非日常は突然に。   作:ライドロル缶

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――前回までのあらすじ

ソウ「前回までのあらすじ。」

ソウ「一人でやるのは少し寂しいけど、頑張るよ。」

ソウ「前回は園崎くんを連れての初仕事だったね」

ソウ「計9体の魔怪との戦闘が起こって、僕と園崎くんが一緒に戦ったんだ。」

ソウ「D級魔怪を2体倒して、C級魔怪と戦う…となったときにまさかの園崎くんの影から魔怪が出現。」

ソウ「そして、その魔怪の腕が園崎くんの腹部を貫いた。」

ソウ「さて、これからどうなるのかな。第6話スタート。」





第6話 なんかすごそうな魔怪のせいで初仕事どころじゃなくなった件!

 

 第5話 なんかすごそうな魔怪のせいで初任務どころじゃなくなった件! 

 

 

 

 ルミ「ユウッッ!!」

 ルイ「そんな………園崎くん!!」

 ガロウ「クソ新人ッ!!」

 

 ユウ「……あ……ぐっ…………!」

 

 自分の腹を貫いた黒い腕が、

 まるで心臓の鼓動に合わせるように、

 

 ぐにゅり、ぐにゅり── と、不気味な脈動を始めた。

 

 裂けた肉が呼吸するように震え、

 そこへ、黒い液体──液体でありながら液体とも言えない、

 “影そのものが(魔怪)”が、ぬるりと流れ込んでいく。

 

 熱くもない。冷たくもない。

 

 だが、確実に“体の内側の温度だけを上書きしていく”。

 

 感覚が──壊れていく。

 

 影は筋繊維の隙間を舐めるように侵入し、

 臓腑をゆっくり撫で回しながら、

 蛇のように脊髄へ、神経束へ、

 そして──脳の奥底へと、逆流する。

 

 ユウ「……っ、あ……が……ッ……!」

 

 喉の奥から漏れた声は、自分のものではなかった。

 声帯の振動すら、影に奪われていく感覚。

 

 頭の中心──脳幹あたりを、

 ”内側から指で押される”ような、

 悪寒が脊髄へと走る。

 

 

 ズンッ!!

 

 

 視界が白く爆ぜ、

 世界がひしゃげ、

 自分という“形”が砕けていく。

 心臓の鼓動が遠ざかる。

 血の音が聞こえない。

 代わりに聞こえるのは──

 

 

 ドク、ドク、ドク

 

 

 それは“なにかの鼓動音”だった。

 

 ユウ「(……だめ……だ……意識……が……)」

 

 橙色だった髪の色が黒い墨に浸されたようにじわじわ染まり、

 皮膚の下を走る血管が、黒い“裂傷”のように浮き上がる。

 

 呼吸が浅くなるのではない。

 

 呼吸という概念そのものが後退していく。

 

 自分の体が自分のものではなくなる感覚。

 

 意識の境界線が溶け、

 視界のはじまりと終わりが消え、

 名前も、記憶も、痛みも、

 “影の底”へと引きずり込まれる。

 

 ユウ「(……ここ……は……? ……俺……)」

 

 沈む。沈む。

 

 底のない暗闇へ、落ちていく。

 

 最後に残ったのは、

 どこかで響く仲間の叫び声──

 

 それすら水の中の音のように歪んで、

 ユウの意識は、完全に暗闇へと沈んだ。

 

 

 

 

 影の侵食が終わった、その一瞬の静寂のあと──

 

 ユウの身体は、

 まるで心臓を逆撫でしたかのように、

 ガクンッ! と大きく痙攣した。

 

 

 ビキッ

 

 

 骨が軋む音さえ含んだ、乾いた破裂音。

 

 皮膚の下を、黒い“筋”が奔った。

 

 それは血管ではない。

 影が血管を“乗っ取って形を真似ている”だけだ。

 細い糸のような黒い線が腕に、胸に、首筋に、

 雷光のような亀裂として浮かび上がり、

 その裂け目は生き物のように脈動していた。

 

 黒い割れ目の奥の“肉”が蠢き、

 そこから──影の“光”が漏れる。

 

 光なのに冷たい。

 

 光なのに、闇の塊より重い。

 

 髪は根本から墨を落としたように黒へと侵食され、

 肌の色は血が抜けた紙のように白く、

 そのコントラストが、人であった頃の面影を残酷に塗り潰していく。

 

 黒い裂傷が呼吸に合わせて増え、

 まるで影が肉を“内側から押し広げようとしている”ようだった。

 

 ルミ「……体内に入り込みやがった……!」

 

 息を呑むルミの声は震えていた。

 ユウの瞳は焦点を結ばず、

 まるで意識そのものが“体外へ追い出された”かのように、

 虚ろで、何も映していない。

 

 そこにはもう、ユウはいなかった。

 

