P-SWAT―ロス市警機械化特殊部隊―   作:福ノ権兵衛

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最終章 決意

P―SWATのメンバーがブリーフィングルームに集合する。隊長のミシェルがスライドを起動し、作戦の説明を始めた。

ミシェル「いい?犯人たちはメインホールに立てこもっているわ。改造されたアーマイゼを5体引き連れているの。その内2機は機関銃、3機はアサルトライフルを所持しているわ。いずれも裏ルートで仕入れた軍用銃よ。警察の装備が更新されたからと言って正面からの対処は不可能。そこで私たちの出番よ。銀行の裏口から侵入し、まずパペットを先に無力化してから犯人の男を制圧する。もしかするとブービートラップが仕掛けられているかもしれないから注意して。以上。」

 隊員たちは準備を始めた。突入班はコントロールルームに行きエクソスケルトンとHMDを装着する。治療班は1階のガレージに降り、装甲車に乗り込む。突入班のメンバーは各自でアーモの動作チェックを行う。手足の関節、センサー類、エネルギー残量など不備がないか確認する。

ミシェル「ドッゴ1、異常なし。」

 ミシェルが復唱すると、他の隊員たちも次々と応答する。

アーサー「ドッゴ2、異常なし。」

フランク「ドッゴ3、異常なし。」

ジェシー「ドッゴ4、異常なし。」

イーサン「ドッゴ5、異常なし。」

ミシェル「全ユニット、異常なし。これより乗車する。」

 彼女は掛け声と共にパペット用の装甲輸送車に乗る。

ミシェル「乗車完了。」

ドライバー「了解、これより現場に急行します。」

 ゲートが開き、隊員たちを乗せた装甲車2台が警察署から飛び出す。エンジンが唸りを上げ、巨大なタイヤが地面を蹴る。鋼鉄の黒い装甲が光を反射しながら、装甲車は現場へと突き進んだ。

 現場は緊迫した状況となっていた。銀行の正面玄関には機関銃を持った2機の作業用パペット“アーマイゼ”が目の前にパトカーを止めている警官隊に発砲していた。中では二人の男が金庫から紙幣を大きなバッグに乱暴にしまい込んでいた。

犯人1「急げ!」

犯人2「分かっている!」

床に伏せられた人質たちを縫うように歩くアサルトライフル持ちのアーマイゼ。ただの作業用ロボットであるが人質にとっては自分たちの生死を操る死神同然であった。

 犯人1「いいか!妙な真似をしてみろ、そいつらがお前らの頭をぶち抜くぞ!外にいるポリ公、貴様らもだ!人質をミートローフにしたくなければ黙っていう事を聞け!」

 警官たちは人質を取られて身動きも出来なかった。彼らは自身の無力さを実感した。そんな中、P-SWATを乗せた装甲車が現場の裏口に到着した。扉が開き、アーモが飛び出す。裏口近くには犯人が乗ってきたであろう中型トラックが置かれていた。すると降車したアーサーが首を傾げた。

アーサー「扉が破壊されている。だがドアが見当たらない。」

ミシェル「奴らが持って行ったのかも、近接戦に備えて。ドッゴ3、ドッゴ4と一緒に屋上へ上がって防犯カメラの映像をハッキングして。」

フランク「ドッゴ1、了解。行くぞ、ジェシー。」

ジェシー「了解、フランク。」

 フランクが操作するアーモには電子戦装備が搭載されている。二人は左腕部のフックを射出、固定して壁を駆け上がった。屋上に上がると右奥のアンテナに近づく。

フランク「これだ。」

 彼は接続コネクタを取り出し、通信機器に繋げてハッキング用のシステムを起動する。5、10、50、90%とシステムは凄まじいスピードでアップロードされていき、1分足らずでハッキングを完了した。

 一方その頃、犯人たちは金をバックに入れていた。そんな中、一人が口を開く。

犯人1「どうだ、裏口にサツはいねえか?」

 犯人の一人が防犯カメラを確認する。しかし映るのは砂嵐。

犯人2「おかしい、何も映らねえ。故障か?」

犯人1「なんだって?・・・パペット一機を向かわせろ。」

 ハックが完了したとフランクが合図する。それを確認したミシェルは仲間に「前進」とジェスチャーを送った。突入班はミシェルを戦闘に裏口から侵入を始めた。道中、フランク達と合流する。

ミシェル「全機、トラップに注意。」

ブービートラップに警戒しながら進む部隊。曲がり角に差し掛かった時、センサーが鋭く反応する。刹那、バラララッと銃声が鳴り響く、耳をつんざくのこぎりのような音だ。部隊は壁に隠れた。ミシェルは応戦しつつ、自身が操る指揮官用アーモのサブカメラで射撃手を確認する。

