非日常は突然に。   作:ライドロル缶

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?? 「前回までのあらすじぃ! …… って、今回が第1話じゃね〜の!?何?前回までのあらすじって!前回ね ~よ!」

??「はいはい、細かいことは気にしな〜い!バカ主はなぁ? 初投稿だからつかみを大事にしてるんだよ。 そんなことしてもこんなn番煎じみたいなもの見る人いるかも分からねぇのにな〜?」

バカ主「 だ〜もう!うるっさいな〜!こちとらノリと勢いで書いてんだよ〜!冷めるようなこと言うなっ!」

?? 「って、えぇ!?なんで主が来るんだよ!……ぁ〜もう、とりあえずさっさとはじめねぇと!どうなる第1話!
…… それと店長、やっぱり何でも屋 LOVE&Peaceってダサくね? 」

?? 「あー あー !きこえな〜い!きこえな〜い!」

バカ主「こいつらの扱い考えねぇとな …… 。」




第一章 何でも屋 LOVE&Peace 編
第1話 何でも屋 LOVE&Peaceってやっぱりダサいと思うんですよ 。


 

第1話 何でも屋 LOVE&Peaceってやっぱりダサいと思うんですよ

 

 

 

 俺の名前は園崎(そのさき)ユウ。

 部活には入っていないし、彼女もできたことがない。

 飛び抜けて頭がいいわけでもないし、めっちゃ運動ができるわけでもない。

 親も物心が着く前には居なくて、絶賛一人暮らし中。

 という、今の時代そんな珍しくもないごく一般な男子高校生だ。

 

 

 な〜んて、こんな誰に向けてなのかわからないような、テンプレがすぎる自己紹介を心中でやってる少し痛い男の子だ。

 

 って、誰が痛い男子だ!! 

 はぁ …… 。

 

 

 ユウ「──あ〜! なんか非日常なことが起きねぇかな〜!」

 

 

 夏休みの八月。

 校舎の影すら頼りない程の灼熱の気温、昼下がりのアスファルトは陽炎で揺らぎ、路肩に植わった街路樹の葉っぱも心做しかぐったりしているように見えた。

 俺はというと夏休みだと言うのに、友達に遊びに誘われるようなこともなくひとりで街路を歩いていた。

 まぁ、誘われても金欠だから無理なんですけどね☆

 

 

 ユウ「な ~ んて 、そんなこと起きるわけないかぁ 」

 

 

 もちろん、そんなアニメや漫画のみたいに事件に巻き込まれたりはしない。

 強いて言うのなら、

 

 

 ──暑い。

 

 ──喉乾いた。

 

 ──帰りたい。

 

 

 この三拍子。

 

 

 ユウ「はぁ 〜バイトしねぇとなぁ〜。でも、全然見つかんねぇし ……」

 

 

 ズボンの後ろポケットからスマホを取り出す。画面が日光を反射し容赦なく白く光る。画面がとても見ずらく、手で影を作って画面を覗き込んで、バイト求人のサイトを調べる。

 

 

 ユウ「コンビニとかはなんか大変そうだし……ファミレスはまず俺、接客とか絶対無理だしなぁ……。Uder Eatsとか、出前荘とかもあるけど、ぜってぇそういうの長続きしねぇなぁ~ 。それに夏休み終わったらやめそう」

 

 

 画面をスクロールしながらつらつら独り言。炎天下でスマホを見ているだけで体力が削られ、バイト探しも億劫になってくる。

 

 

 ユウ「はぁ ~ 、自由でアットホームって感じのいいバイト先ってねぇもんかな〜?」

 

 

 はぁ……とため息をつき、いったんスマホから目を離し、視線を上げたそのときだった。

 

 少し遠くだが視線の先に妙にポップで、ちょっと可愛らしい……いや、正直に言うと絶妙に浮いているような、何処と無くダサい看板が目に入った。

 

 

 ユウ「……え、なにあれ?」

 

 

 少し気になってしまったので近づいてみた。

 

 

 ユウ「ん ……?」

 

