サボりにさぼりまくってました。
大群は押し寄せる。
ああ、そうだ。ただ、押し寄せる。
眼前は青く染まる。地面は埋め尽くされる...
「...天災で、移動都市が海に...それで、"こいつら”はなんで...?」
ドクターに連絡を取った時、「エーギル」や、「イベリア」という単語が聞こえた...イベリア、というのは推測だけど。
海から怪物が来たなら、海沿いの国のイベリアが対処法を知っているはず、と考えるのは無理はないはずだ。
そうだ、エーギル...エーギル?あの、「傲慢な」エーギル...
エーギルが今どうなってるかなんて、わからない。でも、どこかで...多分、ロドスかな。エーギルが全国家に対して連絡を取っただの、噂を聞いたことがある。
じゃあ、こうなったのはエーギルが何かしたから...?
いや、そんなわけがない。わざわざ戦争になりかねない状態にする意味が分からない。
しかも、レム・ビリトンの辺境の都市だ。クルビアのD.Cならまだしも...
じゃあ、こいつらは本能とか、何かそれらの目的があって、ここに来たってこと?
...なら、それを満たせば、帰ってくれるんじゃないかな...話ができるかなんて、わからないけど...
どうやって対話をするの?こんな化け物と。人の形をしてる奴なんて...
いる。
いた!
大群の真ん中に、ひとつだけ背丈が大きな...人?
人とは思えないけど、輪郭だけ人っぽいやつが...
でも、安易に連絡を取って大丈夫なのかな...しかも、この移動都市からどうやって?
連絡機を投げたら拾ってくれるかな...?
いや、大群の先鋒に壊される気配しかないな...
今は待つしかないの...?
ポケットから振動が起きる。
見れば、ドクターだ。...しかし、電話に応答しようとした瞬間、一瞬ノイズが聞こえて、すぐに途切れてしまった。
そうだ、天災だ。
天災が近づいてきている。...電波なんて、容易に遮断されてしまう。
運の悪い事に、ロドスが停泊している場所は直線距離で天災を挟むような形になってしまっている。
...ロドスと連絡を取るのは、この天災が存在している以上不可能に近いだろう。
「...っ、そうだ、あいつは...」
私は危機契約機関に向けて自らの足で動いた奴に連絡を取ろうと試みる。
前、偶然連絡が取れたのは、奴がレム・ビリトンの中にいたからだ。しかし、機関はロドスと同じようにレム・ビリトンの主要都市...つまり、中心に近い場所にある。つまり、もうあいつが辿り着いてくれる事を祈るしかない。
海に向かって逃げるように進んでいた移動都市だが、海からも、北からも脅威が迫っている。轢きつぶそうにも、数が多すぎるだろう。
...詰み、かもしれない。
そんな思考が頭を過る。私が何かをしたところで、こいつらの狙いを逸らせるとは思えないし、天災をどかせるとも思えない。
...議長がいればなあ。きっと、天災なんて、吹き飛ばしてくれるのに。
議長なら。
そんな事すら、思ってしまう。
段々と諦念が心を支配していき、無力感に苛まれる。
「<シラクーザスラング>!」
アーツを使って、虫みたいに、光に寄ってきたりとかしてくれないかな。
そうすれば、私一人の犠牲でこの都市を救えるかもしれないのに。
希望的観測を基に、城壁から外れた、少し遠くの場所に向けて光を放つ。
...しかし、大群は止まらず、都市に向かって歩み続ける。
このペースなら、もうすぐ着いてしまうだろう。
着いたら、どうなるんだ?人を食べるのか?
そしたら、この移動都市はどうなってしまう?占拠でもされてしまうのか?
...止めなくちゃ。どんなことでもやってやる。
ここの都市を愛している人が、いる。ここの都市じゃないとできない事がある。
なら、こんな身なんて、どうだっていい。どうやっても、この都市を助けないと。
...私にできることなんてある?...いや、わからない。なら、探せ。
城壁から飛び降りる。村に手がかりがあるかもしれない。
走り回る。何かないか...
