新生バベルのトランスポーター   作:tto2098ut

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今のところ、ファイアフライはウィシャデルからほぼ認知されていません。なので前回ドクターと一緒に時に遭遇してもウィシャデル側からの反応はほぼありませんでした。
今更ながら新生バベルの掘り下げまだですか。絶対矛盾が生じるのでもう何も気にしないことにします。


業務日誌 一日目

「~~♪~♪」

 

私は癖になりつつある鼻歌を歌いながら車を飛ばす。

イネスさんとヘドリーさんから頼まれた物は良質な砥石だった。

剣かヤスリか...それとも何か他の用途に使うのか。とにかく私はそれを仕入れねばならなかった。

あの後私は結局バベルに寄ることは無く、他の都市へと向かっていた。

砥石自体は難なく仕入れる事ができるのだが、如何せん上質な物となると、そこらじゃ手に入らない。

たまにマーケットやらでたたき売りされている事があるが、それは価値がわかっていない商人か、または偽物である事がほとんどだ。

私は価値をわかっていない商人から購入するほど落ちぶれてはいない...商人としてはよろしくない精神性かもしれないが、私はそういう事があった時は本来の価値を教え、本来の価格で購入するようにしている。

 

クルビアでは感染者の差別が少なく、私はほとんどの場合そこから物を仕入れている。お得意先みたいになっている商店もある。

幸いにもカズデルから旅立つ時にその商店に砥石があるか聞いたところ、卸してくれるらしく私はクルビアからそれらを受け取り、またカズデルに戻っている最中なのだ。

 

途中で寄ったランクウッドで映画を見たり、結構クルビア生活は面白かった...とは言っても1週間程度だが。

ヘドリーさん達の店に連絡をして、今後もしまた必要な物があればまたどうぞという旨の話をした。

今はひとまず仕入れた砥石を受け渡しに行かねば。

 

「着きましたよっと...」

 

意外とすぐ着いてしまった。

短い旅をして、また戻って来たカズデル。

いつも寄る店の裏口に回り、インターホンを押す。

 

「リーベリです。品、お届けに来ましたよ。」

 

「ああ、貴女、案外早かったわね。てっきりかなりかかると思っていたんだけど。」

 

「偶然懇意にしてもらっている店がお求めの物を卸してくれたので...こちらです。」

 

私は品物をイネスさんに渡した。

 

「助かるわ。お代は...どれくらい?」

 

「ざっと...これくらいの量なので、こんなものですかね。」

 

「ちょっと待っててちょうだい。」

 

 

ヘドリーさんに報告に行ったのか、イネスさんが店の中に戻る。

 

「...」

 

自分一人しかいない空間になり、少しばかり退屈を感じた。

少しして、今度はヘドリーさんが出てきた。

 

「現金で申し訳ないが。」

 

札束をドンと出され、ちょっと驚いたが、私はそれを受け取った。

 

「ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします!」

ビシっと敬礼のような物を決めて、私は今度は軍事委員会の建物に向かおうとする。

 

「こちらこそだ。また何かあれば頼むかもしれない。」

「...ところで、今更なんだが。」

 

「はい?」

 

「君の事はなんと呼べばいいんだ?」

 

すっかり失念していた。ロドスの方にいるときもほとんど同じ任務になった事はなく、コードネームを伝えていない。私はヘドリーさんやイネスさんを知っているが、彼ら彼女らからしてみれば私は元々ただの客なのだ。名前なぞ知るはずがないだろう。

 

「あーっ...」

「えーと、ファイアフライでお願いします。ロドスの方のコードネームですが、トランスポーターとして活動する時もこの名前を使っているので。」

 

名前も知らないまま取引をしているのは中々面白い状況だが、私も私ですっかり伝え忘れていたのだ。

電話番号を交換しただけだったから...

