喰種捜査官 城嶋裕輔   作:夏目 朝陽

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時間あったのでもう一話投稿しちゃいます。

それでは第三話、どうぞ!


#003

現在僕達は二十区の喰種対策局にいる。

あれから現場に向かい調査をしたが、やはり知っている情報以上のものは得られなかった。

 

「結局無駄足でしたか」

 

何も進展する情報がなかったことに落ち込む雨宮。

確かに個人を特定できるような有益な情報は得られなかった。

周辺の聞き込み調査もしたが大した情報は得られず終わっている。

 

ただ改めてこの大量捕食事件を考察すると一つだけ分かったことがあった。

 

「取り敢えず現段階ではこの【大喰い】が女性の線が高いってことだな」

 

「え……?何故ですか?」

 

「被害者の大半が男性な上にその中でも二十代の若者が多い。今まで過去にあった他の喰種の捕食事件からも男性喰種が同性を捕食する傾向は少ない。以上の事を踏まえると【大喰い】は女性である可能性が強い。まぁあくまで可能性が高いだけだけど」

 

僕の説明に納得したのか、一つ頷いてデスクの資料を手に取りその一部を僕に渡してきた。

 

その意味をすぐに理解した僕は席に着き、一枚一枚資料を念入りに確認する。

 

【大喰い】が女性であると仮定して資料を見直すことで何か見落としていたところが見つかるかもしれない。

 

淡々と資料を一文一文しっかり確認している雨宮を横目に、僕は先程喫茶店で出会った女性を思い出していた。

 

あの時感じた違和感。それはどこかずれている感じ。世間から。―人間から。

あいつらと同じ。そして、僕と……

 

昔の事を思いだし、少し嫌な気分になる。胸に広がるもやもやと過去の記憶が、深い思考の闇へと僕の体を沈めていく。

 

「先輩、そちらは終わりましたか?」

 

「っ!?……ああ、まぁ、な」

 

「?そうですか。それより今日はもう時間も遅いですし退勤しましょう」

 

「そうだな。よし、帰るか」

 

雨宮に声をかけられ意識がはっきりとする。

時計を見ると時刻は二十二時。いつの間にかそれなりの時間が経っていたようだ。

 

帰宅しようとコートを羽織りオフィスを出ると同時に電話が入る。

誰か確認してから通話ボタンを押す。

 

「もしもし。何か用ですか?」

 

『酷いなその反応は。高校三年間一緒だった仲じゃないかよ、親友!』

 

「面倒な奴だ……。で?何か用があるんだろう?」

 

『ああ、そうそう!実はさっきたまたま歩いてたら事故現場に遭遇しちゃってさ、なんでも大学生くらいの男女二人組なんだけど女の方が鉄骨の下敷きになって重傷。男の方もなんか怪我が酷いらしくてな。速攻病院運ばれててなー。いやー怖い怖い!』

 

「……要件はそれだけか?切るぞ」

 

『えー、なんだよ。面白いのはここからなのに』

 

「手早く言ってくれ」

 

『反応冷たすぎでしょ。まぁいっか。んとね、その事故現場っていうのが最近テレビでもやってた―』

 

「……え?」

 

 

× × ×

 

 

あの電話の後、僕はあいつが言う事故現場に来ていた。

結構時間が経った今でも野次馬の数が凄いし、警察も現場の調査をしている。

 

ここは高田ビル通りのすぐ近く。喰種の捕食現場からそれほど距離のない場所だ。

 

これが果たして偶然なのか、それとも……

 

取り敢えず少しだけ調べてみよう。まず明日はそれからだ。

 

胸に言いようのない不安を残し、僕はその場を後にした。

この事故が後に、喰種にとっても、僕達CCGにとっても大きく関係する分岐点だとも知らずに。

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