後方支援者面で行けない0084   作:乾燥海藻類

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第07話 「コロニー防衛戦」

「見えた!」

 

正面モニターに映る赤い光点は60以上。つまり60機以上のMSが2基のコロニーに群がっているということだ。

やつら本気だな。本気でコロニーを奪い、地球に落とそうとしている。

 

『作戦は?』

「俺は母艦を叩く。おまえはコロニーの防衛を頼む」

『了解した』

 

2機のガンダムが左右に別れる。

MSの小隊がこちらに向かってきた。

先頭にいる機体の識別コードは強奪された"キャンサー"だ。

 

ビームライフルをかわしながら距離を詰める。すれ違い様にサーベルで右腕と頭部と斬り飛ばした。

……うん? ずいぶんとあっさりいったな。まあ、考えてみればそうだよな。機種転換には相応の時間がかかるものだ。MS乗りなら機種を変えてもある程度は動かせることはできるが、その機体の全性能を引き出すには、相応の訓練が必要になる。どんなベテランでも1ヵ月はかかるのが普通だ。

そう考えると、あの赤いのは相当おかしい部類に入るな。

 

あいつもガンダムと戦っている。

"ピスケス"は僚機と連携を取りながら、辛うじてジェミニに食らいついている。

ガンダムには高性能のコンピューターが積まれているため、素人が乗ってもある程度は動かすことができる。相手が旧世代のMSなら、スペックで押し切ることもできただろう。だが機体の性能差はなく、パイロットのレベルは比べるべくもなかった。コクピットを一突きされて、ピスケスは沈黙した。

 

こっちも仕事をしないとな。母艦は……チベ級が2隻、ムサイ級が6隻か。メガ粒子砲をかわし、ミサイル群をライフルで撃ち落とす。

チベに向けてブースターユニットを切り離し、ライフルで推進剤に点火する。ブースターユニットはチベを撒き込んで大爆発を起こした。

 

向かってくるMSをバルカンでけん制しながら、ムサイを落としていく。

敵MSは60機以上。こちらの射撃武器はビームライフルとハイパーバズーカが2丁ずつ。無駄撃ちはできない。

こちらが母艦狙いであることに気づいたのか、コロニー付近のMSがまとめてこちらに向かってきた。

当然だな。母艦の艦長は護衛命令を出すし、パイロットにしても母艦を落とされるわけにはいかない。

向かってくる敵を落とすのは、意外と簡単だ。向かってくるのがわかってるからな。機動が割と単純になるし、意識が攻撃に向いているので、比較的防御が薄くなる。

 

『ガンダム!! マレット様の仇!!』

 

半壊したキャンサーが後方からライフルを乱射しながら接近してきた。ゾディアックシリーズは全機全天周囲モニターが採用されているため、頭部(メインカメラ)を失っても戦力は落ちるが戦闘は続行できる。

とはいえ……まて、マレットだと?

まさかキシリアの護衛をしていたギャンか? いや、あの時親衛隊は全滅した。隊員が生き残っているのはおかしい。

 

「復讐は新たな復讐を生むだけだ。復讐で戦うのはやめろ!」

『うるさい! マレット様を奪った連邦も! ジオンの誇りを失った共和国も! みんな死んでしまえばいい!』

 

あー、そりゃあね。敵の説得くらいで思いとどまったりはしないわな。俺だって大事な人を殺されたら、そいつを憎むし、殺してやりたいとも思う。

けどマレットを殺したのは俺じゃないんだ、たぶん。

 

『もうやめろ! マレットを殺したのは俺だ! 憎むなら俺を憎め! おまえの憎しみは、俺がすべて受け止めてやる! だからこんなバカなことはもうやめるんだ!』

 

どちら様!? 識別コードは"カプリコルヌス"か。

いいタイミングで来て主人公みたいなセリフ吐きやがって。というかこの声は……あれ? もしかして本隊?

 

『うあぁぁっっっ!! キサマが! キサマがマレット様を! キサマがぁぁぁっ!!』

 

良いセリフだったけど、正気を失ってる相手に正論は通用しないぞ。

距離を詰め、サーベルで左腕を斬り飛ばす。ついでに両脚も斬り落としておこう。

ダルマになったキャンサーに組み付き、カプリコルヌスが語りかける。

 

『こんなことをしても、なにも戻りはしない! 過去に囚われて、未来まで失うな。マレットはきっと、おまえが幸せに生きることを望んでいたはずだ!』

 

いや、マレットってそんなキャラじゃなかった気がするけど。

だがキャンサーのパイロットの心には響いたようで、泣き崩れたような声が聞こえてきた。

 

『フォルド、あまり無茶するな』

『わりぃ、ルース。でもうまくいったぜ。見ろ、敵も投降を始めたみたいだ』

 

遅れてもう1機のガンダムがやってきた。

母艦を失えば、MSも投降するしかない。味方に拾ってもらえることを期待して逃げ出す者もいたが、どうだろうな。救難信号を発すれば、連邦にも所在が知られる。まあ、撤退時の合流地点くらいは決めてあるのだろうが。

 

『あんたにも助けられたな。礼を言うぜ』

『バ、バカ! 申し訳ありません少佐。こいつちょっとバカなんです』

『なんだよバカバカって……少佐?』

『ブリーフィングで寝てたのかよ! アリエスのパイロットはウィリー・ケンプ少佐だ』

『ゲッ! も、申し訳ありませんウィリー少佐!』

 

ゲッて言ったぞコイツ。

 

「いや、かまわんよ。礼と謝罪は受け取っておこう」

『か、感謝します。俺た……我々はこの後デラーズを追いますが、少佐はどうされますか?』

 

まさか追撃隊がアルビオンではなくサラブレッドとは。

いかんな、原作に引っ張られすぎていた。

 

「捕虜の移送と、コロニーの警護を続けるよ。また襲ってこないとも限らないのでな」

『了解しました。では、失礼いたします』

 

2機のガンダムは人間のように敬礼して去って行った。

確かにグワデンがいなかった。おそらくコロニー奪取後に合流予定だったのだろう。

まあそれは、本隊に任せるか。

 

あとはサイド3への核攻撃だが、国防隊でなんとかなるか?

軍縮はしているが、クランバトルでのゲルググを見るかぎりMSの改良はしているようだし、精鋭部隊はいると思うが……。

 

『ウィリー少佐』

 

思考を遮るように、シロウズから通信が入った。

 

『胸騒ぎがする。サイド3へ向かう許可がほしい』

「奇遇だな。俺もそう思っていたところだ」

 

 

 

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