ヒロぜバブ   作:規律式足

4 / 10

 べるぜバブのヒロインだった邦枝葵さんですが、当作では出番増やすために男鹿辰巳と同い年に改変してあります。
 だってヒロアカって学年違うと絡むイベント殆どないし(B組ですら微妙だし)。



第4話

 

 春。

 緑谷出久は母に「超カッコイイよ」という最高のエールを貰い、憧れの高校生活が始まった。

 毎年300を超える倍率を突破した同世代のエリート達と会うことにドキドキしながら広大な雄英高校の敷地を早足で歩く。

 残念なことに幼馴染二人とは別の登校となってしまったが、これから同じ学校に通うのだから昔のように三人で過ごせるだろうと期待を胸に抱いていた。

 そんなことを考えながら自分のクラスとなる1ーAへと向かうと赤ん坊(何故に全裸?)を装着した見覚えあるのに新鮮な後ろ姿を見つけ、緑谷出久は声をかけようと近寄っていく。

 

「おはよう!たっくん、ベルく「死ね男鹿ああああああ!!」ん?」

 

 が、

 声をかけようとした幼馴染は凄まじい殺意の籠もった叫びと共に銀髪の青年にラリアットをかけられようとしていた。

 

「朝からなんだよ」

 

 しかしそこは百戦錬磨の男鹿辰巳。

 手慣れているとばかりに突っ込んでくる青年を殴り飛ばしていた。

 入学初日から暴力事件!?

 そのとんでもない状況に緑谷出久はただ愕然となる。

 憧れの学校。

 憧れの学生生活。

 そのファーストイベントがコレなのだから。

 でも昔と変わらぬ幼馴染、男鹿辰巳の姿になんかほっこりとした。

 

「え、っと。大丈夫たっくん?」

 

「ん?おお緑谷。問題ねえよ石矢魔だと3歩歩いたらこんな感じだし」

 

「ダ!」

 

「黄金の爪入手後の王家の墓かな?」

 

 治安が悪いなんてレベルじゃない、エンカウント率半端ないなと緑谷出久は思った。

 

「それで襲いかかってきたのは・・・・・・」

 

「古市のヤツなんだが、何が理由なんだ?

 心当たりが多すぎて困る」

 

「引っ越し先からの友人で相棒だよね!?なんで襲われる心当たりが多過ぎるのさっ!!」

 

 返り討ちにあった下手人の名は古市貴之。緑谷出久もかつて男鹿辰巳の引っ越し先に遊びに行った際に会ったことのある人物だった。

 

「・・・・・・コロッケパンのコロッケ抜いて食ったことか?ホットドッグのソーセージを奪ったことか?ハンバーガーのパテを横取り・・・・・・」

 

「心当たりがそんなのばっかりなの?」

 

 確かにキレそうな内容だけど食べ物ネタばかりかいと緑谷出久はツッコむ。

 

「・・・・・・ハッ、ふざけんなよ男鹿ァ」

 

「あ」

 

「復活したな」

 

「ダ」

 

 下手なヴィランなら一発KOなカウンターをくらった筈の古市はゆらりと起き上がる。その身に隠す気もない怒気を漲らせて。

 

「お、まだやんのか(ワクワク)」

 

「ダ(ワクワク)」

 

「なんでそこでワクワクしだすの君達」

 

 根っからの喧嘩好きの男鹿は起き上がりおかわりできそうな古市の姿に喜色を浮かべる。

 怒気に関しては古市貴之が理由もわからず唐突にキレるのはいつものことだから気にもしていない。

 

「なんで怒ってるか、だってえ?そらメイン抜かれて食わされたこともムカついたがなあ。そうじゃねえ」

 

「そっちも頭にはきてるのね」

 

 語りだす古市と相槌を打つ緑谷。

 

「俺が、俺が、俺がブチギレてんのはよお」

 

 古市貴之、溜めに溜めた怒りが今、

 

「テメエが雄英入学を機に、

 金髪巨乳美少女侍女のヒルダさんと、

 同棲しやがったことだあああアアア嗚呼あアアアッッッ!!」

 

 爆発する。

 

「「なんだってっ!?」」

 

 そしてその魂の叫びを聞いたA組の生徒、金髪のチャラめな青年と、まるでブドウのような頭の小さい青年がクラスから飛び出してきた。

 

「なんか増えたよ」

 

「えっと、君達は?」

 

「あ、俺は上鳴電気。よろしくな」

 

「オイラは峰田実。はじめまして」

 