「...?!ねえ、あなた!危ないよ、なんで避難してないの?!」
村のとある家の中に入っていく人の姿が見えた。
天災が来ている事は伝えたはず。放送もしてもらったはずだ...
なら、なんで中枢区画に避難していないんだ?
私はその人を急いで追いかける。
ああ、視力が良くてよかった。その人が入ったであろう家までわかる。
急いで扉を開ける。
「いるんでしょ?!早く、避難しないと天災が来るよ!」
「...でも、ポコちゃんが、まだお家にいるんだもん。」
その人は、子供だった。...しかも、女の子だ。
「ポコちゃん...?」
「ほら、見て。ポコちゃんが、ずっと窓際にいて、着いてきてくれないの。」
「親御さんは?!貴方を連れて行かなかったの?!」
「ううん。こっそり、離れてきたの。だって、ポコちゃんが心配なんだもん。」
子供が指を指した方を見れば。
窓際に、あの青い奴がいた。
ポコポコと何かが泡立つような音が、そいつから聞こえる。
なんとなく、理解した。大群が押し寄せてきている原因は、多分これだ。
「それ、どこから来たの...?」
「ポコちゃん?ポコちゃんはね、私が拾ったの。この街の道路の草むらに転がってたのをね、お家に持って帰って。」
「...」
「それでね、お水が好きみたいだから、お風呂に一緒に入ったりしたんだ。」
「......そう、なんだ。」
顔が引きつっているのを、自覚した。
正確な原因はわからない。これを取り戻しに来てるのか、それともこれが呼び寄せているのか。...いずれにせよ。
これは、投げ返すか何かしないといけない。
「ねえ、お嬢ちゃん。」
「なあに?」
「...ポコちゃんはね、お家に帰りたいみたいなの。」
「でも、ポコちゃんのお家はここだよ?」
「...来たとこのことね。...多分、それ、ゲホン...ポコちゃんは、海から来たみたいなの。」
「お姉さん、知ってるの?」
「...もちろん。だからね、天災も来てるから、代わりに、私が元に戻してあげるから...先に避難しておいてくれない?」
「...わかった。ポコちゃんをお願いね!」
「中枢区画の入り方はわかる?」
「お友達と秘密基地を作った事もあるからわかるよ!」
「...」
そいつをひっつかむ。
手の中で、未だにポコリ、ポコリと音を立てる。
触手のような物が私の腕に伸び、絡めとろうとしてくる...
「うわっ!キモっ!」
急いで離すが、それを逃がすわけにもいかないため、近くの布で適当に縛り上げて、急いで城壁に向かう。
よかった、ここが城壁の近くで。もしこれが天災側...つまり、真逆だったら、私は今頃死んでいたかもしれない。
ダッシュで向かい、またも同じように、移動区画の端っこに立つ。
眼前に迫る青。先ほどよりも、明らかに近づいている。あと、数分もしないうちにたどり着いてしまうだろう。
「おい!<シラクーザスラング>共、お目当ては...これか!」
それを、投げる。
目標は大群の、大き目の人型の場所。
「軌道は完璧...だけど、勢いが...ハァっ!」
アーツを使い、ちょっとした爆発のような物を起こし、それを加速させる。
見事に。大群の中心へと、それは辿り着いた。
「...はぁっ...はぁっ...早く、いなくなってよ...!」
......
「...?」
「ねえ、そんな事ないよね...?お願いだよ...!」
世は無情だった。
大群は止まらない。
お目当てはこれなんかではなかった。
「そんな...絶対、これだと...」
「じゃあ、どうすれば...。」
多分、「ポコちゃん」が呼び寄せてた、が正解なんだろう。
だから、攻めてきている。
もしかしたら、陸上で遊んでいたのを攻撃と認識していたのかもしれない。
...なら、何故あの子は食べられなかったんだろうか?
