【架空コミュ】極月Pが白草四音をプロデュースする話 作:ミーティオル
-第六話-
控室。
佑芽「ま、負けたあぁああああっ!」
四音「はぁ……はぁ……」
四音(な、なんだ……!?
なんなんだ、このアイドル……ッ!?
実力は、確かにボクが勝っていた――しかし。
圧倒的存在感、驚異的なスタミナ。
あの『爆発的』なパフォーマンス……!
底が知れない……!
ほんの少しでも、仕上がりが遅れていたら。
……負けていたのは)
佑芽「――あの。すごかったです!
ありがとうございました!」
四音「れ、礼?
なぜ、そんな……。悔しくはないのですか?」
佑芽「もちろん、めっちゃくちゃ悔しいです!
本当は今にも、全力で叫び出したいくらい!
……でも。
あなたのすごさを認めないと。
あたしは、お姉ちゃんに勝てない。
あたしが考えてた以上にアイドルの世界は広いんだぞって。
そう、教えてもらった気分で。
すごく、いい経験をさせてもらったと思うんです。
だから……ありがとうございました」
四音(違う……。
彼女はボクとは違う。
なんなんだ、このアイドルに『勝ち続ける』姉というのは……!?)
控室に突如入ってくる咲季。
咲季「佑芽!
励ましに来てあげたわ!」
佑芽「あっ、お、お姉ちゃん!
……ぐ、ぬぬ。今は会いたくなかったのに」
咲季「バカね。何年姉妹やってると――。
……あなた」
四音と咲季の目が合う。
四音「――なるほど」
咲季「そう。あなたが『あの』白草四音」
佑芽「あっ、お姉ちゃんも知ってるの?」
咲季「えぇ。……エリアA。
初っ端、初星学園の真正面でライブしてたヤツよ」
佑芽「あーっ! そ、そういえば話題になってたかも!」
四音「……お噂になっていたとは、実に光栄です」
咲季「白々しいわね。
……あれはそっちの『宣戦布告』。そうでしょう?」
四音「……えぇ。効果の程はいささか不安でしたが。
その反応を見るに、たしかに効果はあったようで安心しました」
咲季「――白草四音! 私と勝負なさい!
佑芽の仇を取ってやるんだから!」
四音「仇――。
ふふ、なるほど。面白い。
いいでしょう。その勝負、受けて立ちます。
――花海咲季。
『FINALE』の舞台で、この白草四音が相手となりましょう」
-第7話-
四音「――確信に至りました。
花海咲季、彼女が私のライバルです」
*「花海咲季。
花海姉妹の姉の方ですね。たしか、初星学園を首席で入学したと。
初星学園に入学して以降も成績は上位。
内部進学組に比べると活動歴の少なさから、ファン数そのものは少ないですが。
それでも、彼女のパフォーマンスは最上位に位置する。
そして、彼女は『常に』妹である花海佑芽より高い成績をキープしている。
……四音さんから見て、花海咲季がライバル。
つまり、『自分と近いタイプのアイドル』だと、そう考えているのですね?」
四音「えぇ。間違いなく。
彼女には――花海佑芽にはない、『恐怖』がありました」
*「――恐怖」
四音「……圧倒的才能に対する、恐怖の目。
彼女が控室に入った時に、花海佑芽を見て。
そこから、私に目線を合わせた時。
『一体、誰が花海佑芽を倒せたのか』と。
ほんの一瞬ですが、その恐怖が宿ったのを見逃しませんでした。
――あれは、地に足をつけて走り続けた者だけが持つ恐怖の色。
走り続けても、追いつけない。その存在を知っている者の目です。
私も最初は、花海佑芽が花海咲季が『挑戦者』だと見ていました。
――ですが、おそらく実際は逆。
花海咲季が花海佑芽という強大な才能に向かう『挑戦者』。
ボクがアレに対して持つ恐怖と、悔しさと同じものが。
花海咲季にはありました」
*「……なるほど」
四音「NIAの勝利者となるには。
花海咲季を倒さなければならない。
……プロデューサー、作戦を」
*「わかりました。
まずは花海咲季を最後の障害。もといライバル、と設定するにあたり。
彼女のアイドルとしての性質をお話しておきます。
いくつか彼女のライブを拝見させてもらいました。
彼女はボーカル、ダンス、ビジュアル。
その全てにおいて高い成績を誇ります。
アイドルとしての性質は非常に、四音さんと近いといえます」
四音「……そうでしょうね」
