ウマ娘×ProjectMoon   作:桜餅 ステラ

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協会長という仕事

ハナ協会本部 協会長室

 

静謐な空気に包まれた広間。

各協会の長たちが集っていた。

 

一同が向き合ってるのは──

 

ハナ協会長、スピードシンボリ。

 

スピードシンボリ

「……ふふ、よく来てくれたね。忙しい中、感謝するよ」

 

グラスワンダー

「いえ、滅相もございません。スピードシンボリ協会長」

 

シンボリルドルフ

「スー様。12協会の協会長を一堂に集めた理由……やはり、バンブーメモリー協会長の件でしょうか」

 

ヒシアマゾン

「けどさ、ヤエノとトランがいないみたいだけど?あの2人、こういう場は外さないタイプだろ」

 

スピードシンボリ

「彼女たちは今、バンブーメモリーの自宅にいるらしいよ。様子見と……メンタルケア、だそうだ」

 

セイウンスカイ

「にゃはは〜、あの2人もなんだかんだ面倒見いいよねぇ」

 

アイネスフウジン

「でもさぁ……協会長がねじれになるまで追い詰められるって……ちょっと笑えないの……」

 

ゼンノロブロイ

「ええ……ですが、彼女は戻って来られました。やり直す機会があるだけ、まだ救いはあります」

 

ナカヤマフェスタ

「で、スピードシンボリ。わたしたちに何をさせるつもりだ?」

 

ドゥラメンテ

「フェノーメノ支部長が代行になった件なら既に把握しているが」

 

スピードシンボリは一度、全員を見渡す。

 

その眼差しは、穏やかでありながら鋭い。

 

スピードシンボリ

「……では、本題に入ろう」

 

空気が、わずかに引き締まる。

 

スピードシンボリ

「今回の件──“協会長がねじれた”。これは、ハナ協会として看過できない重大案件だ」

 


 

沈黙。

 

スピードシンボリ

「ゆえに今後の再発防止として、二つの方針を提示する」

 

指を二本立てる。

 

スピードシンボリ

「一つ。協会同士の連携強化」

「二つ。協会長自身のメンタルケアだ」

 

シンボリルドルフ

「……協会長の、メンタルケア」

 

スピードシンボリ

「そう。バンブーメモリーは責任感が強すぎた。だからこそ、抱え込みすぎた」

 

静かに言葉を落とす。

 

スピードシンボリ

「まずは協会同士の結束を強める。領分は守りつつ、必要なら積極的に助け合う体制を構築する」

 

トランセンドやヤエノムテキの動きを思わせる内容に、何人かが小さく頷く。

 

スピードシンボリ

「そしてもう一つ、協会長という“壊れやすい役職”に対する対策だ」

 

ドゥラメンテ

「……具体的には?」

 

スピードシンボリ

「休暇制度の導入だ」

 

わずかなざわめき。

 

スピードシンボリ

「協会長であっても、必ずしっかりした休みを取ること。そしてその間、代行を任せられる人材を各協会で最低1人は用意してほしい」

 

グラスワンダー

「……信頼できる者を、ということですね」

 

スピードシンボリ

「その通り。本部長でも、支部長でも構わない」

 

軽く笑う。

 

スピードシンボリ

「私も、いざという時はジャーニーに任せるつもりだよ」

 

ゼンノロブロイ

「承知しました。各協会で人選を進めます」

 

スピードシンボリ

「ちなみに、すでに動いている者もいる。ヤエノムテキはノーリーズンを、トランセンドはフォーエバーヤングを、それぞれ後任候補に指名している」

 

ナカヤマフェスタ

「へぇ……あいつら、抜け目ないな」

 

スピードシンボリ

「そしてメンタルケアについてだが──」

 

一拍。

 

スピードシンボリ

「今後は2ヶ月ごとに、ハナ協会による定期精査を行う」

 

アイネスフウジン

「精査って、仕事だけじゃないってこと?」

 

スピードシンボリ

「もちろん。組織運営、個人的な悩み……すべてだ」

 

視線が一人一人に向けられる。

 

スピードシンボリ

「隠さず報告してほしい、対応できる限り、ハナ協会が責任を持って対処する」

 

静かに、だが確かな重みを持つ言葉。

 

ナカヤマフェスタ

「……分かったよ」

 

シンボリルドルフも頷く。

 

シンボリルドルフ

「理想だけでは守れないものもありますからね……必要な施策でしょう」

 

ヒシアマゾン

「いいじゃねえか。倒れる前に助けるってわけだろ?」

 

セイウンスカイ

「サボりやすくなるなら大歓迎〜」

 

ドゥラメンテ

「……いや」

 

小さく、しかしはっきりと訂正する。

 

ドゥラメンテ

「“倒れないために休むんだ”」

 

スピードシンボリは満足げに微笑んだ。

 

スピードシンボリ

「その通りだ」

 

そして、最後に。

 

スピードシンボリ

「他にも細かい通達はあるが……ひとまず今日はここまでにしよう」

 

一同を見渡す。

 

スピードシンボリ

「各自──健康第一で職務に当たってくれ」

 

一斉に。

 

「──御意」

 


 

協会長とは、頂点に立つ者ではない。

 

最も多くを背負い、

最も壊れやすい場所に立つ者だ。

 

だからこそ──

 

支え合わなければならない。

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