中古ショップで初音ミク売ってて草w 作:すとろー
短いです
「曲が、できね~~~~」
「うるさいよ」
「ますたー、頑張ってください」
曲ができない。スランプってやつではないけど、曲になってないというか。
形にはなってるんだよ。形には。納得がぜんぜんいかないって感じで。
出来てきてはいるんだよな~。でも、聞けば聞くほどまだまだ修正できるな~って思ってやばいんだよ。
「やっぱ、納得いかね~~」
「え~~、これでも全然良いと思うけど」
「おい、めんどくさいと思っただろ」
「なわけないでしょ」
『めんどくさいですね』
誰も俺の悩みを分かってくれない。君たちだって何回か歌うのリテイクするじゃん。それと一緒じゃないんか?
今日の夕飯はデリバリーピザにしようかな。やけ食いや。
最初から聞き直して完成している部分まで流して、まだまだできる作業をリストアップしていく。
箇条書きすると見えてるだけでも結構あるんだよね。強くなれるのはいいけど、先が遠くなったように感じる。その先に確実にゴールがあることが分かるんだけど。
今回の曲は、ウナちゃんに歌ってもらう予定だ。たまには歌いたいと思っているだろうが、あんまり言うことはないので雰囲気を見てって感じ。
それに伴ってウキウキで横で作業を見ている。この時間帯、普段は起きていないがここ最近はちょっぴり早起きして、隣で様子を眺めてきている。他の作業をしながらチラ見をしているような感じだが、やっぱり気になっているようである。この家の中ではテトばっか歌ってたからね、というかテトが歌う気満々というか、テトで伸びたから生活費稼ぐためにもテトでたくさん出さないとって感じだったし。
ウナちゃんファンも勿論いる。でもたまに出すと熱狂してもらえるし、本人もテトが歌うのが合理的だと思ってるので今ぐらいの頻度が丁度いい。
ギターも入れた曲にもしたいんだよなぁ……。ミクちゃんにも手伝って貰ってる感出したいし。何よりギターって結構ウケが良い。実際、音としてめちゃくちゃ良いからね。
それには俺がもうちょっとギターについて理解する必要がある。なんとなく分かってるんだけど、どこでどの奏法使うとかのセオリー分かってないし。先は長い。
「休憩するか……」
というわけで休憩だ。先は長いから長時間戦えるように休もう。結局ね、こいつらと俺が食べていくには長い間作品を出し続けないといけないからね。
指を交差して上へ突き出す。指がパキパキとなり、肩が一度ゴキっと音を立てる。思ったよりも身体が固まってしまったみたいだ。
「おっ、休憩にする? じゃあごはんにしようよ」
「そんなに時間経ってた?」
「ますたー、もう7時ですね」
時計を見たらもう6時50分だった。やべぇ、思ったよりも時間が過ぎてる。
やっぱピザにするか。今から作るのはちょっとめんどくさい。
「ピザ頼むか」
「おっ、良いね~~」
「待ってください、今メニュー見せますから」
『やった』
がやがやとみんながウナちゃんのタブレットを囲んで選び始める。店はここから800mぐらいのところにある。注文してから少し経てばあつあつで届く。宅配サービスというものは便利だ。
「マスターも選びなよ」
「はいはい」
ウナちゃんから差し出されたタブレットを受け取り、メニューをスクロールしながら適当に見ていく。
ミクちゃんがホワイトボードにマルゲリータと書いていたが視界の端に映っていたので、マルゲリータは確定っぽい。すでにカートに入っている。
カートの中身、なんか3枚ぐらい入ってる。そういや、ピザを一人一枚選んでねっていう感じでちょっと前にテトとウナちゃんとの3人暮らしのときにたまにしてたっけ。だいたい少し余って次の日のテトの間食に早変わりだ。よく覚えていたなって感じだ。
俺はその中から無難に肉が多そうなやつにした。おいしいから。あとなんか特殊なやつって値段が高めだからね。ちょっと気にしたりしている。
