非日常は突然に。   作:ライドロル缶

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ルミ「やっほ〜!前回のあらすじだよ〜!ってことで、サクちゃんよろ!」

サク「はい、前回のあらすじ」

サク「前回は園崎ユウ様が目を覚ましたところから始まりましたね」

ルミ「んや〜、無事に目覚めてよかったよ。」

サク「そこで、身体の状況やこれからの方針も決まり」

ルミ「ついに!特訓パートに突入だ〜!!」

サク「では、第8話どうぞ。」

ルミ「結構急に行くんねぇ!?」





第8話 治せるからって痛いものは痛いんだからな!?

 

 

第8話 治せるからって痛いものは痛いんだからな!?  

 

 

 

── 異能力者専門病院 地下グラウンド

 

 

 

 地下へ続くエレベーターが、

 ゴウン……ゴウン……

 と地底へ沈むような重い振動を響かせながら止まった。

 一息を着くように、機械が シュウ…… と圧を抜く。

 

 サク「園崎ユウ様がお入りになります。皆様は一度、異能の使用を中止してください」

 

 澄んだ声だが、地下の空気に跳ね返ってよく響く。

 エレベーターの扉が左右に開いた瞬間──

 ユウの視界は、一気に“異世界のスケール”へと開けた。

 

 ユウ「うッッッ、わぁ〜……ひっろ!」

 

 128メートル四方。

 体育館どころではない、小さなスタジアム級の空間が広がっていた。

 天井は遥か頭上。

 黒鉄の補強板に走る模様は“筋肉”のようにうねり、

 時折その表面を青白い異力の稲光が走る。

 壁一面、巨大な訓練設備。

 射撃場、爆撃エリア、模擬戦用ドーム、衝撃吸収床──

 何もかもが「異能力者が壊す前提」で造られている。

 

 ルイ「園崎くん!」

 

 両手を振りながら駆け寄ってくるルイ。

 いつもの穏やかな笑顔だが、どこか嬉しそうだ。

 

 ガロウ「おう! クソ新人! やっと起きやがったかぁ!!」

 

 ガロウは腕をぶんぶん振り回し、体から熱気が立ち上るほど元気だ。

 

 ユウ「ルイにガロウ!? なんで此処に居るんだよ!?」

 

 ルミ「其れは単純」

 

 横からひょいと顔を出すルミ。

 光の反射で髪の紅がきらりと揺れた。

 

 ルミ「ここが、異能力者が訓練したり、自分の力を確認したりできる“専用の地下グラウンド”だからだよ」

 

 サクが淡々と続ける。

 

 サク「因みに、この地下グラウンドは異力を練りこんだ特殊素材で構築されております。強度はA級相当。ルミ様や道三様が戦闘しても崩壊しません」

 

 ルミ「つまり! いつ爆発するか分からない“魔怪という爆弾”を抱えたユウにとって」

 

 ぐっと指を立て、

 

 ルミ「これ以上ない最適な訓練場ってわけ!」

 

 ガロウ「しかも俺の爆破でも全く壊れねぇからよぉ! 全力でぶっぱなせんだよ!」

 

 道三「本来なら、並大抵の異能力者じゃ傷一つ付けれんのじゃがなぁ……」

 

 ルイ「それは、ガロウくんが強すぎるからじゃ……」

 

 ガロウ「あったりめぇだぁ! 俺は最強になって、A級異能力者になってやるんだよ!」

 

 その勢いを断つように、

 ルミが パンッ! と手を叩いた。

 

 ルミ「さて! 雑談はこのぐらいにして、そろそろトレーニングといこうか!」

 

 声は軽い、だが空間全体が引き締まった。

 

 道三「そうじゃのぉ……若いやつらのを見とると、私も血が湧いて仕方ないわい」

 

 サク「では、私もご一緒させていただきます」

 

 ルミが両手を腰に当て、

 

 ルミ「なら〜、サクちゃんがみんなの相手ね〜」

 

 道三「え? わしは?」

 

 ルミ「折角の貴重な“怪我の治療人”だし〜。教えるの苦手でしょ〜? だからサクちゃんに任せます!」

 

 道三「むぅ〜……まぁ、良いわ」

 

 道三はどうやら諦めた様子で、頷いた。

 

 ルイ「花織さん、よろしくお願いします!」

 

 ガロウ「はっ! クソメイド! 女だからって加減はしねぇぜ!」

 

 ユウ「そう簡単にはやられねぇかんな!」

 

