ユウ「確か前回は〜色々勉強して、ルミ店長と異力操作ってのをやったんだよな〜。」
ルミ「その通り!特別研修の異能力の基礎学習と異力操作の実践から基礎練習をやっちゃいました〜!いぇい!」
ユウ「実践から基礎練習って普通逆じゃねぇ!?」
ルミ「ユウの場合は仕組みを教えるより感覚で教えるほうがわかるでしょ〜?」
ユウ「まぁ…仕組み教えられてもちんぷんかんぷんだし…確かに?」
ルミ「でしょ〜?だから実践からにしたの〜!ユウくんみたいなタイプは一度感覚を掴むと強いからね〜。」
ユウ「でも、あの電流ビリビリは違くねぇ!?」
ルミ「まぁ。異力操作を覚えられたんだから結果オーライ!」
ユウ「むぅ…あんま納得できねぇけど…とりあえず第3話どーぞ。」
第3話 なんかまともそうな大人と初仕事!
── 何でも屋 LOVE&PEACE 店内。
朝の光が差し込む窓から、柔らかい埃がきらきら浮かんでいた。カウンターには飲みかけのミルクティー、壁には依頼の張り紙が雑多に貼られ、独特の“慣れた混沌”が漂っている。
ルミは両手をぱんっと打ち鳴らし、元気の固まりのような笑顔を浮かべた。
ルミ「ということで〜!」
テンション高く手を広げ、隣に立つ大人を紹介する。
ルミ「我が何でも屋LOVE&Peaceの副店長の優男!
紹介された大人。雪佐乃ソウは、薄い水色の髪が揺れるたび光を反射する。目元には眼鏡をかけており、空気ごと穏やかにするような落ち着きがあった。
ソウ「やぁ、燈田坂店長から紹介された、雪佐乃ソウだよ。よろしくね」
その声は驚くほど優しい。
ユウは一瞬ぽかんとしたが、慌てて背筋を伸ばし直す。
ユウ「俺は園崎ユウ……です。よろしくお願いします?」
ソウはくすっと喉の奥で笑った。
ソウ「あはは、そんなに畏まらなくても良いよ。幾ら副店長で上司であるからといって、君と同じなんでも屋の仲間なんだから」
その言葉を聞いた瞬間、ユウの肩に入っていた余計な力が抜ける。
ユウ「それなら ……ソウさん、よろしく!」
ソウ「嗚呼、よろしくね」
丁寧に頷くその仕草ひ、やはり“優男”という紹介がしっくり来る。
ルミは二人の距離が一気に縮まったのを確認すると、満足げに腰に手を当てた。
ルミ「それじゃぁ、アタシは他に用事があるから一緒に魔怪討伐頑張ってね〜!」
ひらひら手を振りながら、軽い足取りで店の奥へと消えて行く。
ドアが閉まる音だけが店内に残った。
ソウ「それじゃぁ、早速現場に行こうか。園崎くん」
ユウ「おうッ!!」
── とある路地裏
繁華街から一本外れた瞬間、空気が変わった。日の光が届かず、湿気のこもった匂いと古いコンクリートの冷たさが肌にまとわりつく。
ソウ「此処だよ」
ユウはきょろきょろと辺りを見回す。
路地は静まり返り、猫一匹いない。風すら吹き込んでこない奇妙な静けさ。
ユウ「此処……って、魔怪の気配もなんも感じねぇけど?」
ソウは軽く笑った。
ソウ「それは、感じようとしていないからだ。もっと五感を鋭く……そうだね、"皮膚"を意識してみるといい」
ユウは息を吸い、目を閉じ、集中する。
周囲の音がゆっくり遠のき、代わりに自分の鼓動と血流の音が鮮明になる。
皮膚の上を流れる空気の“歪み”が、少しずつ輪郭を帯びていく。
次の瞬間──
ユウ「……って、がっつり居るじゃん!?」
薄暗い路地の奥。
光の届かないその先に、"異力の濁流"が蠢いていた。
先程まで静かに見えた路地は、まるで沼の底のような不気味さを放っている。
