【架空コミュ】極月Pが白草四音をプロデュースする話 作:ミーティオル
四音の自室、目覚まし時計が鳴り響く。
四音「……あ、ぁ、朝」
うめき声を上げながら、リビングに向かう四音。
ソファに座る月花の姿。
四音「――おはよう」
月花「……おはよう」
四音「今日は、早く家を出ますので」
月花「そうか」
四音「……じゃあ、今から準備するから」
月花「――学園で会おう」
月花のその言葉に四音が振り返る。
四音「……そうですか」
極月学園にたどり着くと。
撫子「四音お姉様~! た、大変ですわ~!?」
四音「撫子――。どうしたのです?」
撫子「ご覧になられましたか!?
学園の前、中継車が止まってますわ……!」
四音「……慌てすぎですよ。
別に、極月学園生徒に取材が来るのは珍しいことではないでしょう?」
撫子「そ、それはそうなのですけど……。
でも、オーディションやイベント以外で学園に来るなんて。
もしかして、とてもすごい先輩がいらっしゃるのかしら……!?」
四音「……そうかもしれませんね」
撫子「そ、それは大変……!!
お、お姉様私おかしなところはございませんこと!?
ボタンのかけ間違いでもうっかり映ろうものなら……!
わ、私耐えられませんわ~っ!」
四音「……そうですね。襟が少し」
撫子「襟ですか!? 襟ですわね!?」
四音「リボンも少し左右のバランスが――」
撫子「あ、あわわリボン! 鏡! 鏡……!
あーっ! カバンの中ですわぁ~!!」
燐羽「……何朝から馬鹿騒ぎしてるの」
四音「騒いでいるのは一人です」
撫子「テ、テレビが来てるのですわよ!?
みっともない姿なんて絶対……!」
燐羽「……はぁ。そういうみっともない態度を撮りたがるの、テレビって。
堂々としていなさい」
四音「そうですよ、撫子。私のように堂々としていなさい」
撫子「は、はいですわ! ど、堂々と……!」
燐羽が四音を見る。
燐羽「……へぇ」
四音「……何か?」
燐羽「それっぽい顔をするようになったじゃない」
四音「えぇ。――『それっぽく』なったでしょう?」
撫子「え? え? ……四音お姉様?」
四音「いえ、こちらの話。
……そういえば、いい忘れていたけれど。
今日の夜、屋外ステージに行くと『いいこと』があるかもしれませんわ」
撫子「いいこと、ですの!?
し、四音お姉様が言うなら、何か本当にいいものに違いありませんわ!
お父様に連絡いたしませんと……!」
燐羽がじっと四音を見て。
燐羽「――なるほど」
燐羽「……私は忙しいから。
今日は家に帰って観たいものがあるの」
撫子「ふふん、好機を掴んでこそのアイドル。
こういう時に勝負に出られないと損をしますわよ~?」
燐羽「座る席の好き嫌いは誰だってあるでしょ」
撫子「……え、えぇ? それは、ありますけれど。
私は前じゃないと見えなくなりますし……」
燐羽「ま、そういうこと」
そういって燐羽がどこかへ消えていく
撫子「……どうして急に席の話になりましたの?」
四音「――さぁ。そういう話をしたい気分、なのでしょう」
燐羽(……嫌なのよね、あれを近くで見たら。
――『悔しくなりそうで』)
やがて時間は過ぎ――屋外ステージ。その舞台裏に立つ四音。
四音「……プロデューサー」
*「はい。なんでしょうか」
四音「本番まで、あとどれくらい?」
*「10分程度です。……どうかなさいましたか?」
四音「……衣装、崩れてませんか? 襟とか、ヘアゴムとか」
*「大丈夫です。……もう三度は確認しましたから」
四音「なら――いいですけど」
*「……僕が代わりに慌ててみせましょうか?」
四音「いえ、やはり慌てるのは撫子が良いですね。
あなたも、絶叫マシンに乗っている時はいい声でしたが」
*「そうですか。残念です。……頑張って練習したんですが」
四音「変な所で律儀ですね、本当。
……こういう時、自分は鉄面皮になれる、と思っていましたが。
いざなってみると、思い通りにはならない」
*「こういうのは経験ですから。
……それにきっと、その緊張も『今の四音さん』の力になるではないかと」
四音「結局、気の持ちよう、と。
きっと、そのとおりなのでしょうね」
四音がふと、空を見上げる。
四音(……月が、見える)
四音(――ボクは、今『その先』にいるのか?
