【架空コミュ】極月Pが白草四音をプロデュースする話 作:ミーティオル
けたたましいアラームの音が鳴り響く。
四音「……朝、か。
まず、顔……洗おう」
ベッドから体を起こし、洗面台へ向かおうとする四音。
と、その途中で。
四音「ぐっ……!?」
月花「…………」
ソファで毛布にくるまり、寝息を立てる月花。
四音(なんて呑気な……もう登校時間も近いというのに。
……ボクが起こす義理はない。好きに寝ていればいい)
四音「……なっ!?」
四音(た、食べた殻が机に散らばって――!?
くっ、脂っこい匂いが部屋に残ってると思ったら!)
四音がいそいで、食べた容器をかき集め袋を縛る。
四音「……まったく、なぜボクがこんなことを」
四音が家を出る。
*「四音さん、おはようございます。
【THE-MOON】についてなのですが――。
ん……?」
プロデューサーが四音を見る
四音「どうかしましたか? 私はいつも通りですが」
*「……撫子さんは、まだ自宅に?」
四音「え? え、えぇ。
まぁ、いずれ自家用車で来るでしょう。
私は、体力作りで歩きで」
*(この感じ……四音さんは『戦うこと』を選んだか。
リスクではあるが……。しかし、四音さん自身がそう選んだのなら。
……ホテルの方は僕がしばらく使うことにしよう)
*「話を戻して――【THE-MOON】の出場者が確定しました。
四音さんは、本日付で正式に【THE-MOON】出場者となります」
四音「……ふふ、当然のことではありますが。
何事も選ばれるというのは喜ばしい事です」
*「そして――白草月花。彼女の名前も出場者の欄にありました」
四音「……正式な出場者、というわけ」
*「はい。白草月花が始めからエントリーする数少ないイベントです」
四音「……それで、プロデューサー。
あなたの言う未来の――「最強のアイドル白草四音」。
その準備が進んだという話でしたが」
*「はい。かなり苦労しましたが、ようやく。
なにせ、「未来のアイドル」を手繰り寄せるプロデュース。
……正直言って、なかなか正気のプロデュースではありません」
四音「前代未聞でしょうね。
正直あなたじゃなければ言った瞬間にクビにしているところです」
*「プロデューサーとして、使える限りの能力は使ったつもりです。
……では、さっそく今から未来を手繰り寄せる、その協力者の元へ向かいましょう」
四音「協力者……?」
ボーカルレッスン室
??「……はぁ、本気だったわけ」
四音「なっ……!?」
*「紹介します、四音さん。
こちらが、我々の協力者――」
??「協力者になったつもりはないけど。
……ヒマだったから、冷やかしに来ただけ」
*「……綿密に打ち合わせと情報共有を行いました。
元『Syng Up!』の賀陽燐羽さんです」
燐羽「……あまり、好き勝手なことばかり言わないでくれる?」
四音「……お初にお目にかかります。
まさか、あなたと直接顔を合わせることになるとは」
四音(N.I.Aで、雇われた元初星の『傭兵』……)
燐羽「えぇ。
……映像で見たより、実物はより性格が悪そうで何より」
四音「あら、ずいぶんとやすい挑発がお好みのようですね。
でも、ふふ……そういう言葉遣いは言い慣れていないようですが?」
燐羽「あなたこそ、そういう言葉は随分と手慣れてそうだけど?
まぁ、いいわ。性格が悪い、っていうのはこの場合悪い意味じゃないもの」
四音「……へぇ?」
燐羽「あなたのその『みっともなさ』――。
あんまりにも隠さないものだから、少し興味が湧いたのよ。
普通、隠すじゃない? そういうの」
四音「……えぇ、そうでしょうね、『普通』なら」
笑顔で四音が答える。
四音「ですが、私には『普通』である事以上に重要なことがあった。
私は――それに従っただけ」
燐羽を四音が睨む
燐羽「……本当、すごい顔。
アイドルがする顔じゃないわね」
四音「それは――あなたの想像力が貧困なのでは?
アイドルがキラキラしていなければならないなど。
……いったい、誰が決めたのです?」
燐羽「ふふふ……ほんっとう、実物は性格が悪い。
こんな狂犬がトップアイドルを目指すなんて正気じゃない」
四音「元より、トップアイドルを目指すことが正気ではない。
それは今更でしょう?」
燐羽「いつまでそうやって言い続けていられるかしらね?
……まぁ、いいわ。あなたのことはよくわかった」
*「では、いい感じに挨拶も終わったところで始めましょうか」
燐羽「……アイドルがアイドルなら、プロデューサーもプロデューサーね」
四音「それで、あなたは一体なぜここに来たのです?」
燐羽『それで、あなたは一体なぜここに来たのです?』
燐羽から四音そっくりの声が。
四音「なっ……!? 今のは……」
燐羽『なっ……!? 今のは……』
四音「……なるほど、そういうことですか」
燐羽『えぇ、ご理解いただけましたか?
あなたなら、不快感を覚えるのかしら?』
四音「どうやら、情報を共有したというのは本当のようですね。
その感じ、『CRESCENT』最終審査のMCがベースですか。
低音が、あの時の音でした」
燐羽「気持ち悪……。なんでわかるのよ」
四音「私も何度も見返してますから。
声の調子、セリフ、表情、全部頭に入っています」
燐羽「……こんな事言ってるんだけど。
必要なの? 私」
*「はい。ぜひお願いしたいです。
ただし、見ての通り四音さんはDVDは擦り切れるまで見るタイプなので――」
四音「擦り切れてないッ!」
*「燐羽さんには、『今の』四音さんではなく。
――未来の四音さんをやっていただきたい」
燐羽「は?」
四音「え?」
燐羽「……あなた、私をエスパーかなにかと勘違いしていない?
わかるわけないでしょ、そんなの」
*「えぇ、完全に未来の四音さんそのものをやってもらうのは無理です。
なので――辿りうる「If」の四音さんをやって欲しいのです。
完成品である必要はない、ただそうあり得たかもしれない四音さんを」
燐羽「へぇ……なるほど」
四音(辿りうる「If」のボク……!?)
燐羽「面白い事を言うじゃない。
そんなこと試したことなかった。
……それじゃ、こういうのはどう?」
燐羽の表情が一瞬にして険しいものへと変わる。
燐羽『――私は決して、私以外にこのステージに誰も立たせない』
殺意にも等しい鋭いオーラが燐羽に宿る。
四音「……ッ!!」
燐羽『――価値があるのは勝利だけ。
私に敗北など決して有り得てはならないのだから』
四音「……なるほど。これは面白い。
いかにも、有り得そうな『私』です」
*「四音さんほどのアイドルであれば未来もきっと無数存在する。
――だから、作り上げましょう。
無数の可能性を見た上で、掴むべき未来を」
四音(……いいだろう。必ず掴み取ってやる。
最強にして、最高の白草四音を――!)