装甲の光沢を光らせ、黒羽は騏場と対峙する。
騏場は剣を振り上げ、怒号とともに黒羽に突進を始める。その向かいから、レオがトンファーを手に銀時に殴りかかった。
銀時と黒羽は立ち位置を入れ代わり、相手を換える。銀時が騏場の剣を受け止め、黒羽はレオの攻撃を蹴りで止めた。
銀時と騏場が鍔迫り合いを繰り広げ、離れていく中、黒羽はレオを蹴り飛ばし、トランクに別のコードを打ちこむ。
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電子音とともに、トランクの
至近距離からの銃撃を受け、レオは胸の装甲から火花を散らせて転倒した。
「シャアアア!!」
背後からロズワが襲い掛かるが、黒羽は無言で蹴り飛ばし、黙らせる。そのままトランクに「5214
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黒羽の背の装甲が展開し、肩に装備されて二門の砲となる。黒羽が発砲するのと同時に、無数の光弾が放たれ、ロズワに命中した。
「ギャアアアアアアア!!」
光弾に全身を貫かれ、ロズワは青い炎を噴き上げて倒れた。
息をつく間もなく、起き上がってきたレオが殴りかかる。だがトンファーが届く寸前に銀時が割って入り、腕を斬りつける。
再び相手が入れ替わり、黒羽は突進してくる騏場と対峙した。
黒羽は背に装甲を直し、トランクに新たなコードを打ちこんだ。
[
一瞬で、銃の砲身が原子レベルで分解され、黄色の光の刃となって伸びた。
「ウオラァァァァァァァァ!!」
黒羽は雄叫びを上げ、騏場と剣を交えた。
ガシンッ!!
龍と夜兎の拳が、互いの顔面をとらえる。
とてつもない衝撃が辺りを駆け抜け、二人の足元が陥没した。
互いに凶悪な笑みを浮かべ、二人の強者はその身を拳で喰い合う。一撃一撃に殺意のこもった拳や蹴りが互いの体を削りあい、血飛沫を上げさせる。
ズゴム、と竜の拳が神威の顔に入り、同時に神威の蹴りが竜の異形の腹に入る。
衝撃で二人は、同時に距離を開けた。
「……カッ、カカカカカ!! 壊れねェ、まだ壊れねェ!! 最高だよお前!!」
体を震わせ、竜の異形は嗤う。
神威もまた、凶悪な満面の笑みを浮かべていた。
「俺もだよ。まさかここまで楽しい殺し合いがあるとはね!!」
言いながら、両者は再びぶつかり合う。血を浴びようとも、骨が砕けようとも、この狂戦士たちは止まらなかった。例えその命が、尽きようとも。
「ハハッ…ハハハハハ!! もっとだ、もっと遊ぼうぜぇ!!」
そう笑って、竜の異形が天を仰ぐと、突如傷一つ付かなかった鎧が剥がれ落ちた。
「!?」
鎧の下から現れた骨のような姿に、神威の目が興味深そうに見開かれた。
直後、全身を荒まじい衝撃が襲う。
ニヤリと笑う竜の異形が、目の前で拳を振り上げる。
龍の異形の姿が再び瞬時に消え失せ、神威は衝撃で吹き飛ばされた。壁に激突した神威は、痛みを感じるより先に喜びが込み上げるのを感じた。
「へぇ……、速いね」
呟くと同時に、竜の異形が再び迫った。
「うらァァァ!!」
土方は怒号を上げ、海老の異形に斬りかかる。
海老の異形は
近藤の斬撃を躱すと、海老の異形は軽々と跳躍して三人から距離を取った。
戦況が、また大きく変わり始めた。真選組、見廻組、そして春雨の参戦によって、オルフェノク勢は徐々に押され始めていた。わらわらと湧いて出ていたオルフェノク達も、限りが出始めていた。
