新生バベルのトランスポーター   作:tto2098ut

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自分で書いておきながら開脚違いが出てきて苦しんでます
業務?日誌は番外みたいなものなので気にしないでください。


業務日誌 3日目

私は、卸先がカズデルであるとは明かしていない。

それは何故かといえば、議長達は都市に天災雲をばら撒き、それをカズデルへの侵攻を止める抑止力としたからだ。

 

サルカズの大規模撤退の時、私はロンディニウムから離れ、他国の情勢を少し調査していた。

当然といえば当然だが、サルカズの恨みまたは自国の利益を最大限取るため攻め込もうと考えている国や軍隊は多く、天災雲が現れなければ、大規模撤退の途中にサルカズは全滅していただろう。

強行的といえども、これをしなければカズデルの明日はなかっただろう。

 

私はリーベリだ。カズデルを故郷とするサルカズじゃない。ワンワンと吠えるシラクーザの狼とも違う。

私に居場所はなかった。

マフィアを恨んではいない。ループスが嫌いなわけじゃない。ただ、シラクーザが嫌いだった。

私に居場所をくれたカズデルには多大なる感謝をしている。

少しでもカズデルの為になるよう、私はこの仕事を始めた。

私を敵視するサルカズもいた。

当たり前だろうが、そちらの方が多数派だった。

サルカズの故郷たるカズデルに異種族である私が入り込んでいれば、そりゃあそうだ。

今は、多少は受け入れられている...そう信じている。

 

旅をしてると、ふとこういう思考に陥ってしまう。能天気で幸福であればそれが一番なのに、私は過去を振り返ってつい嫌な気分になる。

こういう時、私は自分のアーツを使い、気分と一緒に淀んだ空気を晴らす。

 

「はぁ...」

 

車を止め、私はため息を吐いた。

ロドスまでの道は遠い。

水分や食料を摂取し、私は車をまた走らせた。

 

 

「彼女の事?少なくともボクは見た事ないよ。」

 

「ファイアフライ...本名があればある程度調査も可能なのですが...」

 

「私がいた頃に彼女を見たことはない。」

 

私はふと、思い立った事があり、シラクーザ出身のオペレーターに質問をしていた。

ファイアフライについて、だ。

彼女曰く、彼女はシラクーザ出身らしいが、誰一人として彼女を見た事がないと言うのだ。

過去を鑑みたりするに、ラップランドやテキサスはこう言っては嫌がられるかもしれないがシラクーザの裏社会における有名人だ。片やサルッツォファミリーの元後継、さらにヌオバ・ウォルシーニでの騒動で暗躍。

片や『最後のテキサス』、さらに彼女と交流があるというペンギン急便所属。最後のテキサスとして見るのはあまりよろしくないだろうから、彼女には現在...つまり、ペンギン急便としての今のファイアフライの動向を聞いた。

 

ペナンスは現ヌオバ・ウォルシーニの裁判官であり、同じようにシラクーザでは有名人だ。

ヴィジェル、ウルピスフォリアは不在だったため、聞いていない。...しかし、上三人同様期待はできないだろう。

 

キアーベ達にも聞いてみたが、同じように知らないという。

彼女は頑なに過去を深く語ろうとしない。

「シラクーザの一般家庭生まれ、感染によって追い出された。」

彼女が提示する情報は、この程度だ。

それにしては...彼女は、瞳の色が濁りすぎている。

なにかに執着し、そのためには何もかも犠牲にする覚悟を持ったような。

 

ウィシャデルや他サルカズの面々と喋っている時は、顔は明るく輝いている。彼女には謎が多すぎる。履歴書を書いてもらった時、カズデルにきてからが詳細に書かれていたのに対し、シラクーザはシラクーザから出た、としか書いていないのだ。

彼女の几帳面な性格からして、少し違和感を覚えた。

そういうわけで、私はファイアフライの過去について少し探っていたのだ。

ロドスは様々な人々を受け入れる。王族の血を引く者。殺し屋、罪を犯した人。

過去を知らない上で例えば任務で殉職した際、ロドスに損害があってはならないのだ。

 

「ドクター、何をしているんだ?」

 

「あぁ、Mon3trか。」

「いや、ただの書類整理だ。」

 

「その割に少し困っているような表情をしていたが...困っている事があったら、遠慮なく相談してくれ。」

 

「...」

 

ふと、そういえばMon3trに聞いていなかったなと思う。

ケルシーは様々な事を目にしてきた。テラでも屈指の知識人だ。

Mon3trはケルシーの知識を継いでいる。ダメ元で聞いてみようかと思った。

 

