√Aの意味も分かってちょっとすっきり。
原作とは内容違うけどカネキ君かっこよかったです。
それでは十二話です。
大きな爆発音は僕達がいるファミレスのすぐ近くのものだった。
喰種は鼻も利くという。やはりあの場所から少し離れた程度では駄目だったのか。
被害がこれ以上広がらないように、雨宮に瑠梨君を任せて外に出る。
爆発したのは自動車のようで、激しく燃え上がる車の傍らにそれはいた。
綺麗な黒髪を風邪で靡かせ、どちらかと言えば美人の部類に入るのではと思われる顔立ち。清楚な佇まいとは裏腹に嗜虐的な笑みをこちらに向ける女性は尾赫の赫子を持っている。
おそらく、この女性が瑠梨君を監禁していた張本人で通報のあった喰種だろう。
「フフ……あなた、私の人形の匂いがするわ。ああ、どこにいるの?教えなさい……早く早く早く早く!!!!!!」
「そうはいかない。君はここから逃げられない」
狂っている彼女に起動した【ナツムラ】を構えて答える。
どうやらこの喰種は瑠梨君に対して異常な執着を見せている。
もしも彼女を瑠梨君と引き合わせてしまったら間違えなく標的は僕から瑠梨君に代わってしまうだろう。
この喰種の強さが分からない以上、それだけは絶対に避けなければならない。
「……私の邪魔を、するなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
急加速した喰種は僕の頭目掛けて赫子を突き立てる。
それをすれすれで躱すと【ナツムラ】で一閃を放つ。
だがそれも赫子に弾かれて防御され、再び僕の頭を狙った攻撃が繰り出される。
尾赫の赫子は基本的に万能型だ。攻守、スピードともに申し分なく、特に弱点と言えるようなものもない。ただしその反面、決め手に欠けるというのが欠点だ。
だからこそしつこいくらいに頭ばかりを狙ってくるのだろう。
正直やりずらい相手ではあるが問題ない。
狙いが分かれば後はそれを逆手にとって反撃するのみ。
幸いにもいち早く現状を理解した一般人達はこの場にはもういない。
ならばギミックも遠慮なく使えるし、何より。
―本気で戦える。
彼女の攻撃をいなしながらも徐々に神経を研ぎ澄ましていく。
生憎と僕は特等レベルの強さなんて持ち合わせていない。
だけどそれでも、上等まで上り詰めたんだ。白単翼賞だって持っている。
だからこれくらいの喰種なら、無力化するのはそう時間もかからない!!
少し甘めに入った喰種の赫子を思いっ切り弾き飛ばす。
動揺したその隙をついて一気に懐に潜り込み、【蝙蝠】討伐時と同様ギミックを発動させて喰種の体を無数の棘で串刺しにする。
そこから遠心力を利用して【ナツムラ】を横に振りきり、喰種を投げ飛ばす。
どこぞのテナントの壁にぶち当たりずるずると地面に落ちていく喰種は血だらけだった。
これではもう回復はおろか動くことすらままならないだろう。
いくら動くことが困難だろうと、こちらを睨みつける目にはまだ狂気じみたものが渦巻いている。
拘束する手段はないし、このまま放置しておくのも危険だろう。
市民の安全を考えればここで殺すしかない。
……殺したくはないが、ここは割り切ろう。
どのみちコクリアに送ったとしてもこれだけ危険な思考をしているなら遅かれ早かれ処分はされる。
だから、仕方がないんだ……
無理矢理そう自分に言い聞かせて【ナツムラ】を喰種に向ける。
「あ、ぅ……」
「っ!?瑠梨君!?」
【ナツムラ】を上段に構えようと振り上げた刹那、視界にファミレスで雨宮といるはずの瑠梨君の姿が映る。
「すぐに戻れっ!!」
どうして一人でファミレスから出てきたのかはこの際気にしていられない。
すぐさま戻るように叫ぶが、足が竦んだのか動く気配がない。
そしてその瞬間、最も恐れていたことが起きる。
「ああ……私の、愛しい、人形ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんんんん!!!」
瀕死に近い状態だったのにどこにそんな力があるのか。
ほとんど執着心に等しいその狂気から一直線に瑠梨君の元へと駆ける喰種。
その危険事態にいつも以上に自然と体が動く。
間に合うかどうかわからないが全速力で瑠梨君の元へと走る。
喰種の赫子が瑠梨君に突き立てた瞬間。
「ぐっ……が、あぁっ……!!」
ギリギリで間に入った僕のお腹に突き刺さった。