山崎が、斉藤が、鉄之助が、隊士たちが刀を手に、奮戦する。
全ては、己の信念に従って。
「ハァッ!!」
三人と海老の異形が離れた隙を突き、クレイが羽をまき散らす。
刃の羽根をうっとうしそうに払い、海老の異形はクレイに向かって走った。
「!!」
クレイは気付くも、一瞬の判断が遅れた。
ドスッ
鋭く尖った細剣が、舞い散る羽根の中、クレイの鳩尾を貫いた。
「!! クレイ殿ォォォ!!」
近藤の声が、大きく響き渡った。
「うおりゃああああああ!!」
掛け声とともに、新八はコガネムシ型のオルフェノクを斬りつける。反撃をかわし、必殺の一瞬を探る。刀を振るい、火花を散らせる。
神楽と兎姫は背中を合わせ、お互いの後ろを護りながらオルフェノク達と相対する。
剛腕で傘を振るい、鉄拳で異形の顔面を殴りつけると、血の代わりに灰が飛び散り、二人を汚した。
巽は双剣を振るい、三人を援護する。二本の刃を牙のように操り、敵の首筋に突き立てる。ネズミもまたナイフを構え、腱や関節を的確に狙い、斬りつける。
「てェああああああ!!」
「だりゃあああ!!」
銀時と黒羽は咆哮を上げ、同時に騏場とレオに刀を振り下ろす。
二人はそれを受け止め、力技で跳ねかえす。
今度は黒羽が前に出て横に光大剣を薙ぎ、銀時がそれを追うように斬りかかる。息の合った連撃に、騏場とレオもたじろぐ。
そして一瞬の隙を突き、銀時と黒羽は二人の懐に入る。
「!!」
目を瞠る二人の前で、銀時は拳を振りかぶり、黒羽はカメラ型ツールを備える。そのまま、騏場とレオの顔面に渾身の鉄拳を放った。
バキィィッ
鈍い音が響き、騏場とレオは軽く吹っ飛ばされた。
銀時と黒羽は手を払い、再び二人に迫る。
その時、ホイールのマシンガンを撃っていたオートバジンが、自分で左ハンドルを地面から拾い上げ、黒羽に向かって投げ飛ばした。
銀時は、その場でジャンプした黒羽を脚の上に乗せ、全力で振り上げる。
人間シュートされた黒羽は、光剣に手を伸ばし、空中で掴み取る。そのまま上段から二本の光剣を騏場とレオに向かって振り下ろし、次いで扉を開くように横に薙いだ。
「ぐっ……!!」
火花を散らせてよろめく騏場とレオの前で、黒羽は姿勢を落とし、光剣を一本逆手に持って、円を描くように構えた。
二本の牙を携え、銀狼の女剣士は、鋭く光る金の目を向けた。
その姿に、別の誰かの姿がダブる。
狗神と呼ばれたかつての師と、目の前の少女の姿が、重なって見えた。
―――!?
二人は目を見開き、硬直した。
ザワリと、黒羽の髪と尾が揺れ、二本の刃が輝く。
「ぅぉぉおおおおおおおおおおお!!」
ズン、と地を踏み、咆哮とともに黒羽は舞う。
斬撃が走り、騏場の体を高々と吹っ飛ばす。
レオは目を見開き、黒羽を凝視する。すると突如、その左肩に刃が突き立てられ、強烈な力でレオは押しやられた。
「おおおおおおおおおおおお!!」
銀時は怒号とともに、押し潰す。
その上空で黒羽は高く跳び上がり、騏場の腹に回転して踵落としを放つ。
騏場が落ちるのと、レオが叩き付けられるのは、ほぼ同時だった。
神速ともいえるスピードで、竜の異形は神威を殴りつける。
神威は血を吐き、ガクリと膝をつく。
ザザッ、と地をすり、竜の異形は神威を見下ろした。
「楽しかったぜ……。だが、そろそろ終わりにしようぜ」
せめてものはなむけと、言い終えると同時に加速し、神威の頸動脈を狙う。
鋭い爪が、風を切って迫る。
―――あばよ……!!