まあ、この際、そんなことはどうでもよかった。
諦めろ、と神が言っているかのように。
天災が近づいてきている事を知らせるアラートが、端末から鳴り響く。
もうすぐ、直撃だ。
いっそ、こいつらに直撃でもしてくれれば、一掃できてしまうのではないか?
私も、避難をしたい。
でも、この状況で避難をしてしまえば、恐らく。
どうしようもなくこの都市は容易く陥落してしまうだろう。
少しでも、これらを止めるために飛び降りて戦うべきだろうか?
...私が行ったところで、どうにもならないだろう。
ロドスで行った戦闘技術等の検査では、基本的に標準、やら普通やらと、特段成績がよかったわけじゃない。
単騎でできる事なんて限られる。しかも、さっき光の誘導が効かない事は確認した。
私にできることは、もう、多分、ない。
ただ大群を見つめる。
青い波は広がって行き、さらに地面を...
いや。何かある。
こんなような物のを、さっき見た気がする。
人型がいる...でも、それは...見えない。
正確には、上手く捉えきれない。
大群を横殴りに突っ切るようにして、分断する。
大群が、どんどん死んでいく。
何が起きているんだろう?
記録用のカメラを取り出し、写真をパシャリと取る。
フレームレートが合わず、ボヤけているが、辛うじて何が起こっているのかはわかる。
何かが、大群を単騎で攻撃している。
もしや、ロドスの支援か?
大群は次々と分断されていき、死骸はどんどん増えていく。
生きている物が死骸を吸収した...が、それすらもバラバラにされる。
なんだろう。
もう、理解し難い光景が目の前を支配し、私は頭の中が「?」で一杯だ。
もしあれが人間なら、最強なんて比ではないだろう。
競技騎士のチャンピオンだって、敵うかわからない。
通信機器から振動が鳴る。これは...ロドスの回線だ。
......ああ、よかった。
安堵で、床に倒れ伏す。これで、きっと、この都市は助かる...とは言っても、天災の危機は相変わらずだが。
「...もしもし。」
『始めまして、ロドスのエーギル部門の責任者、グレイディーアと申しますわ。』
聴こえたのは、冷たそうな女の人の声だった。
イベリア、エーギルとの関わりは特に薄かったから、名前に聞き覚えがあるわけではない。けど、どこか安心できるような声だった。
『海のクズ共が陸にまで押し寄せてるとは、災難でしたわね。』
そう話されている間でも、「海のクズ共」は次々駆逐されていっている...
なんかしかも、違う何かがまた合流した。
...あれも、ロドスの人なのかな...
『こちらはもう大丈夫ですので、後は心配しなくて結構ですのよ。説明はドクターに求めてください。では。』
通信はプツリと切れた。
...でも実際、多分、なんとかなりそうな勢い。あの強そうな人型も、なんかすぐに死んじゃったみたいだし。
言われた通り、私も避難して...ドクターに説明を求めるとしようかな。
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中枢区画に来た。
不安におびえる人々が多くいる。
「ここにいる限りは...天災による被害が及ぶ事はありません...!小規模なので、落ち着いてください!」
「私は天災トランスポーターです、落ち着いて...!」
落ち着いて、とは言っているが、これは定型文だ。
小規模だ、という事を伝えたら、人々は案外すぐ落ち着いてくれた。
恐らく、もう1時間もせず通り過ぎるだろう。
「ねえ、お姉さん。ポコちゃん、どうだった?」
...
「...きっと、喜んで海に帰ったよ。」
「そう!よかった!」
...子供を騙すのは心苦しい。
多分、今頃は...グレイディーアと紹介した人に...殺されちゃってるかもしれない。
えーと...ごめんなさい。
恥ずかしくなって非公開にしてました。
また気が向いたら書き始めます...もちろんアークナイツは追い続けてます。皆さんは望とか チェン引けましたか?