【架空コミュ】極月Pが白草四音をプロデュースする話 作:ミーティオル
プロデューサーコミュ
*「おはようございます、四音さん」
四音「……あ、あぁ。おはよう、ござい、ます」
*「相変わらず、朝は大変そうですね」
四音「体質で……昔から、これには苦労させられました……」
*「……ところで四音さんは眠れていますか?
たとえば、そう――」
*「深夜まで練習していたり、なんかは」
四音「……き、昨日からやめました」
*「ま、まさか今まで……?」
四音「よ、夜が一番冴えるのだから仕方ないでしょう!?
覚えやすい時間に詰め込むのは、定石です!」
*(やはり、習得スピードが異様に早かったのは……)
*「今度、四音さんにはおすすめの安眠グッズをお送りします。
しっかり休むことも、レッスンだと思ってください」
四音「そこまで言うなら。
ふふ、でも……。
これで寝すぎて、起きられなかったらあなたのせい、ということになりますね」
-第八話-
四音「……控室がいやに静かに感じます」
*「そうですね。
白草月花、彼女が参加する。
……その事実だけで、コンテスト全体の空気がこうも張り詰めています」
四音「いつもながら――忌々しい。
いつだって、アレが来たときはこうなる。
ただ、立つだけで。
ただ、そこにいるだけで。
誰もが目を離せなくなる。
誰もが息を呑む。
白草月花は――そういう力がある」
*「そこから発揮される圧倒的パフォーマンス。
……恐ろしいのは、そのプレッシャーでさえも彼女の演出だという事ですね。
極限の緊張状態から放たれる第一声、そして動き。
初めてみた時は、心臓を掴まれたかのような衝撃がありました」
四音「……見ていたんですね」
*「はい。
プロデューサー科は『お前たちのプロデュースでアレを作れるか?』
などと無茶を言われますから」
四音「……それで、よく私をプロデュースする気になりますね。
それも――白草月花を倒す、とまで言って」
*「実際のところ、彼女の存在は僕たちにとっても高すぎる壁です。
彼女は、あれだけの能力をセルフプロデュースで得てきたのですから。
あんなのを見せられたら、プロデューサーなんていらないじゃないか。
……正直、そう結論付けたくもなります」
四音「……なるほど。
それは極月学園にプロデューサー科が少なくもなります」
*「……けど。だからこそ、僕は挑もうと思った。
白草月花を『正解』にはしたくなかったんです。
最強のアイドルが彼女で。
最高のプロデューサーは、アイドル自身。
彼女に勝てない――そう考えた瞬間、彼女は『正解』になってしまう。
アイドルに『たった一つの正解』があるなんて、そんなふざけた話はない。
――そんな時、四音さんを見たんです」
四音「……私を?」
*「極月学園は、他のアイドル校と比べても優れたアイドルが多い。
その上で、競争意識も高いアイドルが揃っています。
ですが、白草月花に挑もうとするものは誰もいなかった。
――四音さんを除いて。
四音さんが他のアイドルと違うことは、すぐに見てわかりました。
白草月花を見る目が、明らかに違いましたから。
彼女に勝つために、戦っているとわかったんです」
四音「プロデューサーも、ボクと同じだった、と――?」
*「えぇ。だから、僕は。
――四音さんが良かった」
四音「……なんで、今までそんな大事な話を黙っていたんですか」
*「四音さんの抱えた思いに比べれば、僕の抱くものはごく小さなものですから。
――そういえば以前、四音さんは自分をアイドルらしくない、と言いかけたことがありましたね。
今も、そう思いますか?」
四音「……結局、ボクの芯にあるものは、姉に勝つという思いだけ。
他のアイドルのように、キラキラはしていない」
*「……僕は思うんです。
キラキラしてるだけが、アイドルではない、と。
アイドルは、見てる人に力を与えてくれるもの。
熱を帯びたギラギラした光もまた、人に力を与えてくれる。
なら――ギラギラしたアイドルがいたっていい」
四音「……ボクはギラギラしていると?」
*「はい、とても。
生物的な、脂の入った感じの輝きです。
こってり系かも」
四音「ラーメンみたいに言わないでください。
そんなにこってりもしてないです」
*「……まぁ、ともかく。
アイドルとは長い歴史を持つものです。
ギラギラしたアイドルを受け入れるだけの懐の深さはあるでしょう」
*「――そろそろ、時間ですね。移動しましょう」
――会場に続くその通路に。
一人、立つ影があった。
四音「あれは」
その声に、女はゆっくりと振り返る。
四音「――月花姉さま」
月花「……ほう」
*(……ッ!
あれが――白草月花。
実際に目の当たりにすると、凄まじいオーラを肌で感じる……!
ただ、立っているだけで、これほど存在感が……!)
四音「……日本に戻られる、という話は聞いていませんでしたが」
月花「どうせ、私が行けば自ずと勝手に伝わる。
ならば、一報を入れるまでもない。
現に、私がいることはすでに伝え聞いているだろう?」
四音「勝手な……。
このコンテストも、本来なら出られるはずもなかったのに」
月花「私も極月学園の生徒だ。
極月学園のコンテストに出場することに、何ら問題はない。
……よもやそんなくだらないことを話したいのか、お前は?」
四音「まさか」
月花「なら、端的に。
無駄な時間を使わせるな」
四音「……昔から、そういうところが気に食わない。
ボクが言いたいことは一つだ」
四音「――白草月花。ボクはお前に勝つ」
そのまま、月花を通り過ぎていく四音。
舞台袖へと、彼女は続く。
月花「……ほう。ふふ」
*「……先ほどは見事でした。
あの白草月花を前にして、臆することなく挑戦を叩きつけた。
あの場で同じ事ができる人は数えるほどでしょう」
四音「……っ」
*「四音さんっ!? フラついて――」
四音「ふ、ふふ……。大丈夫。
緊張の糸が切れた、だけ」
*「こちら、水です」
四音「……助かります。
あれほど、超えたい。忌々しいと思った相手も。
実際に目の当たりにすれば、あの存在感に膝が笑ってしまう。
……弱い自分が、嫌になる」
*「ですが、四音さんは逃げませんでした。
それどころか正面から、勝負を叩きつけた。
……まぎれもなく、それは強さです」
四音「もう――逃げ場はない。
ステージに立てば、ボクは」
*「……一人ではありません。
戦う四音さんの姿に、必ず心を動かされる人がいる。
力を借りましょう、たくさんのファンから」
四音「ファン――。ボクのファン、か」
*「まず、ここにも一人ファンがいます。
レア中のレア、サインつきの名刺を持ったファンが」
名刺を取り出し、四音さんに見せる。
*「ふふ、自慢のファングッズです。
どうです? たまらなく、羨ましいでしょう?」
四音「……ふふっ、やれやれ。撫子が悔しがる顔が浮かびますね」
四音「ふーっ……」
四音(……ボクは、挑む。白草四音として)
四音「これから、あなた達にはボクの復讐譚に付き合ってもらいます。
この白草四音の、魂を燃やした生き様をッ!
――その目に焼き付けなさいッ!」
学年 1年生
ランク-「A」
姓名 白草 四音(しらくさ しおん)
歌唱力-A
表現力-A
ダンス力-A
観客意識-A ←きっと、届く!
対抗心-SS ←決戦の時――!
一年生にして、黒井理事長からAランク評価を受けた優等生。
ダンス、ボーカル、ビジュアルすべてでA評価のトリプルエーの保有者であり、その実力は学内でもトップクラス。
最大の宿敵である白草月花に、彼女は挑む。
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いよいよ、その時が来た。
今はただ、四音さんの戦いを見届けよう。
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