2月7日、『第二次南号作戦』が発令された。日本海軍側で用意されていた輸送船はタンカー12隻、貨物船3隻であり淡路島からはタンカー5隻、貨物船4隻が用意され長谷川艦隊に護衛されながら内地を出港したのである。
またそれに先立つ5日、淡路島航空隊の対潜哨戒機『東海』を保有する2個航空隊が台湾に進出しバシー海峡やその周辺海域の哨戒を行い護衛艦隊の対潜警戒を支援していた。ちなみに輸送船団がバシー海峡に到着する前に2隻の米潜水艦を『東海』が搭載するKMXで探知し攻撃、見事撃破している。
他にも日本海軍からも輸送船団の護衛として軽空母『龍鳳』が前回に引き続き参加し海上護衛総隊からも海防艦『屋久』『能美』『第13号』『第31号』『第132号』の5隻に駆潜艇5隻、哨戒艇と掃海艇がそれぞれ1隻が参加している。
第二次南号作戦参加艦艇
長谷川艦隊
旗艦『龍田』
空母4隻
『飛鷹』
【零戦36機 天山18機】
『瑞鳳』
【零戦27機 天山3機】
『千歳』
【零戦24機 天山6機】
『千代田』
【同上】
甲巡(航巡)3隻
『衣笠』『筑摩』『熊野』
乙巡4隻
『夕張』『鬼怒』『川内』『龍田』(総旗艦)
駆逐艦13隻
『漣』『皐月』『叢雲』『時津風』『沖波』
『松』『竹』『秋雲』『白露』『山風』
『朝潮』『早潮』『梅』
海防艦18隻
『日振』『大東』『昭南』『択捉』『佐渡』『対馬』
『平戸』『松輪』『福江』『御蔵』『倉橋』『屋代』
『鵜来』『稲木』『第四号』『第二十二号』
『第三◯号』『能美』
日本海軍
軽空母
『龍鳳』
【零戦12機 九七式艦攻改試製三号戊型12機】
海防艦
『屋久』『能美』『第13号』『第31号』『第132号』
哨戒艇
『第104号』
掃海艇
『第34号』
駆潜艇
『第9号』『第20号』『第33号』『第34号』『第35号』
なお、『龍鳳』には淡路島警備府から提供された九七式艦攻改試製三号戊型を12機搭載している。パイロットも何とか練習航空隊の教官をしていたベテランパイロットを集めた状態である。
「今回は被害無しで乗り切りたいものだな」
「あら〜、長官が指揮を取るから大丈夫よぉ」
旗艦『龍田』の艦橋で提督席に座る清の呟きに龍田はフフッと笑みを浮かべるが清は肩を竦める。
「この世に絶対は無い。あるなら日本は此処まで負けていなかったよ」
「それも……そうねぇ……」
清の言葉に龍田も思い当たる節があったのか、溜め息を吐くのである。そんなこんなも有りつつも輸送船団は行きは無事にシンガポールに入港する事になる。但し、貨物船4隻は海南島に入港していた。
これは貨物船4隻が鉄鉱石を積荷としているためであり適切な処置であった。また、台湾には『東海』の他にも淡路島航空隊の零戦が2個航空隊約140機近くが展開しておりバシー海峡の制空権は完全に日本側が掌握していた。航続距離の限界もありルソン島北部でしか活動出来ないがそれでも比島守備軍は「航空戦力の援護があれば対等に戦う事が可能である」と認識していたのである。
「納入も何とか5日程度で終わる見込みをしています」
「これもパレンバンを抑えているから可能な事です」
清はシンガポールにて陸海軍の担当者と面会をしていた。彼等も積荷がどれ程重要な事は理解している。
「今度もお頼みします」
「分かりました。やれるだけの事はやります」
陸軍担当者の言葉に清は頷き、三人は固く握手をするのである。かくして積荷を満載した第二次南号作戦の輸送船団は2月19日にシンガポールを出港するのであった。
そして将和の艦隊はというと、この時沖縄に待機していた。
「ハルゼーが輸送船団を確実に叩いて襲おうとすればバシー海峡しかあるまい。だからこそ沖縄での待機よ」
「成る程」
将和の言葉に第一航空戦隊司令官の大林少将は頷く。将和の艦隊と日本海軍、清の残存艦艇で将和の艦隊は編成されていた。
三好機動艦隊
旗艦『加賀』
戦艦5隻
