【架空コミュ】極月Pが白草四音をプロデュースする話 作:ミーティオル
場所は、ボーカルレッスン室。
グランドピアノを弾いている四音。
四音(……ボクの音)
四音(ピアノは好きだけれど――。
これも、『ボクの音』ではない)
四音「……曲はまだ未完成だけど」
イヤホンで未完成の新曲を聞く四音。
四音(曲調はかなり激しさがある。
そう考えれば――埋もれない音であるほうがいい)
四音(短いフレーズでもしっかりと存在感のある、そんな音――)
四音「……今度は、ギターを試しましょうか」
四音がギターを選んでいると。
撫子「あ、四音お姉様……!
ちょ、ちょっとまってくださいまし……!」
扉を開けるなり、すぐに撫子が再び出ていく。
四音「撫子? いったい、何を……」
四音が撫子の様子を見ると、ドア越しにノックしているのが見える。
四音(……防音だからほぼ聞こえてませんね)
部屋の中で入って良いことをジェスチャーで撫子に伝える
撫子「四音お姉様、お日柄も良く。本日もレッスン中でしたのね!
おほほほ~」
四音「……。
ノックは3回やりましたね?」
撫子「――え? え、えぇ」
四音「2回は空室の確認をする時。
トイレを使用中であるかを確認する時に使います」
撫子「……おほ、おほほ。せ、せっかくですもの!
問題はなにもありませんでしたが、もう一度実演することにしますわ。
問題はなにもありませんでしたが――!」
四音「まぁ、それはどうでもよくて撫子。
あなたも、ここで練習を?」
撫子「えっ!? え、えぇ。
お、お邪魔でしたなら、別のレッスン室に移動いたしますわ」
四音「いえ。……近頃は一緒に練習することはなかったから。
今日は、あなたのレッスンに付き合ってあげます」
撫子「ほ、本当ですの!?」
四音「えぇ。久しぶりに」
二人の練習が始まる。
四音「――ずいぶんと上達しましたね。撫子」
撫子「ほ、本当ですか!? 私、ずっと頑張ってきましたの!
今度会う時はあの初星学園のにっくきもやしアイドル――。
必ず、私の手でぎゃふんと言わせて!
ぐうの音も出ないような完璧な勝利を掴んでみせますわぁ~!」
四音「もやしアイドル……?」
四音(『ボクの音』――きっとそれはボクの歌声に繋がる音。
まだ何もそれらしいものは見えてこない)
撫子「そういえば、四音お姉様も練習していらっしゃったのですよね。
不束者ながら、この私藍井撫子がお手伝いいたしますわ!」
四音「あ、あぁ。まぁ実を言うと、歌っていたわけではなくて。
色々と弾きながら、イメージを」
撫子「まぁ、そうでしたのね!
でしたら、私の演奏テクニックをお姉様にご披露いたしますわ!」
四音「へえ……?」
撫子「えーっと、それじゃどの楽器にしようかしら……」
撫子がある楽器を見つける
撫子「――あら、バンジョー……?」
四音「なっ、なんでレッスン室にまでバンジョーがあるんですか!?
いったい誰ですか、ここにまで持ち込んだのは!」
撫子「あっ、お、お姉様。もしやバンジョーの音色が苦手でしたの……?」
四音「……いえ、別にそういうわけでは。少し取り乱しました」
撫子「あ、ありましたわ! アコースティックギター!
ふふん! 実はお父様がギターが好きで私も少しだけ嗜んでおりますの!」
四音「……Fコード、きちんと抑えられます?」
撫子「も、もちろん。今から実際にお見せしてみますわ。
さぁ、レッツセッションですわ、四音お姉様!」
四音「……まぁ、いいでしょう。それでは、CRESCENTの課題曲で。
3、2、1――」
そのまま、撫子が弾こうとするが。
情けない音がギターから響く。
撫子「こ、このギター、調律してませんわ~!?」
四音「……はぁ。貸しなさい。私が調律いたします」
撫子「え、えっとチューナーは……」
四音「音叉がそこにあるでしょう? それで充分です」
四音が音叉を打ち鳴らす
四音「そう、この音を基準に――」
撫子「……綺麗な音。とても良く響きますわ」
四音(――これ)
再び音叉を打ち鳴らす四音
撫子「……お姉様?」
四音「これだ。……きっと、この音」
撫子「この音? え、えっと……F?」
四音「Aです。……撫子、今から私がピアノを弾きます。
なので……少し音叉を鳴らしてもらえますか?」
撫子「え? えぇ……」
四音(たった一つの音だけど、よく響く――。
この音なら、きっと埋もれない)
四音「撫子。ありがとう」
撫子「礼を言われるほどのことではありませんわ!
……さっぱりなんのことかわかりませんけど!」
四音「そうですね。変なことを言いました。
……それじゃ、もう少しだけ私に付き合ってください。撫子?」