 

 近づいてじっくりと見てみると、木製の看板は年季が入り、ところどころ塗装が剥げているのが見えた。しかし、そこに描かれている文字は新しい。

 

 

 

何でも屋 LOVE&Peace』

 

 

 

 ユウ「うわ、ダサ……!?」

 

 

 西洋風のBARとかアンティーク雑貨店とか、そういうのだったまだ良いにしても『LOVE&Peace』って……。

 愛と平和、確かにとてもいい言葉ではあるが店名にするのはどうかと思ってしまう。

 

 スルーして戻ろうとしたその時。

 

 看板の横に、紙が貼られているのが目に入った。白紙に黒の極太マジックで書かれたそれは、風にぱたぱた揺れながら存在を主張している。

 

 

 ユウ「……」

 

 

 ぴたッ、と揺れる紙を手で押えてちらりと見てみる。

 

 

 ユウ「ん ……? って、ま、まさかそんな事あるわけぇ ~ …… 」

 

 

 紙にはこう書かれていた。

 

 ”バイト募集中!! ()()()()()()()()な職場です! ”

 

 

 ユウ「そんな事あったわ……」

 

 

 いや、フラグ回収早すぎだろ。つい数分前に心の中で願ったばっかりだぞ俺。

 

 

 ユウ「なんか、妙に運命を感じてしまう…… 」

 

 

 だが、何でも屋。

 これといって決まった仕事なんてなさそうだし、意外と自由度高そう。さらには自由とアットホームという求めていたものが書かれている。もしかしたら、思ってた以上に俺の希望に近いのでは? 

 

 

 ユウ「よし、思い立ったが百年目ぇ!」

 

 

 いろいろと頑張って書いた履歴書を握りしめ、店の扉のノブをつかみ、勢いよく開ける。

 

 カララン──と、風鈴みたいな音が鳴った。

 

 

 ユウ「……中は思ったよりきれいだな……」

 

 

 少し古そうな外観からは想像できない程の綺麗さだった。

 どこか秘密基地のような雰囲気で、壁には用途不明な工具や機械が所狭しと並んでいる。

 埃一つなく、規則正しく並べられた棚はちゃんと整理整頓がされているのだとわかる。

 

 

 ユウ「ほぇ ~ 、なんかすっげぇ ~ 」

 

 

 視線を横に流していると、何に使うのか全く見当のつかない謎の箱や棒状の道具も無造作に置かれている。

 

 

 ユウ「なんだあの道具?」

 

 

 ?? 「その道具はアタシたち何でも屋が使う道具だよ 。 まっ 、最近は飾りみたいなものになっちゃってるけど~ 」

 

 ユウ「うぉッ!?」

 

 店の奥のカウンター、そのさらに奥の部屋から声が響く。

 声色は軽快で明るく、どこかイタズラっぽいような口調。

 

 

 ?? 「で 、この何でも屋LOVE&Peaceに何用かな? 少年」

 

 

 声の主がその姿を見せた瞬間、思わず息を呑んだ。

 

 

 ユウ

「…… 」

 

 

 真っ赤な髪、まるで炎のように鮮烈で、肩甲骨あたりまで流れる長い髪は、歩くたびにゆらりと揺れて赤い光を弾く。

 琥珀色の瞳は猛禽類みたいに鋭く、それでいてどこか優しさも宿している。更にはモデルのようにスラっとしていて、身長は170センチくらい。

 いわゆる美人と言うやつだろう。

 

 

 ユウ「……(うわ……、すっげ〜美人)」

 

 

 ?? 「お〜い? 少年や〜い?」

 

 

 すっと、顔を覗き込まれるように顔を近づけられる。

 

 

 ユウ「うぉっっ !?」

 

 

 めちゃんこ距離が近い。

 鼻が触れそうなほどに近い。

 んや、近すぎんだろ!? 

