喰種捜査官 城嶋裕輔   作:夏目 朝陽

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少しずつ核心に迫ってきている城嶋さん。

それでは第十五話です。


#015

十二月十九日。【アオギリの樹】という喰種集団の殲滅作戦のため選抜された僕達CCGの捜査官は【アオギリの樹】のアジトと思われる十一区に来ていた。

 

次々と現れる喰種との激しい戦闘の最中、僕は彼に出会った。

 

「金木君。やはり君は……」

 

久しぶりに会った彼は全身ボロボロで、黒だった髪は真っ白になっている。

そして、顔には眼帯マスク。

 

彼が亜門の言っていた眼帯の喰種だったのか。

 

「城嶋さん……CCGの人だったんですね」

 

「ああ。ここにいるということは君は【アオギリの樹】の構成員なのか?」

 

「……違う。僕はあんな奴らとは……」

 

【アオギリの樹】という言葉に過剰なまでに殺気だてる金木君。

どうやら彼は【アオギリの樹】とは敵対しているみたいだ。

 

「戦わなきゃ、いけないですか?あなたと」

 

「僕は捜査官で、君は喰種。それが今ある事実さ」

 

「……そうですね。なら……」

 

ふわりと吹く風と共に、彼の腰のあたりから四本の赫子が姿を現す。

そして顔つきも変わった。一切の優しさを捨てた冷徹なその眼は、強さとともに寂しさを感じた。

 

戦闘態勢になった彼から目を逸らさず、【ナツムラ】を起動する。

 

「それじゃあ、―始めようか」

 

僕のその言葉と同時に、僕達の闘いが始まった。

 

 

× × ×

 

 

【アオギリの樹】殲滅作戦から遡り十日前、車を降りた僕はあんていくにて金木君に会いに行った。

 

結論を言ってしまうと、金木君は数日前から行方不明だそうだ。

店長である芳村さんに詳しい話を聞くと、理由は分からないが思い当たる節はあるとのこと。

 

それは、金木君が件の鉄骨事故の被害者だという話を僕がした直後に言った言葉だった。

 

曰く、その事件で体を損傷した彼は嘉納という医者のレシピエントになったと。

曰く、そのことに深く悩んでおり、毎日薬を飲んでいたのもあってかあまり食事を摂っていなかったと。

曰く、どこか遠くへ行きたいと呟いていたと。

 

情報をくれた芳村さんにお礼をしつつ、お店を後にする。

 

何故だろうか。このことに凄く違和感を感じる。

元々は僕の方から尋ねたことだが、まるでエサでも与えられたかのような感覚に陥る。

 

……でも、今考えるべきはそこではない。

これで、金木君が人工的に喰種になった可能性が濃厚になってきた。

そしてそれは、嘉納という一人の医者によって行われたことで何より、喰種になったと思われる金木君に臓器を移植された神代利世が【大喰い】ではなくとも喰種であるということがほぼ確定と言っても過言ではない。

 

ならば今調べるべきは金木君じゃなく、嘉納だ。

 

次の目的が明確になったところで携帯が鳴る。雨宮からだ。

 

「どうかしたのか?」

 

『退院おめでとうございます。早速ですが至急局に来てください。緊急会議です』

 

「……分かった。すぐに向かうよ」

 

雨宮の声色からただならぬ雰囲気を感じた僕は、通話を切りタクシーを拾う。

次から次へと問題が山積みだな。

 

そう思いながらも急いで局へ向かう。

 

取り敢えず金木君の件に関しては篠原特等や黒磐特等あたりにでも話しておいたほうがよさそうだ。

 

そう決めてふと、窓の景色を眺める。

 

雲一つない空とは裏腹に、僕の胸には言いようのない霧のようなものが募っていった。

 

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