喰種捜査官 城嶋裕輔   作:夏目 朝陽

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ついに二十話。意外に読んでくれている人もいるのでちょっと嬉しいこの頃です。
もっとわかりやすく読みやすく書けるようになりたいです。


#020

十一区を根城にしていた喰種組織、【アオギリの樹】との戦いから半年が過ぎた。

 

あの場にいた二百四体もの喰種を殲滅し、十一区での戦いはCCG側の勝利に終わったと思われた。

 

―しかし、【アオギリの樹】の本当の狙いは二十三区にある喰種収容所【コクリア】。

その手はSSレートの喰種を拘束している地下独房第三層まで及び、結果として極めて危険な喰種達が再び東京の街に放たれることになった。

 

その一件以降は成りを潜めているが、確実に水面下でさらなる戦力増強を図っているだろう。

 

そして件の作戦にて活躍した捜査官の何人かがその階級を上げることなった。

 

亜門は僕と同じ上等捜査官に。

鈴屋は二等捜査官に。

 

そして何より嬉しかったのは僕のパートナーである雨宮が一等捜査官になったこと。

こうして自分の傍で段々と成長していく姿を見て、頼もしさと嬉しさの反面、ほんの少し寂しさを覚える。

 

いったい何故なのか自分でもよくわからない。

本当にどうして、寂しいなんて思ったのだろう……

 

そんなことを考える間もなく、僕はすぐに思考を戻す。

 

今現在、篠原特等らの協力を得て金木君を施術した嘉納と言う医師の捜索に力をあげている。

大まかな確証したことと可能性の話をした上での協力で、意外なことに篠原特等達も【大喰い】捜索にあたってあの鉄骨事故に目を置いたみたいだ。

 

やはり頼りになる人達だ。

 

早速手分けして事件を遡ったりはしているのだが、中々情報が手に入らない。

これはかなり時間がかかりそうだ。

 

そういえば。

今までその存在がほのかに噂となって聞いていたが、あの喰種レストランと思われる建物内で大量の喰種が見るも無残な姿で散らばっていたという。

 

内部もおそらくは赫子と思われる物での損傷などで、その場所でいったい何が起こったのか安易に想像がつく。

 

―共食い。

強力な喰種である赫者への条件の一つでもある。

 

強い、と考えてふと唐突に彼の事を思い出す。

 

「……いったいどこにいるんだ」

 

最後に見た、心に闇を抱えた全身ボロボロの少年の姿を思い出した。

 

 

× × ×

 

 

「うわー。これは派手に壊れたね」

 

「はい。すみません。折角作ってもらったのに……」

 

「いやいやそれだけ相手が強かったという証拠さ。それよりも新しいクインケを用意しないとね」

 

僕は現在一区にあるCCGのラボラトリに来ている。

十一区の【アオギリ】との戦いの際、偶然出会った金木君と戦いクインケを破壊されたため、新しいクインケを持たなくてはならないのだ。

 

だからクインケを新調するために地行博士に頼んでここにいる。

 

「それで、新しいクインケを使用することは出来ますか?」

 

「んー。まぁないわけじゃないけどね。実は今鈴屋二等に頼まれて彼専用のクインケを製作中でちょっと忙しいんだ」

 

「そう、ですか」

 

新しく作るのが無理なら既存のものを貰っていくしかないようだ。

 

そんな考えを読んだのか、それとも別に意味があったのか、地行博士は何かを思い出したのか部屋の奥へと戻ってしまった。

 

しばらく待っていると、奥の部屋から少し駆け足で戻ってくる。

しかしその手に握らせたクインケを見て、僕は一瞬拒絶反応が出てしまった。

 

「【クレナ……】」

 

「君の、いや、君達の事情は知っているけどこれが一番いいと個人的に思うよ。それにきっとその方が彼女も喜ぶさ」

 

このクインケは僕がまだ捜査官になりたての頃、初めて組んだ先輩捜査官が使っていたクインケ。

ここに保管されていることからその先輩捜査官が今どうしているのか、語る必要もないだろう。

 

でももし、これが必然だというのなら、僕は甘んじて受け入れよう。

 

「……使います。【クレナ】を」

 

「そう言うと思ったよ。はい、これ」

 

地行博士の手からそれを受け取り、重量以上の重さも感じられるクインケを手にして思う。

 

あの日、あの時の約束を僕は果たせているのだろうか。

 

「急の事だったのにありがとうございました」

 

「いや、気にしないで。そのために僕らはここにいるんだから」

 

地行博士にお礼を言い、その場を去る。

 

外に出て一度立ち止まり目を閉じ空気を吸う。

思い出すのはあの日の記憶。

 

それは僕がCCGに入局して間もなく、本当に新人だった頃の記憶―

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