 ルミ「お ~ 気合十分って感じだね〜」。

 

 ユウ「嗚呼、ゼッテェに強くなって制御でもなんでもできるようになってやる!」

 

 ルミ「うん! いい返事だ! んじゃ……」

 

 指でチョイと合図。

 

 ルミ「3人はサクちゃんについてって〜。んで、アタシはクマちゃんと一緒に見といてあげるからさ~ 」

 

 ユウ「おうッ!!」

 

 その声が地下グラウンドに響き渡った。

 

 

 

── 地下グラウンド・戦闘訓練場

 

 

 

 静寂。

 

 ほんの数秒前まで確かに存在していたざわめきが、嘘のように消え失せていた。

 訓練場の中央だけが、まるで世界から切り取られたかのように静まり返っている。

 

 その中心に、サクラコは立っていた。

 

 

 構えはない。

 肩の力は抜け、背筋だけが真っ直ぐに伸びている。

 両手は腹の前で軽く重ねられ、指先にすら力みは見えない。

 

 異圧の放出もない。

 殺気も、威圧も、誇示するような何かも。

 

 それでも──

 そこに立っているだけで、場の主導権が奪われている様な感覚に襲われる。

 

 やがてサクラコは、ゆっくりと手袋を外す。

 革と布が擦れ合う、乾いた音。

 

 その動作一つひとつが、無駄なく、静かだ。

 

 そして──

 指先を、軽く鳴らす。

 

 パチン。

 

 小さな音。

 それだけで、空気が沈んだ。

 

 肌を撫でる温度が一段下がったような錯覚。呼吸が、ほんのわずかに重くなる。

 

 

 サク「では──模擬戦、開始と致します」

 

 

 淡々とした宣告。

 それが合図だった。

 

 

 ガロウ「チッ……上等だ!! ぶっ飛ばしてやんよぉ!!」

 

 

 次の瞬間──

 

 

 ドンッ!! 

 

 

 爆裂音が訓練場に叩きつけられる。

 床が震え、衝撃が足元から突き上がった。

 

 ガロウの脚部から爆炎が噴き、

 砲弾のように勢い良く射出される。

 

 

 

 ユウは一瞬で判断し、足を開く。

 全身の感覚を研ぎ澄まし、異力を拳へ集中させる。

 

 ユウ「……ふぅ……」

 

 息を吐き、地面を蹴る。

 

 ルイ「……援護します!」

 

 ルイの腕元に白金色の粒子が集まり、

 光の線が絡み合うように弓の形を成す。

 

 弦を引き絞る動作は、ほんの一瞬。

 

 ルイ「──聖矢射撃(サギッタ)ッ!!」

 

 閃光。

 

 空気を裂き、一直線に奔る聖矢。

 魔怪すら内側から浄化する高密度の一射が、

 正確にサクの胸元を狙う。

 

 同時に──

 

 ユウ「迅滞撃(じんたいげき)ッッッ!!」

 

 ユウが踏み込み、拳を突き出す。

 接触の“後”に異力が炸裂する、時間差の打撃。

 

 三方向からの同時攻撃。

 角度、速度、タイミング──どれも完璧。

 

 だが。

 

 サクは──前に出た。

 

 回避のためではない。

 迎撃のためでもない。

 

 踏み込んだ瞬間、

 重心をほんの僅かに落とし、身体を半回転させる。

 

 聖なる矢は、

 鎖骨の上をかすめるように通過し、

 背後の壁へと吸い込まれるように消滅した。

 

 ユウの拳は、

 手首を軽く払われただけで軌道をずらされ、何も掴めないまま空を切る。

 

 

 ユウ「なっ……!」

 ルイ「なっ……!」

 

 

 狙いは完璧だった。

 それでも──すべて、読まれていた。

 

 

 次の瞬間。

 

 

 サクの足は、床を蹴らなかった。

 

 代わりに──

 ユウの腹部を踏み抜いた。

 

 

 ズンッ!! 

