【架空コミュ】極月Pが白草四音をプロデュースする話   作:ミーティオル

12 / 35
第9話

-第9話-

 

 ――その景色は、これまでとは違っていた。

 

 おかしなものだ。

 今までだって、何度もこうして歌って、踊ってきたのに。

 

(……人の顔が、あんなにも輝いて見える)

 

 その輝きを見るたびに。

 足取り一つに。

 指先一つに。

 言葉一つに。 

 ボクは熱を帯びる。

 

 ボクの気持ちが、体を通じて広がる。

 そして――ファンの熱狂が、肌を通じて体に響く。

 

 ――勝ちたい。

 ここにいる星の輝きを、誰にも渡したくない。

 我ながら、なんと性格の悪いことだろう。

 

 ボクを見ろ。

 ボクの羽ばたきを。

 ボクの輝きを、見ろ。

 

 誰にも奪わせるものか。

 ここはボクの。

 ボクたちだけのステージだ――!

 

 

 

*「――すごい。あれが……!」

 

 四音がやってくる。

 

四音「――プロデューサー!」

 

*「四音さん! ライブお疲れ様です。

  水とタオル、こちらにご用意しておきまし――」

 

四音「そんなのはどうだっていい!

   どうだった、ボクのライブは!?」

 

*「……最高でした。

  それ以外に、言葉が見つかりません」

 

四音「……そう。そう!」

 

*「今回のライブは紛れもなく、白草四音史上最高のライブでした。

  いえ……そればかりか。

  極月学園でも伝説のライブとなったことでしょう」

 

四音「……あとは、結果が出るのを待つだけ」

 

 

月花「――いや、待つ必要はない」

 

 

*「白草月花……!?」

 

月花「結果なら、私が預かっている」

 

四音「……まったく、風情がないですね。

   審査員から渡されるのも、一つの演出でしょうに」

 

月花「あんなもったいぶった発表などただ退屈なだけだろう?

   中を確認するがいい」

 

月花が四音に封筒を渡し、四音が開く。

 

四音「あ、あぁ……あ……!」

 

月花「――実に見事なものだった、四音」

 

*「四音さん――」

 

四音「い、一位……ッ!! やった――」

 

月花「点差にして1点。紙一重だった」

 

*(……まさに奇跡的、か)

 

月花「だが、この1点は決して小さいものではない。

   この1点、お前たちは私が超えられぬものを持っていた、ということだ。

   この意味は、とても大きい。

 

   ――ふふ、久しぶりに胸が高鳴った」

 

*「……月花さん。

  あなたが、日本に帰国したのは四音さんと戦うためですね」

 

月花「四音にプロデューサーがついたと聞いてはな。

   どうなるものかと、いてもたってもいられなくなった」

 

*(……たったそれだけの理由でこんな強引に勝負に来るのか。

  これは――四音さんの苦労も、わかるような気がする)

 

月花「あの警戒心の強い四音が、傍に置く者とは何者かと思ったが。

   ……正直、想像とはずいぶん違っていた。

 

   実に興味深い。

   ――お前、私をプロデュースしてみるか?」

 

*「……は?」

四音「はぁ!?」

 

月花「アメリカというステージで戦うことがどういうことか。

   プロデューサー科としては、興味のある話だろう?

 

   お前さえ良ければ、理事長に話を通しておいてやる」

 

四音「冗談じゃないッ! め、めちゃくちゃ言うのも大概にしろッ!

   勝ったのは――!」

 

月花「これは、プロデューサーの成長に関わる話だ。

   お前が口を出すべき話ではない」

 

四音「ぐっ……ぬぬっ……!!」

 

*「……月花さんにお誘いいただけて光栄です。

  正直言うと、僕もアメリカの舞台がどういうものかは興味があります。

  一度、行ってみたいとはかねてより思っていました」

 

四音「なっ……!?」

 

月花「そうだろう。ならば、決まりだな」

 

*「いえ。

  ですが、アメリカの舞台を踏むその時は。

  四音さんと共に、です」

 

月花「……ふ、ふふ。

   はははははははっ!!