 多少頬を赤くしながら、1歩後ずさる。

 その様子に目の前の彼女はこて、と首をかしげる。

 

 

 ?? 「……?」

 

 ユウ「あ、すんません! バイト募集の紙を見てきたんですけど……」

 

 

 と、慌てるように握りしめた履歴書を見せようとするが、彼女はその手を静止する。

 

 

 

 

 

 

?? 「君合格ね ~ !」

 

 

 

 

 

 

 ユウ「…………え?」

 

 

 

 今、なんて言った? 

 合格? 合格って言ったよね? 俺の耳おかしくなった? 

 だってさ、こういうバイトの合否とかってさ面接とかして、履歴書やらを見せて決めるもんじゃないの? 

 え? 

 

 

 ユウ

「……あの、今なんて?」

 

 

 ?? 「だから合格だって〜。詳しいことは明日言うからよろしく〜!」

 

 

 どうやら俺の耳は正常だったらしい。

 良かった良かった ~ ! 

 じゃねぇよ!? なんにもしてないのに合格とかどんなバイト先だよ!? 結構心配になってくるんだけど!? 

 ってか、合格不合格ってなんだよ!? 

 バイトって採用不採用とかじゃねぇの!? 

 それに、地味に明日に予定ぶっ込まれてるし。

 

 

 ユウ「まじ ……?」

 

 

 ?? 「まじまじ ~ 大マジだよ☆」

 

 

 ってか俺、自分の名前すら名乗ってね〜じゃん 。

 

 そんなこんなで謎に即合格? させられて店長らしき女性に

 

 

 ?? 「今日は、ちょっとお仕事があるから明日また来てね〜!」

 

 

 と言われて、外に追い出された。

 

 ……もう、考えるのや〜めた! 

 

 

 

 

──何でも屋ーLOVE&Peaceからの帰り道

 

 

 

 

 ユウ「あの店大丈夫なのか~ ? まぁ、そんな悪い雰囲気じゃ無さそうだったけどよ〜 」

 

 

 なんて、心配を口にしながらも帰路に着いていた。

 

 すると ……

 

 ゾクリ、と背筋に悪寒が走る。

 

 

 ユウ「…… なんだ?」

 

 

 こういう時は大抵良くないことが起こる。そう思い、そそくさと早歩きで家に帰ろうとする。

 だが次第にその悪寒はじわり……じわり……と重さを増していった……

 

 

 ユウ「……」

 

 

 電柱の影が妙に細長く地面に貼りつくように伸びている。まだ夕方でもないのに、どこか不自然に濃く、深く、黒すぎる影。

 

 そして、風の音が耳に残る。ひゅう、と軽く吹き通り過ぎたはずなのに。

 まるで耳の奥に手を突っ込まれて揉まれているみたいに、ざわつきだけがしつこく残り続けた。

 

 そしてふと気づいた。

 

 ──誰もいない。

 

 

 ユウ「……?」

 

 

 さっきまで普通の人通りだったはずの商店街。車の走行音、信号の電子音、子どもの笑い声、犬の吠える声。

 そのどれもが、跡形もなく消えていた。

 音という音がすべて引き剥がされ、街は異様なまでの静寂に包まれている。

 ウザっらしい蝉の声さえ遠い。

 まるで水の底から聞こえるような、くぐもった弱々しい鳴き声へと変わっていた。

 

 その代わりに、足元で。

 

 

ぬちゅ……ぬちょ……ぬちゅ……

 

 

 液体が吸いつくような、皮膚に触れたくない種類の湿った音が、ゆっくりと、下から響いた。

 

 

 ユウ「なんだよ……この気持ちわりぃ音はよぉ?」

 

 

 こんな状況に思わず足を止め、音の立つ黒い影に視線を向ける。

 

 アスファルトの割れ目──

 

 そのわずかな隙間の奥から、ドス黒い粘液状の“何か”が、ゆっくりと湧き上がってきていた。

 

 

 どろり、どろり。

 

 

 まるで濃い墨を煮詰めて片栗粉で固めかけたような粘度。日光を浴びているのに、まったく反射せず吸い込んでいく漆黒色。

 そこだけ真夏の陽射しが通らず、妙に冷たい影が滲み広がっていく。

 粘液は溢れ出るほど湧き続け、やがて“形”を作り始めた。

 