「俺は男鹿辰巳、こっちはベル坊」

 

「緑谷出久です、叫んでる彼は古市貴之君」

 

 飛び出して両者は初対面だからと名乗りだして頭を下げる。

 男鹿達も名乗り、とりあえず名前だけはわかった。

 

「それで男鹿よお」

 

「金髪巨乳美少女侍女と同棲たあ、どういうことだコラ、嗚呼ん?」

 

「僕もちょっと気になるかな」

 

 名乗った後、即座に態度は豹変し血走った目で男鹿に迫る上鳴電気と峰田実。

 そんな二人の姿に苦笑いしながらも緑谷出久も気にはなっていた。

 

「同棲って、俺は家事できねえし(食事に関しては命に関わるので去年一年で必死に習得した)、ベル坊の世話があるからよ」

 

「あ、ベル君ってなんか凄い家から預かってるんだよね」

 

 なんか凄い家(大魔王一家)ではあるが。

 

「「「だからと言って、侍女と同棲する学生がどこに居る!!」」」

 

「中学の時も実家に居着いてたわ」

 

 正確には乗っ取られたようなものではあったが。

 

「侍女でしたら実家には居りますけど」

 

「ウチも昔はお手伝いさんが居たぞ」

 

「「「居たよそんな学生」」」

 

 なお聞こえていたため、教室内の八百万百と轟焦凍がこんなコメントをしてブルジョアが居ると盛り上げっていた。

 

「ふざけんな男鹿!!なんでお前だけそんな目にあってんだ男鹿!!ゴスロリ巨乳メイドと高校生活開始から同棲なんて羨ましすぎんぞテメエコラァ!!」

 

「「そーだそーだ!!」」

 

「・・・・・・いやヒルダだぞお前。

 中学時代アイツにどんな目にあわされたと」

 

「なんかたっくんが落ち着ける側に。普段はボケ役なのに」

 

 周りが暴走すると冷静に押さえる側にまわるのも男鹿辰巳の一面である。

 

「でもよ古市、お前も雄英入学から一人暮らしで女の子招き放題とか喜んでいたじゃねえか」

 

 自宅に女の子を招く、さらに親がいない環境というのは男子学生夢のシチュエーションである。

 ただ気をつけないと、某元ヴィジランテのクロウラーさんのように学生生活が終わってしまうので注意が必要。

 

「一人暮らし。一人暮らし?だとおお」

 

 古市を正気に戻そうとする男鹿の発言だったが、それは古市貴之にとってもう一つの地雷であった。

 

「「「「?」」」」

 

「一人暮らしかっこアランドロン付きかっことじ生活なんだコラ嗚呼アアアああアアア!!」

 

 血涙流し叫ぶ古市。

 夢の一人暮らしが初手から破綻していたのだからさもあらん。

 

「そっかアランドロンと同棲してんのか」

 

「同棲という素敵ワードにアランドロンというモンスターを悪魔合体させんじゃねえぶっ殺すぞ」

 

「殺意がマジだ」

 

「ああ今のヤツは阿修羅すら凌駕する存在だ」

 

「そもそもアランドロンさんって誰?」

 

 各々の反応にとりあえず男鹿はアランドロンの説明をしようと口を開く。

 次元転送悪魔であることを伏せればまあ大丈夫だろうと思っていた。

 

「ああアランドロンっての「呼びましたかな?(ニュっ)」こんなオッサン」

 

 呼んだらくるし、呼ばれずともいつの間にか居る、それがアランドロンである。

 

「「「「ええ〜〜」」」」

 

 なんでセキュリティ厳しい雄英に普通に怪しい大柄ヒゲ面シャツパンツ姿のオッサンが居るのかと初対面の彼らは思ったが、こんな人と古市が同棲してる事実の方がインパクトがあったようだ。

 ちなみに中学生生活でその神出鬼没さに慣れた石矢魔組は反応すらしない(諦めたとも言う)。

 

「つーかこのアランドロンさんと、古市はどんな関係なんだよ」

 

「同棲、するぐらいだもんな」

 

「うんうん」

 

 三者の言葉に男鹿はさてなんと答えたものかと真剣に悩みだす。

 男鹿辰巳が真剣に悩みだしたらロクな結果にならないというお約束をツッコんだらいけない(ネタバレ)。

 男鹿辰巳は悩む。

 家族、ではない。

 友達、も微妙。

 戦友、にしては戦わないよなコイツ。

 となると、

 男鹿辰巳は悩んだ末に告げる。

 古市貴之、雄英高校生活が台無しになる一言を、悪意なく素で(だから魔王の親になったかもしれない)。

 

