ヒロぜバブ   作:規律式足

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 他作品が詰まったので息抜きで書き始めました。
 続くかは未定です。



第1話

 

「俺、ヒーローになるわ」

 

「頭打ったか、お前」

 

 中学3年。

 若人が本格的に将来を考えていく時期。

 黄金の爪を入手した後の王家の墓、と称される不良溢れる治安を誇る石矢魔中学であってそれは変わらず、二人の少年は自らの進路について考えていた。

 これがごく普通の中学校ならば、だいたい生徒達はヒーロー科志望だろう。

 だがそこはヴィラン予備軍養成所と名高い石矢魔中学。殆どの者達がこのヒーロー飽和社会であっても、有名なヴィラン予備軍養成所のような高校へと進学する。

 そしてそれは、石矢魔中学を制覇した最強にして最凶である最恐、男鹿辰巳と、

 その友人である古市貴之も同様、の筈であった。

 

「ベル坊の親になってから早2年、俺は悟ったことがある」

 

「もうそんなになるか、時間が流れんのは早いな」

 

 そうこの場にはいたのは二人の少年だけではない。もう一人、正確には人ではないが赤ん坊が居るのだ。

 おしゃぶり咥えたその赤ん坊ベル坊、本名カイゼル・デ・エンペラーナ・ベルゼバブ4世は、男鹿辰巳に懐いたその日から変わらず彼にひっついていた。

 

「つーか、ベル坊成長しないのな」

 

「今更っ!?いつだかヒルダさんが魔王だから人間より時間がかかるって説明してたよなっ!?」

 

「あ〜〜、そうだったそうだった」

 

 ベル坊について触れてからそのまま過去の回想。あの日男鹿辰巳がいつものように襲撃してきた不良達を返り討ちにして土下座させてさらに川で(不良を)洗濯していたその時に、川上から大きなおっさん(アランドロン)が(胸に矢が刺さった状態で)どんぶらこっこどんぶらこと流れてきた時から、全ては始まったのだ。

 それから不良やら東邦神姫やら悪魔やらなんやかんや(べるぜバブ本編)あって今に至るのだ。

 

「そう、俺は悟った。

 やっぱベル坊の親は不良じゃ無理だ」

 

 次元転送悪魔アランドロンに託された幼き魔王ベルゼバブ。

 魔王であるがゆえに強い者に惹かれ懐く。

 さらに凶悪で残忍で傍若無人で人を人と思わぬクソヤローであればさらにサイコー。

 ベル坊に引っ付かれ、実家を悪魔にのっとられ、ついでにベル坊が癇癪や泣き出す度に黒焦げになるほどの電気ショックをくらう男鹿は、なんとかしてベル坊を別の者に懐かせようとした。

 その方法が自分より強くて凶悪なクソヤローを見つけることだったのだ。

 しかしこの2年の日々。

 あらゆる不良と出会い、戦い、シバキ、土下座させ、アチラコチラを破壊し、魔界大冒険までしても、そんな存在は見つからなかった。

 

「ガキは駄目だ。なら本職のヴィランしかねえ」

 

「(初日ならまだしも、この2年で育まれた絆があるから懐いたりしないと思うけど)」

 

 男鹿辰巳はそれが子供である不良だから駄目なのだと判断し、本物の悪人、ガチ犯罪者、ヴィランならばと思い至ったのである。

 なお古市は今更無駄だと内心で思っていたが、あえて突っ込まず黙っていた。

 絆とか指摘して照れ隠しで関節技をやられたらたまったものではない、そんな本音が透けて見えていた。

 

「だから俺、ヒーローになるわ」

 

「いや無理だろ」

 

 古市はチラリと周囲を見渡しながら男鹿の妙案を否定する。

 子供達が水遊びしたり、主婦が犬の散歩したり、健康を気にしだした方々がジョギングしたり、端にエロ本が捨ててありそうな川原には、シバかれた不良達が地面やら坂に頭からめり込み草のように生えていた。

 

「お前がヒーローとか無理だから、ヴィランにはなっちゃ駄目だが番長とか不良キングとか目指せよ、な?」

 

 そんないつもの惨状を見て、いやヒーローとか無理だと指摘する。

 

「誰が無理だ!!

