後方支援者面で行けない0084   作:乾燥海藻類

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第09話 「終結」

コロニーの奪取に失敗し、サイド3への核攻撃も国防隊によって阻止された。

これで終わりかと思われたが、最後にもうひと波乱あった。核攻撃は二段構えの作戦だったのだ。

ダミーを含めた20基以上の核ミサイルがサイド3を襲った。

急行したシロウズはギリギリ間に合い、国防隊と協力して防衛に成功した。

 

デラーズ・フリートの首魁、デラーズは作戦失敗を悟ると、地球圏からの離脱を図った。だが追撃隊と、たまたま地球圏を訪れていたアクシズ艦隊に挟撃され戦死した。

セイラさんはデラーズを生け捕りにしたかったらしい。しかしアクシズ艦隊の一斉射撃でグワデンは沈み、デラーズは海の藻屑となった。

 

アクシズ艦隊はマハラジャ・カーンの訃報を知らせに来たようだ。マハラジャは残党軍も元ジオン軍人ということでアクシズに駐留させていたが、後継のチャップマン・ジロムは強硬派を一掃して共和国に恭順の意思を示した。

それが認められ、チャップマンは正式にアクシズの統括責任者に任命された。

さらにチャップマンはミネバ・ザビをサイド3に送りたいと言ってきたらしい。つまり、反乱の意思がないことを示したのだ。

 

『彼女は、どうすればよいでしょうか?』

「いや、そんなことを相談されてもな」

 

正直俺の手に余るというか、そんな重要なことを聞かせないでほしい。ダルシア・バハロとかランバ・ラルとかシャリア・ブルとかに相談してくれよ。

 

『処刑するべきだという声もあります』

「平和のために禍根は根こそぎ絶てというのは、理解はできる」

『まさか、賛成なのですか?』

「理解はできるというだけだ。まあ、教育するしかないだろうな」

『教育……ですか』

「洗脳という意味じゃないぞ。名前を変えて学校に通わせてもいい。彼女が大人になる頃には、共和国も落ち着いているだろう。その上で大統領になりたいのなら、選挙に出ればいい」

 

正直ザビの名は生き辛いだけだ。名を変えて別人になるというのも、ひとつの生き方だとは思う。ただまあ、完全に隠し通すのは難しいだろう。彼女を利用しようとする輩は現れるだろうな。

そう考えると、反乱分子をあぶり出すエサとして使うのもアリかもしれない。セイラさんは嫌がりそうだけど。俺も大人の都合で子どもを利用するのは、あまりいい気分ではない。

 

「まあこれからキシリアの息子だとかガルマの息子だとかが出てくる可能性もあるしな」

『なんですかそれはっ!? そんな話は聞いたことがありませんよ! ただでさえギレンの……いえ、なんでもありません』

 

ギレンの……なんだろう? プルシリーズのことだろうか。気にはなるけど、つつかない方がいいんだろうな。

 

「別に本物である必要はないさ。自分たちの行動が正当化されるのならな」

『……そうですね』

 

ダイクン派がアルテイシアの偽者をでっちあげて国を乗っ取ったってのがテロリストの理屈だからな。

その後もセイラさんの愚痴を聞いて、程よいところで回線(テレパシー)を閉じた。

テレビをつけると、黒服の集団が映し出された。そしてカメラが壇上へと向かう。

 

「いまだ止まぬ残党軍の暗躍! デラーズ・フリートの決起などは、その具体例のひとつに過ぎない!」

 

壇上では、居並ぶ集団と同じ黒い軍服を着込んだ男が演説を行っていた。

両手を広げ、拳を掲げ、時に演説台を叩く。本物の熱意か、パフォーマンスかはわからない。サングラスでその双眸を見ることはできないからだ。だがその瞳は、おそらく剣呑な輝きを放っているのだろう。

 

「真なる平和。地球圏の静謐を取り戻すために、我々"ティターンズ"は結成されたのだ!」

 

地球圏の治安維持を名目に設立された部隊、ティターンズ。漆黒の軍服が、エリート部隊ティターンズの制服だ。

 

「まるで葬式だな」

 

戦後、セイラさんはメディアを通じてジオン残党に呼びかけ続けていた。その影響もあってか、原作よりは残党は少ないような気がする。

尤も、原作の残党の数なんて正確に把握してはいないが。火星とか木星に行ったやつもいたという設定も聞いたような覚えがある。

 

というか、ガンダムは後からどんどんスピンオフやらサブエピソードやらが追加されるので、どこまでが正史なのかよくわからん。全部を拾っていったら辻褄が合わなくなると、考察勢が言っていたような気がする。だからある程度は並行世界(パラレル)じゃないかとか、非公式設定だろ、とか言われていた。

アニメ、小説、漫画は完全に別物語とは聞いたが。つまりどの世界に付随するエピソードかってことだ。まあ考えてもわからんし、わかったところでどうしようもないが。

 

話が逸れたな。

ザビ家信者(ジオン残党)がセイラさんを認めない理由は大きく分けてふたつある。

ひとつは、先に述べたように彼女が本物のアルテイシア・ソム・ダイクンである保証がないこと。彼女を本物と認めているのはダイクン派の人間だ。彼らからすれば到底信用できるものではない。

もうひとつは、いきなり出てきた彼女がジオン公国の代表として、有耶無耶のうちに戦争を終わらせてしまったことだ。負けてはいない。だが勝ってもいない。仮にデギンなりギレンなりが敗北を認めるか停戦交渉をしていれば、彼らもおとなしく従っただろう。

 

ザビ家最後の一人であるミネバ・ザビを擁立すれば彼らも納得するのかもしれないが、それは難しい。まず連邦政府が認めない。連邦は戦争責任をザビ家にあると決定した。なのでザビ家の人間が出てきて公国を復活させることは、再び戦争になることを意味している。まあ、残党軍はそれが目的なのかもしれないが。

たぶんデラーズは戦争をしたかったのだろう。戦争に勝って、自治権ではなく主権国家としてジオンを独立させたかったのかもしれない。

 

だがその目論見は露と消えた。これで宇宙は平和になった……わけではなさそうだ。ティターンズの台頭は、治安維持という言葉を免罪符としたスペースノイドの弾圧に繋がるだろう。

しかし、いちパイロットであるウィリー・ケンプも、いち市民であるレオン・ミュラーにも、できることは少ない。

まずはコロニー公社の社員として、世の中に貢献するとしよう。

 

 

 

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