交流する恋太郎ファミリーとウマ娘たち   作:サイセンサイ

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華暮愛々がシュヴァルグランの帽子を被る話


似た者同士①

 

「どこいったんだマリンちゃん!?」

 

シュヴァルグランは慌てていた何故なら己の半身ともいうべきマリンキャップのマリンちゃんが風に飛ばされてしまったからだ

今、シュヴァルグランは風で飛ばされた方向に全力で走り周りをキョロキョロと首を動かしまくる

自らのコンプレックス(周りからすれば完全な過小評価)を隠すために日夜愛用しているマリンちゃんが今はなくその素顔は丸出しであった

しかし今はその恥ずかしさよりも大切な帽子を失いたくない気持が大きくお願いだから見つかってと手を合わせて願ったその時

 

「きゃあ!?帽子!!?」

 

「!?」

 

すぐそこの角から声が聞こえてきた

それは悲鳴のようだったが確かに『帽子』と言っていた

 

シュヴァルグランはすぐさま声のした方に赴くと一人の黒髪の女性がマリンちゃんを被ってあたふたしている

どうやら奇跡的な風の流れで彼女の頭にジャストフィットしてしまったようだ

 

「あわわ!すいません!」

 

シュヴァルはすぐさま帽子を取ろうとしたが

 

「待ってください前髪が!」

 

「え!?」

 

もしや絡まって抜けないのかと思ったが

 

「前髪まで上がってしまいます!」

 

「えぇ!」

 

ジャストフィットしたことにより帽子を取れば前髪まで上に上がってしまうらしい

そして顔が見えてしまう

 

最初は意味がわからなかったが自分も似たような事が時々あるので比較的早く理解した

顔を見られたくないのだ

その気持ちはよく分かるそのために帽子を被っているところが自分にもある

しかしマリンちゃんをそのままには出来ない

 

「すいません!絶対見ないので帽子を取らせてください!」

 

「あ!いや!こちらこそすいません私の都合で!」

 

「いやいやすいません!」

 

「いやいやすいません!」

 

引っ込み思案同士の謝罪スパイラルが数分間繰り広げられた

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

どうにかこうにかマリンちゃんを回収できたシュヴァルだったがこれからどうしようかと悩んでいた

風のせいとはいえ自分の帽子で迷惑がかかってしまってそのままさよならなどいいのだろうか?と真面目なシュヴァルは考える

だが謝罪をすればまた謝罪スパイラルが始まってしまう

 

(一体どうすれば!?)

 

そんないかにも悩んでいるシュヴァルの顔を見たその少女は毎日仲良くしている後輩の子達の姿と重なる

申し訳無さと一緒に自分がなんとかしないと!と思った

 

見た目はボーイッシュで中性的

雰囲気で分かりにくいが凛々しい顔をしている

男装したらとても似合いそう

それでいて出るところは出ている

 

(この人もしかして私より年下?)

 

それはなんとなくの直感だったが当たりだった

 

 

「よかったらその帽子のこと教えてもらえませんか?」

 

「え!?」

 

「あの、その、私!顔見られたくて目隠れしてるんですけど帽子もいいかなって!」

 

「あ、、、はい、、えっとえっと、名前いいですか僕はシュヴァルグランです」

 

「あ!ごめんなさい!私、華暮愛々です!」

 

こうして似た者同士な二人が出会った

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

華暮愛々から見たシュヴァルグランというウマ娘はとてもいい子そうなウマ娘だった

引っ込み思案な所は素直に共感が持てるし礼儀正しさもあってどこかの本の妖精さんを彷彿とさせる

ただその見た目はかなりカッコいい類の女性だと思う

更にはボクっ娘それも控えめで中々の属性の組み合わせ

一部の層から絶大な人気が出そうだなと心の中で思った

 

そして案の定年下の中等部だった

 

二人は今とある店の中にいる

シュヴァルグランおすすめの帽子ショップである

 

「う、ウマ娘が使う帽子はこ、高速でレースしても取れない特別製なんです!」

 

緊張が露骨に顔と舌に出ている

申し訳なさを感じながらも可愛いと思ってしまう

これが胡桃とか珠とかだったら抱きしめて

 

(イヤイヤイヤ!ほぼ初対面の年下の子でなんて想像をしてるんですか私は!)

 

華暮愛々は意外と欲望に素直なところがある

ようはむっつりである

将来一線超えたら凄そうと一部で言われている

 

(ダメですよ中等部の子にそんな考えしちゃぁ!!)

 

「華暮さん?」

 

「はい!?シュヴァルさん!!?」

 

「試しにかぶってみませんか?」

 

シュヴァルグランは華暮愛々のむっつりには一切気づかない

そういうタイプは今まで周りにいなかったのもあるが自分のような引っ込み思案も周りにはあまりいないのでこの短期間でシンパシーを感じていた

 

だからいつもより積極的に話しかけられる

 

それでついつい話し込んでしまった

 

 

 

「僕にとって帽子は僕を守ってくれる弱い僕を隠してくれる相棒のようなもの、、、とか思ってたりします」

 

「相棒」

 

シュヴァルグランの清廉な表情と照れながらも言ってくれた愛くるしいその姿に華暮愛々は、、、

 

 

 

 

 

 

(死にたい)

 

自分との落差に絶望した

相棒と聞いて最初に思い浮かんだのは【等身大恋太郎編みぐるみ】自らの欲望を我慢しきれずに作った(本人的には)穢れた心で作りしアンタッチャブル

目の前の彼女は帽子一つでここまで満足しているというのに自分と来たらと自らの欲の多さを過剰に意識してしまう

 

あぁ辛い 目の前のウマ娘の心が綺麗すぎて辛い

百八先生なら心清!!!と言ったに違いない

 