 

「了解した。では、改めてよろしく、トランスポーター・ファイアフライ。」

 

ヘドリーさんから手を差し出された。

私は感嘆しながらその手を握り、握手を交わした。

 

「...ねぇ。」

 

後ろにイネスさんがいた。

...機嫌が悪そうに見える。これは、さっさと逃げた方が賢明かもしれない。

 

「ヘ、ヘドリーさんにお名前はお伝えしたので!それでは私はこの辺りで失礼します!」

 

逃げるように店を離れ、そのまま軍事委員会の建物に向かう。

基本的にカズデルを統治しているのはこの建物なため、ほとんどの手続きはここで行うのだ。

近頃はバベルの方でも手続きができるらしいが、私が見知ったやり方はこっちだった。

 

「...嫉妬かな...」

 

 

軍事委員会の建物に入り、窓口のような場所に向かう。

ほぼ、市役所みたいな扱いになってきている。

 

何日間の滞在、その間の宿泊はどこで行うなどの手続きや、トランスポーターの資格証の更新などもここで行う。カズデルは今や一つの国家になりつつある。

 

いつも通り手続きを済ませ、今回は特に他に用もないため、たまにはと思いバベルに向かう。

旧バベルは私は全く知らないが、新生バベルは面白い場所だ。

色々なサルカズがうろついていたり、仕事をしていたり。中にはいかにも知的そうなサルカズもいて、たまに話したりもするのだ。

 

「...このドア、壊れてる!」

バベルの一つの部屋の近くにいる私は、何故か上手く閉まらないドアに苛ついていた。

 

「ちぇ~。」

 

ドアを蹴りでもしようかと思っていると、少し重厚な足音が聞こえ、急いで足をひっこめる。

何故か少し私はまだ何もしてないのに逃げなきゃいけないような気がして、物陰に隠れた。

 

「...このドア、まだ壊れてるの?...ハァ。老いぼれ、仕事...返事しなさいよ。」

 

見れば、議長が来ていた。議長は近くにフヨフヨと浮いている機械をコンコンと叩き、そのドアに見事な蹴りを入れる。

 

私はと言えば、憧れの議長を近い距離で見れて、感嘆していた。

...いい機会だし、またとない機会でもある。

私はカメラを取り出して、

 

「あ、あの!」

 

「ん?アンタ、ドクターと一緒にいたわよね。こんなとこでなにしてんのよ。」

 

「えと、えと、その、ファイアフライっていいます!」

「えと、烏滸がましいかもしれないんですが、写真一枚とってもいいですか?!」

 

「...写真?いいわよ、好きなだけ撮りなさい。」

 

私は心の中でガッツポーズを決めた。覚悟を決めて話しかけた甲斐があったという物だ。

しかも、あの時存在を認知はされていたらしい。正直興奮が止まらない。

 

パシャリ、パシャリと写真を撮る。

これほどとない幸福だ。議長はかっこいいポーズを決めていた。

せっかくならツーショ...と思ったが、流石にやめておいた。

 

「あ、ありがとうございます!お忙しいところありがとうございました!!」

 

「どういたしまして。...待った、アンタサルカズじゃないわね。」

 

「そ、そうです。リーベリです。」

 

「リーベリ?リーベリがなんでカズデルにいるのよ。」

 

「ト、トランスポーターとして働かせていただいてるので!」

「この通り許可証もあります!!」

 

「ふーん。」

 

私は胸の前に掲げた資格証を議長がまじまじと見つめる。

まるで偽造じゃないかどうか確かめるような目つきだ。

やましいことは無いにしろ、少し汗が出る。

 

「ま、いいわ。カズデルにも他種族が入るようになるのはいい兆候かしら。」

「アンタ、ロドスにもいたけどオペレーターとしても働いてんの?」

 

「一応やらせていただいてます。」

 

「じゃ、どこかで一緒になるかもしれないわね。精々頑張りなさい。」

 

「あ、ありがとうございました!!」

 

議長は手をフリフリと振りながら、私に背中を向けて行ってしまった。

 

「わー...わー...」

 

私は語彙力を失い、取らせていただいたカメラを抱えて顔を真っ赤に染めながら最後に記念とばかりにもう一枚背中を撮らせていただいた。...盗撮だ...

 

変な笑いが止まらず、私はたまらずバベルを飛び出した。

まさかこんなことがあるなんて。

嬉しいったらこの上ない。

 

私はまた車に乗り込んだ。

もうカズデルに完全に用はなくなった。しかし、鉱石病の薬の残量が少なくなってきていた。

私は補充をするため、次なる目的地をロドスにして、車を出した。

 

 

写真をプリントし、車にぶら下げる。運転風景に憧れの人がいるのは、旅の風景を豊かにした。

その時だった。

 

カツン。

車に何かぶつかる音がした。

周りは荒野だが、石が飛んだわけでもなさそうだ。周りを少し見渡すと、5人程度の人間の集まりが見えた。

一人がクロスボウを構えており、ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべていた。

 

「おい、そこの車。止まれ。」

 

