ....」
「やっぱ、ヒーローたちには感謝しなくっちゃな。」
「うん、ヒーローあってこその、私達の平和だよね......」
住民達はそう言い怒りを露わにしながら、シェルターを去っていった。その中、ラインハルトはニート男がどこかに逃げたのを確認したら、サイタマに目を向ける。
(なんの真似だサイタマ。卿は、ヒーローを侮辱したあの男を守るために、あんな濡れ衣を自分から背負ったというのか。ならば、卿のヒーローとしての名誉はどうするつもりだ?それとも、この自己犠牲の姿こそが、卿の真なるヒーロー像だと言うのか?.....なんにせよ、面白くなってきた。卿のこれからの英雄としての姿を、私は見ていきたくなっていった。)
「お、雨が止んだな。」
晴れ上がった空の下、ラインハルトはそう思いながら、これからサイタマと共に行動を進めることを決意した。
とある館にて
「お....おおおおおぉぉ!」
「シ、シババワ様!お気を確かに!」
「ああ、地球がヤバイ!」
シババワと呼ばれる老婆が、水晶を通して見た未来には、どうやら地球に危機が訪れているようだった。
そして、その背後には、黒いボロ布をつけた男が誰にも認識されず、その様子を見ていた。
(さてハイドリヒ、次の刺客は、一筋縄ではいかんぞ.....あのハゲマントと協力せぬ限りはな....そして見ていておくれ我が女神よ、この輪廻の宇宙を塗り替えようとするものすべて、私が駆逐してみせよう。)
続く
10月から、ワンパンマンのアニメ放送があるらしいですね、楽しみです