ソウ「何体いると思う?」
突然の質問に、顔を顰めさせながら集中を続ける。
ユウ「ん〜……3体、とか?」
ソウ「惜しい。正解は2体だよ」
ユウ「おっしぃ〜!」
ユウは思わず肩を落とし、唇を尖らせる。
その様子にソウはやんわり笑い、軽く彼の肩を叩いた。
ソウ「初めてでそこまで読み取れれば上出来だよ」
その声はまるで兄が弟を慰めるように温かい。
ソウ「さて、数も分かったところで……奥に進もうか」
ユウ「おうっ!」
初仕事の緊張と己への期待を胸に、ユウは足を踏み出す。
薄暗い路地の先──
二体の魔怪が潜む影へ、二人はゆっくりと進んでいった。
── とある路地裏 奥地。
街灯の光も届かない闇のどん底。
そこは、湿った土と古びた鉄の匂いが入り混じり、鼻腔の奥まで沈殿してくるような“魔怪の巣窟”だった。
壁には長年の雨と埃が凝固し、黒くこびりついた苔がじっとりと光を吸い込んでいる。
天井の配管は風に揺れ、金属が擦れる細い音が「カラン……」と虚無の中へ消えていった。
その音さえも、今は異様なほど大きく聞こえる。
突然、ソウが右手を軽く上げ、ユウを制した。
ソウ「……ユウくん」
たった一言。
優しく囁くような声が刃物のように鋭く感じた。
その瞬間、ユウは皮膚の奥の“内側”がざわつく感覚を覚えた。
ユウ「魔怪っ!」
闇の奥で、二つの光が瞬いた。
それは目光ではない。異力の濁った粒子が凝縮した、不気味に揺らいでいる魔の怪物の姿であった。
── カサ……グギ……ッ。
まず路地の中央へ姿を現したのは、四肢を低く構えた犬型魔怪。皮膚はまだらに腐れ、露出した筋肉が赤黒く脈動している。顎から垂れる唾液は紫色を帯び、地面に落ちると「ジッ」と煙を上げた。唸り声は獣のそれよりも、人の叫びの名残を含んだ濁音。
もう一体、壁一面を這うように姿を滑らせるのは蜘蛛型魔怪。節くれだった長い脚が石壁をカツカツ叩き、音だけで皮膚が粟立つほど不快だ。腹部が脈打ち、そこから吐き出される糸が闇を銀色に縫い付けていく。
どちらも、路地裏の暗闇を紫がかった膜で包むように異力を広げ始めていた。
ソウは眼鏡を指先で軽く押し上げ、落ち着き払った調子で言う。
ソウ「等級は……そうだね、どちらもD級といったところかな。蜘蛛は僕が。犬の方はキミに任せようか」
冷静に判断を下すソウに、ユウは気合を込めるように短く返す。
ユウ「おすっ!」
足裏に力を込める。
己の内に眠る異核が、沸騰する前の湯のように静かに泡立つのを感じた。
── 犬型魔怪VSユウ & 蜘蛛型魔怪VSソウ
二体の魔怪が牙を剥き、脚を震わせた。
それだけで路地裏全体の空気が縮こまり、冷たく沈む。
ソウ「無理だと思ったら僕を呼ぶんだよ」
ユウ「大丈夫──」
ソウはユウの言葉を遮るように、軽く首を横に振った。
ソウ「大丈夫じゃない。キミはまだ新人で“子供”だ。そして僕は副店長で“大人”。 僕には君を守る義務がある。だから無理だと思ったら呼んでね。これは“お願い”じゃない。先輩からの命令だ」
それは優しさと厳しさを同時に帯びた、教師のような仕草だった。
ユウは一瞬、驚いたように目を見開く。
その表情はたった一秒で、決意の表情へ変る。
ユウ「……おう! あんがと!」
ソウ「分かればいいんだよ」
そう微笑むと、ソウは蜘蛛型魔怪に向き直り、刀にそっと手をかける。
ソウ「さて、お仕事開始だよ」
ユウ「おう!」
── ぐぎゃあああっ!!