『武蔵』『金剛』『榛名』『伊勢』『山城』
正規空母4隻
『加賀』
【烈風36機 彗星36機 流星36機 彩雲6機】
『雲龍』
【烈風27機 彗星18機 流星18機 彩雲3機】
『グラーフ・ツェッペリン』
【Fw190T改27機 Ju87C改36機】
『蒼龍』
【烈風18機 彗星36機 流星27機 彩雲3機】
軽空母1隻
『隼鷹』
【零戦54機 彩雲6機】
甲巡5隻
『高雄』『妙高』『那智』『鈴谷』『摩耶』
乙巡2隻
『五十鈴』『大井』
護衛巡1隻
『香取』
駆逐艦1隻
『長波』
長谷川艦隊残存艦艇
航空戦艦1隻
『日向』
日本海軍
第一航空戦隊
『天城』
【零戦27機 彗星36機】
『葛城』
【同上】
第二水雷戦隊
『矢矧』
第七駆逐隊
『潮』『響』
第十七駆逐隊
『磯風』『浜風』『雪風』
第二十一駆逐隊
『朝霜』『初霜』『霞』
第四十一駆逐隊
『冬月』『涼月』
第三十一戦隊
『花月』『榧』『槇』
「奴等は出てきますか?」
「出ない方に賭けますわ。第二次台湾沖航空戦で奴等は手痛い損害を与えられています。原因がハッキリするまでは攻め込まない。奴等の常套手段ですな」
「成る程。それは考えてませんでしたな」
将和の言葉に大林少将は納得したように頷く。
「それに……沖縄にいるのも、沖縄の住民への安心感も兼ねてます。これだけの艦隊がいるなら沖縄は守ってくれる。『対馬丸』の悲劇は避けなくてはなりません」
「……児童が大量に亡くなった事件ですな。あれは噂でしか聞いてませんでしたが……耳が痛すぎます」
第二水雷戦隊司令官の古村少将は『対馬丸』の言葉に顔を歪める。
「ですが、二水戦はよくそれ程出せましたね」
「派遣されてきた妖精さんのおかげですな。彼等の力が無ければ七駆や三十一戦隊は出動してなかったでしょうな。いや、妖精様々です」
呉や舞鶴、佐世保等に派遣された工廠妖精さんは実に8000人近くもおり、出迎えた担当者は驚愕する程であった。それでも工廠妖精さんの腕前は見事であり淡路島から供給された対潜噴進砲やソナー等はあっという間に駆逐艦等に搭載した事で今回の出動には間に合ったのである。
「まぁ兎にも角にも……ウルシーの出方次第ですな」
「はい。確か淡路島警備府から潜水艦が……」
「はい、こういう任務にうってつけなのがおります」
古村少将の言葉に将和は頷く。そして沖縄から遠く離れたミクロネシアのウルシー環礁沖にて2隻の潜水艦が無音潜航をしていた。
「ろーちゃんは大丈夫かな?」
「彼女なら大丈夫でしょう。偵察任務等は彼女にもうってつけです」
「そうだね……」
『伊26』ことイムの言葉に艦長の妖精はそう返す。環礁沖には『伊26』が待機していた。ろーちゃんこと『呂500』がウルシー環礁にギリギリまで接近していたのだ。
無論、目的は米高速機動部隊の動向である。そしてろーちゃんこと『呂500』は環礁ギリギリまで接近していた。
「戦艦や空母はいないみたいですって」
「ふーむ……ならバシー海峡にですかな?」
「それなら途中で遭遇するかな。多分ハワイに戻っているかな」
ろーちゃんは艦長妖精にそう言いつつ潜望鏡を一周させそのまま潜航を指示する。
「もう少し粘りますか?」
「ううん。提督からは無理せずに無理だったら帰ってきていいって言ったから帰るかなって。三好長官も承認してるよ」
「成る程。なら帰りますか」
「うん。帰って提督とお昼寝したいですって」
(あの提督、帰ったらシメてやる……)
ろーちゃんの言葉に艦長妖精や他の妖精達はそう思いつつウルシー環礁から離脱するのである。
そして第二次南号作戦の輸送船団は復路も敵潜水艦に遭遇する事なくそのまま海南島からの貨物船4隻とも合流し一気に内地へ向かい2月27日には無事に到着するのであった。
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