ミシェル「アーマイゼね、M4カービンと鉄製のドアを装備している。」

アーサー「あいつが持っていったのか。」

 応戦するも、弾丸は鉄製のドアに弾かれる。

イーサン「何でドアを持っていくんだ?」

アーサー「あいつらのようなゴロツキにとって、鉄製のドアは上質な盾なのさ。一般人は警察のシールドは買えないからな。」

ミシェル「これじゃあらちが明かない・・・。ドッゴ2、奴のライフルを狙撃して。」

アーサー「ドッゴ1、了解。」

 ミシェルと交代するアーサー機。軽機関銃からライフルに持ち替えて構える。アーマイゼの銃撃が止む瞬間を狙い、彼は引き金を引いた。彼が放った銃弾は見事ライフルに被弾、跳弾してグリップを握っていたマニピュレータを破壊させた。右腕が吹き飛ぶも依然と立っている。

ミシェル「GO!」

 合図と共に進撃する部隊、彼らの猛攻撃を相手は鉄の盾で防ぐ。

ミシェル「ドッゴ4!」

ジェシー「了解、ドッゴ1!」

 彼女の掛け声と共に後ろにいたジェシーのアーモが飛び出す。近接戦闘に特化された彼女の機体は素早い速さでアーマイゼの後ろに回り、首にナイフを刺し掻っ切った。敵は少し痙攣した後、ドスンと音を立てて前のめりになって倒れた。

ミシェル「上出来よ、ドッゴ4。」

ジェシー「お安い御用よ。」

犯人2「おい、今銃声が聞こえなかったか?」

犯人1「くそ!やっぱりサツの仕業か!おい、こっち来い!」

 異変に気がついた犯人が人質の受付嬢を立ち上がらせる。玄関を出て銃口を頭につけて怒鳴り散らす。

犯人1「貴様ら!俺たちの忠告を無視したな!どうなるか分かっているだろうな!」

 怒り心頭の犯人は怯える彼女のこめかみに向かって引き金を引こうとした。

 カランカランっと何かがホールに転がる。振り返るとそこには2本の黒い円筒、それがフラッシュバンだと気が付いたときには彼の眼は眩い光に包まれた。

ミシェル「GO!GO! GO!」

 後ろの扉からアーモと治療班が突入する。ミシェルたちが盾になると同時にアーマイゼを鎮圧する。敵機の動きが鈍くなっている間にフランクとジェシーがホールの2体に向けてライフル2、3発で頭部と胴のコアを破壊する。アーサーは玄関にいる敵機が機関銃を撃つ前に頭部を狙撃した。

犯人2「ク、クソっ!」

 犯人の一人が現金を入れたバッグをもって逃亡しようとする。それを阻止するためイーサンは犯人の両足に鉛玉を撃ち込んだ。犯人は生まれたての小鹿の様に足をもつれさせ、地面に倒れ込んだ。

イーサン「おとなしくしろ!」

 残るは共犯者1人となった。男の目はフラッシュバンの強烈な光のせいで痛んでいた。

犯人1「がぁぁ・・・。」

 男がひるんでいる隙に受付嬢は男から離れる。ミシェルは彼女を後ろに逃がすと男に近づき、男に組み付いて手錠を付ける。

ミシェル「ドッゴ1から本部へ。犯人を制圧、人質の救出に成功。これより帰還する。」

 

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 犯人を確保したことによってこの事件は幕を下ろした。終わった現場には機械人形の首なし死体を警察が回収していった。犯人たちがパトカーに乗せられる際にバリケードテープには野次馬とマスコミがたかっていた。だがカメラの視線は彼等ではなく、隣にいたアーモ達だった。犯人を車に入れた後、彼等もまたトレーラーに入って署に帰還した。

ミシェル「ふぅー。みんなお疲れ。」

 一仕事を終えた隊員たちは更衣室で帰宅準備をしていた。皆、緊迫した状況から解放されたのか嬉しそうだった。

フランク「今日は大変だったな。」

アーサー「そうだな、この後飲みにいかねぇか。俺、いい店知っているぜ。」

ジェシー「いいね、行こう!」

 イーサンも普段の制服から私服に着替える。するとミシェルが声をかける。

ミシェル「イーサン、よかったら行かない?」

 イーサンは少し考えて少し微笑んで答えた。

イーサン「分かりました。」

ミシェル「決まりね。」

 そういって彼らは近くの店へ向かったのであった。

 

 

                                       完

 

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