黄金の獣は真なるヒーローを目指す   作:刹那

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今回は、かなりオリジナル要素が強いです。そして、正田卿の作品を知ってる方ならよく知ってる彼の方が話の中に出てきます。


第六撃 過去

 

 

 

翌週、サイタマ宅にて

 

 

 

 

 

「結局、卿はB級に上がったわけだな。」

 

ラインハルトは、サイタマの部屋に訪問していた。どこから出したのか、いつも座っている玉座を形成し、部屋の上座の方に腰掛けている。

 

「おう....と言うか、お前もA級2位にまで一気に上がったらしいじゃねえか。最下位から一気に上位って、凄えなオイ。」

「こんなスピードでランクアップしたのは、現在A級1位のアマイマスクと、S級1位のブラストだけらしいですね。ブラストのはあくまで噂ですけど。」

 

その様子をあまり気にしないようにサイタマはそう言った。だが、やはりジェノスは我慢できない。

 

「そんなことより、何故お前がそこにいる!さっきからなるべく触れないように努めていたが、やはりツッコミを入れずにはいられない!」

 

ジェノスは焼却砲をラインハルトに向けながら、そう言い放つ。だが、ラインハルトはソレを意に介さず、説明した。

 

「なに、そこにいるサイタマと私は深海王の時に協力してな、知らぬ中ではないのだよ。それに、私自身サイタマに興味を持ってな.....」

「....一応言っておくが、俺は男に興味ねぇぞ。」

「私は別に男色的な話をしてるわけじゃない。」

 

サイタマはそう言いながらジト目でラインハルトを見ていた。ラインハルトはその誤解を、強く否定する。

 

「先生の力に興味を持ったのか。」

「ああ、どういった過程をもって、その力手に入れてたか気になった。そこで卿の口で教えて欲しいのだ。」

「....成る程な。」

「案外、私友人が介入していると思ってるのだが.....」

「そいつが誰かは知らねえが、それはありえねぇ。そもそも俺は、趣味でヒーロー活動をしていたんだ。ヒーロー協会に入ったのは、ジェノスと一緒で最近なんだよ。」

「成る程な。」

 

サイタマにメルクリウスが絡んでいないことを聞いて、ラインハルトは少し安心した。

 

「で、俺のこの力についてだな。俺は趣味でヒーローを始める際、毎日欠かさずに、トレーニングに力を入れていた。もちろん休む暇なんて無い。」

「ほお、トレーニングかね。しかも休みは無しか.....今更言うのもアレだが、オーバーワークではなかったのかね?休憩だってトレーニングの一つであろう。」

「そんなことは関係ない。俺は立派なヒーローになるために、妥協すら許さなかった。いいかラインハルト....どんなに辛くても、俺は3年間続けたからここまで来れたんだ。そして、そのトレーニングの内容は....」

「おぉ....」

 

瞳を輝かしながら、ラインハルトはサイタマの顔をじっと見つめていた。少しの間が開いた瞬間、サイタマが口にしたのは.....

 

 

 

 

 

 

 

 

「腕立て伏せ100回、上体起こし100回、スクワット100回! 、そしてランニング10km!これを毎日やる!」

「」

「.....」

「」

 

 

 

 

 

 

 

沈黙。サイタマが力を込めて言い放ったトレーニング内容に、ラインハルトは固まってしまった。絶句していたのだ。そして暫くして、ラインハルトは口を開けた。

 

「一つ言わしてもらおう.....嘘をつくならもう捻るのだな。あまりに真剣な表情で語ってたから、つい固まってしまったではないか。」

「いや嘘じゃねえよ!」

「ラインハルト、俺もサイタマ先生に聞いた時にも同じことを答えてられた。恐らく、トレーニング内容自体は本当にやった事と思われる。」

「そうだったのか。ふむ....確かに、嘘をついてる様子はない。それに、サイタマがこのようなことで嘘をつくとは思えん。となると、プラスα的要素があったと思われるな。」

「ジェノスに言われてようやく納得するって....俺どんだけ信用ねぇんだよ....」

「生憎、実例や経歴みたいな話を聞かないと、にわかには信用しずらい話故にな。私もすまないとは思っている。」

 

事実、サイタマのトレーニング自体は一般人から聞いたら、かなりハードなトレーニング内容と思われる。しかし実際は、警察や自衛隊。そしてヒーローからしてみれば、出来て当たり前の内容なのだ。そんな事で、サイタマのように反則じみた身体能力を得たことに成功した、と聞いて誰も信じるわけがない。

例えるなら、普通の本屋に売ってるエリート高校入学へのマニュアル本をただ読んだだけで、本当にエリート私立高校に合格しましたと言っているようなものである。全てをを愛し、肯定するラインハルトでも、そんな話を幾ら何でも簡単に信じるわけがないのである。

 

「本当にこれしかやってないんだけどなぁ....あ、そういえば、今日バングの爺さんに道場に来るように呼ばれてるんだけど、ジェノスとラインハルトも来るか?」

「先生の行くところならば、何処へでもついていきます。」

「シルバーファングが....同行させてもらおう。珍しい話を聞けるかもしれぬ。」

 

そして三人は、シルバーファングの道場へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして道場にて

 

 

 

 

シャッ!

