交流する恋太郎ファミリーとウマ娘たち   作:サイセンサイ

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伊院知与がサクラバクシンオーに助けられた話


学級委員長二人

 

(どうしよう)

 

伊院知与は泣きそうだった

何故ならメガネと鞄を落としてしまったからだ

 

場所は『やたら広くてやたら迷子になるシチュエーションが整っている公園』

 

普段ならいつもエブリデイぎっしりな恋太郎ファミリーが助けてくれるのだが今日は買い物帰りで一人

おまけに買い物袋には『アイス』が入っているため急いで帰らなければと思っていた

それで急いでいると石につまずいて買い物袋を守ろうとしたがメガネと鞄が疎かになってしまい落としてしまった

更にここには人の気配がない声を出して助けを呼ぼうにもそもそも人がいない

携帯は鞄の中

そしてメガネが無いので見えない

ダメ押しに『アイス』のタイムリミット

 

(っっっ!)

 

目に涙が溜まる

何も見えない恐怖と情けなさが同時に襲ってくる

『しっかり』出来ない今の状況が苦しい

だが今にもこぼれ出てしまいそうな涙をなんとかこらえどうするべきかを考える

 

(最悪アイスは諦めようお父さん泣いちゃうかもしれないけど、、、手探りで探すしかない!鞄かメガネを!後は、、、)

 

最後に思いついたのは大声で助けを呼ぶこと

年頃の少女が一人で叫ぶのは本人的にはキツイが緊急事態だと自分を論じて羞恥心を抑えながら伊院知与は叫んだ

 

「助けてください〜〜〜!!!!!」

 

「はいどうしました!」

 

「ふわ!!?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

メガネをかけ直して拾ってくれた女の人の顔を見る

声をかけてきたのは大きな声で元気印な印象を受けるウマ娘だった

瞳のなかに花のような虹彩があり彼女の雰囲気ととてもマッチしている

彼女は近くでたまたまトレーニングをしておりそしたら。困っている声が聞こえたので来てみたらその瞬間に知与が叫んだという。良いのか悪いのか分からないタイミングだった

 

(近くに人がいたのに叫んでしまった、、、、)

 

伊院知与は両手で顔を抑えて顔を赤くした

 

「こちらが貴方の鞄ですね!」

 

「は!はい!」

 

羞恥で悶えていると目の前のウマ娘が鞄を拾ってくれた

 

「いえいえ!学級委員として当然のことをしたまでです!!」

 

「学級委員?」

 

その言葉に知与は反応したが次の瞬間

 

ズイッとウマ娘が顔を近づけてきた。すごく近くてびっくりするところだが自分の周りにはキスの距離どころかキスの距離・常中な人たちだらけなのですぐに冷静になる

何か顔についているのだろうか?と質問しようとしたが

 

「感じます!!」

 

意味不明な事を言われ口を噤んだ

 

「貴方からは私と同じ学級委員長の気配を感じます!!」

 

「えぇ!?」

 

まさしく自分は学級委員長なのだが何故わかったのだろう?もしやこの人も恋太郎ファミリーのように奇人⋯⋯コホン変わった類の人、、イヤ、ウマ娘なのだろうか?

 

「貴方お名前は!」

 

「はい!?あ!伊院知与です!」

 

「伊院知与!?委員長!!名前からして学級委員長!素晴らしい!バクシンを極める私の名前にバクシンが入っているようになんと素晴らしい名前なのでしょう!!」

 

手をシュバ!ズバッ!と動かしながらオーバー気味とも言えるリアクションに気圧されるが普段から恋太郎にもそういう褒められ方をするのでなんだか親近感を覚えてしまう

 

「申し遅れました!私はサクラバクシンオー!バクシンを極めバクシンを広げる学級委員長なのです!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あの!本当に気にしなくても!」

 

「お任せくださいバクシン!バクシン!」

 

今、伊院知与はサクラバクシンオーの背中に背負われていた

猛烈な速さをその身で感じており力が弱いなりに強くしがみついている

理由はバクシンオーが買い物袋のなかに『アイス』が入っているのを見つけたからだ

 

「いけません!すぐに冷蔵庫に入れなくては!私に乗ってください!」

 

「えぇ!!?」

 

 