血飛沫が上がる、と思われたその瞬間。
ガシイ、と神威の手が竜の異形の腕を掴んで止めた。
そのまま万力のような力で握られ、竜の異形は顔色を変えた。
神威は顔を上げ、にっこりと笑った。
邪気も何もないような、爽やかで、底冷えするような笑みだった。
「…楽しかったよ。でも、そろそろ終わりにしようか」
彼流の
そして、一閃。
凶悪な夜兎の拳が、竜の異形の胸を貫いた。
クレイの腹を貫く、灰に汚れた細剣。
だが海老の異形は、それがどうしても抜けないことに気付いた。
「……これで」
「!?」
呟かれたクレイの一言に、海老の異形は心臓を掴まれたような恐怖を感じた。
「これでもう……逃がしません、絶対に」
次の瞬間、クレイの周囲を無数の羽根の刃が取り囲む。その切っ先が向かうのは、海老の異形と、クレイ自身だ。
「やめっ……」
海老の異形が言うより早く、刃が二人に向かって殺到する。
「ぐああああああ!!」
海老の異形は悲鳴を上げ、離れようと身をよじる。しかしクレイは決して、その
全身に刃が突き刺さり、ボロボロになる二体の異形。
「うぁ……」
膝をつくクレイに、ニヤリと黒い笑みを浮かべた海老の異形だったが、すぐにその顔色がサッと青ざめる。なぜならそこには。
「オオオオオオオオ!!」
刃を構え、迫り来る三人の黒い死神がいるのだから。
「おらぁァァァァ!!」
怒号とともに、刀が振り下ろされる。
斬!!
三つの閃きが、海老の異形を斬り裂いた。
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」
海老の異形は絶叫し、細剣を取り落す。そして、ゆっくりと、仰向けに倒れた。
クレイは人間に姿に戻りながら、フッと笑った。
「……ざまぁ、見なさい、です。これが……人間の力です」
その言葉を証明するかのように、人間とオルフェノクの戦いに決着が訪れる。
新八が強烈な突きで異形の体を壁に縫い付け、
神楽の鉄拳がオルフェノクの巨体を沈め、
兎姫の銃が鎧を撃ちぬき、
巽の双剣が首元に突き立てられ、
ネズミのナイフが急所を斬り裂き、
そして銀時と黒羽が、騏場とレオを殴り飛ばす。
「ぐあああああ!!」
吹き飛ばされ、転がる騏場。
黒羽は二本の光剣を地面に突き立て、ポインターにメモリーを挿して右脚に装着する。ラインが右脚に走り、体に力が漲り始めた。
[
その横で、銀時は腰を落として刀を上段に構え息を殺す。
「白夜叉ァァァァァァァ!!」
レオは激昂し、ケータイのメモリーをトンファーに挿し、高く掲げる。
[
騏場も剣にメモリーを挿し、大きく振るってから構える。
[
すると、剣の刀身がエネルギー体に包まれ、巨大化していった。
「オオオオオオオ!!」
四人は吠え、同時に駆け出す。
全ては、己の道を貫くため。ただそれだけのために。
「叶うかどうかは、オレ達にだってわからねぇ……だけど!!」
騏場が剣を掲げ、レオはトンファーを振り上げて走り出す。
黒羽は再びポインターにメモリーに挿し、両腕を膝の上に乗せ、姿勢を低く落として身構える。唸り声を上げ、犬歯を剥き出しにする。
「テメーらにできねェことは、俺達がやる!!」
黒羽は天高く跳び上がり、エネルギー波に包まれながら右脚を突き出す。円錐状のエネルギー波が回転し、一振りの刃と化す。
歯を剥いた銀時は刀を両手で持ち、レオを迎え撃つ。その剣のような目を光らせ、レオを見据える。
「テメーらの理想は、
魂の叫びとともに、四人の宿命の戦士が今、激突した。