『三好in艦これ1945』   作:零戦

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第七話 侍の復活、米太平洋艦隊司令部の憂鬱

 

 

 

 

 

 

「それでは内地出港を2月7日で」

「はい、それで行きましょう」

 

 清と野村大将はそう言って頷く。2月2日、横須賀鎮守府に間借りしている海上護衛総司令部に清と秘書艦である龍田は淡路島から出向いており、第二次南号作戦に向けての準備をしていた。

 この時、日本海軍側で用意されていた輸送船はタンカー12隻、貨物船3隻であった。

 しかし、淡路島警備府でも戦時標準船の建造は可能だった事もあり6日までには戦時標準船である1K改(三連成レシプロを蒸気タービンに交換した改良型)を4隻、1TL型3隻を就役させた。また、早急な燃料事情を解消するために満載排水量3万3千トン弱のタンカー……所謂史実における『スーパータンカー』を建造就役させた。但し、それ程の時間は無かったので2隻だけだが、3月に予定している第三次南号作戦では更に10隻以上の建造就役予定ではある。

 これらの船団で再び南方を往復する事になり、清も身体にムチを入れて気合を入れるのである。

 また、将和も同じく日吉にある聯合艦隊司令部に来ていた。

 

「では淡路島で訓練を?」

「はい。早期再建をするのであればそれしかありまっしぇん」

 

 将和の問いにGF首席参謀の神大佐は頷く。聯合艦隊は第一次南号作戦の成功と淡路島からの燃料供給により内地の各航空基地では航空燃料の残量を少なくとも3月中旬頃までは気にしなくてもガンガン使用しても良い程の残量となった。(95オクタン価航空ガソリン)その為、各練習航空隊等でも飛行訓練を積極的に開始していた。

 また、聯合艦隊でも水上艦艇への燃料供給により乙巡『矢矧』以下の1個水雷戦隊等も十分な訓練も可能となっていたのだ。そしてGF司令部では母艦航空隊である第601航空隊の再建も視野に入れていた。

 そこで神大佐が妙案とばかりに601空の練成地として淡路島を提案したのである。なお、隣にいる草鹿参謀長は申し訳なさそうな表情をしていた。

 

「淡路島であれば豊富な航空ガソリンがありもす。また、淡路島の妖精さんは一騎当千の強者ばかりのベテランと聞き及んどん。なら601空を淡路島で練成すれば母艦航空隊の者も強者になるでごわす」

「……ハッハッハ。流石は首席参謀、面白い事を考えるものだな。良かろう、3日後に洲本の航空基地に降りるよう伝えてほしい。それまでに宿舎や掩体壕等の準備をしておこう」

「ありがとうございもす」

 

 苦笑する将和に神大佐もニヤリと笑い頭を下げるのである。

 

「供給の航空機はどうなっていもすか?」

「零戦54型と震電に橘花、3機種合わせて1日30機ずつの生産はして配備させている」

「パイロットはそちらに送って完熟飛行を行わせてから原隊に戻らせてはどうかね? なるべく妖精さんとの接触は避けるべきなのかもしれんしね」

 

 草鹿参謀長はそう言う。草鹿が危惧していたのは妖精さんの姿が女性であり、それを元に舐めてかかる者がいるかもしれない、もしくは妖精さんを襲ってしまう輩もいるかもしれないと危惧していたのだ。

 

「成る程、最初はその方が良いかもしれませんね。3月くらいまではそうしましょう」

「ありがとうございます」

「それと空母はどうなっていますか?」

「『雲龍』型の『天城』『葛城』と軽空母『龍鳳』の3隻を基幹として再編成中です。それに伴い、護衛艦艇も再編成中ではありますが……何分少ないもので……」

「艦艇については些か妙案があります」

「と言いますと?」

「淡路島警備府に所属する工廠妖精さん達を呉や佐世保、神戸の造船所に派遣し艦艇の生産に寄与させたいと思います」

「な、何とッ」

「し、しかしそれは……」

 

 将和の言葉に草鹿は言い淀む。草鹿の心配は工廠妖精が建造する事によって艦娘が誕生しないかの心配であった。そうなると艦娘での運用でしか出来なくなる恐れもあったが、将和は笑って言う。

 

「あぁ、問題はありません。これ以上の艦娘は出ないようエラー娘から制限を掛けられています。なので建造しても艦娘は出ません」

「……それを聞いて安心はしました。配慮が足らず申し訳ありません」

「いや、そんな事はありません。草鹿参謀長の懸念も頷ける事です」

 

 頭を下げる草鹿参謀長に将和はそう言って取り繕うのである。なお、艦艇の建造については小型艦艇からの建造を優先的に行う事になり、『松』及び『橘』型、『夕雲』型(三好世界の『夕雲』型)、『秋月』型の建造を早期に行い、就役配備をし中型、大型艦艇に取り掛かる事になる。

 また、工員を増やす為にも建造中である『笠置』『阿蘇』『生駒』の方にも工廠妖精さんが派遣される事になる。これにより『笠置』は3月中旬頃に『阿蘇』は建造再開の為、5月頃等に竣工予定となる。

 

 

 

 

 

 

「……スゲェ……噂には聞いていたが零戦がこれ程とは……」

 

 2月4日、淡路島上空を1機の零戦54型が飛行していた。その零戦は急旋回等の技能を披露しつつ洲本航空基地に着陸する。

 

「どうでしたか?」

「あ、あぁ……凄い零戦でした……まるで21型の格闘性能が生き返ったようでした……」

 

 整備員妖精の言葉に横須賀航空隊から派遣されたパイロット——坂井三郎少尉はそう呟いた。

 