「華暮さんにもそんな相棒と出会えると良いですね」

 

えへへと言いながらシュヴァルは笑い愛々はグサリとなにかが胸の中に刺さった

 

(止めてぇぇぇ私はそんな笑顔を向けられていい人間じゃないんです妄想で色々ヤラカシてる人間なんです〜)

 

華暮愛々は普段魑魅魍魎レベルの奇人たちに囲まれているせいで分かりにくいが彼女もワリとアレである

目の前のまともないい子と接することにより自らの行いがワリとアレだということに華暮自信も気づいてしまった

 

「だからこれどうぞ!」

 

「ヒャい!?」

 

シュヴァルから渡されたのは自分と同じタイプのマリンキャップだった

 

「華暮さんも!その!きっと気に入ると思います!」

 

顔を赤くしながら彼女なりの精一杯で自分のために選んでくれたのだろう

今は自己嫌悪よりも目の前の彼女の為にと思いその帽子を被った

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「本当に良かったんですか!!?買っちゃって!!」

 

「はい、、とても気に入りました」

 

二人は帽子ショップを出て並んで歩いているそして華暮の頭にはシュヴァルに渡されたマリンキャップが被さっていた

 

「これなら前髪に頼らず顔も隠せます」

 

帽子の先をいじりながら華暮は本当に気に入っているようだった

 

その時

 

「シュヴァち〜〜!!」

 

「うわぁ!!」

 

突然のタックルにシュヴァルは驚き華暮も何が起こったのか分からない

現れたのは二人のウマ娘

 

「奇遇〜〜☆」

 

「あらシュヴァル、、、そちらの方は?」

 

「ヴィブロス!姉さん!!」

 

「姉さん!?」

 

シュヴァルの姉さん発言で華暮は突然現れた二人のウマ娘の顔を見る

どちらも綺麗な顔でシュヴァルととても良くにている

 

「えっ!華暮さん!何だけどえっと!」

 

華暮愛々との関係をどういうふうに言えばいいのか分からずあたふたしていると

 

「シュヴァルさんに帽子を選んでもらったんです!えっと!成り行きですけどとても妹さんにお世話になりました!」

 

「あらご丁寧に、私は長女のヴィルシーナこっち三女のヴィブロスです。ちなみに三人とも中等部なので恐らく年下ですよ?」

 

「えぇ!!?」

 

目の前の貴方も!?その雰囲気で年下!!?

妹さんのヴィブロスならまだしもお姉さんのヴィルシーナが中等部とはとても信じられない

 

「御機嫌よう華暮さん」

 

スカートをドレスの裾のようにつかみ優雅な挨拶をするヴィルシーナに気圧されてしまうが何とか年上として毅然な態度を取ろうとしたので

 

「あ、帽子脱がないと」

 

挨拶するなら帽子を取らないとと思いマリンキャップに手をかけたが

 

「あ!待って!」

 

シュヴァルが何かに気づいて待ったをかけたが

 

「え?あ?!」

 

間に合わず華暮愛々は帽子を取った

その時前髪がマリンキャップに引っかかり上にせり上がった

 

顔を見られたくない事を分かっているためシュヴァルは止めようとしたのだが

 

 

 

 

「「「な!!?」」」

 

 

 

 

シュヴァルを含めた三人は【素顔】を見た瞬間硬直した

 

華暮はすぐさま前髪で素顔を隠す

そして恐る恐る前を見るとパッカンと口を開けた三姉妹がこちらを見ていた

シュヴァルですら気遣いを忘れてめちゃくちゃ驚いていた

 

華暮が何をいうべきか迷っていると

 

「、、、、、るの」

 

「え?」

 

ヴィブロスが何やらうつむきながらボソリと言ったかと思うと

 

「普段何食べてるの!!?こだわりとかあるの!!?」

 

「ヒャア!!?」

 

防波堤が決壊したかのようにヴィブロスが言葉を続ける

それだけではない

 

「どんな化粧品を使ってるんですか!?化粧水は!?クリームは!?どこの系統なんですか!!?」

 

大人っぽいお姉さんのヴィルシーナですら遠慮なしに質問攻めをしてくる

 

シュヴァルに助けを求めたが彼女は素顔を見た衝撃で未だ硬直している

 

「よく見たらスタイルもジェンティルさんレベルじゃん!お願いお願い教えて教えて!私もそんなふうになりたいので!すごく美人じゃんお姉さん!!!」

 

「私にもご教授願いたいです!!普段のルーティンは!?メイクの仕方は!?あの人に負けたくないんです!そもそも何故そんなキレイなのに顔を隠してるんですか!?」

 

綺羅びやかで賑やかな気質の二人が興奮を抑えられない子供状態で質問攻めしてくる状況更にはめっちゃ褒めてくる善性も相まって羞恥心が加速していき

もう限界だった

 

 

シュビ!!!

 

「「「え!!?」」」

 

いつの間にかそこにはぬいぐるみが置かれており華暮は消えていた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ぎゃうわいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」

 

「「「「似合う〜〜☆」」」」

 

「「「カッコいい〜〜〜♡」」」

 

「あ、ありがとうございます」

 

買ったばかりのマリンキャップの先をいじいじしながら華暮は感謝を伝える

あの後いきなりの質問攻めを謝罪されてなんやかんやあって三姉妹と連絡先を交換した

質問攻めの謝罪を受けたが二人は美貌の秘訣を聞き出そうと今でも質問してくる

自分なんかが恐れ多いが学外での初めての友達の為そして事実上の後輩のため何とか頑張ろうとする華暮だった

 

 

(このマリンキャップ顔を隠せて良いなぁ)

 

帽子で顔を隠しがちなその仕草はシュヴァルにそっくりだった

 

 

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