ウマ娘×ProjectMoon   作:桜餅 ステラ

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ハナ上層部

ハナ協会本部・最上階 協会長執務室

白い大理石の床に、四卦に囲まれた巨大な「1」の紋章が刻まれている。

 

窓の外には、白い鳥が群れを成して飛んでいる。

 

机の前に座るスピードシンボリは、白いコートを羽織ったまま、ため息をついた。

 

「相変わらずミスターシービーは逃げているのか。

 頭の監視に真っ向から対抗するなんて……あの子もやんちゃだね」

 

執務室に控えるハナ協会幹部の三人は、揃って俯いた。

 

南部本部長 ドリームジャーニー

「申し訳ありません、協会長……

 未だ捕まえることが出来ずに……」

 

西部支部長 ハイセイコー

「あはは……ご、ごめんなさいね協会長……」

 

東部支部長 シンボリクリスエス

「……済まない、スーさん」

 

スピードシンボリは苦笑しながら手を振った。

 

スピードシンボリ

「……まあ、本来不純物の対処は頭が全て行うのに、

 今回ばかりは協会も動くことになっている非常事態だ。

 早めに解決しないと、協会の通常業務にも支障が出る。

 なるべくはやく頼むよ、なるはやでね……」

 

その柔らかい語尾には失態を許さない圧があった

 

ドリームジャーニーが慌てて答える

 

「もちろんです! どうかご安心を!」

 

スピードシンボリは立ち上がり、窓の外を見据えた。

 

 

「そうか。

 なら本部長のジャーニーに、ハナ協会の指揮権を委託するからよろしく頼んだよ。

 最悪、排除出来なくとも、ミスターシービーを外郭に追放出来ればそれでいい」

 

 

「分かりました、直ちに取り掛かります」

スピードシンボリは振り返り、残る二人にも視線を向ける。

 

 

「ハイセイコー支部長も、クリスエスも、頑張りなさい」

 

「う、うん! もちろんよ協会長!」

 

「シービーは……必ず捕まえる……」

 

 

「じゃあもう下がっていいよ。仕事に戻りなさい」

 

 

「は、はい! 分かりました!」

 

三人とも敬礼し、足早に退室しようとする。

その時。

 

 

「……あの、話は変わるのですが協会長、

 一つよろしいでしょうか?」

 

 

「なんだいジャーニー?」

 

「その……先日定年退職した北部支部長の後任はどうしましょうか?

 現在はミスターシービーのゴタゴタで後回しになっていますが……」

 

スピードシンボリは顎に手を当てて、ふっと笑った。

 

「あーそれか。

 今は確かに誰もやりたがってくれないしな……

 まあ近い内に有力なフィクサーを当たって見るよ。

 北部支部でいなければ、外部から招くことも視野に入れる」

 

「分かりました。では失礼します」

 

 

「……スーさんの期待は裏切らないようにする」

 

「きっといい知らせを持ってくるから待ってて!」

 

扉が閉まり、部屋に静寂が戻る。

スピードシンボリは椅子に深く腰掛け、独り言のように呟いた。

 

 

「ふぅ……

 それにしてもあの子たち、ちょっとビビりすぎじゃないか?

 それはそれで私もちょっとショックなんだけど……

 給料下げようかな」

 

彼女は窓の外を見上げた。

遠く、緑の旅人がまだ走っている。

金色の暴君が、すぐ後ろに迫っている。

深碧の老雄は、静かに微笑んだ。

 

 

「まあ、ジャーニーなら上手くやってくれるさ。

 ……もし出来なかったら期待外れだしね」

 

白いコートの裾が、静かに揺れた。

ハナ協会の頂点は、

今日もこの都市を、静かに見下ろし続けている。




スピードシンボリ
ハナ協会長 特色フィクサー「深碧の老雄」
シンボリルドルフの祖母で都市にいる全てのフィクサーの頂点に立つハナ協会の支配者

ハイセイコー
ハナ西部支部長 特色フィクサー「桃色の偶像」
西部支部でアイドルと呼ばれるほどの人気と愛嬌があるウマ娘。
可愛らしい見た目とは裏腹に実力はハナ協会トップクラス

シンボリクリスエス
ハナ東部支部長
スピードシンボリに才能を見出されて、シンボリ家に籍を入れることになった養子。
英語混じりの独特な間を置く口調が特徴的
スピードシンボリの行動には常に意味があることを理解しており、良いか悪いかは不明でも正しいことであることは承知している。
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