「体内に入ったり出たりする関係?」

 

「/////////(ポッ)」

 

 その瞬間、雄英の空気が死んだ。

 今までの騒ぎは扉の向こうのA組だけではなく他のクラスの生徒達の興味を引き、様子を見ていた。

 そしてやや言い回しは変だが、その言葉を聞いて思ったのはただ一つ。

 

「「「「「「「高校男子とオッサンの熱愛?」」」」」」」

 

 即ち耽美で薔薇な関係である、

(次元転送悪魔だから)体内に出たり入ったりするのは当然だが、知らない者達からしたらアレな行為に聞こえたのだ。

 

「誤解招く言い回しすんなバカヤロー!!」

 

「当て身」

 

「くペッ」

 

 学生生活が終わる、そんな焦りから再度襲いかかった古市だが、いい加減時間もおしていたので男鹿は躊躇わず気絶させた。

 

「アランドロン、コイツ経営科の教室まで運んでやってくれ」

 

「わかりましたぞ」

 

 クラスが異様に多い雄英高校。

 経営科となればヒーロー科から大分遠いのだ。

 だから男鹿は気絶した古市をアランドロンに頼み、アランドロンはお姫様抱っこで慈しむような眼差しで大切そうに古市を運ぶのであった。

 それが誤解をさらに加速させるが。

 

 古市貴之。

 体内に入ったり出たりする関係のヒゲ面大柄のオッサンと同棲し、お姫様抱っこで教室に連れてこられる。

 雄英に新たな伝説が刻まれたのであった。

 

「さ、いくぞ緑谷」

 

「何事もなかったような態度のたっくんが凄い」

 

「ダ!」

 

 こうしてようやく、男鹿辰巳と緑谷出久は雄英高校一年A組へと一歩踏み入った。

 なお緑谷出久は実技試験で知り合った麗日お茶子に声をかけられ照れ臭そうに会話をしだし、上鳴電気と峰田実をグヌヌとさせたとか。

 古市貴之との差よ。

 

 

 

「男鹿が、男鹿が、

 ヒルダさんと同棲?」

 

「初日からなんか脳破壊されてるノコ」

 

 さらに一人の恋する乙女も流れ弾でダメージを負ってしまったそうな。

 

「でもヒルダさんは料理が致死的だから、差し入れを持っていけば(グッ)」

 

「ラブコメの波動、うらめしい」

 

「ん」

 

「節度は守りなよー」

 

 そんなやり取りがB組であり、邦枝葵という黒長髪美少女に好かれる男鹿辰巳にB組男子勢から殺意が集まることになる。

 





 補足・説明。
 
 雄英高校初日、廊下でのやり取りだけで1話が終わってしまいました。
 男鹿辰巳と古市貴之の私生活が明らかに(笑)
 男鹿辰巳君は家事は基本的ヒルダ任せですが料理は自分でやっています、でないとガチで命に関わりますので必死に覚えました。それを見て不満げな表情で頬を膨らませるヒルダさんの姿があったとか。
 古市貴之君は一人暮らし(アランドロン付き)です。アランドロンと同棲でないのが彼なりの抵抗です。
 ですがアランドロンが一々やらかすのでその抵抗も無意味になります。
 雄英ではロリコン貴之よりホモ貴之の方が広まってしまいました。

 男鹿辰巳。
 なんで古市がキレたか理解できない男。このあと週五で差し入れを持った邦枝葵が通いに来るとか。

 古市貴之。
 雄英の新たな伝説になった男。
 体育祭で全裸の先輩やさらにこれからサポート科の爆破魔もでるのでなんか普通に受け入れられる。

 緑谷出久。
 古市が伝説となった後で学園ラブコメした勇者。知ったら古市がキレる。

 上鳴電気、峰田実。
 これをきっかけで男鹿辰巳達と絡むように。

 八百万百、轟焦凍。
 侍女やらお手伝いさんが居る生活を知るブルジョア。

 邦枝葵。
 脳破壊から通い妻を目指しだす恋する乙女。

 某クロウラーさん。
 外伝の主人公、バグ枠の強者。
 大学入学してすぐに浮かれて女子を自宅に招こうとした結果、立地の関係から大学生活が終わった人。
 彼に下心などなく友人を自宅に招けることに盛り上がっただけなのが辛いが、個性ある社会では女性の警戒心が強くなるのは当然かもしれない。
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