【架空コミュ】極月Pが白草四音をプロデュースする話 作:ミーティオル
プロデューサーの部屋。
けたたましく鳴るスマートフォン。
*「――なんだ、まだ、朝の4時」
*「……はい、こちら」
月花「四音がN.I.Aに出ているそうだな。SNSで見たぞ」
*「……なんで僕の電話番号を知ってるんです?」
月花「理事長から聞いた。
聞けば今年は初星学園の生徒も大量に来ているとか。
なので、私も行くことにした」
*「は? あ、あの、行くとは?」
月花「当然、N.I.Aだ。楽しみにしている」
*「……あの、N.I.Aってどういうオーディションか知ってますか?」
月花「次代を担うアイドルたちのオーディション。
私はまだ18歳だ。問題ないだろう」
*「現役トップアイドルが出るものではありません。
それと、以前の対決からそれほど時間も経っていません。
今から対決するのは、四音さんのためにもならないというか……」
月花「強者と戦うことこそ、成長だろう。
ならば、何の問題もない」
*(このままでは、N.I.Aの全体の目的が白草月花討伐に変わってしまう……!)
月花「そういうわけなので、今からチケットを買う」
*「月花さんは、強くなった四音さんと戦いたい。違いますか?」
月花「そうだ。だから今から向かう」
*「だとすればタイミングが悪い。
四音さんが本当に強くなるのはN.I.Aの後です。
ライバルとぶつかり、研磨された四音さんこそ真に戦うべき相手では?」
月花「……なるほど」
*「なので、今は我慢する時です」
月花「――では、結果が出たら教えろ」
スマートフォンに通話終了の画面が表示される。
*「……朝からどっと疲れたな」
四音「プロデューサー、おはようござ――。
……なんですか、朝からそんな疲れた顔して」
*「……いえ、大丈夫です。
僕は四音さんを尊敬します」
四音「は、はぁ? なんですか、突然。
まぁ、悪い気はしないですけど……」
*「ひとまず、ブリーフィングにしましょう。
それでファン投票ランキングなんですが。
さっそく動きがありました。
大きく動いたのは11人。この内、二人は極月学園。
そして、残りの9人が初星学園です。
極月学園の二人は――元初星学園の賀陽燐羽。
そして、撫子さんですね」
四音「元初星学園……以前話した『傭兵』とやらですか」
*「十中八九そうでしょう。
燐羽さんと、撫子さんは黒井理事長の方針(ロジック)で動いているはずです」
四音「枚数的にはこちらが不利――ですね。
私一人が優勝する分には関係ありませんが」
*「燐羽さんは、初星学園中等部トップの『SyngUp!』のリーダー。
そして、撫子さんも極月学園でも上位のアイドル。
この二人を攻略するのは、いくら初星学園といえどかなり困難でしょう」
四音「……撫子は、詰めが甘いところが。
いえ、あの子もやる時は……多分」
*(改めて、この勢力図に月花さんが加わらなくてよかった……)
*「おそらく、この9人の中に四音さんのライバルとなりうる存在がいるはずです。
今後は、極月学園、初星学園、両方の影響力が低い中立地帯が動きます。
四音さんには、そちらで立ち回ってもらいます。
激戦が予想されますが――変わらず四音さんの魅力を、届けてください」
四音「……ボクの魅力、か」
*「何か、引っかかることが?」
四音「いや――エリアAでの話です。
もちろん、あのエリアが初星学園の影響が強いことはわかります。
……それでも、ボクのパフォーマンスがそれほど数字として伸びなかったのは。
正直、思うところがありまして」
*「本来、あの場所で少しでも上がっただけすごいことではありますが……。
アイドルとは、それ自体がストーリーなのです」
四音「……ストーリー、ですか?」
*「アイドルが何を思い、何を目指し、どう進むか。
ただ、パフォーマンスという『結果』のみならず。
そのパフォーマンスに至るまでの『過程』も武器とするのがアイドルです。
点ではなく、線にしてこそ、アイドルの価値はより深いものとなる。
エリアAでの四音さんは、線を引くための点を打つ行為です」
四音「線を引くための……」
*「今は、ただ一つの点に過ぎません。
しかし、ここからN.I.Aでの戦いを進めるごとに、意味を持ちます。
四音さんは、特に物語性が強いアイドルです。
ひたむきに、貪欲に戦う姿こそ、輝きとなる。
思いっきりライバルとぶつかってください。
おそらく、それが自然と四音さんを輝かせます」
四音「……ふふっ、そういうことなら。
いいでしょう。この私、白草四音の力を。
初星学園の連中に思い知らせて差し上げます」