うちの子
仕事に打ち込んだ人生だった。
駆け落ちして、生活が大変で。生まれた子供も妻に任せっぱなし。
そろそろ教育を始めようかとは思っていたが、思うだけで絵本すら読んであげていなかった。
それがよくなかったのかもしれない。
「ライト。リンネのことで、相談があるの。どうしても、今夜時間をとって欲しいの」
真剣な顔で妻のミサに頼まれて、僕は気圧された。
「わ、わかった」
夜。早めに帰らせてもらう。
ミサと6歳になるリンネが正座をして待っていた。
「パパ。書籍化の許可をください!」
「あなた。リンネが、勝手に小説投稿サイトに小説を投稿していて、賞を取って書籍化の話が来ているらしいの」
「は?」
「しかも、その小説、あなたや私や実在の人物が実名で出ているの」
「は?」
「パパ、僕は将来、ライトノベル作家になってアニメ化を目指したいんだ! だからお願い!」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。とりあえず、その小説とやらを読ませてくれ」
僕はサイトを見せてもらう。
『このノートに名前を書かれたものは死ぬ』
衝撃的な文から始まる小説は、文章は稚拙だが引き込まれる危険な魅力を持ったストーリーだった。
グイグイ引き込まれていく。
バンバン人が死んでいく、衝撃的なクライムサスペンス。
目を離すのすら苦労するほど。とてもではないが6歳児のクオリティではない。
言葉とお絵描きは達者だと思っていたが、よもやここまでとは……。
「よく書けているね、リンネ」
「頑張って書きました! 」
「でもこれを実名で出しちゃダメだろ……。ジージとバーバに甥に妹まで出てるし、有名な魔術師まで出してるし、ダメだよこれは」
「パパの名前とママの名前がイメージぴったりだったの。それに実在の人物、みんな出してるし」
「それはヒーローのお話だからだろう? 悪い人のお話はダメだよ」
「ごめんなさい、ライト。まさか、そこまで端末を使いこなしてるなんてわからなくて。せいぜい動画を見るくらいだと」
「書籍化、いーい?」
不安と期待に目を潤ませて、リンネは聞いてくる。
「……今ここで答えを出す事はできないな。それに、先方にも話を聞きたい。アポをとってその日に合わせて休みを取るよ」
「ねぇ、これ、今からでもお詫びすべきだと思う?」
「難しいね。いや、菓子折りを持って謝罪に行こう」
そうして、騒動の幕があがったのだった。
『えっ ええっ!? 本当に6歳でこれを!?? 天才じゃないですか!』
「それで、クライムサスペンスに実在の人物を出すというのは……大幅な改稿をさせて欲しくて……」
『それはそうですね。それに人気の魔導士も出てるので許可取らないと。ですが大幅な改稿は大丈夫なんですか?』
「できます!」
「本人はやる気十分ですので……ですが、十分なバックアップをいただきたく……なにぶん、知識がなくて……」
『お任せください! しかし、そうなると一時削除していただいた方がいいですね。年齢は公表しても?』
『お目溢ししてもらう為にも、年齢は公表する方向にしたいです。謝罪文も書かせますので、掲載をお願いします』
中々大変なことになりそうだった。
マシュマロ
https://marshmallow-qa.com/lucaluca
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https://odaibako.net/u/karin2022v
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