 ねじれた骨のようなものが突き出し、その周囲に黒い肉片のような塊がまとわりつき、生まれたばかりの胎児のように蠢きながら、生理的嫌悪をこれでもかと刺激する異形のシルエットが出来上がっていく。

 

 人型とも動物ともつかない。

 いや、どちらでもあり、どちらでもない。生物というカテゴリに当てはめることさえ間違いだと脳が拒絶する“異物”。

 

 ふわりと漂ってくる匂いが鼻孔を刺す。

 腐りかけの肉、発酵した何か、生ゴミに雨が染みた臭いそれら全部がぐちゃ混ぜになったような刺激臭。

 

 胃がギュッと掴まれるように縮む。

 

 呼吸が浅い。

 体温が急激に下がる。

 汗が背中を伝うのに、芯だけ冷える。

 

 

 ユウ「……なんだよ……ありゃ ……」

 

 

 恐怖。

 本能的な、圧倒的な“捕食される側”としての恐怖が、血液に混ざって全身を駆け巡る。

 

 どす黒いナニカが、ぎょろり、と眼窩のような穴をこちらに向けた。

 

 次の瞬間──。

 

 

 カッ……ッ!! 

 

 

 生まれたての化け物の腕がビクン、と跳ね上がり、

 しなるムチのような軌道で

 

 ──アスファルトを貫いた。

 

 

 ユウ「……は?」

 

 

 衝撃で舗装が破裂する。

 砕け散った石片のひとつが頬をかすめ、細い裂傷を刻んだ。

 

 ジクリ……と痛みが遅れて押し寄せる。

 

 

 ユウ「っ……!」

 

 

 逃げねぇと。

 逃げねぇと死ぬ。

 

 頭ではわかっているのに、足が地面に縫い付けられたように動かない。

 

 どす黒いナニカが、一歩踏み出すたびにドス……ドス……と、地面が凹む。

 

 粘液が弾け、金属的な臭気がぶわっと広がる。

 

 

 ユウ「……ヒュッ……( ……動け……! 動けっ! )」

 

 

 死の概念そのものが近づいてくるような、感覚に変な呼吸音をたてる。

 

 

 ユウ「……(動け……動け……動けぇぇぇぇ!!)」

 

 

 全身を震わせて、足に力を叩き込むように踏ん張る。

 

 ガンッ! 

 

 ようやく後ろへ一歩。

 その瞬間、凝りついていた全身のスイッチが切れ、体が軽くなる。

 

 逃げるように、いや、飛び出すように走った。

 

 一体何が起きているのかなんてわからない。

 ただ、逃げた。

 生きたい。

 その一心で、がむしゃらに、息の続く限り走った。

 

 そして

 

 

 ──気づけば迷い込んでいた。

 

 

 ひび割れたガラス窓が無数に並び、錆びた鉄骨がむき出しになり、空間全体が寂れた赤茶色に染まっている。

 

 昼間のはずなのに、内部だけ薄暗い。

 風が吹くたびに鉄骨が軋み、ひゅうぅ、と細く高い音を鳴らす。

 

 まるで巨大な獣の胃の中に迷い込んだような、そんな閉塞感。

 

 

 

 

──廃工場

 

 

 

 

 ユウ「はぁ……はぁ……なんで……なんでこんな……!」

 

 

 ずっと走り続けているせいで、肺が焼けるように痛い。

 呼吸が乱れ、胸が苦しい。

 

 

 ユウ「確かに、非日常なこと起きねぇかなとか言ったけどよぉ…………!!」

 

 

 がしゃ……がしゃ……

 

 

 鉄骨の影の奥に響く鈍い足音。

 

 粘液を滴らせながら、あのどす黒い化け物が、ゆっくりと姿を現した。

 

 逃げ道はない。

 

 

 ユウ「これはねぇだろ……神様ぁ!!」

 

 