そんなこんなでバクシンオーは背中越しに知与から指示を受けて彼女の家にたどり着いた

伊院知与は知らない人に家を教えていいのかと一瞬思ったがこの人なら問題ないだろうとすぐに思った

変わってはいるが自分の周りにいる善良な人達と同じ気配がするからだ

 

そして玄関の前に着くと

 

「どうした知与ーーーーーーーーー(涙)!?!?!?!?」

 

恋太郎の血筋を確かに感じる男兼お父さんであるヒロ叔父さんが背中に背負われている知与を見てどこか怪我でもしたのかと思ったのか救急箱を持ってきては救急車を呼ぼうとした

知与はよく知らないがいい人でありさっき会ったばかりのバクシンオーにそのひどい光景をみられたことに顔を赤くしながら父を止めた

娘に注意されたヒロ叔父さんは泣いた

 

そして何があったのか聞いたヒロ叔父さんは

 

「なんていい娘なんだ!知与を助けたばかりか知与の世界一の素晴らしさに速攻で気づくなんて!恋太郎君レベルのポテンシャル!是非お礼を!是非お茶を!是非ご馳走を!」

 

バクシンオーを家に招待した

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「えっとお茶をどうぞ」

 

「ご親切にありがとうございます!」

 

今2人はちゃぶ台を挟んで向かい合っていた

いきなり家にあげるのは向こうにも失礼なのでは?と思ったが本人は気にした様子もなく自分もお礼を言いたかったので家に上がってもらった

 

「それにしても素晴らしいお父さんですね!桜餅を買ってきてくれるとは!」

 

ヒロ叔父さんはバクシンオーの好きな食べ物が何か聞いたら『桜餅』と言われ家にはなかったので秒で買ってくると家を飛び出している

今、家には2人だけである

 

(取り敢えず一段落、、、ふぅ~)  

 

メガネを落とすわアイスでタイムリミットだわバクシンだわお父さん恥ずかしいやらで一度に色々起こりすぎて流石に疲れた知与だった

 

しかしここからが違った何故なら彼女もまた『恋太郎ファミリー』なのだから

 

「あ」  

 

「おや?どうかしましたか?」

 

バクシンオーが何やら知与が不思議な顔をしているのを疑問に思っていると

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゔーーーーーーっ!!!!!」

 

「え!!?」

 

突然の唸り声にさすがのバクシンオーも冷や汗を浮かべる

他のことで大忙しで抑えられていたが冷静さを取り戻し一段落したので本来の自分の性分が牙を剥く

そして彼女の奇行が始まった

 

「ジャージの汚れゔーー!!!」

 

先ずはジャージの汚れに目が向いた

ジャージには恐らく公園でついた草やら土やらがついておりますそれが冷静になった知与の目に入った

トレーニングしていたので仕方ないことなのだが上下左右古今東西の『乱れ』を敵視する彼女には関係なかった

 

そこからは速かった

ジャージを脱がせて汚れを落とし顔の汚れも洗面台で洗わせて更には靴の汚れまで綺麗さっぱり落としてしまった

バクシンオーは脳内が『!?・!?・!?』状態で何も言えなかった

 

「ふぅ~これで乱れは正され、、、は!!」

 

一安心してちゃぶ台に座った瞬間目の前に再度座らせたバクシンオーと目が合った

 

(わ!私また!)

 

そして自分の悪癖に自己嫌悪していると

 

「素晴らしい学級委員長ぶりです!麗しく完璧な学級委員長である私のようです!」

 

「んん!?」

 

バクシンオーの言葉

前半は慣れている言葉だったが後半は違った

 

「やはり私の目に狂いはありませんでした!貴方もまた優等生として皆の模範となり世界にバクシンをもたらす者!」

 

「ば!バク!バクシン!!?」

 

そう言えばスルーしていたがそもそもバクシンって何!?普通に爆頻でいいの!?と伊院知与は思った

 

「流石は私と同じ学級委員長です!だから私に聞きたいことがあればなんでも聞いてください!学級委員長の先輩としてなんでも教えてあげましょう!何故なら私も優等生の学級委員長ですから!」

 

(な、、、なんかこの人)

 

言葉の節々に感じる『高い自己肯定感』

美杉美々美やナディー先生をどこか彷彿とさせる

だからつい聞いてしまった

 