いや……ボクはまだ『その先』にたどり着けてはいない)
四音(けれど、『その先』は見える――そんな気がする)
スタッフ「四音さん、スタンバイお願いします!」
*「……時間ですね」
四音「えぇ。プロデューサー」
四音が進んだかと思うと、振り返り。
四音「――行ってきます」
テレビの収録が始まる。
アナウンサー「――というわけで本日は白草四音さんに来ていただいています!」
四音「こんばんは、テレビの前の皆さん。極月学園一年、白草四音と申します」
アナウンサー
「四音さんは、直近ではNEXT IDOL AUDITIONでの優勝も果たすなど。
快進撃を続ける新進気鋭のスクールアイドルなんです!
まさしく、期待の次世代のアイドル、ですね!」
四音「そう言われると、少し照れてしまいますね……。
でも、そういってくださることはとても私も嬉しいです」
アナウンサー
「そして、白草四音さんは、『あの』白草月花さんの妹さんなんです!
姉妹揃って、アイドルとしての才能に溢れているなんて、なんてすごい……!
次のコンテスト、THE-MOONでは月花さんもオーバートップ三冠を狙うということなので。
極月学園唯一のSランクアイドル――その姉が四音さんの最大のライバルになると予想されます!
凄まじい激戦がきっと待っていると思いますが、意気込みはありますか?」
四音「……姉は、素晴らしいアイドルです。
極月学園において、最高のアイドルであり――。
学園のみならず、多くのスクールアイドルが憧れる存在でしょう。
私もそんな姉の背中を追いつづけ、アイドルを続けてきました」
四音「姉は必ず最後の優勝を争う一人になるはずです。
去年も、一昨年もそうだったように。
姉は強い。私は――きっと苦しい戦いになる事でしょう。
きっと、想像を絶するような、そんな戦いになるはずです。
――けれど、『それでも』私は挑みます。
姉がどれだけ強くても、どれだけ私が苦しい戦いを強いられるとしても。
――私は、勝ちたい」
アナウンサー「……!」
四音「私も目指している場所があります。
だから――怖いけど、壁も高いけれど。
『それでも』私は戦います」
四音(なぜなら――白草四音とは、挑戦者の称号なのだから)
アナウンサー
「ありがとうございました! 素晴らしい意気込みでした!
それでは、今日はそんな四音さんのミニライブを最後に現場からお届けしたいと思います!」
曲のイントロが流れ始める。
四音(――来た)
四音(ボクのこの声を、テレビに。世界に。
――必ず、響かせる!)
――漆黒のレンズがボクを捉える。
ステージから見える人の数は、わずかばかり。
歓声はなく、ペンライトの光もない。
響くのは、ボクの世界となる伴奏と――。
そして、そこを生きるボクの歌声。
本当の意味で――『ボクだけの』世界が、ここにはあった。
だが。
(……届け)
歌声に熱を帯びる。
(――――届け!)
指先に熱を帯びる。
(ボクの世界を超えて――届け!)
レンズの壁を超えて、そこにある息遣いや、体温に。
ボクは迫ろうとする。
ボクの中にある黒い焔と。
ボクの先にある光。
魂の震えを、喉を通じて響かせる。
――挑戦者(ボク)たちの物語を、今始めるんだ。
舞台を降りてくる四音。
撫子「お姉様ーっ!」
四音「撫子……」
撫子「素晴らしいライブでした……!
このようなステージに立ち会えた事、私誇りに思いますわ!」
四音「……そう。ありがとう、撫子」
四音がプロデューサーを見る
*「最高のライブでした。
その歌声は――きっと、たくさんの『白草四音』に響いたことでしょう」
四音「ふふ、ずいぶんと無茶な挑戦でしたが。
――やりきりましたよ、プロデューサー」
四音「プロデューサー」
四音が手を掲げる。
*「……お疲れ様でした、四音さん」
四音とプロデューサーのハイタッチの快音が響く。
四音(きっと、前に進んだ。……そんな気がする)
月花「――四音」
どこからか、月花の声が響く。
四音がその姿を探すと、街頭の下――光の下に立つ白草月花の姿があった。
*「白草月花……!」
四音「……満を持しての登場、というわけですか」
月花「まったく、ずいぶんとお前には待たされた。
……まったく、我慢するというのは心底体に悪い」
四音「……日頃よほど我慢をしてこなかったからでしょう?」
月花「待つだけの『価値』がなかったものばかりだったからな。
――白草四音」
四音「……なんですか?」
月花「あの時の敗北と、これまでの時間、それらは私に大きな力を与えた。
お前が挑戦者であると同じく、私も挑戦者だ。
ようやく――この言葉を送る時が来た。
次の舞台、THE-MOONのその頂きで。
――決着をつけよう。『白草四音』」
四音「……えぇ、もちろん。
決着をつけましょう。『白草月花』ッ!!」
To be Continue…