 壁。

 積み上がった廃材。

 崩れた鉄骨。

 どこも通り抜けられない。

 

 喉の奥が焼けるように痛み、視界がぐらりと揺れる。

 恐怖が脳を支配し、涙が滲む。

 

 

 ユウ「……クソッ……(まだ、死にたくねぇ……! まだやりてーことが山ほどあんだッ!!)」

 

 

 そのとき。

 

 足元に、一本の鉄パイプが転がっていた。

 錆びつき、片側は折れて歪んでいるくせに……やたら存在感を放って光って見えた。

 

 ユウは迷わず、反射的にそれを掴む。

 

 両手で握ると、赤茶色の粉が手のひらに付着した。

 

 

 ユウ

「俺はまだ……死にたくねぇからな……」

 

 

 喉の奥が張り付くように乾き、声が掠れる。

 視界の端で、膝が小刻みに震えているのがわかった。

 恐怖が、体の芯から這い上がってくる。

 

 ──逃げろ。

 ──無理だ、勝てるはずがない。

 

 そんな声が頭の中で何度も響く。

 

 

 ユウ

「……全力で抵抗させてもらうぜ……! 化け物ォッ!!」

 

 

 歯を噛み締め、震える膝を無理やり叩きつけるようにして踏みしめる。

 恐怖を押し潰し、胸の奥に溜まった怒りと焦燥を、無理やり勇気へと変換する。

 目の前にいるのは、人の形を歪めたようなどす黒い化け物。

 油のように鈍く光る体表が、不規則に脈打っている。

 ユウは鉄パイプを両手で握りしめた。

 掌が汗で滑りそうになるのを、さらに力を込めて押さえつける。

 

 ──今だ。

 

 全身の力を振り絞り、腰を捻り、鉄パイプを振りかぶる。空気を切り裂く音と共に、思い切り叩きつけた。

 

 

 ── ド ッ !! 

 

 

 鈍く、確かな手応えが腕に伝わる。

 

 

 ユウ

「……! (当たった!!)」

 

 

 衝撃が骨を伝って肘まで響き、反動で肩が軋む。

 確かに命中した。そう確信した

 

 ──その瞬間。

 

 ぐにゃり、と。

 化け物の身体から伸びた腕のようなものが、鞭のようにしなった。

 刹那、視界が横に吹き飛ぶ。

 

 

 ユウ

「がッッッ……!!」

 

 

 腹部に叩き込まれた衝撃が、内臓を直接殴りつけたかのように暴れ回る。

 呼吸が一瞬で奪われ、空気が肺から強制的に吐き出された。

 身体が宙を舞う。

 廃工場の壁が迫り

 

 

 ── バァンッ!! 

 

 

 と鈍い破壊音と共に、壁を突き破った。

 コンクリートの破片が飛び散り、背中から床へと叩きつけられる。

 

 

 ユウ

「……い゛ッ……て゛ぇ……」

 

 

 声にならない呻きが漏れる。

 身体を動かそうとした瞬間、全身に走る激痛が、それを許さなかった。

 胸が焼けるように痛み、腕は感覚が鈍い。

 脚に力を入れようとすると、骨の奥が悲鳴を上げる。

 

 ──折れてる。

 

 確実に、どこか……いや、何本か骨がいっている。

 立ち上がろうとしても、身体は言うことを聞かない。

 視界が滲み、天井の錆びた鉄骨が歪んで見える。

 化け物の気配が、ゆっくりと近づいてくる。

 

 絶体絶命。

 

 

 ユウ

「……ッ……ここまで、かよ……」

 

 

 

 ──その瞬間。

 

 

 

ズドォォォォォォオオオンッッ!!!  

 

 

 

 ──廃工場の天井が、爆発した。

 

 

 ただ崩れたのではない。

 まるで 頭上から巨大な衝撃塊が叩きつけられた かのように、鉄骨がクロス状に折れ曲がり、溶接部分から火花を散らして弾け飛んだ。

 

 

バギィィィィイイインッ!! 

