ユニオンアリーナではないです。
「『魔王威令』を10COSTで使用、山札から上から5枚覗き、オペレーターカードかつ種族サルカズがいる場合手札に加えるッ!!」
「ターンエンド。」
「へぇ...そう来るわけね。」
「じゃーあたしは...『法の下に』を15COSTで使用、ラテラーノタグがついたオペレーターを一人バトルゾーンに召喚。銃騎士を置いて、そのまま攻撃!」
「これで...私の今のHPは後2000...」
「ターンエンド。ファイアフライ、ピンチじゃないの?」
今やっているのは何かというと、クロージャさんが作った『テラ:バトル&トレーディングカードゲーム』という物。
テラ全土を舞台にした、大規模な対戦型カードゲーム。
対戦相手はエクシア。
トランスポーターが故に、ペンギン急便やらアップルパイ急便やらとたまに業務提携みたいな事をするのが多々あって、ペンギン急便のメンバーとは仲良くさせてもらっている。
「ふむ...エクシア、それをこうすれば...」
ついでにテキサスさんが同じ場にいて、
「こうなるなら、次のターンに傭兵を置けばええんちゃうか?」
クロワッサンさんが、私の手助けをしてくれている。
曰く、「テキサスはんがエクシアはん側に付くんなら、ウチがこっち側につかないと不公平やないか!」らしい。
このゲームのルールは、山札(40枚)があり、一番最初に先攻後攻を決める。
その後互いに手札が5枚になるように引き、ゲームが始まる。
最初のターンを除いて1ターンが始まる時、COSTと呼ばれる物が5増える。
カードにはいくつか種類があり、オペレーターカード、所謂モンスターカード。
サポートカードがある。
それぞれカードを使うにはそれに記された値のコストを消費して、効果が出る。
オペレーターカードはCOSTを消費して、バトルゾーンと呼ばれる場所に配置する。
配置したそのターンは攻撃できず、横向きに置く。
次のターンになれば攻撃ができる。
オペレーターカードには攻撃力と別にHPがあり、それが削られるとトラッシュ...つまり墓地送りになる。オペレーターカードがある限り相手に直接攻撃する事はできなくて、オペレーターカードがない又は全部撃破してやっと相手にダメージを与えられる。相手のHPが0になれば、勝ちって寸法。
サポートカードは使った瞬間効果を発揮する物で、先述した「法の下に」というカードは15COST使わなければならない代わりに、オペレーターカードを配置して配置したオペレーターカードはすぐに攻撃できる、みたいな効果。
カードにはタグがあり、ラテラーノに関係するカードならラテラーノタグ、サルカズやカズデルに関係ある物ならサルカズタグが付いてたり。ここは国名だったり種族名だったりばらばら。カードにはいくつか種類があり、オペレーターカード「銃騎士」なら消費COSTは20、攻撃力は2000。タグはサンクタ、ラテラーノ。
ラテラーノタグがついているから、「法の下に」で効果が発動できる...みたいな。そんな感じ。
クロージャさん曰くまだまだ試用段階レベルらしく、バランスは完璧とは言い難い。
しかし中々面白い。
少し時間は遡る...
「テラのTCG?」
「そ!仕事が一段落ついてきたから、なんか作りたいなーって。」
「エンジニア部なのにカードゲーム作るんだ。」
「気にしないで、そこは。...ほら、購買部としてのプロジェクトかもしれないじゃん!」
「まあいいや。それで、どんな感じの物?」
「ちょっと待ってね...はい、サンプル。」
渡されたのは、5枚のカードだった。
1枚目はルール説明。2枚目にオペレーターカードのサンプル。3枚目はサポートカードのサンプル。4枚目、5枚目は...実際に存在するオペレーターの人のカードだった。
ちなみにフェンさんとクルースさん。
「許可貰ったの?」
「もちろん!ちょっと恥ずかしがってたけどね。」
そう、言い忘れていた。オペレーターカードにはそれぞれ職業があり、それに応じたスキルがあったりするのだ。
例えば、フェンさんのカード。職業は先鋒で、攻撃する度COSTが+2される、と簡単かつ強力なスキル。その分攻撃力は500と抑えめ。
HPが3000と先鋒にしては多く、かなり持ちこたえてくれる。
しかもCOSTが5なのだ。環境カードだ。
そして、クルースさんのカードは。職業は狙撃。相手のオペレーターに攻撃する時、攻撃力が+500される、という物。元々の攻撃力が1500あり、シンプルかつまたも強力。
HPは2000で少な目。COSTは20。
重装職業は味方オペレーターに行く攻撃を庇えたり、術師オペレーターは割合でダメージを与えてきたり。
後はもちろん医療オペレーターもいて、味方オペレーターのHPを回復できる。しかし、自分自身のHPは回復できない...って仕様になってるみたい。まあじゃないと無限に耐久できちゃうし。
