次回は月曜日あたりに更新しようと思います。
一応忙しいのは今週で終わるので来週からはしっかりと更新できると思います。
それでは第十話です。
「本当にこんなことをしていいのでしょうか?」
真戸さんが出した案は単純なものだった。
【フエグチ】の死体の一部を娘をおびき出す餌とすること。
人として褒められることではないが、確かにおびき出せる確率は高い。
喰種は基本的に嗅覚も鋭くできているらしい。
だとすれば自分の母親の匂いにも気付いてここに来るかもしれない。
娘の方ではなくとも【ラビット】が現れる可能性もある。
だからこの案は、捜査官としては良い考えなのかもしれない。
でも僕には、どうしても納得できなかった。
それでも僕の問いかけをあざ笑うかのように真戸さんは言った。
「喰種は悪だ。そんな悪相手に手段なんて選んでられないよ。クズは所詮クズ。駆逐しなければならない」
「……そう、ですか」
聞く前から分かっていた筈の答えに、ほんの少しだけ悲しかった。
真戸さんが捜査官を続ける理由は本人から聞いて知っている。
どれだけ喰種を憎んでいるかも。
きっと一生、その考えは変わらない。
それでも僕は……
「先輩。局からの指令で新たな喰種の目撃情報です。先輩と私は現場へ急行とのことです」
「行きたまえ。この件に関しては私と亜門君で十分だ」
「……分かりました。すぐに行こう雨宮」
よくあることだ。
特に最近は二十区にも捜査官が増えたと言えば増えたが、実際他の班との捜査で大体が出払っている。
そこで自由に動けるのが現在喰種捜査のサポートに入っている僕と雨宮だったわけだ。
今回は車ではないので歩いて現場に行くことに。
局の方に改めて確認をしてみると、その情報は現場の近所に住む住人からの口コミらしい。
なんでも全く近所付き合いがないらしく、その実態は誰も知らないらしい。
格好もいつも同じらしく不気味だとのことだ。
「……後悔しているのですか?」
「何がかな?」
「真戸上等の非人道的なやり方に対してです。先輩は仕事をきちんとこなしています。でも、喰種を殺すことに罪悪感を感じている。だからあのやり方に賛成したのを後悔しているのでは、と」
淡々とそう告げる雨宮の言葉に心が揺らいだ。
確かにあのやり方には納得がいかないし、少しだけ後悔している。
それでもこの状況で件の喰種をおびき出すには最適とはいかずとも有効ではあった。
「さぁ、な。それより現場はまだここから遠い。早く向かおう」
自分のその言葉で意識を切り替える。
【フエグチ】の娘や【ラビット】に関しては真戸さんと亜門に任せて、今は自分の仕事に集中しなければ。
頷く雨宮を引き連れ、一刻も早く現場へと向かう。
赤く染まりかけている夕焼けに、一抹の不安を覚えながら。