 

 

 強烈な破裂音と共にコンクリ片が雨のように降り注ぐ。粉じんが噴煙のように広がり、視界が一瞬で白に染まる。湿気を帯びた鉄と埃の匂いが、鼻を刺した。

 

 廃工場全体がミシッ、ミシミシミシッ……と悲鳴を上げる。

 積まれていたコンテナが衝撃で滑り落ち、ガラガラガラッ……と崩れ、地響きが足裏まで震わせる。

 

 視界が土埃に満たされている中……

 

 

 コツ……

 

 コツ……

 

 コツ……

 

 

 とあまりにも軽い足音が、爆音の残響を切り裂いて歩み寄ってくる。

 

 

 ユウ「え……?」

 

 

 土煙が、裂けた。

 まるでそこだけ空気の流れが違うかのように、自然と道が開く。

 

 煙の隙間から姿を現したのは──

 

 つい先ほど謎のバイト即合格を告げた、あの赤髪の女性。

 

 ただし今の姿は、店で見た彼女とは別人のように見えた。

 

 赤髪は爆風で乱れながらも、炎のように揺らぎ、光を帯びてゆっくり波打っている。

 右腕に装着されたガントレット? のようなものは鉄塊を固めて無理やり腕にくっつけたような異様な重厚感。

 拳の先端は獣の牙の形を思わせる鋭い曲線で、力を込めなくても“何かを壊す気配”が滲む。

 

 彼女は瓦礫の上に軽く着地し、そのまま肩を軽く回す。

 

 

 ?? 「うぉ!? 結構ピンチじゃん!? 良かった〜! 間に合って」

 

 

 彼女はユウを見た瞬間に、安堵したような表情を見せた。

 だが、ユウは目の前で見せられた光景をまだ理解できておらず、困惑しかしていない。

 

 

 ユウ「へ? え? ……あ、あんた……今、天井……?」

 

 

 ルミは質問をまるっと無視し、腕の関節をぽきぽき鳴らしながら化け物へ視線を向ける。

 

 

 ?? 「ってか、よくまともに異力(いりょく)も扱えないのに魔怪(まかい)から逃げれたねぇ? それに、その様子ならこいつからの攻撃貰っちゃったんでしょ? 普通なら身体が引き裂かれてるよ?」

 

 

 ユウ「は? え? 異力? 魔怪? いや意味わかんねぇよ!!」

 

 

 ユウが声を上げたその瞬間──

 

 

 魔怪「グギャアァァァ!!」

 

 

 ルミの背後から獣のような咆哮。骨ごとねじれた体を引きずりながら、弾丸のように赤髪へ跳びかかる。

 

 アスファルトの床が割れる。

 爪が床をえぐり、火花を散らす。

 

 

 ユウ「って危ないっ!! 後ろ!!」

 

 

 だが──その叫びすら追いつく間もなくルミの拳が化け物を殴り抜けた。

 

 

 

ドッゴォォォォォォォォォォオン!!!!  

 

 

 

 その瞬間、ユウの鼓膜が震えた。

 風圧が頬をなぎ、髪が後ろへ引っ張られる。

 ルミの拳が触れた場所を中心に、空気が一瞬で潰れて“空間のへこみ”が生まれる。

 

 化け物の胸骨は、ガラスのように砕けた。爆発的な衝撃に肉体が耐えきれず、肉片が花びらのように四散する。

 

 拳の衝撃だけで周囲の鉄骨が倒れ、天井の配管がもぎ取られて次々落下する。

 

 化け物はぐしゃりと潰れたまま吹き飛び、三重の壁を突き破り、巨大なコンテナにめり込んだ。

 

 

 ユウ「……は……?」

 

 

 言葉が出ない。

 思考が追いつかない。

 

 ルミは拳を軽く振り、拳についた埃を払うような所作で息をつく。

 

 

 ?? 「さて、自己紹介をし忘れてたね〜。アタシは何でも屋 “LOVE&Peace” の店長──」

 

 

 ──が。

 