「はい、注文したから」
「届くまでちょっと時間があるみたいなので、ますたーは休憩していてください」
注文確定をさせてタブレットを返すと、ウナちゃんはそのまますーっと作業部屋を出ていった。
「ウナ、めちゃくちゃウキウキでかわいいね」
『たのしそう』
「はぁ……頑張らないと」
「あっ、マスター。ボクのときは頑張ってないんだ?」
「いや、そういうことじゃなくてさ」
「じょーだん、冗談だって。分かってるから大丈夫だって」
毎回頑張っているのはそうだけど、やっぱりどうしても気合が入るとかそういうのはある。
一回一回いい作品だから世の中に放流しているつもりだから、ちゃんと毎回頑張っているけどね。
「しばらくしたらミクちゃんの曲も作りたいんだけどね」
「おっ、良いね~」
「今度の曲もミクちゃんにギターのフレーズ弾いてもらうから、うちの一員としては引っ張りだこだけど」
そういいながらミクちゃんの方を見る。何にも分かってなさそうにきょとんとしている。かわいい。
修理を今度帰省した時に受けてもらうことにしている。その前になんで壊れたかの点検だけど。
半年に一回帰省してテトやウナちゃんもいつも点検してもらっている。それに今回はミクちゃんも加えてって感じだ。簡単に治せるようであれば、治してあげたい。
今こうやってボードでのコミュニケーションに慣れてきているけど、やっぱりボーカロイドだから歌ってなんぼだと思う。その時に声が治ったら、歌を歌わせてあげたいなという俺のエゴだ。
「うんうん、マスターが何考えているかなんとなくわかる気がするよ」
『よくわからないけどありがとう』
「頑張るか〜」
『がんばって!』
やっぱ、いい曲作らないとな。ミクちゃんの笑顔を見てそう思う。まずは目の前のウナちゃんのやつから。
ふと再生してみるが、音はいいんだが展開があんまり気に入らないというか、メロディーが本当にこれでいいのかというか、色々と気になってくる。いったん最初から作り直しちゃってもいいかな。そうしよう。先ほどまでのメモ帳をゴミ箱に送って、プロジェクトを一応上書き保存して閉じる。
「あ、また作り直す感じ?」
「まぁ。次はいいやつ作れると思う」
「え~、もったいない。ボクはそういう上を目指し続ける感じの好きだけど、ウナを待たせ続けないでね」
「2日もあれば形になるはずだから」
『早いですね』
どうにも早いらしい。アイデアとかがなくともある程度の形を作れるので、それを短期間で何個も作り、聞いてみていい感じになったやつを採用するというやり方がどうしても多くなってしまう。
毎回毎回めちゃくちゃすごいテーマとかが思い浮かぶ訳でもないので、たまたますごく良いのができる場合もあれば、なんとも言えない駄作が出来上がる時もある。駄作と言っても世の中に出せる最低限のレベルはあると思うが、これで世間の評価が低かったときに悔しいので、せめて自分が満足した状態で出して俺は好きだから良いっていう状態にしたい。
そういう思いもあるので、何個も何個もどんどん作るようになっていったら、仮歌を作る速度がどんどんと早くなっていった。
ピンポーン。
「はや」
「早いね」
『早いですね』
3人で顔を合わせてちょっと笑う。ミクちゃんはボード消そうとしてたけど、そのままだったからそのままこっちに見せていた。
廊下の方で足音が聞こえる。多分ウナちゃんが受け取りに行ったんだろう。部屋から出なきゃね。
「ありがとうございました」
廊下に出るとピザを受け取ったウナちゃんが玄関ドアを閉めていた。
「あっ、早く食べましょう」
「そうだね。マスターほら早く食べて早く曲作ろ」
「はいはい」
『ピザ食べよう』
くいしんぼうだし、曲はせがむし、全くゆかいな仲間たちだな……。
ボカロ稼業で忙しかったです。ボカコレのRemix部門で69位貰ったりしました。
更新頻度戻します。