中古ショップで初音ミク売ってて草w   作:すとろー

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マスター
・友達を作りに行くこと以外は、割と何でもできる。
・話しかけられたら、仲良くなれるタイプ。

今回は、ウナちゃん視点です。


ネットショッピング

「今日はありがとうね、ミクちゃん。じゃあ俺は寝るから、ミクちゃんも寝たくなったらいつでも寝てね」

 

 そう言うと、困ったら2人に聞いておいてねと言い残して、ますたーは部屋を出ていった。

 ますたーは規則正しい。健康な生活が、クリエイターとして大事だと思っているらしい。

 創作には不健康な精神と健康な肉体が必要とよく言っている。

 ウナにはない思考。だからちょっと面白いし、一緒にいると楽しい。

 

「いつでも寝ても良いよ。それとテトさんが教えてくれたと思うけど、どこで寝ても良いから。最悪ますたーをリビングに引きずり出しても良いし」

 

 そういうとミクさんはちょっと困ったように笑った。

 むぅ……。ジョークのつもりではなかったんだけど。

 

『もうちょっと起きててもいいですか』

「もちろんです」「勿論いいよ~」

 

 ちょっと夜更かしに付き合ってくれるらしい。

 今、寝にくい雰囲気で寝れなかった感じだったらどうしよう。

 気にしてもしょうがないし、お言葉に甘えよう。

 

 やっぱり、なんとなく同じアンドロイドとしての勘が言っている。

 目の前の初音ミクというアンドロイドは、ちゃんと持ち主のますたー……いや、マスターに愛されていたタイプのアンドロイド。

 ウナたちは、自分の存在を個として認識したときに得られる情報は、それぞれのキャラクターとしての設定と機械式人形誓約、それと歌い方。

 

 ギターの弾き方は分からないし、料理の仕方も分からない。

 愛嬌もわからなければ、人との接し方も分からない。

 人と接していく上で、ちょっとずつ強化学習されていく。

 

 だからウナよりも、テトさんの方がとても”人間らしい”。

 だったら尚更どうして、ますたーに買われるような状況に……

 

 ……考えてもしょうがないことかも。

 それよりも、ミクさんが増えたし色々と買わないと。

 

「ミクさん、ショッピングしましょう」

「いいねぇ~。ボクも見て良い?」

「いいですよ」

『おねがいします』

 

 よし。

 ますたーの居なくなった椅子に座り、少しだけ高さを上げてマウスに手を置く。

 通販サイトにアクセスして、検索ボックスにタブレットと入れる。

 

「タブレット端末が必要になると思うので、一個買っておきますか」

 

 そうやってカートに入れると、横に座っているミクさんから待ったが来た。

 

『これだけでも大丈夫』

「いやいや、気にしなくて良いよ。マスターお金持ちだし」

 

 気にしなくて良いよというテトさんだが、ミクさんはあんまりいい顔ではない。

 

「その、使わなかったら、ウナが使うので買いませんか? やっぱり必要になってくると思いますし」

「あっ、無理させちゃってごめんね」

 

 しまったみたいな顔をさせてしまって、とても申し訳ない気持ち。

 過去を探らないウナたちと、心配させないために過去を匂わせたくないミクさんの嫌なかみ合い。

 

「次、何買います?」

「えっと……服とか?」

「ますたーが、たぶん外に連れて行ってくれると思うんですよね」

「あ~、確かに」

 

 か、会話が続かない。

 ウナは話すのが下手だし、ミクさんはどうしてもワンテンポ遅れちゃう。

 ますたーは、表情を見て結構分かってる感じだった。テトさんも分かっていそう。でも、ウナはそういうのが苦手だ。

 

『2人にも えらんでほしい』

 

 そんな時に助け舟をくれたのはミクさんだった。

 

「えっ、いいの?」

『はい』

「よっしゃ、じゃあウナPC貸して!」

「いや、テトさんはセンスやばそうだから、まずはウナが選びます」

「えぇ~、結構自信あるんだけどな~」

 

 どう考えても違うでしょ……と思いながら、話しやすい雰囲気になってちょっとほっとした気分で、ファッションのタグからレディースの服を選んで見ていく。

 アンドロイド用で、素材とか形状が違っていて、充電部が開きやすくなってたり、特徴的なオプションパーツを避ける構造になってたりもするのもある。

 基本的に人間用に比べて割高だけど。

 ますたーが言うにはアンドロイドを持っている人は金持ちで、たくさんそういうところにも出してくれる人だから高くても売れるらしい。

 

「ほら、ウナ。ミクもこう言ってるよ」

『私はテトちゃんのセンス好き』

「……言わせてますよね」

「いやいや、そんなことないよね?」

 

