パクりんちょ   作:かりん2022

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謝罪行脚

 

 度肝を抜くといえばデスノートだろう。

 最初の殴り込みにはピッタリ。インパクト大、間違いなしだ。

 警察構造も違うのでそこの修正もする。

 そういうわけで、見事に入賞できた。

 流石はデスノートだ。俺のやった改悪で作品の劣化はやはりあるが、半分くらいの凄さでも十分大ヒットくらすだからな。

 やはり偉大なる原作はパクられても偉大なのだ。

 

 流石に幼児が(うちはお金がなくて幼稚園に通っていない)編集部と単体で連絡を取るのは無理があるので親の介入をお願いした。

 前も経験していたことだが、子供脳のうちは色々抜けがあるからな。

 そんなわけで無事怒られた。

 実在の魔術師がホイホイ素人小説に出ているから、こちらの世界はその辺OKかと思ってたが、限度があったらしい。

 加減がわからん……。

 創作に実在の国を出すみたいなものなのかな? アメリカとかNASAとか。

 この辺の肌感覚は長く人生やらないとわからないからな。

 

 そんなわけで、俺は書籍化にあたってまず、謝罪行脚に出ることになった。

 探偵Lの役どころを当てはめてた奇術師と会うことになった。

 国際的に多岐にわたって活躍している魔術師だ。

 

「奇術師様。リンネ・ヤガミです。この度は勝手にお名前使ってすみませんでした」

「私はもとより有名人だからいいけど、パパやママや家族の名前を勝手に使うのはよくなかったね。気をつけないといけないよ?」

 

  奇術師は視線を合わせて俺に言い聞かせてくる。それは本当にそう。

 

「ごめんなさい」

 

 奇術師は俺の頭を撫でる。

 

「……ライトくん、久しぶりだね。これを機に一族に戻ってくる気はあるかい?」

「今の僕はミサとリンネだけいればいいんです。多くは望みません」

「僕、いっぱい稼ぐね!」

「は、はは……。ほどほどにね」

「いや、君は戻った方がいい。リンネは君一人では御しきれないだろう」

「確かに、監督不行届で」

「その年で魔法の研鑽を積んでる子は探せばいる。でも、それを隠蔽で隠そうとする子はいない。私は怖いよ。天使にも悪魔にもなれる子だと思う。この子には良き監督者が必要だ」

「げっ」

「えっ!?」

 

 なんでバレたの!?

 

「マッスル師が好きなら、ちょうどいい。今更戻れないというなら、彼の私塾に行きなさい。私塾だけではなく、早急に正式な師を見つけてマンツーマンで見てもらうように」

「そ、それほどですか?」

「なんでバレたの?」

「これでも、とってもすごい魔術師だからね。ほら、わかるかい? ライトくん。この子は、この年でばれるはずがないと周囲の大人を下に見てるんだよ。とてもまずい兆候だ」

「み、見下してなんていません!」

「理由はどうあれ、君は私を騙そうとして、騙せると思ってる。実力の隠蔽は犯罪の隠蔽の第一歩だよ。魔法はなんでも出来てしまうから、後ろ暗いところがないなら出来る事を示すのはマナーだ。スパイになるならまだしもね」

「そうなの!?」

「デスノートみたいなのを見つけたらね。普通は報告と提出なんだよ。君はすぐには使わないけど、とりあえず隠し持つタイプ。それは悪いことなんだ」

「それもアウトなの!?」

 

 俺は言い当てられて動揺した。っていうか、流石1000年前と違って一筋縄ではいかないな!?

 1000年前ならあっさり誤魔化せたのに!

 

「マッスル師にもこれから会うので、相談します」

「それがいい。君は疲れているんだよ。封印を受けているとはいえ、君が気づかないなんてね。マッスル師は脳筋に見えて、不良対処の第一人者で見る目があって切れ者で子供の扱いも上手い。子供を任せるなら一番だ」

「マッスル師なら知ってます。僕が魔術だけが全てという価値観から脱出できたのは彼のおかげですから」

「流石だね。何も魔術師を目指すことまでやめなくてもいいとは思うが……前の君は危ういところがあったからね」

「ひええ」

「……血は争えないということでしょうか」

「そうだね。この子の才は凄まじいよ。でも、それを活かすかどうかはこの子次第だ。君が魔術師の道を捨てたようにね」

 

 

 

「……」

「パパも魔法得意だったの? 封印って何?」

「ああ、あの頃の僕は大人が愚かに見えていたよ。幼さゆえの傲慢さだね。自分が一番賢くて無敵だと思っていたんだ。だから魔術を捨てた……」

「パパ格好いい! 僕が新世界の神となるって言って!」

 

  パパは頭を押さえた。

 

「そうだね、マッスル師に相談しよう」

「相談はしなくてもいいと思うよ。俺、いい子だし」

 