 

 

「.....とまぁ、これがわしが編み出した流水岩砕拳なんじゃが....どうかね?サイタマ君なら、簡単にマスターできると思うだが....」

 

バングは自身の拳法を披露し、サイタマにぜひ取得をしてもらおうと施すが、サイタマは少し難しい顔をした。

 

「面白いものを見せてくれると言って、わざわざ来たのに拳法の勧誘かよ....興味ねえよ、お前が習っとけジェノス。」

「いえ、俺も遠慮しときます。俺が求めてるものは、圧倒的な破壊力ですので....ラインハルト、お前はどうだ?」

「私も遠慮させてもらおう。戦闘において体術はあくまで護身するための保険みたいなものだ。私には必要のないものだ。」

 

すると、バングの後ろにいた少年が、体を震わせながら飛び出てきた。

 

バッ!

 

「貴様ら!バング先生を愚弄する気か!この一番弟子『チャランコ』が始末してやる!覚悟しろ!」

「.....」

 

ジェノスはチャランコの首を掴み、地面に押さえつけた。

 

ドガッ!

 

「ぐぇっ!参った!」

「バング、あの若者が一番弟子かね。卿の道場は、なかなかの粒揃いと雑誌には書かれていたが....」

 

ラインハルトがそう聞くと、バングは頬をぽりぽりと掻きながら答えた。

 

「.....弟子の一人が暴れてな、道場の実力者みんな壊されて、他の門下生も恐れて、みんな辞めてしまったのじゃ。」

「....強いのかね、その者は?」

「名は『ガロウ』わしが半殺しにして破門してしまったわい。」

「卿も強いのだな.....む?」

 

ラインハルトはバングの話を聞きながら、道場を探索し回っていた。すると、本棚の後ろに隠れていたある本が目に止まった。その本はかなり古びていたが、タイトルはなんとか読めた。そのタイトルは....

 

 

 

 

 

 

 

「災害レベル『魔王』についての考察」

 

 

 

 

 

 

 

 

....そう書かれていた。すると、ラインハルトが本のタイトルを口にすると、バングはバッとラインハルトの方へと向いた。

 

「ラインハルト君、その本は....!?」

「本棚の後ろに隠れていた。卿が、この本を記したのかね?」

「いや、ワシは....」

 

バングが口籠ってると、背後からサイタマのジェノスも寄って来た。

 

「災害レベル魔王?災害レベルの最高一番上って神じゃねえのかよ?ジェノス、聞いたことあるか?」

「いえ、俺も魔王と言うのは初耳です。バングさん、何か知ってるのですか?」

「.....わかった、話してやるわい。ただし、他言無用を約束してほしい。」

 

溜息をつき、バングはお茶を用意してから、この本についての説明を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この本は、わしの父が他界する数年前に書いた本じゃ。内容はタイトルの通り......今じゃ恐らく、ヒーロー協会上層部でも片手で数える位の人間しか知る由のない、災害レベル『魔王』の怪人についての考察した本だよ。」

「ネットで検索しても全くヒットしませんね....不自然なくらい検索ヒット数0です。まるで、タブーに触れさせないように誰かがワザと削除した雰囲気を感じる。」

 

すると突如、サイタマは本をペラペラとめくり始めた。そして、本を開いてパサっと本をバングに突きつけた。

 

「おい爺さん、この本文字が薄くなって何にも読めねえぞ!せっかく面白い内容だと思って張り切って読もうと思ったのによ。拍子抜けするぜ。」

「内容ならわしが全部覚えとるよ。サイタマ君が眠らないように話すから安心せい。」

「おー、それは助かるぜ。さすが爺さん。」

「それにな....」

 

バングの眼光が鋭くなる。それに察したラインハルトは聞いた。

 

「もしかして....卿は見たことがあるのか?.....『魔王の称号を持つ怪人』を.....」

「っ!?」

「ゴクリ.....」

 

