喰種捜査官 城嶋裕輔   作:夏目 朝陽

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やっと落ち着いてきた頃……
中々更新できずにすみませんでした。

それでは第十一話です。


#011

急遽近隣住民からの通報により僕達は件の現場へと来ていた。

とは言ってもあくまで喰種である疑いがあるというだけで、もし人間ならばそれはそれで当人たちの問題になるから僕達捜査官の出番ではない。

だけど、もし喰種であることが確定したら……

 

管理人から事情を説明して許可を取った僕達は早速中へと入る。

築何十年か経っているであろうアパートは、こう言っては悪いが少し不気味な雰囲気を醸し出している。

 

「204号室。ここのようですね」

 

「うん。念のためにすぐにクインケを使えるようにしておいて」

 

目的の部屋の前に来て雨宮にそう促す。

僕もすぐにクインケを使えるように少し構え、覚悟を決めてインターホンを押す。

 

甲高い間延びした音を奏でて、中にいる住人に呼びかける。

 

「……出ないな。留守の可能性もあるけど捜査許可は出ている。中に入ろう」

 

初めに押してからさらに四回鳴らしたが反応がないため強行突破をかけることに。

一応喰種捜査において喰種の疑いがあるということで、警察のように令状に似た書類が発行される。

今回もそれに基づいて捜査を行っているというわけだ。

 

管理人から預かっていた鍵を使い中へと入る。

 

部屋はカーテンを閉め切って光が遮られており、より一層不気味な雰囲気が漂ってくる。

一つ一つ部屋を調べて誰かいないか探す。

しかしどの部屋も同じように生活感のない、物が一つ二つしかない部屋ばかり。

 

「次で最後の部屋ですね」

 

「ここでいなかったら待つか後日に改めるか……。まぁでも、今日中には片付けたい案件ではあるね」

 

「取り敢えずこの部屋に入りましょう。どうするかはそれからです」

 

「そうだね」

 

話も纏まりドアノブに手をかける。

扉をくぐると、そこは他の部屋とは違い物が多く置かれた部屋。

おそらくはこの空間で生活しているのだろう。

 

部屋の中を散策しているとベッドのところに膨らみが見える。

丁度人がいる分の大きさだ。

 

雨宮と顔を合わせてアイコンタクトを取る。

気を引き締めて思いっきり布団をめくりあげクインケを構える。

 

「……っ!?大丈夫か君!!」

 

そこにいたのは手足を錠で繋がれた中学生くらいの子供。

中性的な容姿で男か女か分からないが綺麗な顔立ちをしている。

ただ拷問まがいの虐待を受けたのか全身ボロボロで、瞳には光が宿っていなかった。

無感情にこちらを除く目は全てに絶望しきった顔。

 

これは喰種であろうが人であろうが許される行いではない。

 

口を開かずただこちらを見続ける子供にどうしようもない既視感を覚える。

この子はまるで……

 

「先輩、錠を外しましょう。すぐにCCGに連絡して保護します」

 

「あ、ああ。そうだね。雨宮は連絡を頼む。これは僕が外すよ」

 

雨宮が携帯を取ったのを尻目に子供へと目を向ける。

 

「もう大丈夫だよ。今、外してあげるからね」

 

声をかけて錠を繋ぐ鎖を切る。

錠自体を外したわけではないが、これで自由に動くことができる。

 

連絡も付いたようで早速外へと向かう。

 

子供をおんぶして玄関をあとにする。

背負った子供は思いのほか軽く、ろくに物を食べさせてもらっていなかったことが窺える。

 

そんな状態になるまで助けることができなかったことに苛立ちつつも、CCGから迎えの車が来るまで近くのファーストフードで休むことに。

 

「ちょっと僕のコートだと大きすぎたかな」

 

あのままの恰好で外を歩かせるわけにもいかないから僕のコートを子供に着せた。

相変わらず何の反応も示さない子供を見て何とも言えない気持ちになるものの、めげずに話しかける。

 

「君、名前はなんていうの?」

 

「……瑠梨」

 

「……!!そうか、瑠梨ちゃんっていうんだ。可愛い名前だね」

 

「……僕、男だよ」

 

「え。あ、ああ。ごめんね間違えちゃって……」

 

取り敢えず反応してくれたことに内心喜びつつも、瑠梨君から事情を聞きだすことにした。ただ気を付けなければ監禁されていた時のことを思い出してしまう。精神的にも不安定であろう現状、深く聞いてしまうことは出来ない。

 

「瑠梨君。好きな物頼んでいいですよ。この人が奢ってくれるので」

 

「おい。まぁ別にかまわないけどさ」

 

「……これ、食べたい」

 

そう言って瑠梨君が指差したのは各種のバーガーセット。

でも何日も食べていないのなら、胃が受け付けないかもしれない。

でも本人が言ってる手前止めるのも気が引けるため、それらを全て注文する。

 

数分後に何枚ものトレイに分けて運ばれてきた。

すぐさまそれに食らいつき涙を流し口いっぱいに頬張る瑠梨君を見て、僕は現実を突きつけられる。

 

結局、僕は今まで何も救えていなかったのだと。救えた気になっていたのだと。子供一人こんな状態になるまで何も出来なかったことを、改めて実感する。

 

そしてそれは唐突に訪れた。

大きな爆発音とともに。

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