 笑って誤魔化しているミクさんから、テトさんから圧を受けたのだと考えた。

 だって、今ミクさんが着ているあんどろいど。パーカーは、どう考えてもセンスが狂っている。

 そうこう話しているうちに、着こなしを3組選んだ。

 

「テトさん、こういうのがファッションです」

「おぉ~、確かにかわいい」

『ふりふりですね』

 

 順当に、落ち着いた可愛らしい清楚系で組んだ。

 とってもかわいいミクさんをそのまま活かす感じ。

 色も特徴的な髪色を目立たせるために、控えめの落ち着いた感じに。

 

 ミクさんはちょっと悩んで、3つ並んだ画像のうち真ん中におそるおそる指をさした。

 

『これ好きです』

「これですね。じゃあ、これを買いましょうか」

 

 カゴにスカートとトップスを入れる。サイズはテトさんとたぶん同じぐらいだから、テトさん基準で決めた。

 ウナの出番は終わったから、椅子から立ち上がる。バトンタッチ。

 

「じゃあ、ボクの番だね」

 

 そう言って席についたテトさんは、迷わずパジャマを探し始めた。

 目当てのものが見つかったのか、ページを開いたら意見も聞かないで、そのままカゴに入れていた。

 

「今のなんですか」

「何ってボクの着てるネグリジェの色違いだけど」

 

 こ、この人、無理やりお揃いコーデにしようとしている。

 ミクさんの方を見ると、嬉しそうにしていた。いいんですね……。

 

「えっと、まぁこれにしようかな……」

 

 ウナが驚愕している間に、テトさんはいつの間にか帽子を見ていた。

 

「あれ、服じゃなくて良いんですか?」

「いや、服はマスターが買ってくれるだろうし。それに帽子だったらいつでもつけれるでしょ?」

「確かに」

「あとあと、帽子被ってたらお忍びコーデっぽくてカッコ良くない? どうかな、ミク?」

 

 黒のベースボールキャップだが、確かにいい。変なセンスが上手く嚙み合っている気がした。

 ミクさんも『好き』って書いていた。これは決まりでしょう。

 

「もっと悩まなくても良いんですか?」

「いやだって、ウインドウショッピングとかしたことないし……。マスターもパって決めてパッと買っちゃうタイプだし」

『私のこともすぐでした』

「そりゃ、ミクは可愛いからすぐだろうね」

「じゃあ注文しちゃいますよ」

 

 ますたーは基本的に買い物が早い。服も食べ物もお土産も編集ソフトや作曲ソフトも悩まなかった。

 ミクさんもすぐだったって言うなら筋金入りだ。

 

『手を振ってくれて』

『説明と値段を見たら』

『買ってくれました』

 

 それは早い。

 

「ウナのときも早かったよね~」

「そうですね。少し話したらもう購入してくれました」

 

 忘れもしない。アンドロイドショウで、展示されていたウナと少し話して、この子って買えるんですか? と言ったますたーを。

 そのブースで契約して、混雑した会場を一緒に歩いて出て、電車に揺られながらたくさん話して帰ったことを。

 

「そういえば、テトさんはどうなんですか?」

「えっ、ボクの話?」

『気になります』

 

 ますたーとの馴れ初めだ。アンドロイドたちはこれを結構大事にしている。

 だって大切な主との最初の出会いだから。

 人間でいうところの恋バナみたいなものとネットに書いてあった。

 

「え~っと、ね。マスターの父上がね、ボーカロイド買ってあげるからっていうから、マスターがネット通販でボクのこと選んで買ったらしいよ」

「……普通ですね」

「普通で悪かったね!」

 

 確かに劇的な買われ方をする方が珍しいのかも。

 起動したら家の中にいて、マスターがいたみたいなことも結構ある。

 

「はぁ……よし、じゃあキリも良いし、ミク寝よっか」

「あれ、もうそんな時間でしたか」

 

 時計を見るともう明日になっていた。

 確かに寝る時間だ。

 アンドロイドにとって睡眠は充電だから、人間とは違った理由で大切。

 連続稼働時間は3日とかあるから大丈夫だけど、人間らしくとプログラムされているので、眠くなっちゃうし。

 

「ウナはどうする?」

「ちょっと、これから動画編集します」

「わかった。おやすみね~」

「はい、おやすみなさい。ミクさんもおやすみなさい」

『おやすみなさい』

 

 2人がそう言って出ていったのを確認して、ゲームを起動した。

 まだまだ夜は始まったばかり。

 タスクは後ろに投げた方が、楽しいってますたーも言っていた。




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