「Mon3tr、ファイアフライの事なんだが...彼女の過去について何か知らないか?」

「あまりにも経歴が謎すぎる。人の過去を詮索するのはあまり好きではないが、これは調査せねばならないと直感が告げているんだ。」

 

「ファイアフライ...カズデルのトランスポーターか。彼女はシラクーザ出身、そして...うん?狼主に関係しているらしい。ケルシーはどうやらこの情報の調査を後回しにしたみたいだな。」

 

「そうか、ありがとう。ついでにこの仕事も手伝ってくれないか?」

 

「それは君の仕事だろ、ドクター。...少しだけだぞ。」

 

狼主。シラクーザに古くからいる、獣主の狼達。

しかし、ケルシーが後回しにしたと言うことは重要度の高い問題ではないと言うことか?はたまた、情報を手に入れる難易度が高いと言うことか?

 

 

 

『右、警戒してくれ。』

 

「了解!」

「灼かれたくなかったら、止まってな!」

 

ロドスの任務に私は赴いていた。

物の輸送の警護らしい。徒党を組んで野盗が襲いかかってくる。

ルートがいくつかあるようで、小隊の内、私は単独行動をしていた。

幸い位置がよく、敵にはほぼ捕捉されていない。上から一方的に閃光を出し、敵を次々と足止めする。

 

「ドクターの指揮はさすがだなぁ...」

 

私はトランスポーターのくせに地図が覚えられず、こういう戦術の立案や、指揮などはもっぱらできない。

ロドスの試験の時に戦術立案はダメダメだ、と言うことを試験官から言われたことを覚えている。

代わりに術師としては、優秀だということで、ギリギリの成績でロドスに所属できた。

 

私や他の人でルートを絞らせ、一箇所に合流したところで叩き潰す、という作戦らしく倒せなくても構わない、という言葉をもらった。

 

「倒せなく?私がどうやって身を守ってきたか知らないのかな!」

 

改めてその発言を思い出して、私は奮起した。

アーツは次々と敵の目、四肢、頭蓋を灼き、野盗は瓦解していく。

 

「打ち止め...かな?」

 

『作戦終了。皆、お疲れ様。』

 

ドクターから作戦の終了を知らせる通信が入った。

 

「ふぅ...腰痛い...」

 

私はロドスに戻ろうとした。

小隊メンバーと合流し、少し駄弁る。

 

「ファイアフライさん、お疲れ様でした!おかげさまで敵が掃討地点に到着した頃には足取りもフラフラで...楽に対処できました!」

 

「どういたしまして!とりあえず、戻ろ...」

 

 

私は、すぐに目を疑った。

 

「ファイアフライさん...?どうしたんですか?」

 

「赤ずきん...弓...あいつらだ...」

 

「?」

 

私は顔を動かした時にふと見えた、赤い頭巾を被ったループスと、弓を持った奴を見つめる。

 

「私の両親を殺した...!」

 

「お、落ち着いてください。息が荒いです。」

 

私は頭を振り、雑念を消そうと試みる。

しかし、復讐の炎は消えず、私をそちらにやろうと体を動かせんとする。

私は自らの手を噛み、痛みで衝動を抑えた。

 

「ど、どうしたんですか!そんな、いきなり手を噛むなんて!」

 

「ごめん。気にしないで。とりあえず、ロドスに戻ろう。」

 

「わ、わかりました...大丈夫ならよかったです。」

 

私は、その時に気づかなかった。

誰かが、私に視線を向けている事を。




資料2

彼女は頑なに過去を語ろうとしない。
しかし、シラクーザに何かしらの縁があることはよくわかる。
シラクーザ出身のオペレーターとは仲は良好なようだが、それ以上にサルカズと話したがる。
食堂へ来ても、ほとんど同族のリーベリやループスと話していることは少なく、サルカズやサンクタと話している様子をよく見る。
しかし、ペンギン急便とは別なようで、サルカズと同様程度の回数でペンギン急便の面々と共に行動している様子も見られる。

「ペンギン急便の人たちは何かしら人を惹きつけるフェロモンでも出しているんですかね?あの人たちと関わったら最後、みーんな陽気になっちまいましたよ。ファイアフライを橋渡しにして、縁も広がってるようですしね。少し前にサンクタを恨んでる友人がいたんですが、ロドスに来てエクシアやモスティマと話して最後、顔を赤らめて戻ってきましたよ。「あの子、俺に気があるのかもしれない。」なーんて。本当に彼女が好きなのは俺なのに。」
━とあるサルカズ

「多分そんなことはないぞ。」
━匿名希望のループス

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