【架空コミュ】極月Pが白草四音をプロデュースする話 作:ミーティオル
-第9話-
――その景色は、これまでとは違っていた。
おかしなものだ。
今までだって、何度もこうして歌って、踊ってきたのに。
(……人の顔が、あんなにも輝いて見える)
その輝きを見るたびに。
足取り一つに。
指先一つに。
言葉一つに。
ボクは熱を帯びる。
ボクの気持ちが、体を通じて広がる。
そして――ファンの熱狂が、肌を通じて体に響く。
――勝ちたい。
ここにいる星の輝きを、誰にも渡したくない。
我ながら、なんと性格の悪いことだろう。
ボクを見ろ。
ボクの羽ばたきを。
ボクの輝きを、見ろ。
誰にも奪わせるものか。
ここはボクの。
ボクたちだけのステージだ――!
*「――すごい。あれが……!」
四音がやってくる。
四音「――プロデューサー!」
*「四音さん! ライブお疲れ様です。
水とタオル、こちらにご用意しておきまし――」
四音「そんなのはどうだっていい!
どうだった、ボクのライブは!?」
*「……最高でした。
それ以外に、言葉が見つかりません」
四音「……そう。そう!」
*「今回のライブは紛れもなく、白草四音史上最高のライブでした。
いえ……そればかりか。
極月学園でも伝説のライブとなったことでしょう」
四音「……あとは、結果が出るのを待つだけ」
月花「――いや、待つ必要はない」
*「白草月花……!?」
月花「結果なら、私が預かっている」
四音「……まったく、風情がないですね。
審査員から渡されるのも、一つの演出でしょうに」
月花「あんなもったいぶった発表などただ退屈なだけだろう?
中を確認するがいい」
月花が四音に封筒を渡し、四音が開く。
四音「あ、あぁ……あ……!」
月花「――実に見事なものだった、四音」
*「四音さん――」
四音「い、一位……ッ!! やった――」
月花「点差にして1点。紙一重だった」
*(……まさに奇跡的、か)
月花「だが、この1点は決して小さいものではない。
この1点、お前たちは私が超えられぬものを持っていた、ということだ。
この意味は、とても大きい。
――ふふ、久しぶりに胸が高鳴った」
*「……月花さん。
あなたが、日本に帰国したのは四音さんと戦うためですね」
月花「四音にプロデューサーがついたと聞いてはな。
どうなるものかと、いてもたってもいられなくなった」
*(……たったそれだけの理由でこんな強引に勝負に来るのか。
これは――四音さんの苦労も、わかるような気がする)
月花「あの警戒心の強い四音が、傍に置く者とは何者かと思ったが。
……正直、想像とはずいぶん違っていた。
実に興味深い。
――お前、私をプロデュースしてみるか?」
*「……は?」
四音「はぁ!?」
月花「アメリカというステージで戦うことがどういうことか。
プロデューサー科としては、興味のある話だろう?
お前さえ良ければ、理事長に話を通しておいてやる」
四音「冗談じゃないッ! め、めちゃくちゃ言うのも大概にしろッ!
勝ったのは――!」
月花「これは、プロデューサーの成長に関わる話だ。
お前が口を出すべき話ではない」
四音「ぐっ……ぬぬっ……!!」
*「……月花さんにお誘いいただけて光栄です。
正直言うと、僕もアメリカの舞台がどういうものかは興味があります。
一度、行ってみたいとはかねてより思っていました」
四音「なっ……!?」
月花「そうだろう。ならば、決まりだな」
*「いえ。
ですが、アメリカの舞台を踏むその時は。
四音さんと共に、です」
月花「……ふ、ふふ。
はははははははっ!!
なるほど、四音のプロデューサーとは、そういうことか!」
*「……ご理解いただけましたか。
僕は、あなたのプロデュースだけはお受けできないんです」
四音「……ほっ」
月花「そうか。……だが、お前のほどの人間をこのまま忘れるのは惜しい。
名を名乗れ。その名を記憶に刻んでおこうではないか」
*「僕は――です」
月花「……たしかに覚えた。
さて、そろそろ時間のようだな。
――四音」
四音「な、なんです。まだ何か!?」
月花「――私は今日、お前に初めて悔しさを感じた。
……次また、会う時は。
さらに私も力をつけていると思え」
四音「……何を言うかと思えば。
ボクがただ一度勝っただけで満足するわけがないだろう。
この程度で勝ち足りるものか。
何度だって、何度だって勝ってやる」
月花「そうかそうか。ふふっ、それは、実に――楽しみだ」
月花が楽屋を去る。
四音「――プロデューサー」
*「はい」
四音「少し揺らぎましたね」
*「いえ」
四音「本当に?」
*「本当です」
四音「本当に、本当に?」
*「本当に本当です。
……本当に本当に本当です」
四音「まだ言ってないです。
……まぁ、ならいいのですが。
――正直、まだ震えが止まりません」
*「改めて、白草月花は――強力でした」
四音「1点の差は大きいと、アレは言っていましたが。
――ファンと総力戦をしてやっと1点。
もちろん、この勝利はとても――とてもとても大きなものです。
けれど、私一人では、やはり月花姉さまには敵わない。
それがハッキリしてしまった戦いでもあります」
*「たしかにパフォーマンスの質自体は、月花さんが上回ってたのは否定できません」
四音「……次は、さらにレベルを上げてくる。
今日起こした『奇跡』はもう、アレには通じない」
*「――そうだとして。
四音さんは諦めますか?」
四音「……いえ、まさか」
*「なら、やることは同じです。
次も勝てるように、策を練り。
四音さんもさらなるパワーアップに励む。
新たな『奇跡』で迎え撃つまでです」
四音「……本当、簡単に言う」
*「内心、動揺はしてますよ。
でもそれは――白草四音のプロデューサーとして似合わない。
いつだって、ギラギラしていなければ」
四音「まったく……背脂たっぷりですね、あなたは。
……今回、私はステージに立って。
初めて、ステージから見るファンの輝きが美しいと感じました。
あの輝きは――本当に美しかった。
一度あんなものを見たら、二度と誰にもわたしたくなくなる。
もっと、もっとボクのものにしたい。
――月花姉様になんて絶対に渡さない。
だから。
次の舞台に行きましょう、プロデューサー。
さらなる奇跡を、起こすために!」
学年 1年生
ランク-「A」
姓名 白草 四音(しらくさ しおん)
歌唱力-A+
表現力-A+
ダンス力-A+
観客意識-A+
対抗心-SS
一年生にして、黒井理事長からAランク評価を受けた優等生。
ボーカル、ダンス、ビジュアル。その全てが一級品。
彼女の躍進は今なお止まることを知らない。
『感動のライブだった!』
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ついに、宿敵である白草月花に勝利した。
この勝利は、四音さんに大きな成長を促すものだった。
彼女はもう、止まらない。
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