 ユウの意識は──

 遥か深く、底のない影へと沈み、

 戻ってくる気配すらなかった。

 

 

 

 

 濃霧の奥で──

 

 

 影が、波打つように揺れた。

 

 まだ残っていたC級魔怪だ。

 

 ユウの変貌を“獲物の弱り”と誤認したのか、

 それとも単に飢えが理性を上回ったのか、

 黒い体毛を逆立て、喉の奥から低い咆哮を漏らす。

 

 魔怪「グオォゥゥアアアア!!」

 

 霧を裂いた瞬間、その巨体が跳んだ。

 アスファルトが破砕し、

 砕けた破片が霧の中を弾丸のように飛び散る。

 魔怪の軌道は一点

 

 ──ユウの喉元。

 

 鉤爪が喉を引き裂き、

 頭蓋を割り、

 そのまま食い千切ることを目的とした殺意の跳躍。

 

 真横から見ると、獣の軌跡は

 一本の黒い線にしか見えないほど速かった。

 

 ルミ「ちッ……! そういえば残ってたか!!」

 

 ルミの声には焦りが滲む。

 だがその焦燥も仕方がない

 

 “この状況でユウは避けられない”

 

 というのは明らかな事実であったからだ。

 

 何せ──ユウはピクリとも動かない。

 

 攻撃が迫っていることすら、

 感じていない体。

 

 意識が欠落し、

 ただ影だけが肉を動かしている抜け殻。

 

 霧の中、

 魔怪の鉤爪が風を裂き、

 ついにユウの首元へ触れる──

 

 その刹那。

 

 

 ゴッ

 

 

 

 鈍い衝突音が、濃霧の奥に轟いた。

 

 魔怪の巨体が、

 見えない壁に横から叩き落とされたように弾き飛ばされる。

 空気が潰れ、霧が渦巻き、

 魔怪は空中で不自然にねじれながら──

 

 

 

 

 ゴシャアッッ!!

 

 

 

 

 

 アスファルトへと叩きつけられた。

 腕は逆方向に折れ、

 肩は地面にめり込み、

 肋骨が折れる音すら霧に吸われず響く。

 

 魔怪の目が泳いでいた。

 何が起こったか理解できていない目だ。

 

 だが、場にいた何でも屋全員の背筋には同じ理解が走っていた。

 

 ──“ユウが動いた”。

 

 霧がゆらりと裂ける。

 影に刻まれたようなユウの足が、

 前へ踏み出した。

 

 その歩みは、人のものではなかった。

 

 バランスも重心も“生き物の歩き方”ではなく、

 操り人形の関節を無理やり引き剥がしながら進むような、

 歪んだ挙動。

 

 筋肉が外側からねじられるように動き、

 皮膚の下で黒い亀裂が蠢く。

 

 

 ビキ……ビキビキビキッ……! 

 

 

 ユウの身体が、

 影の圧力で内部から膨張した殻のように軋む音を上げた。

 瞳孔は焦点を失い、

 呼吸は荒いのに“生の意志”がどこにもない。

 

 

 ルミ「……どうなってんだありゃ……」

 ルイ「……魔怪が肉体を乗っ取った?」

 

 アスファルトに叩きつけられたC級魔怪が、

 その怪力で大地を割りながら立ち上がる。

 

 魔怪「グ……ガァアアアアアア!!」

 

 怒りと恐怖が混ざっていた。

 この“人型の異形”に、獣の本能が警鐘を鳴らしている。

 魔怪は四肢を地面へ突き刺し

 地を抉りながら跳躍。

 

 進行方向の霧が吹き飛び、

 刃のような鉤爪がユウの喉元を切り裂かんと迫る。

 

 

 ──その瞬間。

 

 

 バキィンッ!!! 

 

 

 乾いた、しかし重い音が空気を割った。

 砕けたのは魔怪の顎骨の方だった。

 ユウは殴っていない。

 避けてもいない。

 ただ“わずかに首を傾けただけ”。

 その最低限の動きに、

 影が肉体の全出力を乗せた結果──

 魔怪の頭蓋は、粉砕した。

 骨の破片と粘液が、霧に黒い霧散を描く。

 

 そしてユウの片腕が、“跳ね上がる”。

 

 

 

 ドガァアアアアッッ!!! 

 

 

 

 大気が裂け、

 霧が同時に吹き飛び、

 衝撃波が地面の破片を跳ね上げた。

 

 ユウの拳が、

 魔怪の胸郭を内側から破裂させる。

 胸骨が裂け、心臓が潰れ、

 臓器が霧に飛沫として散る。

 

 魔怪「ギャ……ア……ッ……!」

 

 悲鳴の途中で、次の一撃が落ちていた。

 

 

 ダンッッ!! 