 

 

 鈍い衝撃。

 ユウの身体を通して、床が悲鳴を上げる。

 

 衝撃が放射状に広がってゆく、

 

 サク「……基礎」

 

 低く、淡々とした声。

 

 その振動だけで、

 ルイの足元の床が揺れ、体勢が一瞬乱れた。

 

 サク「……動揺」

 

 

 その“一瞬”を──

 

 

 ガロウ「天地裂破(てんちれっぱ)ッッッ!!!」

 

 

 爆炎を纏った拳が、唸りを上げて振り抜かれる。

 側頭部狙い。

 直撃すれば終わりの一撃。

 

 だが。

 

 サクの左手が、()()()

 

 ガロウの拳を。

 爆炎ごと。

 

 ガロウ「──は?」

 

 次の瞬間、理解する。

 

 異力が沈黙している。

 掌の中で、自分の爆破が死んでいる。

 

 圧倒的な異圧差。

 発動する前に、力そのものが()()()()()()

 

 サク「……力任せ」

 

 肘。

 

 ゴンッ!! 

 

 鳩尾。

 人体の急所を、寸分違わず打ち抜く。

 

 衝撃が内側で炸裂し、

 肺の空気が一気に吐き出される。

 

 ガロウ「ぐ……ッ……!!」

 

 息が、止まる。

 

 続けて──

 肘を引かず、手首を返し、体軸を崩す。

 

 投げ。

 

 ガロウの巨体が宙を舞い、

 背中から床へ叩きつけられる。

 

 ドォン!! 

 

 床が震え、粉塵が舞う。

 ガロウは、起き上がらない。

 

 残るは、ルイ。

 

 歯を食いしばり、前を見る。

 

 ルイ「……まだ、終わってません!」

 

 心拍を抑え、集中。

 弓が、鼓動と同調して脈動する。

 

 二射同時形成。

 

 ルイ「──聖矢射撃・双射(デュアル・サギッタ)!!!」

 

 左右から交差する白金の閃光。

 回避不能の挟撃。

 

 だがサクは──

 矢と矢の“内側”へ踏み込んだ。

 

 髪一本分の安全地帯。

 距離が、ゼロになる。

 

 サク「……接近」

 

 掌底。

 胸骨の中心。

 

 音は小さい。

 だが、衝撃は内側で爆発する。

 

 ルイの身体が宙を舞い、

 壁に背中を打ち付けて崩れ落ちる。

 

 肺が痺れ、呼吸ができない。

 

 サクは三人を見下ろす。

 呼吸は乱れず、汗一つ浮かんでいない。

 

 

 サク「──これで終了でございます」

 

 

 淡々とした宣告。

 

 

 道三「……完敗じゃな。ほれ、治療してやろう」

 

 ガロウ「……クソ……全然……届かねぇ……」

 

 ユウ「なんつ ~ 強さだよ ……っ 」

 

 ルイは、かすかに笑った。

 

 ルイ「……でも、……何が足りないか……はっきり分かりました……」

 

 サクは手袋を拾い、静かに装着する。

 

 サク「お三人とも異能力者としての才能は十分」

 

 一拍。

 

 サク「ですが、実戦経験が圧倒的に足りません」

 

 地下グラウンドに、

 重く、逃げ場のない沈黙が落ちる。

 

 

 誰も動かない。

 誰も言い訳をしない。

 

 ただ、敗北の余韻だけが、

 床に沈んだ三人の身体と共に、場を支配していた。

 

 サクは、静かに三人へ視線を向ける。

 叱責でも、嘲笑でもない。

 淡々と──事実を述べる瞳であった。

 

 

 サク「蓮咲様は連携がなってません。勢いのままに相手に突っ込むのはやめましょう」

 

 ガロウの肩が、わずかに跳ねる。

 

 サク「それと、全ての動きが力任せで単調。正直、読みやすいです」

 

 胸の奥を、冷たい指で突かれたような感覚。反論が浮かばないのが、何よりの証拠だった。

 

 サク「もっと、相手が読みにくい攻撃や動きを身につけましょう」

 

 ガロウ「……チッ」

 

 歯噛みする音が、小さく響く。

 

 次に、サクの視線がユウへ向く。

 

 

 サク「園崎様は、基礎がまだなっていません」

 

 ユウは、無言のまま拳を見つめる。

 

 サク「それに、一撃で終わらせようとし過ぎています。そのせいで、次の一手を考えられていません」

 

 ──迅滞撃。

 初めての必殺技である、この技に無意識に頼っていることを自覚させられた。

 

 サク「拳以外の技のレパートリーも、欲しいですね」

 

 ユウ「……拳……以外……」

 

 小さく呟く。

 

 そして、最後に──

 サクはルイを見る。

 

 サク「神崎様は、異能の都合上、遠距離主体なのは仕方ありません」

 

 ルイは、静かに息を整えながら聞いている。

 

 サク「ですが、近接された際の対応力が不足しています」

 

 先ほどの掌底が、まだ胸に残っている。

 

