取り敢えずは書けるとこまで書きましたが、メンブレ中です。
米艦隊と三好艦隊との砲撃戦が始まり既に10分が経っていた。『武蔵』は初弾から夾叉をしていたがまだ命中弾は無かった。
「むぅ……流石に40サンチ砲とはいえ、4隻36門の相手は侮れないな」
「あぁ。しかも最大速度と砲弾の装填時間はあちらの方が勝っているな。流石は新鋭戦艦か……」
「フッ相棒。それは正に望むところだ。『武蔵』は、戦艦はこの時のために造られたモノだ」
将和の言葉に武蔵はそう意気込みを入れる。
「ではやるぞ、面舵20度!! 左砲戦!!」
「………何だあれ?」
武蔵が左砲戦を発令した時、見張り員の妖精さんが何かを見つけた。
「どうした?」
「はい、本艦の進行方向海面に不審なブイを発見しました!!」
「何?」
「ッ」
妖精さんからの報告に武蔵は首を傾げ、将和は直ぐに眼鏡でブイの海域を見る。その海域には黄色のブイが浮いていたのである。
「見張り員、周囲の海面に注意。他に異常は無いか?」
「は、確認します!!」
そして見張り員達が周囲の海面を捜索すると3つのブイを発見したのである。
「右舷前方にもあります!!」
「更にもう一つ、その前方一時の方向にあります!!」
「十時の方向にも黄色ブイを発見!!」
「……航海長」
「はっ」
武蔵の呼びかけに航海長は海図に発見したブイの場所を記す。
「黄色ブイは全部で4つになりほぼ正方形を示すようにして位置し特定の海域を区切るように設置されています」
「相棒……機雷原か?」
「……ドーラが無い以上、その可能性も否定は出来んが……」
「取り敢えず砲撃してみよう。高角砲群、黄色いブイの海域を狙え!!」
「撃ェェェ!!」
直ちに高角砲群が黄色いブイの海域を照準を合わせ、武蔵の号令で砲撃を開始し海域に着弾するも水柱だけが噴き上がるだけであった。
(何も起こらない……やはり機雷原ではないのか……)
「ッ、面舵15度!! 転舵急げ!!」
『面舵15度ォ!!』
そこへ米艦隊からの砲撃が行われ砲弾が着弾する。『武蔵』に被害は無かったが後続を航行していた『霧島』に砲弾が命中したのである。
「『霧島』被弾!!」
「……無理も無いか、いくら今は対40サンチ砲の装甲を施しての近代化改装をしているからといって元は35.6サンチ砲に耐えうる装甲の船体だ。『金剛』も同じくだが……『Iowa』級の40サンチ砲は荷が重いか……」
「砲術長ッ!! 次斉射の準備はまだか!!」
『艦長へ意見具申!! こう激しく転舵を繰り返されては照準のつけようがありません。本艦は堅牢無比にて砲弾回避の必要無し!! 射撃優先の操艦を請う!!』
主砲射撃所にいる砲術長のマユズミ大佐はそう武蔵へ具申し武蔵も苦笑する。
「マユズミめ、大分焦れているな……まぁ無理もないか。ただでさえ戦艦の照準装置の流れは精密かつ複雑なものだ。こう激しく操艦していてはマユズミ兎も角、艦橋下の射撃指揮所の諸元割り出しがついていくまい……」
そう呟く武蔵である。そこへ見張り員が再び叫ぶ。
「『霧島』と水雷戦隊が突出します!!」
消火作業を終えた『霧島』は『大井』以下の水雷戦隊を従えて突出を開始、砲撃を開始しながら水雷戦隊の突撃を支援するのである。
「霧島め、思い切った事をするな。『霧島』の35.6サンチ砲で『Iowa』級に挑むには高速を利して敵に肉迫、四式徹甲弾を叩き込むしかない。水雷戦隊も心中覚悟で肉迫攻撃に移ったかッ」
将和がそう言うと『霧島』と水雷戦隊の周囲に砲弾が着弾する。今は無傷であったが何れは命中弾が出るのは必然だった。
「武蔵、ここに至っては罠ばかり警戒しておれん。問題の海域への直進は避けて深入りを避けよう」
「……それしかないか」
将和の言葉に武蔵は頷き伝声管に向かって叫ぶ。
「マユズミ!! 砲戦をやらせてやるぞ!! 経路このまま、第二戦速!!」
『有り難いです、待ちかねておりました!!』
武蔵の言葉にマユズミ大佐は喜びつつ射撃準備を整える。
『照準良し、射撃準備良し!!』
「撃ェェェェェェェェェェェェッ!!」
『武蔵』は射撃を再開し、51サンチ砲弾は米艦隊旗艦『Iowa』を飛び越えて後続を航行していた『ニュージャージー』に命中したのである。
「『ニュージャージー』被弾!! 敵砲弾は装甲を貫通した模様!! かなりの損害を被った模様です!!」
「貫通だと!?」
参謀からの報告にリー中将は驚愕するしかなかった。
(この距離から16インチ砲弾をも跳ね返す我が『Iowa』級の装甲を貫通だとッ!? やはり敵の戦艦は我等を凌ぐ18インチ以上の主砲を装備しているというのか!?)