二体の魔怪が同時に跳躍。
壁を蹴った爪が石片を砕き、反響音が狭い路地に乱反射する。
その直前、ソウの身体が空気ごと滑るように動き、二体を強引に分断した。
蜘蛛型を自分側へ引き込み、犬型をユウの前へ押し出す形だ。
犬型魔怪は、獣とは思えない軌道でユウへ突っ込む。
ユウ「はやッ!?」
強烈な風圧が頬を切り裂くようにユウに向かうが、魔怪が迫る圧のほうが濃い。
ユウは後方へ身を翻す。
地面の砂埃が舞い上がり、視界が揺らいだ。
だがその混濁の中でも、ユウは集中を深めていく。
ユウ「……ふぅ〜っ」
瞬きすら忘れた。
時間さえ遅くなるような感覚。
異核の熱が腕へ、拳へ、指先へと流れ込み、拳の表面に、肉眼では見えない微細な異力が薄膜を張る。
ソウは蜘蛛型魔怪の脚を受け流しながら、ちらりとユウの背中を見る。
ソウ「……(……戦闘中だというのに、この集中力。燈田坂店長が気に入るのも納得だね)」
犬型魔怪が、裂けた口をさらに開き、再び突進。
その速度はさっきよりさらに鋭い。
だが、胴体がガラ空きだ。
── 今だ 。
ユウは異力を乗せた拳を犬型魔怪の胴体へと放つ。
ユウ「……っぉらぁ!!!」
──2日前 何でも屋LOVE&Peace 店内
ルミ「ん〜、ユウの異力は流れるのが
ユウ「んぇ? 流れるのが早い?」
ルミはテーブルに手を置き、ミルクティーを片手に軽く笑いながら説明を続けた。
ルミ「本来なら拳が当たる瞬間に炸裂するはずの異力が、ユウは拳より早く流れてる。それでね、拳が当たる寸前に一瞬
ユウ「つまり……?」
ルミ「つまりね、ユウの打撃は通常の異能力者の
ユウ「えっ、めっちゃ強いじゃん!」
ルミ「うん。しかも、一瞬溜まることで魔怪の身体も
ルミ「名付けて──」
── とある路地裏 奥地
犬型魔怪が地面を砕きながら全速力で突進してくる。
ユウ「……
異力が拳より先に魔怪の体内へ侵入し、内部から揺さぶられ、筋肉繊維が一瞬で脆くなる。
そこへ拳が命中。
── ドゴォォッッ!!
衝撃波が路地裏の空気を歪ませ、砂埃が爆風で巻き上がる。
犬型魔怪の腹部が膨張し、捻れ、そして破裂し、腹部に風穴を開けられた犬型魔怪は黒い粒子となって霧散していく。
ソウ「ふむ……大丈夫そうだね」
蜘蛛型魔怪はまだ健在。
だが、ソウの前に立ちはだかるには遅すぎた。
ソウ「さてと、こっちも片付けようか」
刀を抜刀したその瞬間。
彼の刀は音すら置き去りにして、蜘蛛型魔怪の背骨に沿って斜めに滑り込む。
── ズッバァンッッッ!!!