(これが……これがソロモンの時にあれば……)

 

 坂井はそう思う。これがあの時、自身が負傷した時にラバウルかブインにあれば……と悔やむ気持ちが大きかった。

 坂井は横須賀航空隊に配備される零戦54型の完熟飛行の為に淡路島に来ていた。他の横須賀航空隊のパイロット達もいたが、坂井のところに近寄ろうとはしていなかった。343空の出来事があるために誰も近寄ろうとはしなかったのだ。

 無論、坂井もそれを理解していたし彼等を嫌ったとまではいかないが彼等とこれ以上の揉め事を起こしたくはないとしていたのだ。

 

「お、横空のパイロットか」

「あ、はい。そうです」

 

 近づいてきたパイロット妖精の言葉に坂井は咄嗟に振り返りそう言った瞬間、坂井は眼を見開く。

 そのパイロット妖精は誰かの面影があった。それは坂井がラバウルにいて台南空のいた時だ。その時の坂井が世話になった中隊長にソックリだったのだ。

 

「……………」

「ん? どうした?」

「……中隊長?」

「おぉ、流石は坂井。よもや私が誰か直ぐに分かるとはな」

「……中隊長!? 笹井中隊長!!」

 

 パイロット妖精——ササイの言葉に坂井は涙を流す。ガダルカナル島上空に散った上官が妖精となって生まれ変わっていたのだ。

 また生きて会えた事に、坂井も涙を流すしかなかった。

 

「何だ、泣き虫だな坂井? 話はあるだろ、皆待ってるぞ」

「……皆……?」

「坂井さん!!」

「……ポッポ!? それに太田、柿本……」

 

 近寄ってくるパイロット妖精達を見て坂井は再度眼を見開く。妖精達は誰も彼もラバウルやラエ等にいた時に共に戦ってきた戦友達であった。

 

「取り敢えず今日は飲め。あれからの話を聞かせろ、そしてまた怒ってやる」

「……はい、ありがとうございます!!」

 

 ササイの言葉に坂井は頭を下げるのであった。その後、坂井は淡路島航空隊が所有する艦上戦闘機『烈風』をも試乗し着陸後には「俺からこの戦闘機を取り上げないでくれ。コイツこそまさに21型の後継機だ!!」と涙を流す程であった。

 また、話を聞いた将和も坂井の眼の治療を軍医妖精に相談し「ならバケツの成分をかなり薄めたモノを使用しましょう」と言って軍医妖精が手術室に坂井を放り込んで半日後には手術終了となり「まぁ何とか両目とも0.8くらいでしょうな。コンタクトレンズを付けるか度がある飛行眼鏡を付ければ120%は戦えます」との言葉に坂井は再度の涙を流す事になる。

 なお、坂井の事を将和も海軍側に「此方で出向という形で引き取ります」と伝え、坂井は淡路島航空隊に出向で配備される事になる。

 そして後の沖縄戦にて坂井は淡路島航空隊の面々と共に『烈風』に乗り込んで数多のエースパイロットを撃墜するのはまだ先の話であった。

 

 

 

 

 

 

 

「ジャップの艦隊が動いたとの事だ。だが、我々は容易には動かない」

「何故だニミッツ!?」

 

 2月8日、ハワイ諸島オアフ島にある米太平洋艦隊司令部では司令長官のチェスター・ニミッツ大将の言葉に第三艦隊司令官であるハルゼー大将はそう声を荒げるがニミッツ大将はジロリとハルゼーに視線を向ける。

 

「ビル、それは君が一番理解している事ではないか?」

「ッ」

 

 ニミッツ大将の言葉にハルゼーは眉をピクリと反応させる。彼等に懸念事項はあった。それは『バシー海峡の悲劇』であった。

 あの時、ハルゼーは台湾に航空戦力は無しと高を括っていた。しかし蓋を開けてみれば台湾の航空戦力は壊滅しておらず、むしろ日本軍は新型兵器——ロケット弾を投入しそれを見事成功させていた。

 その攻撃により正規空母『ヨークタウン2』『レキシントン2』、軽空母『カボット』『カウペンス』『ラングレー』『サン・ジャシント』巡洋艦『サンディエゴ』『フリント』駆逐艦6隻が撃沈されたのだ。

 ホワイトハウスは「色々重なったジャップのラッキーパンチ」と判断していたがニミッツ達は違う認識であった。

 

「我々がVT信管でジャップを葬り去った筈が、ジャップはロケット弾で対抗しようとしている」

 

 そういう認識であった。だが、母機を落とせばまだ安全は増すという認識であったが『バシー海峡の悲劇』では護衛の零戦等もバリエーションが変わっており新型の改良型だろうと太平洋艦隊司令部はそう判断していた。

 

「恐らくは今回もタイワンにロケット弾を装備した航空戦力はいるだろう。だからこそ我々は裏を掻く予定だ」

「というと?」

「今はパイロットも不足している。準備出来次第、トーキョーを艦載機で空襲してしまう。ビル、君も聞いているだろう? ジャップはB-29対策としてジェット戦闘機の運用を始めたと」

「あぁ。だがジェット戦闘機だぞ?」

「数はまだ少ないだろう。ドイツもそうだ、だからこそ我々には高速空母機動部隊がある」

「……数で押し切れってか?」

「この際はやむを得ない。B-29の損失が大きい今、トーキョーを焼こうとしたらこれしかあるまい。だから今は耐えろビル」

「…………………」

 

 ニミッツの言葉にハルゼーも渋々と認めるしかなかったのである。

 

 

 

 

 

 

 




坂井ほバケツの成分を薄めたモノで復活(治療過程は不明)
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