 半壊したコンテナの奥で、どろり、と黒い粘液が蠢いた。

 千切れた腕と足が、勝手に生え始める。

 骨と肉のつなぎ目が、ぬちゅ……と音を立てて再結合していく。

 

 魔怪「ギャアアアァア!!」

 

 再生の途中にも関わらず跳びかかる。

 両腕だけで床を砕きながらルミの頭を狙う。

 

 爪が髪を掠める

 

 

 ──その直前。

 

 

 ルミは振り返りもせず、淡々と一言。

 

 

 ?? 「……邪魔しないでくれる〜?」

 

 

 化け物が床に叩きつけられた。

 

 化け物のの身体が、まるで巨大な手で“圧縮”されたかのように、べしゃり、ひれ伏す。

 

 

 次の瞬間。

 

 

 ボガンッッ!!! 

 

 

 潰れた体の内部圧が破裂し、肉片すら残さず霧状に散る。

 

 ユウ「……な……なんだ……今の……?」

 

 土煙の中、ルミはようやく振り返った。

 いつもの調子で──にこ、と笑う。

 

 ?? 「そして───」

 

 赤髪をかき上げながら、堂々と言い放つ。

 

 

「魔怪討伐班・班長の──燈田坂(とうださか)ルミだ。これから宜しくな!」

 

 

 足元には、化け物の死骸すら一片残っていない。

 

 

 ルミ「あ! ところできみの名前聞いてなかったね〜! なんて名前?」

 

 

 ユウ「園崎ユウです……」

 

 

 ルミ「いや〜! 無事でいてくれて嬉しいよユウくん! 。折角の新人君が死んでましたなんて笑えないからね〜?」

 

 

 ユウ「……ってそれより聞きたいことが山ほどあるんだけど!? さっきの化け物とか! 変な力とか! 今のパンチとか!!」

 

 

 ルミ「あ〜はいはい、それらはまた明日説明してあげるから落ち着きな〜。新人くん」

 

 

 ユウ「……まぁ、それなら……はい?」

 

 

 ルミ「そんで明日、特別研修な! 何も知らないみたいだから色々教えてあげるよ〜! 朝5時から来てね〜」

 

 

 ユウ「……って、はぁ!? 5時からぁ!?!?」

 

 

 こうして──

 

 

 俺の“非日常”な夏休みは、爆音と共に幕を開けたのだった。

 

 

 ルミ「って、結構重症っぽかったのに動いて大丈夫なの?」

 

 ユウ「んぇ? ……そ〜いや、ぶっ飛ばざれて骨の一本や二本が折れた気がしたんだけど …… 」

 

 ルミ「…… 期待の新人ってことだね!」

 

 ユウ「え? どゆこと?」

 

 

 




は〜い!
バカ主ことランドロス缶でございます〜!
いや ~初投稿で初作品の所謂 ~ 処女作というものですね〜。
本当にノリと勢いで書き始めたものなので、不自然なところや変なところがあるかもしれませんがどうぞよろしくお願いします〜!
あ、誤字脱字、もしくはなんかおかしくね?みたいなのがありましたら教えていただきたいです!

そして次回予告!
次回! 主人公ユウくん教育回!
たっぷり叩きこんで、ねじ込んで、ぶち込んであげましよ〜ね〜 ♪

あ、次回からはちゃんとしたあらすじと次回予告ができる予定です〜。

それではほな、またいつか〜!


以下備考?


┊︎園崎ユウ┊︎

・性別
男の子。

・年齢
高校1年生16歳!

・異能
無い!

・等級
ない!

・備考(?)

この物語の主人公!
そしてよわよわ無能力者!
異能力者やら魔怪やらのオカルトな話はあんまり興味がない人間。
これからアルバイト頑張ろ〜ね。


┊︎燈田坂 ルミ┊︎

・性別
お姉さん。

・年齢
企業秘密☆

・異能
???

・等級
???

・備考(?)
何でも屋 「LOVE&Peace」の店長
&魔怪討伐班の班長!
取り敢えず考えるより動くタイプで、部下を振り回す人。
かなり脳筋だけど結構強い人!


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