 サク 「異能の“解釈”を、もっと拡げてみると良いかもしれません」

 

 ルイ「……近接……、解釈……」

 

 視線を伏せ、思考に沈む。

 

 その空気を──

 軽く叩き割るように、ルミが手を叩いた。

 

 ルミ「さてと! 今度はアタシがお手本を見せてあげようか」

 

 にやり、とした笑み。

 

 サクラコ「……遠慮します」

 

 即答だった。

 

 ルミ「えぇ!? むぅ〜、ケチぃ〜!」

 

 場の緊張が、ほんの少しだけ緩む。

 

 だが、サクはすぐに姿勢を正す。

 

 サク「そんなことよりも、燈田坂様からの意見をお聞きしたいのですが」

 

 ルミ「そんなこと……」

 

 一瞬だけ言葉を濁し、

 それから、肩をすくめて続けた。

 

 ルミ「まぁ〜、主にサクちゃんの言ってる通りだけど〜」

 

 三人の方を見て、指を一本立てる。

 

 ルミ「ここで一つ! 異力を使わない“素の戦闘”だったら、皆が勝ってたよ」

 

 ユウ「えっ? まじ!?」

 

 顔を上げる。

 

 ガロウ「……成程なぁ? 何となく……わかったぜぇ……」

 

 拳を、ゆっくり握る。

 

 ルイ「異力操作の精度……そして、異力の使い方ですね」

 

 ルミ「その通り!」

 

 ルミは満足そうに頷く。

 

 ルミ「異能力者はね、“土台”がしっかりしてる人ほど強いの」

 

 三人を見回し、明るく告げる。

 

 ルミ「だから! この三日間、頑張って鍛えてね〜!」

 

 その言葉は軽い。

 だが──

 

 その裏にある意味を、

 三人は痛いほど理解していた。

 

 地下グラウンドにはまだ、

 敗北と課題の重さが、確かに残っていたのだから。

 

 

 

 

 ──── ??? side

 

 

 

 

 湿気を含んだ空気が、肌にまとわりつくように重く 一度吸い込めば、肺の奥まで冷たさと黴の匂いが染みついて離れない。

 

 照明は最低限。

 天井から無造作に吊るされた裸電球が、ジ、ジ……と微かな音を立てながら、不規則な間隔で明滅している。

 明るくなるたび、闇に溶けていた輪郭が浮かび上がり、暗転するたびに再び飲み込まれる。

 

 ここが地下なのか、あるいは地下に似せた隔離施設なのかは分からない。

 だが一つだけ、疑いようのない事実があった。

 

 

 ──ここは、人目から完全に切り離された場所だ。

 

 

 中央に置かれているのは、簡素な金属製のテーブル。

 錆びた脚が床に擦れ、かすかに歪んでいる。

 その周囲に、四つの影が集っていた。

 

 最初に口を開いたのは、

 深くフードを被り、顔の大半を無機質な仮面で覆った男だった。

 

 

 ?? 「今回の標的は、()()()()

 

 

 低く、淡々とした声。

 感情の揺れを一切含まないその言葉が、地下空間に静かに染み渡る。

 

 

 ?? 「つい最近、何でも屋《LOVE&Peace》に入った新人だ。現在は、金熊玄隆次郎道三の異能力者専門病院に滞在している」

 

 

 そして──

 

 

 ?? 「我々の目標は、園崎ユウの()()だ」

 

 

 その一言を椅子にだらしなく腰掛けた青年が、どこか愉快そうに聞いている。

 

 白髪。

 引き締まった体躯に、ボロボロの黒いTシャツ一枚。

 異様なのは、その全身に縫い付けられた無数のジッパーだった。

 腕、腹部、脚、首元にまで走るそれらは、まるで「いつでも解体できる」と主張しているかのようだ。

 

 ?? 「へぇ〜。あの道三のとこねぇ」

 

 命の話題とは思えないほど、口調は軽く緊張感など微塵もない。

 

 フードの男が続ける。

 

 ?? 「それに……燈田坂ルミもいる」

 

 その名前が出た瞬間、

 空気が、はっきりと変質した。

 

 ?? 「何……ッ!?」

 

 低く唸るような声と共に、

 筋骨隆々な男が、勢いよく身を乗り出す。

 

 黒に近い赤髪。

 岩を削り出したかのような筋肉。

 座っているだけで周囲に圧を生む存在感。

 

 ?? 「あの、()()が……?」

 