 

 

 魔怪の頭部が地面へ叩きつけられ、

 アスファルトがクレーターのように沈む。

 

 

 ダンッッ!! 

 

 

 骨が砕ける音がした。

 

 

 ダンッッ!!! 

 

 

 腕がちぎれ、肉が弾け飛ぶ。

 

 

 ダンッッ!!! 

 

 

 ダンッッ!!! 

 

 

 ダンッッ!!! 

 

 

 数発ではない。

 “瞬きする間に十数発”の打撃。

 

 影は容赦なく肉を砕き、

 臓腑を散らし、

 骨を粉々にし、

 魔怪の形を削り落としていく。

 

 そこに“戦い”はなかった。

 

 ただの一方的な”蹂躙”だった。

 

 魔怪の異圧が消えた頃、

 

 地に残ったのは──

 

 

 魔怪だったぐずぐずに潰れた肉塊だった。

 

 

 魔怪を破壊し終えた“(魔怪)”は、

 まるで役目が終わったと判断したかのように

 

 

 ズルン……ッ

 

 

 骨の奥まで満ちていた影の圧力が、

 一気に“抜け落ちた”。

 

 

 ドサッ……

 

 

 ユウの身体が、

 支えを失った操り人形のように地面へ横倒しになる。

 

 黒い裂傷が脈打つのをやめ、

 雷の枝のように刻まれていた暗い線が

 ゆっくりと薄く、溶けるように消えていく。

 

 根本まで染まっていた黒髪が、

 煙のように色を手放していき、

 元の柔らかな色へと戻る。

 

 肉の奥へ潜り込んでいた“(魔怪)”は、

 深い闇へ吸い込まれるように消え、

 痕跡すら残さなかった。

 

 ルミ「……もどった……、んや収まったってわけか」

 

 誰も答えられない。

 

 だって──

 

 

 今までに見たことのない現象を何度も見せつけられてしまったのだから。

 

 

 ルイ「そうだ! ……お腹の傷が……!」

 

 ユウの腹は、

 つい先程まで“貫通していた”はずだった。

 

 なのに。

 

 皮膚が寄り、一枚の布のように滑らかに繋がり、

 赤黒い肉の痕跡も、穴の開いたシャツすら無視して、

 ただ“白い肌”だけが残っていた。

 

 ルイ「塞がってる……?」

 ガロウ「……おい……そりゃ冗談だろ……さっき腹を貫かれてたんだぞ……?」

 

 地面に倒れ込んだユウは──

 

 まるで何も知らずに眠っている人間のように、

 静かに、一定のリズムで息をしていた。

 

 ついさっきまで影に乗っ取られ、

 C級魔怪を圧倒的な暴力で粉砕した人間とは

 同一人物とは思えないほど穏やかな呼吸。

 

 まるで──

 

 最初から何も起きなかったかのように。

 あれほど狂気じみた暴走をした身体とは思えぬほど、

 傷ひとつない寝顔だけが残されていた。

 

 

 ルミ「まったく……厄介な事になったね……」

 

 

 濃霧が晴れ、月明かりのみの薄暗いの中で、

 ユウの胸が静かに上下する音だけが、

 異様な静けさの中に響いていた。

 

 





ルミ「次回予告ぅ!!!」

ユウ「いや。絶対にテンション感間違えてない!?」

ルミ「はいはい、うるさ〜い!」

ガロウ「おい!くそ後輩!なんだあぁありゃ!!」

ルミ「うわ、もっとうるさいのが来たよ…。」

ユウ「俺も知らねぇよ!逆に教えてほしいわ!!」

二人「「…」」

ユウ「急に黙るなよ!!」

ユウ「ってか、これ次回予告じゃないの?まだ何にも予告してないけど!?」

ルミ「はいはいわかってるって〜」

ガロウ「こまけぇこといちいち気にすんなよな〜?」

ユウ「こまかくねぇよ!!」

ルミ「そんなこんなで次回!なかに入ったものは仕方がないから制御できるようにするために猛特訓ね!だ〜!」

ユウ「雑い上に、長っ!?」

ルミ&ガロ「そんじゃぁ次回もお楽しみに!(楽しみにしとけよ!)」


以下備考?


┊︎園崎ユウ┊︎
・性別
男の子。
・年齢
高校1年生16歳!
・異能
前兆があるらしい?
・その他
この物語の主人公!
初任務なのになんか災難だったね!!

それと、一応D級倒せてよかったね!


以下バカ主

つい昨日のことではあるんだけど、1話〜3話ぐらいまでを書き直そうかと思っております!

流石に、描写が少ないと言うか…一話とかって大事なものがあのクオリティだと折角見てくださった人に申し訳ないというか…。
ってことで!

多分今週中には書き直したりしてるとおもうので、改めて見てくださると超絶感謝の極みで極楽浄土に突っ込みます!

では!またいつか!!
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