 あと不良キングはなんかカッケェな!!」

 

 クワッと男鹿が怒鳴る。

 不良では無理だった。

 残された希望はヴィランしかない。

 そんな必死に考えた案を頭ごなしに否定されては怒るのも当然だろう。

 

「まあ、戦闘力は充分だろうけど。ヒーローってヴィランをぶっ飛ばすだけの仕事じゃねえぞ」

 

 苦笑しながら古市は言う。

 男鹿辰巳は確かに凶悪で残忍で傍若無人で人を人と思わぬクソヤローではあるが一般人に手を出すことはない。けれど今のヒーロー飽和社会というヒーローに溢れた状況ではファンサービスによる人気取りなども必要なのだ。

 

「いやでもミルコとか拳骨のオッサンとか」

 

「否定できない例をだすなよ!!つーか妖怪拳骨親父はヒーローじゃねえしっ!!」

 

 かつて遭遇したことのあるジャパンランキング上位の女ヒーローと、とある都市を拳と暴力で守り続けるヴィジランテを言われれば流石の古市とて反論できない。

 

「あとよ、幼馴染二人がオールマイト好きでヒーローになるって言ってたんだよ」

 

「爆豪と緑谷だっけ?アイツらヒーロー志望だったのか」

 

 男鹿辰巳はこの地方に親の都合で小学校低学年の頃に引っ越してきた。

 この二人はそれ以前によくつるん(強引に喧嘩に巻き込ん)でいた幼馴染なのである。

 

「勝己のヤツならもしかしたらベル坊の親に成れるかもしれないしなあ」

 

 ニヤリと凶悪に男鹿は笑う。

 

「ヒーロー志望なんだよな?」

 

 男鹿のような目的がないにも関わらずヒーローになろうとしているのにベル坊の親に成れそうな人格。

 美咲さんの前では怯えたチワワっぽかったのなあ、と昔会った時のことを古市は思い出していた。 

 

「ま、いいや。

 どうせ進路は、志望校は決めなきゃなんねえし。ヒーロー科志望すんのもありだろ」

 

 男鹿辰巳は一度決めたことは翻さない。そんな性格を長年の付き合いから熟知している古市はため息をつきながら賛同する。なにはともあれ進路を決めるのは悪いことではない。

 

「で、志望校はどこだ?」

 

「雄英高校ヒーロー科」

 

 アイツラの志望校そこだしな、とロクに考えもせずに男鹿辰巳は言った。

 

「お前の学力じゃ無理に決まってんだろ!!アホオオオオオオ!!」

 

 その無謀極まりない志望高校に古市貴之は全力の叫びをあげ、夕暮れの川辺に響き渡るのであった。

 

「ふむ、最高峰ヒーロー育成機関。

 坊っちゃまが人間界を滅ぼす障害となる者達が育てられる場所か」

 

 ベルゼバブに使える侍女悪魔・ヒルデガルダは男鹿辰巳達の戯れ(なんかツッコミから殴り合いになってる)を眺めながら思案する。

 

「石矢魔中学のように坊っちゃまの傘下に治めるのは悪くないな」

 

 ならば問題は学力か。

 ヒルデガルダはそう結論をだし、これからの入試までの男鹿辰巳(ついでに古市も)の学力向上計画をたてるのであった。

 

 

 

「ヒーローになって、ヴィランにベル坊を押し付けるぞーー!!」

 

「そんな理由でヒーローを目指すのはお前だけだ」

 

 

「君はヒーローになれる」

 

 男鹿辰巳によるヒーローになる宣言。

 奇しくもその日、無個性の幼馴染も憧れのヒーローに後押しされヒーローへの道を踏み出していた。

 

 

 

 これは緑谷出久達が最高のヒーローになるまでの物語であり、

 後に全世界のヴィランを恐怖のどん底に叩き落とす、子連れヒーロー・ヒロぜバブの伝説である。

 

 

 





 補足・説明。

 当作品はヒロアカとべるぜバブのクロスオーバー作品です。
 ただ雄英高校入学の為、べるぜバブ本編は中学時代に終えてる形に改変してあります。
 年齢的に厳しいかと想いましたが、浦飯幽助も蒼月潮も中学生だったから大丈夫かなって思いまして。
 また男鹿辰巳は緑谷出久、爆豪勝己と幼馴染で、両者にかなりの影響を与えています。
 基本的には男鹿辰巳が雄英高校に加わった原作沿いの展開を予定しています。
 べるぜバブのキャラクターは、古市以外は悩み中でしてヒルデガルダさんは保護者枠で下手したら生徒にならないかもしれません。
 ちなみに大魔王が人類滅ぼす理由の一つが、魔王を自称する例のヴィランだったりします(笑)

 息抜き作品なのでどこまで続くかわかりませんが、よろしければどうぞお楽しみください。
 
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