キヴォトス維新   作:その辺のホタテ

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前回を読んでから閲覧することを推奨します。












第2話 捜査中止命令

朝日が窓から差し込み、子鳥のさえずりが聞こえてくる。

 

「うーん...」

 

寝返りをうってまだ寝ようとする私に、無情にも目覚ましのアラームが音を響かせる。

 

「んぁ....んんー....」

 

寝ぼけ眼を擦りながらベッドから降りて洗面所を目指す。途中何度か壁にぶつかりながらも洗面所に辿り着き顔を洗う。

 

顔を拭いたらリビングに行きコーヒーを淹れる。いつも朝はコーヒーだけだ。

その合間に着替えを済ませてしまい、コーヒーを1口飲んだら残りの準備も済ませてしまう。

 

「じゃ、行ってきます」

 

誰も居ない家に、ただ一言発し、鍵をかける。

真夏は朝から暑さが厳しい、日差しに照らされながら人混みで溢れた街を歩きヴァルキューレに到着する。

 

「おはようございまーす」

 

特捜一課の事務室に挨拶しながら入る。とは言っても近頃のヴァルキューレは人手不足でどの課も人員が不足しており、それは勿論この特捜一課も例外では無く...

私以外居ないのだ。

 

「いつになったら人員不足は解消されるんですかね」

 

そんな独り言を呟きながらトリニティへと向かう準備をする。

 

***

 

「おはようございまーす」

 

挨拶しながら捜査本部に入るや否や、副委員長にいきなり詰め寄られる。しかもかなり怒っているらしい。

 

「ど、どうしたんですか?副委員長さん...」

 

私が恐る恐る詰め寄ってきた理由を聞くと、

 

「たった今ヴァルキューレからお達しがありました!本件の捜査は中止って!」

 

そんなの私は聞いていない、知らないぞ。

 

「いや、私はそんなの聞いてないですけど...」

 

私が正直に話すが、副委員長は

 

「そんな訳ありませんっ!まったく、何時も貴方達は偉そうに....」

 

話を聞かずどっか行ってしまった。

私は直ぐにヴァルキューレに電話を掛け、さっき言っていた事が本当なのか確認する。

 

「もしもし?今すぐ公安局に繋いで」

 

総務課の子にそうお願いして繋いでもらう。待っている間がいつもより長く感じる。

 

「あ、もしもし?コノカ?あのさ、今私が担当してるトリニティの事件あるじゃん?」

 

繋がった先は同期のコノカ。直ぐに確認に取り掛かる。

 

「あれ、今日の朝に正実に捜査中止命令出したの本当?こっちで今大変なことになってるんだけど」

 

そう言うと普段通り少しめんどくさそうな声色で確認する旨の返事が返ってくる。

 

「頼んだよ、分かったらすぐ連絡して」

 

そう言って電話を切る。

私はため息をついて頬杖をつき考える。何故、局長は捜査中止命令を通達したのか、この大規模な事件を簡単に諦める理由は何か、分からない。私には分からない。

 

そんな事を考えていると、声を掛けられる。

 

「あの!捜査が中止になったって本当ですか...?」

 

声のする方に顔を向けると、そこに居たのは少しどこか悲しげな目で私を見ていたワンコちゃんだった。

 

「なんだ、ワンコちゃんか」

 

私が少し内心ホッとして少し笑みがこぼれながらそう答えると

 

「もう、終わっちゃうんですか....?」

 

そう聞いてくるワンコちゃん。私はそれを聞いて喉が詰まった。そして気づいたらメモ帳を取り出し、1ページに私の電話番号をメモして千切り、渡していた。

 

「もし、ワンコちゃんがさ、私に着いてきたいんだったらさ、これ私の連絡先だからここに電話するか、ヴァルキューレまで来て」

 

そう言う私に彼女は戸惑っている。けどその時の私にはそんなのを気にする事は出来なかった。

 

「どうするかは、君の選択だけど、私は何時でも待ってるからね」

 

そう言って私は鞄を担ぎ席を立つ、そしてスーツのシワを直し歩き始める。後ろには未だ戸惑っている君が居るけど、私は君を待っているからね。

 

***

 

特捜一課に戻った私は一応の報告書を作成し提出する。

 

「また、これで暇だなぁ」

 

特捜課は公安局の管轄で、基本的には公安局が拾ってきた事件の捜査を担当する。

だから、次の事件が来るまで....暇だ。

 

「...やっぱり、気になる」

 

あの事件がやっぱり忘れられない。何か裏に”操り糸”があるのか?

 

「....」

 

ふと、1つの考えが脳裏によぎる。

 

「内部調査....」

 

その私が呟いたその一言、それが何を意味するか。

でも、もし、もしも、裏で何かあった場合、それはいち早く止めなければいけない。

 

「...っ」

 

固唾を飲む。それは覚悟の表れか、リスクへの恐怖か、

 

その時、特捜一課の扉が勢いよく開き思わず私は驚いてしまう。

 

「あ、ごめんなさい!驚かせてしまって...」

 

私は頭の打った箇所を擦りながら徐々に目を開ける。そしてその正体を見た

 

「ワンコちゃん....?」

 

あの日の君が、そこに居た。あの”黒い制服”じゃなくて、スーツに身を纏った君が。

 

「私!瑞穂さんに会いに来ました!」

 

そう元気に言い、私の元へ来るワンコちゃん。

 

「そ、そっか、嬉しいね....」

 

どうやら、あの日の私の想いはちゃんと届いたようだ。

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