「期待されることにプレッシャーは感じないんですか?」

 

伊院知与

家庭環境故に背丈以上に無理をしてしまう傾向がありしっかりしていたのだがいつしかそれが鎖となってしまい重圧を感じていた女の子

バクシンオーは自分と同じだと言っているがタイプはまるで違う

この人はどうなのだろうかと思ってしまった

 

「期待されたらもっと期待されたいと思いますよ私は!」

 

「!」

 

バクシンオーは真っ直ぐな瞳でこちらを見てそういった

 

「期待されるのは私が学級委員長として務めを立派に果たしていること!つまりは私の素晴らしい行動に惚れ込んでくれることの証!確かに神様レベルの扱いをされれば多少は照れてしまいますが仕方ありません!立派なのですから!」

 

「は、、、はい」

 

今日何度目か分からない気圧されに知与の口はもごついてしまう

なんというか、、、本当にベースが違うのだなと思った

この圧倒的な自己肯定感はこの人だけのもの真似なんて出来ない

別に今の自分に不満があるわけでもない、友達も先輩も大大大大好きな彼氏である恋太郎も自分を褒めてそして時には無理しないでいいよと欲しい言葉を言ってくれる

 

自分は真似する必要はないと納得しかけたその時

 

「だからこれからも頼ってください知与さん!」

 

「え」

 

「同じ学級委員長でも私はバクシンの名を持つウマ娘!ならば後輩学級委員長である貴方に色々教えてあげる責任があります!貴方の小さな身体と年齢では重たい責務もあるでしょうから私がバクシン的に肩代わりしてあげます!」

 

「いやあの!学校別ですし」

 

「学級委員長の務めは世界を超えます!だから何かあったら言ってください!私がなんでもこのバクシンを使って問題を解決してあげましょう!」

 

ドンと胸を張りそう伝えた

自分はメガネを失って周りが見えなくなるだけで泣きわめいてしまうのにこの人は恐らく周りが見えなくなっても揺らがず振れず変わらずこのままなのだろうと分かってしまった

何より頼っていいと言われたことが嬉しかった

 

「ふふっありがとうございます」

 

「ありがとう良い子すぎるよーーーーーーーーーー!!!!!!」

 

「えぇ!!?」

 

いつの間にかヒロ叔父さんが帰ってきていた

 

「恋太郎君以外でここまで世界一可愛い知与の事を分かってくれる子がいたなんてーーーー!!!前世は恋太郎君と双子なのかい君はーーーー!!!今日は焼肉にしよう!食べていって!お父さん今から高級なお肉買ってくるからーーーー!!!!!」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

ヒロ叔父さんとバクシンオーの相性はとても良かった

 

「今月の予算オーバーゔーーーーー!!!!!!!」

 

そしてやらかそうとしている父を止めようと知与は全力で唸るのだった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その後即席の歓迎&焼肉パーティーをなんとか止めて普通のご飯をご馳走することになった

ご飯の美味しさを褒めまくるバクシンオーにそれに涙する父に挟まれて圧迫感を感じたが許容範囲だった

何よりバクシンオーの褒め言葉はストレートすぎてプレッシャーを感じる暇がなく先に元気が出てくる

もしかしたら自分とも相性がいいのかもしれないと思った

 

そして食べながら雑談しているとバクシンオーの両親の話に移り自分が褒めて褒めて褒めて褒められまくって育てられたことを喋った

 

(この人の両親ならそうかも)

 

白米を箸で口に運びながらそう思っていると

 

 

 

 

知与は世界一可愛い!!!

 

知与は世界一素敵!!!

 

知与は全人類の1兆倍可愛い!!!

 

 

 

(あれ?)

 

自分と対して違わないのに何故ここまでの違いが?

そう思った

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

お花の蜜大学付属高校・屋上

 

「ぎゃわいいいいいいいいい!!!!!!!!!」

 

恋太郎の声を皮切りに他の恋太郎ファミリーも集まってきた

 

何故なら今日、伊院知与は『ポニーテール』だったからだ

 

「なんでい知与!気分転換か!」

 

同じクラスで同じ彼女の出井祭李が聞いてきた

 

「はい、、すてきなモデルさんに出会って」

 

髪を伸ばして見ようかなと思う知与だった

 

 

 

 

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