始まりの魔法使い
魔術師達は美術品の飾られた部屋に集まって会議をしていた。
話題はプリチー小学生のリンネきゅんである。
「なんだろう。あの子の間違い方は、幼児というか……老害? が近い気がするね……」
「幼児があんな多岐に渡った見識を持っているはずがない。ありえない」
「怖いこと言っていい? 始まりの魔法使いの切り札は転生だったって伝説があるよね」
「始まりの魔法使いかその周辺だろうね……」
魔術師達は深くため息を吐く。
魔術師達は決して愚かではない。それに、現代よりも遥かに人物観察眼に長けていた。
それはコネを中心に気づいていたこの世界の人間特有の強みだった。
コミュ障だからと、ここの世界の教師は見落とすことは決してない。
必ず誰かが拾ってフォローする。そんな世界なのだ。
彼らが見つめるのは、始まりの魔術師が千年前に描いたという絵。
まるで、現代の日常を描いたかのような絵が並んでいた。
その中にはまだ実現していないものすらある。
どこまでも恐ろしい始まりの魔術師は、こう記載されている。
魔術を初めて魔術体系として作り上げた最強の魔術師は、幼い頃から凄まじい知識を持っていたという。
『切り札は出すな。出すならさらに奥の手を持て』。
邪悪ではなかったが、決して聖人でもない、やられたらやり返す俗物だったという。
彼は弟子にも百ができるようになってから一を教える事を徹底させた。
そのおかげで、知識の共有はいまだになかなか上手くいっていない。
始まりの魔法使いの広めた魔法は多々あるが、始まりの魔法使いを最強たらしめた魔法はいまだに誰も手がかりさえ掴めていない。
千年文明を進めたと言えば聴こえはいいが、それだけの混乱を振り撒き人々の尻を叩いて回ったのも事実だ。
その弟子達の愚痴は千年たった今でも語り継がれている。
「目的はなんだと思う?」
「決まっているさ。基礎は浸透した。させた。あとは底上げと応用。あと、つまらなかったんだろうね。皆が猿に見えていたのではないかな」
「あんまり文明を進めればいいってもんでもないと思うけどね」
「僕らのペースで歩かせてほしいなぁ」
「まあ、私たちも論戦になる程度には追いつけているようだから、穏便にご納得していただきましょう」
放り出されたのは、まどか☆マギカの脚本。ダークファンタジーだ。
小学生にはあまりにもレベルが高い。
「しかし、どういう方向性に進ませたいんだ、始まりの魔法使いは」
「わかるわけないだろ」
「クォーツくん」
「はい!」
「君には、老害を小学生に戻してほしい」
「お友達になってあげてって事だよ」
「もうお友達です!」
「心強いことだ。応援しているよ」
魔術師達の密談は続く。
そうして、密やかに始まりの魔法使い対策チームは結成された。
マシュマロ
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