医療オペレーターがいるからこそ強力なスキル、攻撃力を持つ前衛が重要になってきて...みたいな、結構色々考えてクロージャさんは作ってるみたい。
「でさでさ、今考えてる事があって。」
「これを流行らせて、ロドス内で大会を開きたいんだよね!」
「へーー...面白そう。」
「でしょ?!で、ファイアフライには是非広めてもらいたいわけ。」
「なるほど。私一人じゃゲームできないよ?」
「その点は安心して。もちろん他にも何人か広めてあるから!」
「しかも~~~!!!今なら購買部で無料でサンプルデッキを配布中!」
「興味持った人がすぐにできるってことかぁ!」
「そう!!もちろん有料パックもあるよ。」
「どんなの?」
「サルカズ構成の物とか、エーギル構成とか。種族もあるし、国もあるよ。ラテラーノ構成、龍門構成とか。後は組織の物もあるよ。ただ、組織は規模が小さいとシナジーが薄かったりもしちゃうけど。」
「はぇ...」
「ところでさ。」
「なに?」
「さっき、フェンさんとかクルースさんいたけど、実際のオペレーターも収録されてるの?」
「もっちろん!ちゃーんと許可取ったよ!」
「ラテラーノならモスティマさんとかフィアメッタさんとか...アドナキエルさんとか。」
「サルカズならマドロックさんとかウィシャ「買う。何円?」はやっ!」
「まあ確率になっちゃうけどね。パック一つ500龍門弊貰ってるよ。」
「天井とかないの?」
「さすがにないかな、残念!」
「サルカズパック買い占める。どれくらいあるの?」
「あんま大量生産はしてないから勘弁して!」
そして時は戻り...
「私のターン。私は10COSTを消費して、サルカズ傭兵(先鋒)を配置。」
サルカズ傭兵はいくつか種類があり、所謂モブカードだ。先鋒だと、ターン終了ごとにCOSTが5さらに+されるという物。他の先鋒カードが5COSTで召喚できたりする分、10COSTかかるけど強力。
まずサルカズ構成自体、COSTが重いけどリソースのサポートカードもあって、オペレーターカードはその分ステータスが強いみたいな大器晩成型デッキだからというのもある。
「このターンは攻撃できないから、パス。」
「これで次ターンはCOSTが合計15だよ。」
「ふーーーん...」
「じゃあ先に叩き潰しちゃえばいいよね!ドロー!」
「今は5ターン目。使ってないコストは15残ってる。ラテラーノはとにかく速攻デッキみたいだから、このうち5コストを使って「爆発の教義」を発動!」
爆発の教義--相手オペレーターカードに使ったコスト×100のダメージを与える。
銃騎士--前衛、COST 25。ATK2000、HP1500。重装に攻撃を庇わせず他のオペレーターカードを攻撃できる。
サルカズ傭兵(先鋒)--COST 10。ATK1000、HP2500。配置されている時、ターン終了時、COST+5。
「まだHPは2000あるよ!!」
「銃騎士でサルカズ傭兵を破壊!」
「だぁーー!!!」
私は慟哭を上げた。
「これで、COSTは次ターンになっても10だけだね。こっからどうやって挽回するのかな?」
「...ふっ」
「私が何も考えていないとでも?!」
「なにっ」
「私のターン、ドロー!」
今のCOSTは合計10。はっきり言ってしまえば、ここから逆転するのはとても難しい。
「借入を発動!」
借入--使用時COST即時+5。その代わり、次ターン開始時COSTが回復しない。文字通り前借だ。
「私のCOSTは合計15。『ナハツェーラーの使徒』を召喚!」
ナハツェーラーの使徒--COST 20。前衛、HP3000。ATK1500。トラッシュにあるサルカズタグがついたオペレーターカードの数だけ、COST-5、サルカズがトラッシュにある場合毎ターン開始時HPを500回復する。
サルカズ構成同士が対戦すると、基本ナハツェーラーの使徒で盤面が埋まる事はナイショだ。
「もちろん、このターンは攻撃できない。ただし、エクシアの方はさっき「爆発の教義」でCOSTを使い果たしてるから、銃騎士で攻撃しかできないよね!」
「COSTは15ある!...あるけど!!」
「くそー...テキサスー!!!」
「ふむ...なら、ここは一旦備えるべきだな。次のターン以降に。ファイアフライは借入を使ったから、次ターンは攻撃しかできない。」
「あ...そうじゃん。よーし!」
「とりあえず、銃騎士(先鋒)を配置。一応銃騎士(前衛)で、ナハツェーラーの使徒を攻撃!」
銃騎士(先鋒)COST 10 HP 1500、ATK1500。攻撃時、COST+2。
「正直痛いんだけど、まあ仕方ない!」
「この盤面やったら、一旦持ちこたえる事に重きを置くべきや。」
「使徒は回復効果があるから、ひとまず持ちこたえられる。」