*「さらに四音さんの見立て通りとした場合。
彼女は、才能に依存せず、尋常でない努力を重ねてきた秀才型。
正直、ライバルとして仮定した場合、最も強大なパターンです」
四音「その理由は?」
*「このタイプは最終日まで着実に能力値を伸ばし続けます。
さらに、このタイプは本番を想定し、コンディションを徹底管理する。
飛び抜けた才能を持つ者はある意味で、脆い一面もあります。
最適なコンディションを出す条件があったり。
本人の体調や精神状態に左右される一面もある。
しかし、努力型はそういったコンディションの管理は徹底しています。
『最低でも』90%以上のパフォーマンスを必ず叩き出すと考えて良い」
四音「……その点にいたるまで、ボクと同じ、と」
*「はい。
違うタイプであれば、攻略法もありますが。
同じタイプ同士の戦いとなると、決定的な違いは生まれにくい。
最後の違いがあるとすれば。
それは『誇り』です」
四音「……誇り」
*「基礎力の差、そして己とライブに対する理解度。
その違いは、アイドルとしての『誇り』と僕は形容しています。
この戦いは、アイドル白草四音と花海咲季の誇りと誇りのぶつかり合い。
そういうことになるでしょう」
四音「――正面衝突と」
*「はい。今後の予定はミニライブを中心にします。
それといくつか、予定にはないサプライズゲリラライブを。
場数を踏み、よりファンとのつながりを強化。
またニュースサイトで特集記事を発注します」
四音「……珍しい。公式SNS以外も動かすんですね。
内容はどうするんです?」
*「NIA優勝に最も近い二人。
白草四音と、花海咲季。この二人のアイドルの特集です」
四音「なっ、花海咲季も――!?」
*「はい。
お二人が戦うにあたり、話題性を最大化します。
勝負とは、自分と相手の二者で成立するもの。
たしかに、相手を特集することは相手のファン数に貢献します。
一方で、その相手と戦うというイメージが抱ければ。
こちらのファン数も競うように高まります。
ファンも勝負事が大好きですから。
こちらから、二人のマッチアップをセッティングしてしまうわけです」
四音「……ハードルを上げる行為でもありますね」
*「ギラギラした舞台の方が、白草四音にはふさわしい。
特に、ことライバルとの戦いにおいては。
おそらく、彼女ほど四音さんに近い存在はいない。
であるならば、四音さんが全力でぶつかれる舞台を作る。
それがプロデューサーとして成すべきことだと判断しました。
それに。
彼女と戦うことは四音さんも心待ちにされているみたいですから」
四音「……ふふ、バレていましたか。
彼女と戦うことはボクにとっても学びがあるような気がするんです。
ボクは、もっともっと、強くなりたい。
もっともっと、高く飛びたい。
――だから。
花海咲季。彼女を必ず倒す」
――初星学園にて。
校内を走る咲季。
咲季(……油断なんかしない。
あのアイドルは、強い。私が持てる全力でぶつからないと)
ことね「わーっ、すっげ。
あの白草四音とかいうアイドル。連日ミニライブするとか言ってる。
すっげぇ過密スケジュールだけど倒れないかぁ……?」
咲季「四音……!?
ちょっと、ことね。それ見せなさい!」
ことね「わわっ!
そ、そんながっつかんでも見せたげるから!」
咲季「……なるほどね」
ことね「加えてシークレットライブもやるとさ。
これ、体力的に持つと思う、咲季?」
咲季「かなり攻めてるけど、これなら十分持つわ。
少なくとも、私なら」
ことね「はー、やっぱ運動部やってると違うかぁ。
あ、そうそう。咲季の記事もあった――って咲季?」
咲季「学園長に話してくるわ」
ことね「が、学園長に? ……えっと、何を?」
咲季「ミニライブの申請よ。
ちょっとギリギリだけど今からなら間に合うわ」
ことね「えっ、ちょっ、まさか張り合う気!?」
咲季「相手が全力で来るんなら、こっちも全力応えなきゃ。
でしょう?」
ことね「……はぁ。やれやれ、咲季らしいや。
でも、無理はすんなよ」
咲季(……私は必ず勝たないといけない。
佑芽のためにも。
――そして私自身の、アイドルとしての誇りのためにも)
咲季「……白草四音、必ずあなたを倒す」