 そういったが、パパの説得は難しかった。

 

「はぁっはっはっは! 久しぶりだね、ライトくん! そして初めまして、リンネくん! ライトくん、君が魔術師を辞めて寂しかったが、今の君からは鬼が去っているとも感じるよ」

「その節はご迷惑をおかけしました」

「僕、塾行かないから! マッスル師の洗脳は受けないから!」

「こらっ」

「どうしたんだい?」

「奇術師にマッスル師の私塾を勧められたんです。この子は危うい所があると。魔術の隠蔽をしていたようで」

「おや……なるほど。すぐには気づけなかったな。いやはや凄いね。この年でそこが見えないなんて」

 

 マッスル師は俺を見てそう告げた。まじか、見ただけでわかるのか。凄すぎか。

 

「それほどですか?」

「君の特殊体質は受け継がなかったようだが、その才と気質は君を遥かに凌駕してる」

「それほどですか……」

「この子の気質は神経質で粘着質で疑心的。方向性を間違えなければ間違いなく大成するが、間違えれば大変だろうね」

「そこまで言う!?」

 

 というか一目でそこまでわかるものなのか。

 

「誤解しないでほしい、リンネくん。それは魔術師として必要な要素でもある。正しく使えば、きっと優秀な魔術師になれるよ」

「僕もう魔術師として大成してるから、ライトノベル作家がいいかな」

「うーん、6歳にしてこの自信。生徒たちに見習わせたいね。自信も魔術師にとって必要な要素だからね。さて、謝罪の件だったか」

「すみませんでした!」

「うん、話の種になるし、端役でいいから出してもらうと嬉しいかな」

 

 塾のチラシを貰った。いらねー。俺、必要十分程度に魔術は学んでるし。

 小学校もあるし、時間なくなる。

 

 

 そんなこんなで、あちこち回って、ジージの家へ。

 ジージの話は聞くが、ジージの家に行くのは初めてである。

 サユねぇもジージの家で待ってるそうだ。あと、メロ役のスラム出身だという魔術師、泥鼠師も。

 

「いや屋敷でっか」

 

 ここ宮殿では? うちワンルームのアパートなんですけど?

 思わず俺は驚く。

 

「アハハハハハハ!」

 

 そこに飛び出してくる少年。風弾! あっぶねぇな!

 俺はフゥッと息を吐いてそこに魔力を通す。

 風の結界である。

 

「!?」

「アハハハハハハ!!」

 

 カードを使って炎弾。

 その炎を使って俺は火の散弾銃を撃った。

 その癪に障る大笑いをやめさせてやる。

 風で防がれたので、水筒から水を出して水のエレメント投下。

 水をどんどん生成して、大きな水球を作ってトルネード。

 抵抗してたけど、俺の勝ち!

 

「魔法を人に向けちゃダメなんだよ!」

 

 そして勝利宣言!

 僕の頭に衝撃が走る。

 

「いけません!!」

「あっちが悪いのに!」

「先にデスノートに出したのは君だろ、リンネ!」

「あ、いとこの天才児……クォーツくんだっけ」

 

 ニア役で出したんだ、そういえば。

 ちなみに、この世界では基礎言語は普通に異世界語である。

 が、魔法を広めた俺が多用していたのが日本語なので、日本語もチラホラとある。

 弟子の家名の名付けにも結構使ってたしなー。

 ヤガミはその一つ。

 

「ご、ごめんなさい」

 

 急いで駆け寄ると、あちこち切り裂かれて傷だらけだった。

 治癒魔法を掛けると同時に、繊維を操り服を縫合していく。

 

「う……」

「リンネ……? あっ いや、大丈夫かい、クォーツくん」

「お前! デスノートの作者! 俺はもっと凄いぞ!」

「あ、ああうん、そうだね。ごめんなさい」

「でもまあ、慰謝料がわりに友達になってやるよ!」

「なんて高いんだ慰謝料……」

 

  そんなこんなで屋敷に入る。

  パパはみんなに頭を下げた。

 

「兄さん、リンネは僕には御しきれない。ミサのお腹の中には二人目もいるんだ。リンネをどうかお願いします」

「えっ!? 僕売られるの!?」

 

 それは話が違うよ、パパ!

 その後、僕はもう抗議をした。

 パパのお兄さんのクロウと決闘をして、パパと暮らせる権をなんとかゲットしたが……。

 前世ではイケイケどんどんの我が子ガチ勢の両親だったので、戸惑いっぱなしだ。

 とにかく、俺は駄々をこねにこね、幼児時代の自由を獲得した。

 小学校からはマッスル師の塾に行くし師匠を選ぶことになってしまったが……。

 な、なんてことだ。自由時間はどうなんだ。そこが心配である。俺はライトノベル作家様だぞ。仕事する時間は大事だろ。

 

 

 

 

 

 

 

 




マシュマロ
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