蜘蛛型魔怪は一拍遅れて真っ二つに割れ、地面に崩れ落ちた。そして黒い粒子へと消滅していく。
ソウは刀についた紫色の粘液をを軽く払い、ユウへと顔を向ける。
ソウ「さて、お仕事完了だね」
ユウは拳の熱を抜き、荒い息を整える。
ソウ「よし、色々と店長への報告もあるし帰ろうか」
── 何でも屋LOVE&Peace 店内。
古めの木製カウンターと、温色の照明が落ち着いた影を作る店内。
外の薄闇とは対照的に、ここだけは妙にあたたかい空気が満ちていた。
扉を開けた瞬間、ユウの鼻先にあの店独特の“安心する匂い”が押し寄せる。
ルミがいつも愛飲しているミルクティーの甘い香りだ。
ルミ「お! おかえり〜! で、どうだった〜?」
カウンターの奥にいたルミが、椅子をくるっと回して笑顔で迎える。
ひらひらと手を振り、まるで家族を迎えるような明るさだ。
ユウ「ルミ店長〜! 俺、ちゃんと強くなってた〜!」
胸を張るユウの声は、ほんの少し震えている。自信と喜びが入り混じった、今日だけの特別な震えだ。
ルミ「でしょ〜? で、ソウの感想は?」
呼ばれたソウは、眼鏡を軽く上げながら穏やかに頷いた。
ソウ「もう、異能力者として問題は無いと思いますよ。1週間でよくここまで仕上がりましたね」
静かな称賛。
けれど、その声の奥には驚きが確かにあった。
ルミ「んや〜、ここまでは予想外だったよ。1週間で維持できるようになれば十分って思ってたしね〜。やっぱり若いと飲み込みも早いね!」
ソウ「ですね。 それと、もう研修期間も終わりですか?」
ルミ「そうだね〜。はい、お疲れ様、ユウ!」
ユウ「おう! ルミ店長もソウさんも、あんがとな!」
嬉しさで顔がゆるむ。
ルミ「それじゃ〜そろそろ〜……待ちに待った“新人歓迎会”ってやつ! やっちゃいますか〜!」
ソウ「いいですね。丁度仕事思わってあの二人が帰ってきますし」
ユウ「おぉ〜! 新人歓迎会っ! ……って、え? まだ2人も居たんだ!?」
ソウはカウンターの端に腰を下ろし、淡い笑みを浮かべる。
ソウ「そうだよ。店長と副店長の二人で切り盛りできるほど社会は優しくないからね。ユウの他に、バイトが二人いる。園崎くんと同い年の男の子と女の子が一人ずつだ」
ユウ「へぇ〜、俺と同い年なのか〜! なんか楽しみだな!!」
ルミ「でしょ〜? じゃあ! 早速歓迎会の仕込みやっちゃお〜!」
ユウ「店長〜! 俺、ピザ食べたい!!」
ルミ「いいね〜! ソウ! 頼んどいて〜!」
ソウ「人数を考えると……三枚ほどで大丈夫かな?」
ルミ「ま〜! もっと! たくさん!」
ユウ「寿司も食いてぇ!!」
ルミ「よぉ〜し! 寿司も頼んじゃお〜!!」
ソウ「そんなに頼んだら……お金が……」
わーきゃーわーきゃー、と賑やかに暴走するルミ&ユウ。
二人のテンションは最高潮で、店内が一気に祭り前の控室みたいににぎやかになる。
ソウはこめかみを押さえ、深いため息をつく。
ソウ「……はぁ」
けれど、その目元には小さく滲む笑み。
この騒がしさが、嫌いじゃない。
むしろ、この店らしい温かさだ。
ユウたち三人は、これから開かれる新人歓迎会へ向けて
楽しそうに、賑やかに。
仕込みを始めるのだった。
ルミ「次回予告ぅ!!」
ユウ&?ず「「「いえ ~い!」」」
ユウ「…って、またお前らかよ!」
??「次回のしんじんかんげいかい?とかってのに参加してやるんだから感謝しやがれ!」
??「もう???くん… 新人くんを怖がらせないの〜!」
ルミ「とまぁ、こんな感じの子達が次回登場します!」
ユウ「こりゃまた騒がしくなりそ〜。」
ルミ「というわけで次回!歓迎されてるとはいえ初対面ってなんか緊張するよね?
だ!」
以下備考?
┊︎園崎ユウ┊︎
・性別
男の子。
・年齢
16歳!
・異能
無い!
・技
迅滞撃《じんたいげき》
本来ならば打撃と共に炸裂する異力が早く流れ、打撃の寸前に一瞬溜まる事で本来の倍近くの威力をたたき出すことができる。
・その他
この物語の主人公!
そして今回よわよわ無能力者を卒業!
初任務でD級討伐おめでと〜!!
┊︎雪佐乃 ソウ┊︎
・性別
大人の男性
・年齢
26歳
・異能
???
・技
???
・その他
何でも屋 LOVE&Peaceの副店長!
優男で大人なイケメン!
B級異能力者だから結構強い!