ジェノスは目を細め、サイタマは生唾を飲み込みながら、バングに視線を向けた。

 

「.....今はもうなくなったが、父が当時撮影した写真で見たんじゃ。それはわしが修行を始めて間もない頃.....だったかの?当時は世界大戦真っ只中じゃ、敵国は怪人を利用してまで他国を支配しようとする国も多くてな、それこそ地球が滅ぶのではないかと思うくらい激しい戦争だったのじゃ。」

「戦争に、怪人を利用するだと!そんなことが過去にあったのですか!?」

「ジェノス、少し黙ってろ。今はそれを聞いてる場合じゃねえ。」

「っ!先生....」

 

サイタマの表情は、普段とは打って変わり、真剣な表情で聞いていた。

 

「話を続けるぞ。そんな中、わしらの国に、一人の軍人が現れたのじゃ。その男がサイタマ君並みにとんでもなくてなぁ....どんな原理か知らんが、核爆弾や巨大水爆等をボンボンを発射させ、軍刀を振れば敵基地のある山脈を両断したりと、挙げ句の果てには、災害レベル神と思われる黒龍を召還したりと、とにかく圧倒的な力で敵軍や敵の怪人共をどんどん葬ったのじゃ。」

「おお....スゲェ.....」

「.....まさに無双ですね。と言うか、もう全部その軍人一人でよかったんじゃないですか?」

「そんな男がもし現代にいたら、文句無しでS級1位になってただろうな。」

 

話を聞いてた三人は、サイタマは目を輝かせ、ジェノスは無表情ながらもその軍人のトンデモっぷりに呆気取られ、ラインハルトはその軍人を評価していた。

 

「驚くのはまだ早い。するとその軍人、何を思ったのか、その黒龍だけではなく、ゼウスやマーラやアラーと言った地球上に存在したと思われる神々をどんどん召還して.....」

「「「....え?」」」

「その場で神々同士に殺し合いを始めさせたのじゃ。それこそ、世界が滅亡せんと言わん限りのな。」

「「はあぁぁぁ!?」」

「なんと会う傍迷惑な....もはや敵か味方さえ分からない。」

 

その軍人の奇行にサイタマとジェノスは目が飛び出るほど驚き、ラインハルトは顔を引きつるほど、呆れていた。

 

「それを一部始終見ていたわしの父は、当時から軍隊の中で怪人を考察する担当をしておってな....この軍人を、幻の『災害レベル:魔王』と上官に報告したのじゃ。」

「じいさんの父ちゃん世代から、既に怪人の災害レベルってのは広まってたのかよ?」

「いや、怪人討伐自体当時は軍隊が担当していてな、秘密裏に軍隊の上層部しか知らない概念だったらしい。恐らくアゴー二さんがヒーロー協会を建てたことに便乗し、この災害レベルというものを現代のヒーロー達に広めたと思われるわい。」

「ふーん、それで結局、その魔王ってのはどうなったんだ?」

「その後、似た軍服を着けた男が現れ....確か、『ハッケンシ』だったかの?とにかく、そう言う名の勇者たちを召還し、操り、魔王の討伐に成功したらしい。魔王は、万歳と叫びながら消滅した。結局、その2人の軍人の名前さえ分からず、彼らが消えたと同時に、戦争は終幕を迎えたのじゃ.....この話は、これでおしまいじゃ。」

 

バングがそう言うと、サイタマはまるで憧れの人物にあった子供のようにワクワクとした表情をしていた。

 

「ヘェ〜、面白いな。俺もそんなやつに会ってみたいなぁ〜。」

「ああ、実に興味深い話だった。もしその軍人の後継者がいるのならば、ぜひ手合わせを願いたいものだ。」

 

ラインハルトとサイタマがそう言うと、バングはぞくっと強張った表情をして、2人を制した。

 

「やめてくれサイタマ君にラインハルト君!君らが全力であの軍人と戦ったら地球が持たんわい!ああそうだ、今日はS級ヒーローの会議があるんじゃ。ジェノス君がいることだし、君らも来るかね?二人ともいずれS級になるだろうし....」

「どうしますか、先生?」

「いいぜ、暇だし。ラインハルトは?」

「無論、同行願おう。」

(ふぅ....なんとかはぐらかせたわい....)

 

バングは内心冷や汗をかいていたことを悟られぬよう、三人を引率した。のちにバングは、この出来事で寿命が2年縮んだ気がしたと、弟子のチャランコに話したと言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

 




大尉が出てきたのは、あくまでゲスト出演であって、全く物語には絡んでこないので安心してください
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