「私のターン、ドロー。COSTは完全にすっからかん、借入で回復もしないから、私にできる事はない。そのまま銃騎士(前衛)に使徒で攻撃。」
「や~ら~れ~た~」
「で、あたしだね。同じく、特にやることもないからそのまま攻撃。」
「500残るの強くない?回復ずるだって!医療オペレーターもいないのに!」
「『法の下に』の方がぜぇ~~~~ったい強いよ。COST無視して配置、即攻撃できるじゃん。」
「そのせいでラテラーノオペレーターカードはステータス低めなんだよね...」
「あたしのCOSTは12。ターンエンド。」
「COST回復し始めて、とりあえず5。ドロー...で、そのまま攻撃。」
「さっきまで勝てそうだったんだけどな...なんか負けそう。」
「今は...17か。」
「ここは一旦温存かな。ターンエンド。」
「あぁ...なるほどな。次のターンに賭けるのか。」
「よぉくわかってるじゃん!さっすが相棒!」
「何か企んでるようやけど...策とかあるんか?」
「いーや。正直全くない。どうしよっかな...って感じ。」
「COSTも10しかないし、サポートカードも使えない。ひとまず、攻撃。」
「で、HPが2500かな。あたしのターン!」
「お、いいドローしたよ?」
「COSTは22、更にここで『法の下に』を使用、姉ちゃんを召喚!」
「前ターンは銃騎士しかいなかったから、温存しててよかった!!」
レミュアン--COST 20、HP500、ATK5000。味方ラテラーノタグのオペレーターカードが攻撃した相手を指名手配として扱い、指名手配中の敵は重装に妨害されずに攻撃できる。
「『法の下に』やっぱ壊れてるって!!!なんでこのステータスの人が15COSTかつすぐに行動できる状態で配置されるのさ!!」
「あちゃ~...こらやばいな。」
「次ターン、何もなかったらドストレート負けやな...」
「ナハツェーラーの使徒を攻撃!」
「で、ターンエンド!」
「私のターン...あ、終わった...」
「オペレーターカード引けたんだけど、COSTが20。で、借入もないから私の負けだ。」
「イェーイ。アップルパイ一つおごりね!」
「えぇ~~~?!??!!」
「ウチの分もよろしくな!」
「クロワッサン味方じゃなかったの?!?!...はぁ。テキサスさん、食べる?」
「じゃあ、ありがたく頂こう。」
「買ってくるよ。購買部のでいいよね。」
「✌ ✌」
「こ、この野郎...!次は負けないからな!!!!」
私はエクシアに負けて、アップルパイを購買部に買いに来た。
「いらっしゃい...その顔は、テラTCGで負けた顔だね?!」
「なんでわかんのさクロージャさんは...」
「誰と対戦したの?」
「エクシア。ラテラーノ構成。」
「どうだった?」
「『法の下に』強すぎ!!」
「...まああれは確かに強くしすぎたかも。」
「自覚あるのかい!!」
「というか引き運が悪かった...『魔王威令』で議長とかヘドリーさんとかオッダとか引けてればなぁ...」
「サルカズデッキはまあラテラーノ相手だと厳しいところあるよねー。」
「まあ今日はまけてあげる。試験の手伝いもしてくれてることだし。」
「そういえば、他の体験者で誰なの?」
「ヴィヴィアナさんがカジミエーシュデッキ。アンダーフローさんがエーギルデッキ。」
「後はシージさんがヴィクトリアデッキ、Mon3trがロドスデッキ。」
「ロドスデッキなんてあるの?!てか医療部門特別顧問とヴィクトリア議会のトップがTCGで遊んでんじゃないよ...」
「ロドスデッキはケルシーとかもいるよ。」
「まあMon3trはやりたいって頼まれたから渡したけど忙しくてできてないみたい。」
「シージさんはヴィクトリアでも広めてるらしくて、グラスゴーの暇つぶしにもなってるみたい。ありがたい限りだよもう」
「へー...ヴィクトリア、ネームドはいるの?」
「シージさん本人、蒸気騎士。」
「蒸気騎士ィ?!うわ、つよそー...」
「COST100、ATK99999、HP99999。」
「ぶっ壊れじゃん。」
「ただ、召喚に特殊な条件が必要なタイプ。」
「あー...特殊勝利ってやつ?」
「そう。」
「エーギルがアビサルハンターとかの個の力でめっちゃぶん殴ってくるデッキで、ラテラーノが速攻。サルカズが軍団の力、カジミエーシュが互いに庇いまくるカッチカチデッキ、ロドスが色々ごちゃまぜ。」
「結構コンセプト決めてるんだね。ロドスがすごい気になるけど。」
「で、更に体験者募集中の張り紙をして、トーナメントみたいなのを開こうかなーって考えてる。」
「はい、アップルパイ6つ。」
モスティマさんと、ソラさんの分も含めて6つ頼んでおいた。
「ありがとー。また来る。」
途中でクロージャさんが言っていた張り紙を見つけた。
『テラTCG、体験者募集中!』
『貴方の憧れの人をカードで使ってみませんか?申込は購買部:クロージャまで!』