【架空コミュ】極月Pが白草四音をプロデュースする話   作:ミーティオル

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第3話

-第三話-

 

 

 ……時計を見る。

 

*(もしかしたら、僕が時間を間違えたのか……?)

 

 そう思い、もう一度時計を見る。

 いや……間違っていない。レッスン時間はすでに始まっている。

 

 ……となると、まさか。

 

*(――四音さんが、僕を切った?)

 

 と、その時の事だった。

 

四音「お、おはよう……ございらす……」

 

 フラフラとやってきて、椅子の上にへたり込む四音さん。

 

*「大丈夫ですか……?」

 

四音「朝は……弱くて……め、目が冴えてきたら、レッスンできると……思うから」

 

 これは……だいぶ致命的だな。

 今後のスケジュールは朝のものは減らさなくては……。

 

*「とりあえず、レッスンは午後に変更します。では、この時間はブリーフィングに」

 

四音「そ、そう……? そしたら、朝ご飯……食べていい……?」

 

 ……食べてなかったのか。

 

*「もちろん。アイドル活動をする上で体力は必要不可欠です」

 

 僕がそういうと、四音さんはバッグからおもむろにあるものを取り出した。

 

*「――あの、それは?」

 

四音「コンソメ味」

 

*「いや、そういうことではなく。

  ……ポテトチップス、ですよね?」

 

四音「……そう、ですが?」

 

*「朝ご飯、ですよね?」

 

四音「すぐ食べられるので」

 

*「……なるほど。今後、食事は僕の方で用意します」

 

 こんな食事で、ダンスレッスンして倒れられてはたまらない……。

 

*「それでは――食べながらでいいので、今後についての話を。

 

 今回、我々が挑戦するイベントは定期公演『CRESCENT』。

 極月学園主催のイベントで、試験は公開型で二回。

 中間試験で7人、最終試験で1人が選ばれます」

 

四音「……学内ドームでフルライブができるのは最終試験で勝った1人だけ」

 

*「はい。そして出場枠は25人ですが、この内5人は一般枠からの応募となります。

  一般枠の方が一位となった場合は、極月学園で特待生として転入できる処遇が約束されています」

 

四音「話題作りですね。ほとんどの場合、学内生に蹂躙される事になります」

 

*「とはいえ、学外の人物と競うのはより『実戦的』です。

 そして、何より未知の存在がいるというのは緊張感がある。

 常にダークホースが存在することを想定しなければなりません」

 

四音「……なんだか、楽しそうに話しますね」

 

*「そう見えますか?」

 

四音「えぇ。とても。

   まるで――それを待ち望んでいるかのよう」

 

*「……おそらくダークホースの存在は参加するアイドルすべてに、進化を促すものでしょう。

 正直言えば、その存在が四音さんにどのような変化をもたらすか。

 興味がないと言えば嘘になります」

 

四音(ずいぶんと、お気楽な価値観をお持ちなようで。

  イレギュラーなど……私には必要としない)

 

 小声で何かをつぶやく四音さん。

 

*「……今、何か?」

 

四音「いいえ。

  それより、今回の出場者について資料をまとめてきました。

  まだ在校生の分だけですが」

 

*「――はい?」

 

 在校生の資料をまとめてきた?

 ……四音さんが? 

 四音さんがバッグを開けたかと思うと、大量の書類がお目見えする。

 

四音「昨日、極月学園側の出場者については判明したので。

   それぞれの経歴、特色。

   そして、現時点での対策をまとめました」

 

*「……」

 

 思わず、言葉を失う。

 

四音「では、読んで感想を聞かせてください。

   プロデューサー科のあなたの意見ならば参考になるでしょうから」

 

*「……わかりました、それでは拝見します」

 

*(――これは)

 

 出場する極月学園の生徒の情報が事細かに書かれている。

 イメージカラー、ブランディング。

 過去にどんな芸能経験があるか。

 学内での成績はどうか。友人の数はどれほどのものか。

 

 得意なダンスのジャンル、得意な歌のジャンル……。

 

*「……驚きました。

  これほど綿密な分析が行えるのは、プロデューサー科でもごく一握り。

  いえ、正直言えば――これに並ぶものを用意できるのは僕の知っている中でも一人だけです」

 

四音「極月学園はセルフプロデュースが基本ですから。

  勝つためには――いえ、一人でもやっていくには。

  これくらいは必要ということです」

 

*「……なんとも、説得力があります。

  ところで、この別紙のプランBというのは?」

 

四音「盤外戦術です」

 

*「な、なるほど?」

 

 ページをめくると的確に相手を妨害する方法が様々書いてある。

 たしかに、黒井理事長は時として手段は選ばないという話は聞いたことがあるが……。

 

*「……とりあえず、今回はプランBは使わない方向で行きましょう」

 

四音「そうですか? 

   どれもレギュレーションには違反しないようにしていますが」

 

*「たしかに、戦力を確実に削ることはできます。

  ですが、どうしてもこの手のものはグレーです。

  盤外戦術でリスクを抱えるのは、考えものですし。

 

  そして何より。

  ――この方法は、格上にはそもそも効きません」

 

四音「……!!」

 

*「結局、最後に一騎打ちとなれば。

  四音さん自身の能力と魅力で勝負することになります。

  そうであるなら、最初から四音さん自身の魅力を上げることを今回は目的としたい。

 

  先日の課題も、それに関わる内容ですから」

  

四音「ぅ……ぐ。

   目……目と目を合わせる、というアレですか……。

   たしかに、それは克服しなければなりませんね」

 

*「あくまで、それ自体はとっかかりに過ぎませんが……。

  そこにいるファンと心を通わせること。

  ひいては。

 

  ――『白草四音』さんを見てもらうこと。

  そこが、僕の目指すところです」

 

四音「……私を、見る」

 

*「四音さん。

  あなたはアイドルとして、何を求めますか?」

 

四音「……ふふ。

   やれやれ、神妙な顔をして何をいうかと思いましたが。

   アイドルならば、答えは決まっているでしょう?

 

   ――ファンの皆様の笑顔、これ以外にありませんわ」

 

 微笑んで、四音さんが答える。

 

 

 

 

 

 学年 1年生 

 ランク-「A」

 

 姓名 白草 四音(しらくさ しおん)

 

 歌唱力-A

 表現力-A

 ダンス力-A

 観客意識-E ←要改善。まずは観客と目を合わせるところから……。

 ???-?

 

 一年生にして、黒井理事長からAランク評価を受けた優等生。

 ダンス、ボーカル、ビジュアルすべてでA評価のトリプルエーの保有者であり、その実力は学内でもトップクラスと言える。

 更に、アイドルとしての才能のみならず、プロデューサー科の人間を上回るほどの高い分析能力も備える。姉である白草月花と並び、現在の極月学園を牽引するエース的存在。

 

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彼女の強さの秘訣がわかったような気がする。

危うさこそあるものの、とても強い輝きを秘めたアイドルだ。

 

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