 

   なるほど、四音のプロデューサーとは、そういうことか!」

 

*「……ご理解いただけましたか。

  僕は、あなたのプロデュースだけはお受けできないんです」

 

四音「……ほっ」

 

月花「そうか。……だが、お前のほどの人間をこのまま忘れるのは惜しい。

   名を名乗れ。その名を記憶に刻んでおこうではないか」

 

*「僕は――です」

 

月花「……たしかに覚えた。

   さて、そろそろ時間のようだな。

 

   ――四音」

 

四音「な、なんです。まだ何か!?」

 

月花「――私は今日、お前に初めて悔しさを感じた。

 

   ……次また、会う時は。

   さらに私も力をつけていると思え」

 

四音「……何を言うかと思えば。

 

   ボクがただ一度勝っただけで満足するわけがないだろう。

   この程度で勝ち足りるものか。

   何度だって、何度だって勝ってやる」

 

月花「そうかそうか。ふふっ、それは、実に――楽しみだ」

 

 月花が楽屋を去る。

 

 

四音「――プロデューサー」

 

*「はい」

 

四音「少し揺らぎましたね」

 

*「いえ」

 

四音「本当に?」

 

*「本当です」

 

四音「本当に、本当に?」

 

*「本当に本当です。

  ……本当に本当に本当です」

 

四音「まだ言ってないです。

   ……まぁ、ならいいのですが。

 

   ――正直、まだ震えが止まりません」

 

*「改めて、白草月花は――強力でした」

 

四音「1点の差は大きいと、アレは言っていましたが。

   ――ファンと総力戦をしてやっと1点。

 

   もちろん、この勝利はとても――とてもとても大きなものです。

   けれど、私一人では、やはり月花姉さまには敵わない。

   それがハッキリしてしまった戦いでもあります」

 

*「たしかにパフォーマンスの質自体は、月花さんが上回ってたのは否定できません」

 

四音「……次は、さらにレベルを上げてくる。

   今日起こした『奇跡』はもう、アレには通じない」

 

*「――そうだとして。

  四音さんは諦めますか?」

 

四音「……いえ、まさか」

 

*「なら、やることは同じです。

  次も勝てるように、策を練り。

  四音さんもさらなるパワーアップに励む。

 

  新たな『奇跡』で迎え撃つまでです」

 

四音「……本当、簡単に言う」

 

*「内心、動揺はしてますよ。

  でもそれは――白草四音のプロデューサーとして似合わない。

  

  いつだって、ギラギラしていなければ」

 

四音「まったく……背脂たっぷりですね、あなたは。

 

   ……今回、私はステージに立って。

   初めて、ステージから見るファンの輝きが美しいと感じました。

 

   あの輝きは――本当に美しかった。

   一度あんなものを見たら、二度と誰にもわたしたくなくなる。

 

   もっと、もっとボクのものにしたい。

   ――月花姉様になんて絶対に渡さない。

 

   だから。

   次の舞台に行きましょう、プロデューサー。

   さらなる奇跡を、起こすために!」

 

 

 

 学年 1年生 

 ランク-「A」

 

 姓名 白草 四音(しらくさ しおん)

 

 歌唱力-A+

 表現力-A+

 ダンス力-A+ 

 観客意識-A+

 対抗心-SS  

 

 一年生にして、黒井理事長からAランク評価を受けた優等生。

 ボーカル、ダンス、ビジュアル。その全てが一級品。

 彼女の躍進は今なお止まることを知らない。

 

 『感動のライブだった!』

 

----

 

ついに、宿敵である白草月花に勝利した。

この勝利は、四音さんに大きな成長を促すものだった。

彼女はもう、止まらない。

 

----

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。