二週間近くですかね?
それでは第二十二話です。
「ここが最初に捕食が行われたと思われる現場だよ」
雪菜さんの車で着いたのは、廃墟となった病院跡。
ここが【Mr.J】と呼ばれる喰種が最初に捕食を行ったとされる場所で、廃墟と言うだけあって辺りは散らかり酷い老朽化している部分が目につく。
日中だから今はそこまでの雰囲気はないが、夜になれば一層不気味さが増すだろう。
「でも何故こんな場所に人が来たんですかね」
「被害に遭ったのは男女の大学生四人組。だから多分肝試し感覚で来たところを運悪く襲われたって感じかな」
なるほど、ね。
だとしても引っかかる点がある。
こんな人気のない、郊外に近い場所にわざわざ来る意味。
肝試し目的だというところだけを見れば何も可笑しなところはない。
だが肝試しができる廃墟ならこんな知っている人がいるかもわからないところより、有名な所が二十三区内に三つもある。
そして運悪くそんな場所に潜伏していた喰種。
いや、もしかしたらつけられていたのかもしれないが。
どちらにせよ、疑問点が少しでも浮かび上がった以上、調べるしかない。
しかし黙々と調べていくも有益な情報は何一つ得られず、結局第二の現場へと向かうことになった。
次に来たのは第二現場である路地裏。
第一現場からかなり距離が離れており、その点もまたさらなる疑問を募らせる。
「うーん。やっぱり変だね」
「何がですか?」
「第一現場もそうだけどこの第二現場。かなり距離があるし、いくらフットワークが軽くても何か意図した理由がなきゃ来ようとは思わないよ。考えられる可能性は……不規則に捕食場所を変えることで捜査を攪乱して身元がばれないようにしている……。だとしたらこの喰種は少なからず人間社会に溶け込んでいる可能性があるね」
……驚いた。
まさか僕と同じ、いや、それよりも先の事まで考え、高い可能性を導き出している。
最初のほんわかした雰囲気で「どうしてこんな人が?」という疑問も、今なら納得できる。
この高い捜査能力がこの人を上等捜査官まで上り詰めた要因の一つなのだろう。
これはこの人の評価を訂正しなければならない、な。
「ならまず調べることは事件発生から今に至るまで現場付近で不審な車両はなかったか、ということですね」
「うん。まずはそこからだね」
捜査の方向性が決まり、早速それに取り掛かる。
初めての聞き込みで上手くいかないところがあったが、雪菜さんのフォローのおかげで何とかまともなものにはなった。
こういうところでも流石と言わんばかりの能力を見せる雪菜さん。
やはり僕の勘違いだったみたいだ。
この人は凄い。
でもそれはあくまで捜査能力に関して。
捜査官である以上、喰種との戦闘は避けられない。
いくら捜査能力があろうとも、弱ければ全く話にならない。
それでもこの人は上等捜査官。それなりの強さは持っているはずだ。
ここまでの上等捜査官としての能力に感心しつつも、戦闘能力に対しても淡い期待を寄せる。
それからも捜査はそれなりに進み、時刻は夜八時を回った。
この時間になると当たり前のように暗くなり、より辺りの闇が深まり不気味な雰囲気を醸し出す。
そんな刹那の事だった。奴が……
―喰種が僕らの前に姿を現したのは。
次回やっと戦闘。
雪菜先輩の初戦闘シーンですね!
そして城嶋さんは当初どれくらい強かったのか……
それではまた次回!