「えぇいッ砲撃を続行せよ!! JAPの艦隊如きに遅れを取るなァァァァァァ!!」
リー中将は内心の思いを振り払いそう叫ぶのである。その甲斐があったかは不明だが『武蔵』に砲弾2発が命中する。しかし、煙が晴れた時には無傷の『武蔵』がそこにいたのである。そして『武蔵』が再度射撃を行い、『ウィスコンシン』の周囲に水柱を吹き上げさせるのである。
「『ウィスコンシン』が!?」
「馬鹿な!? 我が合衆国の誇る最新鋭の16インチ砲を喰らってもビクともせんというのか!?」
流石のリー中将も『武蔵』の堅牢さには驚愕するしかなかった。
「ディヨー少将!! 例の計画はまだ実行に移せんのか!!」
「ッ、敵戦艦がブイを通過しました!!」
ブイを確認していた見張り員がそう叫ぶ。それを聞いてリー中将は漸く笑みを浮かべた。
「ようし!! モンスターめ、やっとワナに飛び込んだか!! ディヨー少将、早速マストに赤旗を掲げよ、それと念の為にサブマリンに連絡だ!!」
そして旗艦『Iowa』のマストに赤旗が掲げられ、『Iowa』から平文で『攻撃せよ』の電文が放たれた。無論、それは『武蔵』側でも確認されていた。
「敵旗艦のマストに赤旗が揚がりました!!」
「ん? 何かの合図か……?」
武蔵は首を傾げるが何も起こらない。しかし、一瞬の間を置いて見張り員からの悲痛な報告が入ってきた。
「ひ、左舷に魚雷!? 距離700!!」
「何ッ!?」
将和と武蔵が艦橋から左舷を見ると多数の魚雷が此方に向かっていた。
「クソッ、5本や10本じゃないぞ!! 30本はあるぞ!!」
「面舵イッパァァァァァァァァァァァァイ!! 総員、何かに掴まれェェェェェェェェェェェェッ!!」
将和は咄嗟に伝声管に向かって叫び、武蔵を抱き締める。『武蔵』は面舵をし、何本かは回避するが全ての魚雷を回避する事は出来ずに大量の魚雷が命中、『武蔵』の左舷に大量の水柱が吹き上がったのである。
無論、それは伊勢や陸奥、『長門』の杉野艦長らも目撃したのである。
「ば、馬鹿な!?」
「『武蔵』が!?」
「長官……ッ」
彼女達が驚愕する中、被雷した『武蔵』はゆっくりと左舷への傾斜をするのである。
「それで攻撃隊は?」
「はい、攻撃成功の電文を受信しました」
「そう、それならば良いわ」
部下からの報告に加賀は笑みを浮かべる。三好艦隊後方に展開する『加賀』を臨時旗艦とした第一機動部隊は沖縄に上陸した米陸軍と上陸船団への攻撃を行っていた。この攻撃に米陸軍第10軍司令官のサイモン・B・バックナー・ジュニア中将は頭を悩ます事になる。
「奴等、戦車や野砲等を目標にしている。これは苦戦するな……」
航空攻撃は戦車や野砲等に絞られていた。この攻撃で戦車68両、野砲79門が破壊される程であった。無論、この攻撃は第32軍の士気を向上させるに至るのである。また、上陸船団にも攻撃を加えて輸送船11隻、駆逐艦6隻を撃沈している。
「私達の任務は地上戦を1日でも長く日本側の有利とする事よ。航空決戦は第一機動部隊が完全に復活するまではやらない事ね」
「その通りですね」
加賀の言葉に艦橋要員の妖精達も頷くのである。そこへ通信妖精が艦橋に駆け込んで来た。
「『伊勢』より電文です!!」
「伊勢から……?」
加賀の言葉に通信妖精は無言で渡し引き下がる。それに疑問を抱いた加賀は通信紙を一目して愕然としたのである。
「ッ!?」
「加賀さん?」
「……『武蔵』が被雷、大破したそうよ」
『なッ!?』
加賀の震える声に妖精達は驚愕する。まさか『武蔵』が大破するとは思わなかったのである。
「それで状況は!?」
「まだ不明よ。まだ艦隊決戦を行っているから容易に『武蔵』には近づけないそうよ」
「加賀さん、此処は攻撃隊を出しましょう!! 三好長官の援護なら淡路島の猛者達もやれます!!」
「そうです!! このままなら三好長官の御命も……」
「……………………………」
妖精達の具申に加賀は直ぐに答えを言わなかった。将和の癖でもある頭をポリポリと描いてから決断をする。
「……『雲龍』『蒼龍』に発光信号、『加賀』を含めた三空母は攻撃隊を対艦装備に転換、敵主力戦艦部隊を攻撃するッ!!」
『はいッ!!』
三空母は忙しくなり対艦装備を準備するのであった。
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