喰種捜査官 城嶋裕輔   作:夏目 朝陽

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もう結構肌寒くなってきましたね。
風邪ひかないように気を付けないと!

では第八話、どうぞ!



#008

捜査官の一人が喰種に殺された。

普段通り仕事をして帰る丁度その時に入った一報だ。

 

対象喰種の名前を【ラビット】と名付け、二十区に厳戒態勢を敷くこととなった。

 

殺された捜査官はあの雨の日、【フエグチ】と呼ばれる女性の喰種を追い詰めた内の一人。

おそらく【ラビット】は真戸さん―捜査官に殺された【フエグチ】の復讐ではないかという見解が現在有力な説だ。

 

帰り際、雨宮にも気を付けるようにと念を押し、僕はあんていくへ寄り道していった。

 

ドアを開けると心地の良い鈴の音が聞こえる。

それと同時にコーヒーの良い香りが鼻につき、僕を落ち着かせてくれた。

 

「あれ?新しいバイトの人ですか?」

 

いつもの席に着くと、この店で見慣れない顔がそこにいた。

服装と仕事をしている姿から察するに、新人君だと思うのだが。

 

「あ、はい。金木といいます」

 

「金木……?」

 

その名前に疑問を覚える。

思考を巡らすと一つだけ、その名前に心当たりがあった。

 

【大喰い】を捜査していた最中に起きた謎の鉄骨事故。

その被害を受けた男女の大学生の内の一人の名前が金木研だった。

 

あいつの電話からの情報を頼りに調べた【大喰い】に関係しているかもしれない人の一人だ。

女性の方は残念ながら亡くなったと聞いた。

 

つまり現在、ロストした【大喰い】の有力な情報を握っているかもしれないのだ。

まさか僕の行きつけの喫茶店で働いていたとは……。世の中狭いものだな。

 

「(少しずつ探っていくしかないか。いきなり核心に迫ったら警戒されかねない)」

 

そう考え取り敢えずは当たり障りのない話をすることにした。

 

「僕は城嶋。ただの会社員だ。結構ここに来てるから覚えていてくれると嬉しいな」

 

「あ、はい!よろしくお願いします!」

 

それからいつも頼んでいるコーヒーを堪能しつつ、彼と会話を重ねた。

上井大学に通っていること、ヒデという親友がいること……。

最初は緊張しているようだったけど、話しているうちに慣れてきたらしく彼の好きな小説についての話も聞いた。

 

金木が喰種であることも視野に入れていたが、話を聞く限り人間のようだ。

その話自体が嘘かもしれないがおそらくそれはない。

 

嘘は分かる。僕の特技の一つだ。

嘘をついた人間は嘘をついたことをしっかり自覚しているため目線や声、話し方、仕草などで分かる。

 

でもそのどれもが金木君には当てはまらなかった。

 

いくらか時間が過ぎてそろそろ帰ろうかという頃、僕は金木君に別れを告げて家路についた。

 

流石にまだ事故についての事は聞けなかったので【大喰い】についての情報もゼロ。

それでもいくつかある収穫に少し笑みをこぼす。

 

【大喰い】の情報はないが、金木研の情報は集まった。

個人的にも彼の事を気に入ったし、次はもう少し確信めいた情報を手に入れよう。

 

明日もまたここに訪れることを楽しみにしながら寝室へと向かう。

 

―この出会いは果たして偶然か、必然か。

その答えは、誰も知らない。

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