「...」

面倒事はあまり好きではないため、私はおとなしく車を止めた。

 

「いいてえ事はわかんだろ。金とか荷物、置いて行け。車もな。」

 

「...嫌です。貴方達、なんなんですか?」

 

「俺達か。俺達は、ただの旅する人間だよ。ただ、道中で人を殺したりするだけのな。」

 

パシュッ。

 

もう一本矢が飛び、車のタイヤに刺さる。幸い予備のタイヤはあるが、今は逃げられない状況になってしまった。

 

「...どれくらいですか。」

私は平和的手段を模索するために譲歩する点を探そうとした。

 

「あ?全部に決まってんだろ。」

 

「...なら、交渉決裂だね。」

 

私は指輪型のアーツユニットを起動し、指を鳴らす。

私のアーツはファイアフライという名に違わず、目の前に閃光を起こすような物だ。

アーツ版スタングレネードと言ったほうがいいだろうか。

ただの目くらましにしかならない。ただ、それでも十分だった。

目の前の五人は男、しかし図体は私より少し大きいくらいの物だった。

幸い全員がこちらを向いていたため、顔を腕で覆い、前が見えていない様子だった。

 

ロドスでは前線に出るどんなオペレーターも訓練を受けており、私もその一人だった。

私はアーツの訓練を主に受けており、私のこの閃光は温度があり、簡単に言えば熱い。

容易く何かを燃やすことができ、私はこの暴徒達の眼を焼いた。

 

「熱ァッ!!!!!!」

 

悲鳴が聞こえた。...焼くとは言っても加減はしたから、何分か経てば視力は元に戻るだろう。

 

「今逃げるなら見逃してあげる。逃げないなら、何も見えないまま死ぬ事になるよ。」

 

「わ、わかった。俺らは逃げるから、殺さないでくれェッ!!」

 

「...はぁ。」

「最初から喧嘩売らなきゃあいいのに。」

 

五人はゴロゴロと地面を転がった末に、腰を抜かした者もいたが、逃げて行った。

 

私はエンジンをかけ、ロドスに向かって走り出した。




第一資料
【アーツ概要】
「摩擦...なのかな。正直私もよくわからない。でもほら。カッコイイでしょ?それで十分だって。」
彼女はアーツについて説明を求められた時、よくはぐらかす。自身でもよくわかっていないらしい。
彼女が指を鳴らす時、彼女の近くに閃光が走る。
我々の配布したアーツユニットはその閃光にある程度指向性を持たせるための物だ。
閃光にはかなりの眩しさ、そして熱がある。
至近距離でそれを見れば1~2分は眼が上手く機能しないだろう。
普段彼女は自衛のためにこのアーツを使っているらしく、稀にカズデル周辺で目を擦っている野盗を見かけるオペレーターがいるが、ほとんどの場合が彼女のアーツによるものだ。その内には失明に近い状態になった者も確認されており、彼女を任務に派遣する際は単独行動になる事が必然的に多くなってしまっている。
目隠しをしているオペレーターやサングラスをしているオペレーターと組む事も多くある。

「あれは...一回見せて頂いたんですが、やばいですね。抑えめでお願いしますとお願いしたのですが、眼が潰れるかと思いました。その後直に手でも閃光に触れてみたんですが、ジュッという音が聴こえて、見たら私の手袋は少し焦げてました。」
              彼女のアーツを体験したロドスの医療オペレーター

彼女には自業自得による負傷なため減給が言い渡された。


彼女のアーツは連続で放つ事もできるため、疑似的に炎のように扱う事も可能だ。
ただし、指を毎回鳴らさなければならないため彼女の指が擦り切れないかどうかが気がかりだが、どうも彼女はあまり気にしていないらしい。



スキル1
瞬かせる閃光
自動回復 自動発動 SP4
次の通常攻撃時、敵に攻撃力の120%分の術ダメージを与え、対象を2秒間スタンさせる。
このスキル効果によるスタン状態の敵が受ける灼熱損傷が1.3倍まで上昇し、その後10秒間その敵が受ける術ダメージが1.2倍になる。

職業:補助 職分:祭儀師
第一素質 ファイアフライ
攻撃時、対象に追加で攻撃力の50%の灼熱損傷を与え、その周囲の敵に10%の灼熱損傷を与える。
配置中、自身の攻撃範囲内で灼熱爆発が起こった際、2秒のスタンを対象に与える。
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