 怒りとも、歓喜ともつかない闘争本能が、その瞳に宿る。

 

 そこへ、甲高い声が割り込んだ。

 

 ?? 「はぁ〜? あのクソゴリ女がですかぁ〜?」

 

 金色のツインテールが、苛立ちを込めて揺れる。

 黒いフリルの服に包まれた小柄な体。

 見た目だけなら、年端もいかない少女。

 

 しかし、その瞳に浮かぶのは──

 明確な悪意と、歪んだ自己愛であった。

 

 フードの男は、二人の反応を意に介さず言葉を続けた。

 

 ?? 「……嗚呼。だからこそ、戦力の分散が必要だ」

 

 白髪の青年が、首を傾げる。

 

 ?? 「ん〜? 鉄拳とかいう女って、そんなに強いの?」

 

 興味半分、遊び半分。

 

 フードの男は一拍置き、率直に答えた。

 

 ?? 「正直に言えば……私たち全員で掛かって、互角といったところかな」

 

 一瞬の沈黙。

 裸電球の光が、明滅の合間に四人の表情を照らし出す。

 

 ?? 「へぇ〜……」

 

 白髪の青年が、楽しそうに口角を上げた。

 

 ?? 「君にそこまで言わせるって、相当だね」

 

 次の瞬間、

 筋肉の男が椅子を蹴るように立ち上がる。

 

 ?? 「ならば、我がその鉄拳を討ち滅ぼしてやろうではないか」

 

 椅子が床を擦り、軋む音がやけに大きく響いた。

 

 ?? 「はぁ!? その役目、アタクシが行きたいんですけどぉ〜?」

 

 金髪の少女が、声を荒げる。

 

 それを聞いた白髪の青年が、からかうように笑った。

 

 ?? 「は〜い、うるさいよ〜? よわよわちゃ〜ん」

 

 ?? 「はぁ!? アタクシのどこが“よわよわ”だって言うのよッ!!」

 

 怒鳴り声が、地下空間に反響する。

 

 フードの男は、深く息を吐き、懐から一枚の符を取り出した。

 紙には、赤黒い術式が複雑に刻まれ、微かに脈動している。

 

 ?? 「……なら、これを持っていくといい。私の()()()()()()()()だ」

 

 だが──

 

 ?? 「要らぬ」

 

 即答。

 筋肉の男は、符に一瞥もくれない。

 

 ?? 「我の力のみで、十分よ」

 

 それだけ言い残し、

 男は背を向け、闇の奥へと歩み去っていった。

 重い足音が、徐々に遠ざかってゆく。

 

 ?? 「って、アタクシをはぶいてんじゃねぇ!!!」

 

 少女の叫びが虚しく響く。

 

 フードの男は、小さく肩を落とした。

 

 ?? 「……はぁ。彼が死なないと良いんだけどね」

 

 白髪の青年は、軽く肩をすくめる。

 

 ?? 「まぁ、大丈夫でしょ〜」

 

 ?? 「それにさ、死んだら死んだで……それだけ強いって、分かるじゃん?」

 

 あまりにも軽い言葉。

 

 それにフードの男は、静かに頷いた。

 

 ?? 「……まぁね」

 

 淡々と告げる。

 

 ?? 「さて。私たちは私たちで、動き始めようか」

 

 ?? 「アタクシを、無視するなぁ〜!!!」

 

 少女の声が、再び地下に響き渡る。

 

 その喧騒とは裏腹に──

 ドス黒い悪意が、すでに水面下で動き始めていた。

 

 静かに、確実に。

 園崎ユウたちへと、牙を向けるために。

 

 

 

 

 






ソウ「次回予告だよ 。」

ルミ「お!用事終わったんだね〜!ソウくんや〜!」

ソウ「えぇ。そういえば、皆の様子はどうですか?」

ルミ「んや ~サクちゃんにボコられて実力差を分からされたところだね〜。」

ソウ「成程、蓮咲くんの様な子ならいい薬になるかもしれませんね。」

ルミ「ま ~早速なにか掴みかけてるっぽいし~!若いって凄いよね〜!」

ソウ「 ですね… 、っと次回予告がまだでしたね。」

ルミ「ん ~ なになに〜?次回!謎の組織と襲撃されし園崎ユウ!……ってなにこれ!?」

ソウ「謎の組織が襲ってくるってことじゃないですか?」

ルミ「まじぃ〜? 問題が山積みだぁ〜!」

ソウ「それでは、次回もお楽しみに。」
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